【江越美国境】 三国岳の女神さまは、厳しく優しく、冷たく温かで

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sato
記事: 421
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

【江越美国境】 三国岳の女神さまは、厳しく優しく、冷たく温かで

投稿記事 by sato »

【日 付】 2024年2月13日
【山 域】 夜叉丸、三国岳周辺
【天 気】 晴れ
【コース】 広野ダム~夜叉ケ池登山口~夜叉丸~三国岳~・965~1010ピーク
      ~・542~林道~P

 7時半。やっとカツラの巨樹とご対面できた。
 前日の雨は、南越前町の大門から日野川上流では雪だった。登山口まで一時間半はかかりそうだ。
三周ケ岳の時の反省もあり、広野ダムに駐車して、今日は、すぐに身支度をして、ヘッドランプを付けて出発した。
スノーシューを履き、新雪の積もった林道を、高揚感に包まれ勢いよく歩き始めたが、足首上ほどの潜りでも、
やはり締まった雪より一歩に負担がかかる。
次第に歩みが遅くなり、1時間40分近くかかったが、2時間ぐらい歩いたような気分になっていた。

 ドサッとリュックを降ろし、樹の下で朝ご飯のパンをかじる。仰ぎ見た越美、江越国境稜線は、白銀色に輝いている。
見事な霧氷だ。朝の光を浴びて、これでもかというくらいに輝いている。あぁ、とため息が出る。
わたしは、あのうつくしく儚い世界に立つことができるのだろうか。ふいにかなしくなり、鼻の奥がツーンとなり、
あわてて味のしなくなったパンをどんどんと飲み込む。余計なことを考えないよう、出かかった思いも飲み込む。
最後に熱いお湯をゆっくりと味わったら落ち着いた。一歩一歩落ち着いて着実に歩いていこう。
そう思うと、すぅっと穏やかな力が湧いてきた。

 橋を渡り、お願いします、とちいさく呟いて、夜叉ケ池夜叉丸に向かう尾根に踏み込む。
斜面を見て、スノーシューの方がいいと思ったが、いざ登り始めると、急斜面を覆う雪は全く締まっていなくて、
ズボズボ潜りズルズルと滑る。木を掴み、雪に手を突っ込み、四つ足歩行でしか登れない。
こんなに潜って滑るのなら、アイゼンの方が歩きやすかった。でも、履き替えられる場所がない。
失敗した、と思うが、でも大丈夫、となだめ、滑り落ちて行かぬようよう慎重に、一歩また一歩と歩みを重ねていく。

 記憶は時に厄介だ。登っても登っても傾斜は緩くならない。こんなに急傾斜が続いたっけ?と不安になる。
間違いようのない尾根なのに。
どのくらい時間がかかったのだろう。ひと息つける傾斜になりほっとする。でも、標高を確認して、がっかりする。
まだ標高750m。夜叉ケ池まで350mもある。
そして、「まだ」と「も」と思った時点で、夜叉ケ池は諦めた、というより、無理だと判断した。
白雪姫さまがお眠りになる夜叉ケ池を訪ね、かっこいい雪稜を登り夜叉丸の山頂に立とうと思っていたが、とんでもない。
この雪質のラッセルでは、トラバース地点までまだまだ時間がかかる。

 傾斜が落ち着いても、雪質は落ち着いてくれない。
三周ヶ岳と同様、今日もよいしょ、よいしょと自分を励ましながらの登りが続いていく。
 でも、やはり、一歩一歩の歩みは着実だ。いつしかまわりは雪を纏った風格のあるブナが立ち並ぶ尾根となり、
標高1100mで、ふんわりとした雪原に出た。あたりの木々はまっ白な霧氷で覆われている。
あぁ、間に合ったのね。満面の笑みがこぼれる。ここから右の夜叉丸山頂に至る尾根へとトラバースしていく。
 山頂まであと100m。もう少しだ。ところが、このやさしい地形のやさしく光る雪が、明るくなったこころを挫かせた。
膝下まで潜る重い雪。すぐ横の尾根になかなか登れない。あぁ、今日は余計なものを持ってきてしまった。
リュックが重く感じられ、折り畳み傘とチェーンスパイクを、何で入れっぱなしにしていたのだろう、と後悔する。

 よたよたと尾根に乗ると、煌めく霧氷の回廊が出迎えてくれた。足は遅々としているのにこころは忙しい。
また、ぱぁっと光が差しこんで、よろこびに包まれる。頑張ってよかった。青い空もすぐ上に広がっている。
DSC_0389_2_1.JPG
 1212m夜叉丸。11時、遮るものがない純白の山頂に辿り着いた。
年末に訪れた三周ヶ岳が目の前に、神々しいまでの白い光を放ち鎮座されている。ふるふるふると微かに揺れていた雪原には、
ナイフの刃のような雪庇が見られる。眼下のまっ白な雪で埋もれた夜叉ケ池は、うつくしい霧氷で縁どられている。
見上げた空は青く澄み渡り、遥かアルプスの峰々まで望む。
 足は疲れている。ここでゆっくりと絶景を楽しみ、煌めく雪稜を下り、夜叉ケ池に行こうかな。
霧氷の池は次いつ出会えるか分からない・・・。あまりにも素晴らしい風景を前に、こころは振り子状態に。
 時間も気になっていた。この雪をラッセルしながら三国岳まで行き、16時までに林道に下れるか。
重い雪で下りも楽ではないだろう。
DSC_0395_2_1.JPG
 地図を広げ、くの字に曲がる越美国境稜線と、緩やかに延びる江越国境稜線を何度か目で往復する。
そして、ごくりと唾を飲み顔を上げる。
 静かに眼差しを向けた三国岳は、まっさらな雪と一面の霧氷で白藍色に煌めいていた。
びっくりするくらい冷たく温かく煌めいていた。足元から・1206への白く滑らかな稜線は、眩ゆいばかり。
胸がきゅっと締め付けられる。ピタリと振り子が止まる。あぁ、わたしは、ずっと、三国岳の女神さまにお会いしたかったのだ。
 距離はそれほどない。1時間半で辿り着けるか。2時間かかっても13時。下りの江越国境稜線は歩いたことがある。
もう一度三国岳を見つめる。女神さまが微笑んでくださったような気がした。
DSC_0403_2_1.JPG
 無積雪期はササで覆われた稜線は、雪の魔法でうつくしき純白の天空の道に。
そしてその道には、昨日の雪と風によって、ちいさな、でもきりりとした雪庇が描かれている。
なんて素敵なのだろう。つい今しがたまで悩んでいたのが嘘のように、からだじゅうに力がみなぎる。
さぁ行こう。天空の道に足跡を刻んでいく。

 樹氷の木々の間を抜けると1206ピーク。
この広い台地からの眺望も素晴らしい。ここから、110mあまり下り、同じだけ登ったら三国岳山頂だ。
おおきなおおきな三国岳が、艶やかな雪原の向こうでわたしを見つめている。
 今日、やっと目の前でお姿を拝むことが出来ました。今から参りますね。夢見ていたお姿、
しかも新雪と霧氷を纏ったお姿にお会いできるなんて、わたしはしあわせ者です。
手を合わせ、歩みを進めて行く。
DSC_0406_1_1.JPG
 
 鞍部に近づくと尾根は広がりを見せ、やわらかにうねる雪原となる。雪が締まっていたら駆け出したくなるような牧歌的な風景。
この夢のような雪原を自由に駆け回るウサギがうらやましい。ご飯を求めて探し回っているのかもしれないが。
 艶やかな雪原に並ぶ、もこもことわたあめのような雪を纏った木々をうっとりと眺めながら一歩を重ねていると、
青い光が目を射った。

 12時35分。近江と越前と美濃の境の地、三国ケ岳の夢見た光に満ちた山頂に立っていた。
三度目の山頂。三度目にして、女神さまは、ひとりで訪ねてきたわたしを、やさしく包みこんでくださった。

 初めて訪れたのは、8年前の3月にKさんと岩谷川から・542の尾根を辿って。
二度目は5年前の2月に夫と近江側の田戸から谷山に登って。どちらも山頂は霧の中だった。
 二度目に訪れた時、すべての境がぼんやりにじんだ世界に立ち、ここから延びていく国境の尾根、ここから始まる水の旅、
そして灰色のベールの向こうに広がる風景をこころに描いていた。そして、いつか、またこの地に立った時、
吸い込まれていきそうな青空に、これらの絵を張り付け、目の前に広がる風景と見比べようと思った。
 あの時どんな絵を描いていたのだろう。今、妙なる世界に立ち、すべて忘れてしまっていた。
ただただ、女神さまからの祝福にこころ震わすわたしがいるだけだった。
DSC_0413_1.JPG
 時は静かに刻まれていく。気が付くと出発時間がきていた。もう少し佇んでいたいが、えいと立ち上がる。
じきに消えてしまう、うつくしき稜線に刻まれたわたしの足跡ひとつひとつを目に焼き付け、南のまっ白な左千方にご挨拶をして、
ふわりとした雪を掬い上げ、口一杯にほおばり、厳しく優しく、冷たく温かな女神さまの息吹を胸に、
北西に広がる大雪原へと下っていく。

 この一帯も、しみじみと素敵な風景が広がっている。ゆるゆると広がる雪原のどこを歩こうか迷ってしまう。
でも、こちらは、気を付けなければならない。ちいさな尾根と谷が入り組み、足の向くままに進んで行ったらえらい目に合う。
と認識していても、のびやかなうつくしい風景に気を取られ、進むべき尾根の隣の尾根を歩いていた。
膝まで潜り谷に降りての登り返しがしんどい。
 標高1030m付近で一本の尾根の形になり、これで迷わない、と思うのと同時に、いよいよ下ってしまうのだな、
と少しさみしくなる。

 ・965では、純白の上谷山に目が吸い込まれていきそうになった。今日の上谷山もさぞかしうつくしいだろう。
家を出る前に思い描いていた周遊コースを思い出し、欲張りだった自分にちょっとおかしくなる。
雪山は、その時々、姿も、雪質も異なる。どんな状態かは来てみないと分からない。
昨日は、すうっと歩けても、今日は、とんでもない、ということも珍しくはない。

 この先の鞍部から、1010mまでの70mの登り返しが、疲れた足にはこたえる。
14時45分、尾根の分岐に到着。もちろん西には進まず北を向く。
 8年前、わぁ、とこころ躍らせ、駆け下りて行った素晴らしいブナの森は、ズボズボの雪で、足を上げるのにひと苦労。
森の物語を語るようなおおきなブナを見上げながら、ゆっくりと下っていく。
 ・542手前の鞍部で林道へと降りていく。行きにここから下るのが一番楽かな、と確認済みだ。
でも実際は、踏み抜きの繰り返しで思うように進めない。林道に出た時には、手袋も靴もずぶ濡れになっていた。
 
 はぁ、と息をつき雪道を見ると、そこには白いラインが引かれていた。スノーモービルの轍だった。
帰りは、より雪が緩み行きよりもしんどいな、と思っていたので有難かった。
轍を辿りながら、1時間ちょっとで駐車地まで戻ることが出来た。

 朝、駐車地に積もっていた雪は、きれいさっぱりと融けていた。まわりの山肌もぽつぽつと茶色い地面が出ている。
わたしが旅した白藍色の世界は夢だったのか。ぼんやり黒々とした木が立ち並ぶ山の上に広がる黄みを帯びた空を見上げていると、
ふつふつと思いが湧き上がり頬が熱くなる。胸に仕舞った三国岳の女神さまの息吹が熱を持つ。
そして、あぁ、そうだったのだ、とあらためて感じ入る。
 初めて訪れた時から8歳、次に訪れた時から5歳の年を取り、それだけ体力は落ちてしまったけれど、
その間いろいろ学び失敗もしてきたわたしが、ひとりでふぅふぅ言いながら雪を踏み固め歩いている姿を、
女神さまはご覧になり、山頂に立つまで、あの煌く霧氷を残してくださったのだと。

sato
アバター
山日和
記事: 3582
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【江越美国境】 三国岳の女神さまは、厳しく優しく、冷たく温かで

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、こんばんは。

三周ケ岳の時の反省もあり、広野ダムに駐車して、今日は、すぐに身支度をして、ヘッドランプを付けて出発した。
スノーシューを履き、新雪の積もった林道を、高揚感に包まれ勢いよく歩き始めたが、足首上ほどの潜りでも、やはり締まった雪より一歩に負担がかかる。
次第に歩みが遅くなり、1時間40分近くかかったが、2時間ぐらい歩いたような気分になっていた。


ヘッデン点けてスタートとは気合入ってますねえ。
しかし登山口まで1時間40分ですか。私ならこの時点でギブアップかも。

 ドサッとリュックを降ろし、樹の下で朝ご飯のパンをかじる。仰ぎ見た越美、江越国境稜線は、白銀色に輝いている。
見事な霧氷だ。朝の光を浴びて、これでもかというくらいに輝いている。あぁ、とため息が出る。
わたしは、あのうつくしく儚い世界に立つことができるのだろうか。


嫌でもモチベーションが上がる風景ですが、ちょっと疲れ気味?

斜面を見て、スノーシューの方がいいと思ったが、いざ登り始めると、急斜面を覆う雪は全く締まっていなくて、
ズボズボ潜りズルズルと滑る。木を掴み、雪に手を突っ込み、四つ足歩行でしか登れない。
こんなに潜って滑るのなら、アイゼンの方が歩きやすかった。でも、履き替えられる場所がない。

この斜面はとりついてしまうと落ち着く場所がないですよね。
最初の1、2歩で判断が必要でしたね。

どのくらい時間がかかったのだろう。ひと息つける傾斜になりほっとする。でも、標高を確認して、がっかりする。
まだ標高750m。夜叉ケ池まで350mもある。

登山口の標高が400mぐらいだから半分来たじゃないですか。 :D

いつしかまわりは雪を纏った風格のあるブナが立ち並ぶ尾根となり、標高1100mで、ふんわりとした雪原に出た。あたりの木々はまっ白な霧氷で覆われている。

ダイレクト尾根と夜叉ヶ池の分岐点ですね。ここまで来ればもうひと息。

 山頂まであと100m。もう少しだ。ところが、このやさしい地形のやさしく光る雪が、明るくなったこころを挫かせた。
膝下まで潜る重い雪。すぐ横の尾根になかなか登れない。あぁ、今日は余計なものを持ってきてしまった。


あらあら、標高が上がっても雪質は一向に良くなりませんでしたか。これはしんどそう。

 1212m夜叉丸。11時、遮るものがない純白の山頂に辿り着いた。
年末に訪れた三周ヶ岳が目の前に、神々しいまでの白い光を放ち鎮座されている。ふるふるふると微かに揺れていた雪原には、ナイフの刃のような雪庇が見られる。眼下のまっ白な雪で埋もれた夜叉ケ池は、うつくしい霧氷で縁どられている。
見上げた空は青く澄み渡り、遥かアルプスの峰々まで望む。


夜叉ヶ丸は大好きな山頂です。三国へ続くたおやかな雪尾根と三周方面の夜叉壁を前景にした荒々しい雪稜。
そして眼下に佇む白い夜叉ヶ池の姿。いいところです。

 足は疲れている。ここでゆっくりと絶景を楽しみ、煌めく雪稜を下り、夜叉ケ池に行こうかな。
霧氷の池は次いつ出会えるか分からない・・・。あまりにも素晴らしい風景を前に、こころは振り子状態に。

私ならノータイムで池へ直行ですね。 :lol:

 静かに眼差しを向けた三国岳は、まっさらな雪と一面の霧氷で白藍色に煌めいていた。
びっくりするくらい冷たく温かく煌めいていた。足元から・1206への白く滑らかな稜線は、眩ゆいばかり。
胸がきゅっと締め付けられる。ピタリと振り子が止まる。あぁ、わたしは、ずっと、三国岳の女神さまにお会いしたかったのだ。

その気持ちもわかります。でも体が気持ちに付いていくかどうか。

 距離はそれほどない。1時間半で辿り着けるか。2時間かかっても13時。下りの江越国境稜線は歩いたことがある。

雪が締まってれば1時間チョイなんだけどねえ。

 樹氷の木々の間を抜けると1206ピーク。
この広い台地からの眺望も素晴らしい。ここから、110mあまり下り、同じだけ登ったら三国岳山頂だ。

ここもいいピークです。夜叉姫岳という名前だったか。

  12時35分。近江と越前と美濃の境の地、三国ケ岳の夢見た光に満ちた山頂に立っていた。
三度目の山頂。三度目にして、女神さまは、ひとりで訪ねてきたわたしを、やさしく包みこんでくださった。


それでも1時間半ほどで着いたんですね。さすがとしか言いようがありません。

 初めて訪れたのは、8年前の3月にKさんと岩谷川から・542の尾根を辿って。
二度目は5年前の2月に夫と近江側の田戸から谷山に登って。どちらも山頂は霧の中だった。


ちなみに私は積雪期に5回と無雪期に1回訪れましたが、5回は快晴でした。 :lol:
ガスってた1回は神又峰から左千方へ縦走した時に往復しました。

 この一帯も、しみじみと素敵な風景が広がっている。ゆるゆると広がる雪原のどこを歩こうか迷ってしまう。
でも、こちらは、気を付けなければならない。ちいさな尾根と谷が入り組み、足の向くままに進んで行ったらえらい目に合う。
と認識していても、のびやかなうつくしい風景に気を取られ、進むべき尾根の隣の尾根を歩いていた。
膝まで潜り谷に降りての登り返しがしんどい。


そうなんです。あまりにも茫洋とした広い斜面は、どこが本来の尾根か判断するのが難しいですね。私も同じことをやりました。 :mrgreen:
逆回りの方が気を遣わなくて済むので楽ですね。

家を出る前に思い描いていた周遊コースを思い出し、欲張りだった自分にちょっとおかしくなる。
雪山は、その時々、姿も、雪質も異なる。どんな状態かは来てみないと分からない。
昨日は、すうっと歩けても、今日は、とんでもない、ということも珍しくはない。


まあ、そんなもんでしょう。こんな雪質でここまで頑張れたことが凄いと思いますよ。

 8年前、わぁ、とこころ躍らせ、駆け下りて行った素晴らしいブナの森は、ズボズボの雪で、足を上げるのにひと苦労。
森の物語を語るようなおおきなブナを見上げながら、ゆっくりと下っていく。


このブナ林はまったく素晴らしいですよね。でもそんな雪だと楽しむ余裕も無さそう。

 はぁ、と息をつき雪道を見ると、そこには白いラインが引かれていた。スノーモービルの轍だった。
帰りは、より雪が緩み行きよりもしんどいな、と思っていたので有難かった。
轍を辿りながら、1時間ちょっとで駐車地まで戻ることが出来た。


これはラッキーでしたね。普段ならスノーモービルの轍を見ると腹が立つのに、人間って勝手なもんです。 :lol:

 初めて訪れた時から8歳、次に訪れた時から5歳の年を取り、それだけ体力は落ちてしまったけれど、その間いろいろ学び失敗もしてきたわたしが、ひとりでふぅふぅ言いながら雪を踏み固め歩いている姿を、女神さまはご覧になり、山頂に立つまで、あの煌く霧氷を残してくださったのだと。

体力が落ちてそれならまだまだですよ。私なんか女神様のご褒美をもらえず仕舞いのことがほとんどです。 :mrgreen:

                     山日和
sato
記事: 421
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【江越美国境】 三国岳の女神さまは、厳しく優しく、冷たく温かで

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんばんは。
今日はいいお天気で、雪化粧した比良や鈴鹿のお山が、青空の下で光り輝いていました。
明日は雨ですが、週末にまた雪の予報が出ていますので、もう少し白い山並みを(山頂付近だけですが)楽しめるかな。

相変わらずの山のレポではない内容に、コメントをありがとうございます。
私は、いつも下山時刻や道中のアクシデントを心配してしまいます。
三周ヶ岳の時、白み始めてから歩こうとゆっくりして、最後に大失敗をして下山が日没後になってしまったので、
今回は、グズグズせずに出発しましたが、手倉山の尾根からの下り口を確認したり、廃村岩谷のお墓を見たり、
ぼんやり考え事をしたりしていて、スノーシューも少し潜っていたので、歩くぺースが落ちていき、時間がかかってしまいました。

この日は、気温が高い予報で、霧氷は期待していませんでしたので、稜線が白銀色に煌めいているのを見て、ドキドキしました。
でも、儚い霧氷、到着した時には、消えているのだろうなぁ、と思い、かなしくなってしまったのでした。
この尾根は、雪の状態によって、歩行時間が大きく変わってきますね。標高差で半分登っても、この先の方が距離は長いです。
重い雪のラッセルでしたので、まだまだ時間がかかるなぁ、と。
夜叉丸の山頂は、私も大好きです。夜叉ケ池からの雪稜も素敵ですよね。
新雪の雪稜に足跡を刻みたかったのですが、三国岳の女神さまにお会いしたかったので諦めました。

ひとりで歩く時は、地形と雪質を見て、今現在の自分の体調でどのくらいかかるか、なんとなく予想がつきます。
その予想の時間をどう捉え判断するか・・・。この日は歩き通せると思いました。
山日和さんは、積雪期に5回、無積雪期にも三国岳に登られているのですね。しかも5回が快晴!
その一回が、瓜生さんとお会いになった時なのですね。

三国岳の三つの国境稜線は、みな素晴らしいですね。
江越国境稜線は、午後になって、霧氷は消えていましたが、うっとり夢見心地で歩いていました。
ゆるゆるとした気持ちのいい斜面で、山日和さんも間違われたのですね。
景色に見とれていたら失敗しますね(笑)。
・542の尾根のブナ林は感動的ですね。一本一本のブナが物語る声を感じます。
雪が締まっていたら、・1168に進み、・1069から下ろうかなと思っていたのですが、
この尾根をまた味わえてよかったです。
雪は重かったのですが、ゆっくりと歩いた分、一本一本のブナとお話することが出来ました。
Kさんと歩いた日のことを思い出していました。

そうそう、人間はほんとうに自分勝手です。スノーモービルの轍さまさまでした(笑)。
おかげ様で、17時前に駐車地に戻ることが出来ました。
いくつになっても、自分の実年齢を自覚していないのですが、体力は落ちてきたなぁ、と感じています。
集中力の低下、物忘れの多さも。
でも、今も、こうして、誰もいないお山を、ひとりでまっさらな雪をラッセルしながら周回して楽めるので、しあわせですね。
KさんからGPSとスノーシューの魅力を教えていただき、あらためて感謝の気持ちに包まれていました。

「女神様のご褒美」、先週の土曜日、山日和さんの大好きなお山で、この上ないご褒美をいただきましたね。

sato
tsubo
記事: 186
登録日時: 2023年3月07日(火) 13:27
お住まい: 和歌山県

Re: 【江越美国境】 三国岳の女神さまは、厳しく優しく、冷たく温かで

投稿記事 by tsubo »

satoさん、こんにちは。

この投稿と、山日和さんとご一緒の投稿を読んで思ったことを書きますね。
白雪姫、女神さま、そしてラビリンス。雪の山は物語の世界ですね。雪が無いときには見える景色が全く見えなくなり、見えるのは雪面と木々だけ。その下に眠っているのは何?無雪期に何度も登った山でも全くの別世界になってしまいます。いろいろな想像力がかきたてられます。そこが雪山の大きな魅力にも思えます。
 
ドサッとリュックを降ろし、樹の下で朝ご飯のパンをかじる。仰ぎ見た越美、江越国境稜線は、白銀色に輝いている。
見事な霧氷だ。朝の光を浴びて、これでもかというくらいに輝いている。あぁ、とため息が出る。
わたしは、あのうつくしく儚い世界に立つことができるのだろうか。ふいにかなしくなり、鼻の奥がツーンとなり、
あわてて味のしなくなったパンをどんどんと飲み込む。余計なことを考えないよう、出かかった思いも飲み込む。
最後に熱いお湯をゆっくりと味わったら落ち着いた。一歩一歩落ち着いて着実に歩いていこう。
そう思うと、すぅっと穏やかな力が湧いてきた。


私なら一刻も早く着きたいと思って、ろくに食べずに歩いてしまいます。食べている間に霧氷が解けちゃうんじゃないかってあせります。以前も道に迷ったとき、ゆっくり行動食を食べて心を落ち着かせていましたね。
 
記憶は時に厄介だ。登っても登っても傾斜は緩くならない。こんなに急傾斜が続いたっけ?と不安になる。
間違いようのない尾根なのに。


そういうことってありますね。以前登った山、歩いた道なのに、その時の自分の状態で違ったように思えてしまう。地図上では確かに同じ傾斜、同じ距離なのに。
 ・542手前の鞍部で林道へと降りていく。行きにここから下るのが一番楽かな、と確認済みだ。
でも実際は、踏み抜きの繰り返しで思うように進めない。林道に出た時には、手袋も靴もずぶ濡れになっていた。


山日和さんとの山行では埋まってしまいましたね。私も以前引っ張り上げてもらったことがあります。一人の時にそんな風にならないでよかったですね。

 朝、駐車地に積もっていた雪は、きれいさっぱりと融けていた。まわりの山肌もぽつぽつと茶色い地面が出ている。
わたしが旅した白藍色の世界は夢だったのか。ぼんやり黒々とした木が立ち並ぶ山の上に広がる黄みを帯びた空を見上げていると、
ふつふつと思いが湧き上がり頬が熱くなる。胸に仕舞った三国岳の女神さまの息吹が熱を持つ。
そして、あぁ、そうだったのだ、とあらためて感じ入る。
 初めて訪れた時から8歳、次に訪れた時から5歳の年を取り、それだけ体力は落ちてしまったけれど、
その間いろいろ学び失敗もしてきたわたしが、ひとりでふぅふぅ言いながら雪を踏み固め歩いている姿を、
女神さまはご覧になり、山頂に立つまで、あの煌く霧氷を残してくださったのだと。


夢から現実に戻されたような思いですね。satoさんは私から見たらまだまだ若い!と思うけど、もっと若いころから比べたらそれなりに年は取っていますね。でも、体力は落ちても、その分重ねた経験は宝物です。落ちた体力を補ってくれますね。
ちょっとパソコンが思うようでないので、これくらいにします。素敵な夢物語をありがとうございました。
私はもう花の山でいいなあと思いましたが、真っ白な世界をさまよってみたいなと思いました。まあ、それは私には本当に夢物語です。

tsubo
skywalk
記事: 519
登録日時: 2011年3月07日(月) 21:33

Re: 【江越美国境】 三国岳の女神さまは、厳しく優しく、冷たく温かで

投稿記事 by skywalk »

satoさん、こんにちは。
若干意味不明なタイトル、しかしこの時期の三国岳って私には縁の無さそうな世界。レポを読ませていただくと何とも凄まじい内容でやはり無縁の世界でした。satoさんはヤブコギのアマゾネス軍団でも最強の切り込み隊長かもしれませんね。

次第に歩みが遅くなり、1時間40分近くかかったが、2時間ぐらい歩いたような気分になっていた。
登山口まで1時間半なら計画時点で却下してしまいそうです。

最後に熱いお湯をゆっくりと味わったら落ち着いた。一歩一歩落ち着いて着実に歩いていこう。
そう思うと、すぅっと穏やかな力が湧いてきた。

計画達成には並外れた精神力が必要でしょうが、お湯を飲むだけで精神統一できる境地に達するにはどうのような修行を積めばよいのでしょう。

木を掴み、雪に手を突っ込み、四つ足歩行でしか登れない。
こんなに潜って滑るのなら、アイゼンの方が歩きやすかった。でも、履き替えられる場所がない。

この状況でへこたれないのは、もはや〇〇ではない。(〇〇はお好きなように)

まだ標高750m。夜叉ケ池まで350mもある。
まだまだ先は長い。この先どうなるのだろう。もう、玉砕覚悟か。

 山頂まであと100m。もう少しだ。ところが、このやさしい地形のやさしく光る雪が、明るくなったこころを挫かせた。
膝下まで潜る重い雪。すぐ横の尾根になかなか登れない。

どこまでも挫けないこころ。ウクライナ国防軍からもリクルートされそう。

 1212m夜叉丸。11時、遮るものがない純白の山頂に辿り着いた。
やった~おめでとうございます。夜叉丸には5年前にニッコウキスゲを見に行っただけで花見登山の経験しかない私には経験できない達成感でしょうね。しかも見る世界は全くの別物だ。

 足は疲れている。ここでゆっくりと絶景を楽しみ、煌めく雪稜を下り、夜叉ケ池に行こうかな。
霧氷の池は次いつ出会えるか分からない・・・。あまりにも素晴らしい風景を前に、こころは振り子状態に。

そうそうその手がある。私なら振り子はこちらでそのまま下山だ。
しかし切り込み隊長はそんな誘惑には乗らないのね。三国岳の女神様に導かれて先を進むのです。
花見登山に行った時は夜叉姫1206まで行きました。
夜叉姫はヤブっぽくて大きなクマの糞が落ちていたのでここで引き返しました。

 12時35分。近江と越前と美濃の境の地、三国ケ岳の夢見た光に満ちた山頂に立っていた。
三度目の山頂。三度目にして、女神さまは、ひとりで訪ねてきたわたしを、やさしく包みこんでくださった。

正しく女神様のお導きがあったればこそでしょうか。タイトルの意味が分かったような気がします。
私には無縁な世界ですが、素晴らしい世界の一端を見せていただきました。
sato
記事: 421
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【江越美国境】 三国岳の女神さまは、厳しく優しく、冷たく温かで

投稿記事 by sato »

tsuboさま

こんばんは。
今日は、冷たい風が吹きすさぶ一日でしたね。
コメントをありがとうございます。
そうですね。山は、いろいろな物語を感じさせてくれますね。風景との出会いは一期一会といいますが、
雪の山では、より強く一期一会の出会いを感じます。
夜叉ケ池の白雪姫さまは、私の想像ではなくて、泉鏡花の『夜叉ケ池』の龍神白雪姫さまです。
うつくしい言葉で紡がれた哀しくもうつくしく不思議な物語の面白さに酔いながら、
人間社会のやるせなさなどいろいろ考えさせられる戯曲で、何度か読み返しています。
初めて読んだのは学生の頃で、その時は、夜叉ケ池が実在することを知りませんでした。
雪に覆われた池は、白山千蛇ケ池の若旦那に恋する白雪姫さまの秘めた思いを感じます。
物語の土台である夜叉ケ池の龍神伝説は、美濃と越前にそれぞれあるそうです。山上の大きな池は神秘的ですね。

青空の下で煌めく霧氷は、こころを惑わしますね。早く行かないと消えてしまう。
でも、新雪のラッセルが待っている。急ぎたくても急げない。ゆっくり確実に歩けるように、先ず栄養補給と思いました。

この尾根は、雪が締まっている時に調子よく登った思い出があり、ちょっと戸惑ってしまいました。
雪質がよくなかったのもありますが、思うように歩けず体力が落ちたなぁ、とがっくりしたり。
でも、そんな自分を楽しんでもいました。
雪山は、クマさんとの遭遇への心配は減るのですが(最近は冬眠しなくなったと聞きますが)
やっぱり怖いなぁと思うことが次々と湧いてきます。一人の時は、先ず、踏み抜きへの恐怖が浮かびます。
木無山の時も、まっ平な雪原を歩いていて突然落ちました。宙ぶらりん状態になってしまい一人でなくてよかったです。
でも、怖いという気持ちは、慎重さにも繋がりますね。怖さに支配されてしまうと出かけられなくなりますが。

生きている限り、どんどんと年を取ってきますものね。そして、ある時から運動能力は落ちて行く。
でも、そう、経験したことは宝物。落ちた体力を補ってくれますね。

雪の山を想うと、何故、胸が締め付けられるような気持ちになるのでしょうね。真っ白な世界に、何故、魅了されるのでしょうね。
私も、青い空とまっ白な雪、そして煌めく霧氷を夢見てしまいます。でも、すべて揃った風景にはなかなか出会えません。
そして、なかなか出会えないのが魅力なのでしょうね。
三国岳は、三度目の正直ではないですが、三度目にして素晴らしいお姿に出会うことが出来、ほんとうにしあわせでした。
重い雪を踏み固めながら辿り着きましたので感慨ひとしおでした。
こうして今日歩くことが出来たことへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。

真っ白な世界は女神さま次第ですが、残雪の山は、まだ楽しめますね。
まだら模様のお山も味わい深いです。

sato
sato
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登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【江越美国境】 三国岳の女神さまは、厳しく優しく、冷たく温かで

投稿記事 by sato »

skywalkさま

こんばんは。
意味不明なタイトルの山旅記を読んで下さり、コメントまでいただき恐縮です。
とてもうれしかったです。
でも、お言葉を返すようで申し訳ありませんが、アマゾネス軍団の切り込み隊長とは、意味不明です(笑)。
確かに、バーチャリさん、tsuboさんは、強くてやさしい女性ですね。
私は、人一倍弱い人間だと思っているのですが・・・。そして、自己肯定感が低い。
でも、山の中にいると、自分を肯定出来ます。というか、自然に肯定しています。
並外れた精神力なんてあるはずがありません(笑)。ただ、今ある自分を、そうね、と感じるだけ。
ひとりで山を歩いていると、恰好つけたり、強がったり、卑下したり、そんな感情から解放されます。

締まった雪を歩くのも心地いいですが、ラッセルの『幸福論』ではありませんが、
やっぱり、私は、あぁ、しんどいと言いながらラッセルするのが好きなのですね。
一歩一歩踏みしめながら山の内懐に分け入っていくよろこびを感じます。
ふうふう言っている自分を客観視したりして面白がったり。あっ、でも、膝までの潜りに限ります。
それ以上になると、そのような余裕はなくなり挫けます。

同じ時間、skywalkさんは、トガスに向かわれていたのですね。そして、同じく、悪雪の中、奮闘されていたのですね。
ニッコウキスゲの時期の夜叉丸も素敵ですね。
数年前に訪れた時は、あまり咲いていなかったのですが、その何年か前は、
白いイブキトラノオ、赤紫のアザミと競うように咲いていて感激しました。
足の怪我のリハビリの時で、三周ヶ岳を目指したのですが、痛くて力が入らなくなり、岩場を過ぎた1230mピークで断念。
ちょっとかなしくなりながら戻った時、やさしく出迎えてくれたので強く印象に残っています。

ササで覆われた山頂は、雪の季節は広い雪原となり、天気の良い日は、ここで休まなくてどうするの?
と思ってしまうほど光に満ちています。誘惑に負けそうになりましたが、そう、女神さまのお導きが。
ちょこっと休んで出発しました。
1206ピークは夜叉姫と呼ばれるのですね。まさにうつくしい夜叉姫さまでした。
でも、雪の無い季節はヤブ。クマさんが暮らすお山なのですね。

私は、傍から見ると、何が?と思うようなことにも、感激したりうれしくなったりしてしまいますので、
大げさな言葉遣いになっているかもしれません。
でも、そう、女神さまのお導きがあったからこそ、こうして三国岳に辿り着くことが出来ました。
ありがとうございますの気持ちでいっぱいです。

skywalkさんも、素敵な山登りを重ねていらっしゃいますよね。
私の年代だった頃のお山のお話もお聞きしたいです。
横山岳のレポに感想をお伝えしたいなぁ、と思い、そのままになっていました。
続きは、今しばらくお待ちくださいませ。

sato
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