【奥美濃】錦繍の根尾を歩く 高層から青波へ
Posted: 2022年11月23日(水) 11:45
【日 付】2022年11月19日(土)
【山 域】奥美濃 能郷白山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】八谷出合7:50---8:00能郷谷ゲート10:20 1073mJP---10:50高層---11:10ランチ場12:35---13:00 1073mJP
---14:30青波---15:00 Ca990mP---16:15駐車地
能郷谷ゲート前の駐車場には1台の車が止まっているだけだった。この時間より遅い出発になると、日の短く
なった季節では明るいうちに下山するのは難しいかもしれない。能郷谷からの能郷白山は貸切りなのだろうか。
もっともこちらが目指すのは能郷白山ではなく、南に延びる尾根上にある1112.1m三角点の「高層」である。
高そうな名前だが標高は大して高くはない。
ゲートのすぐ先に左から入る此金谷の左岸尾根に取り付いた。いきなりの急傾斜にふくらはぎが悲鳴を上げる。
いつもならスタートは植林の中なのだが、林道の際から自然林が始まったのは予想外だった。
ヤブっぽかったのは最初だけで、すぐに下生えの少ない疎林に変わる。
標高400mから700mあたりまでは紅葉の最盛期を迎えていた。頭上を彩る鮮やかな赤と黄の協演に歩みは遅々
としたものになってしまう。抜けるような青空に映える極彩色の木々は、もうすぐ始まる静寂とモノクロームの
世界の前に束の間の輝きを見せているようだ。
紅葉帯を越えると雑木林はブナ林に変わった。色褪せた葉をわずかに残したブナは、標高を上げるにつれ裸に
なって行く。右手には2年前に歩いた藤谷山から西宮の稜線がずっと見守ってくれていた。
2時間あまりでジャンクションの1073mピークに到着した。
ここまでヤブらしいヤブもなく、順調に行程を消化している。まずは北へ進んで高層を目指す。
稜線上には比較的明瞭な踏み跡がある部分も多く、歩くのに何の障害もない。まとまったプナ林はなく、ブナ
よりも大きなミズナラの目立つ尾根である。
山頂手前に右側が大きく開けた展望地があり、西宮の稜線の奥に屏風山の頭がちょこんと顔を出していた。
その右奥には昨秋歩いた高屋山から大白木山の尾根が横たわる。大白木山頂の反射板も確認できた。
山頂直前になんとも雰囲気のある窪地があった。雨の時期には池になりそうな場所である。
それに対して高層の山頂は三角点があるだけの雑然とした感じで落ち着けない。
まだ時間は早いが腹が減ってきたので、ランチ適地を求めてもう少し北進してみよう。
相変わらずヤブもない稜線を5分ばかり進んだところに絶好の場所があった。
立ち木が少し遮っているものの、白谷を間に挟んで磯倉から能郷白山への越美国境稜線が間近に見える。
磯倉の右下に見える谷は、20年以上前に初めて磯倉を訪れた時に登った谷だ。徳山の村がダム湖に沈む前、白谷
の林道を奥まで走って、残雪に埋もれた谷を遡ったことを思い出す。
今日も日差しがポカポカと暖かく、ビールを飲んだら眠気を催してきそうだ。
時間が早いこともあり、ちょっとのんびりし過ぎてしまった。よく考えると、あとは下山するだけというわけ
ではなく、これから先の方が距離が長いのである。
1073mJPに戻って、今度は稜線を南下する。こちらの方がブナが多く、もう2週間早く来ていれば錦繍の稜線歩
きを楽しめただろう。今はすっかり葉を落とした木々に少し寂しさを覚えるが、それと引き換えにこの季節なら
ではの展望を楽しむことができる。もう一つの利点は、間違って支尾根に入っても気付くのが早く、簡単に修正
が利くということだ。
部分的に手でかき分けるヤブが現われるが大したことはない。
1006m標高点から1026m標高点までは地形図上では広々としてまったく平坦な尾根が続くが、実際には地形図に
表し切れない微妙な起伏があって面白い。池らしきものも3ヶ所見つけることができた。
その内のひとつはそこそこの大きさがあり、水がきれいだったらさぞと思わせるオアシスのような場所だった。
残念ながら黄緑色の水面はお世辞にも美しいとは言えない。
少しヤブっぽくなった最後の登りをこなすと1080mの三角点「青波」である。
6年前、この南にある三角点「半中」からここまで来ている。高層同様、あまり潤いのない雑然とした山頂だ。
ここから先は道と呼んでもいいレベルの踏み跡が続く。若いブナ林をペースを上げて進む。
ランチ場でのんびりし過ぎたツケで少々時間が押して来たのである。
下山予定の尾根は短いが未見。何が待っているかわからない。
前方には徳山ダム湖のバックウォーターが光っている。その向こうに峙つ三角錐は蕎麦粒山だ。いつまでも
眺めていたい風景だが、そういうわけにもいかない。
Ca990mピークから東北東への尾根に入る。地形図では等高線が消えてしまっている、堰堤記号が連続する谷
の左岸を八谷の林道終点へ下る目論見だ。
このルートが大当たりで、まったくヤブ無し。オール自然林の快適な尾根だった。
但し地形図通りに急峻な尾根で、尾根を歩いているのかただの急斜面を下っているのかわからないような急傾斜
である。滑落に注意しながら慎重に歩を進めると、標高が下がるにつれて再び錦繍の森が蘇った。
途中にはフッキソウ(富貴草)の群落や、岩嵓を背にしたケヤキの大木などが目を楽しませてくれる。
「ここは登りに使いたいとは思わないな」と言うと、satoさんが「登ってたら、ここは下りに使いたくないと言
いますよ」と返された。なるほど、その通りかもしれない。逆もまた真なりだ。
杉林が見えると林道は近い。最初と最後に紅葉を堪能することができたいい一日だった。
山日和
【山 域】奥美濃 能郷白山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】八谷出合7:50---8:00能郷谷ゲート10:20 1073mJP---10:50高層---11:10ランチ場12:35---13:00 1073mJP
---14:30青波---15:00 Ca990mP---16:15駐車地
能郷谷ゲート前の駐車場には1台の車が止まっているだけだった。この時間より遅い出発になると、日の短く
なった季節では明るいうちに下山するのは難しいかもしれない。能郷谷からの能郷白山は貸切りなのだろうか。
もっともこちらが目指すのは能郷白山ではなく、南に延びる尾根上にある1112.1m三角点の「高層」である。
高そうな名前だが標高は大して高くはない。
ゲートのすぐ先に左から入る此金谷の左岸尾根に取り付いた。いきなりの急傾斜にふくらはぎが悲鳴を上げる。
いつもならスタートは植林の中なのだが、林道の際から自然林が始まったのは予想外だった。
ヤブっぽかったのは最初だけで、すぐに下生えの少ない疎林に変わる。
標高400mから700mあたりまでは紅葉の最盛期を迎えていた。頭上を彩る鮮やかな赤と黄の協演に歩みは遅々
としたものになってしまう。抜けるような青空に映える極彩色の木々は、もうすぐ始まる静寂とモノクロームの
世界の前に束の間の輝きを見せているようだ。
紅葉帯を越えると雑木林はブナ林に変わった。色褪せた葉をわずかに残したブナは、標高を上げるにつれ裸に
なって行く。右手には2年前に歩いた藤谷山から西宮の稜線がずっと見守ってくれていた。
2時間あまりでジャンクションの1073mピークに到着した。
ここまでヤブらしいヤブもなく、順調に行程を消化している。まずは北へ進んで高層を目指す。
稜線上には比較的明瞭な踏み跡がある部分も多く、歩くのに何の障害もない。まとまったプナ林はなく、ブナ
よりも大きなミズナラの目立つ尾根である。
山頂手前に右側が大きく開けた展望地があり、西宮の稜線の奥に屏風山の頭がちょこんと顔を出していた。
その右奥には昨秋歩いた高屋山から大白木山の尾根が横たわる。大白木山頂の反射板も確認できた。
山頂直前になんとも雰囲気のある窪地があった。雨の時期には池になりそうな場所である。
それに対して高層の山頂は三角点があるだけの雑然とした感じで落ち着けない。
まだ時間は早いが腹が減ってきたので、ランチ適地を求めてもう少し北進してみよう。
相変わらずヤブもない稜線を5分ばかり進んだところに絶好の場所があった。
立ち木が少し遮っているものの、白谷を間に挟んで磯倉から能郷白山への越美国境稜線が間近に見える。
磯倉の右下に見える谷は、20年以上前に初めて磯倉を訪れた時に登った谷だ。徳山の村がダム湖に沈む前、白谷
の林道を奥まで走って、残雪に埋もれた谷を遡ったことを思い出す。
今日も日差しがポカポカと暖かく、ビールを飲んだら眠気を催してきそうだ。
時間が早いこともあり、ちょっとのんびりし過ぎてしまった。よく考えると、あとは下山するだけというわけ
ではなく、これから先の方が距離が長いのである。
1073mJPに戻って、今度は稜線を南下する。こちらの方がブナが多く、もう2週間早く来ていれば錦繍の稜線歩
きを楽しめただろう。今はすっかり葉を落とした木々に少し寂しさを覚えるが、それと引き換えにこの季節なら
ではの展望を楽しむことができる。もう一つの利点は、間違って支尾根に入っても気付くのが早く、簡単に修正
が利くということだ。
部分的に手でかき分けるヤブが現われるが大したことはない。
1006m標高点から1026m標高点までは地形図上では広々としてまったく平坦な尾根が続くが、実際には地形図に
表し切れない微妙な起伏があって面白い。池らしきものも3ヶ所見つけることができた。
その内のひとつはそこそこの大きさがあり、水がきれいだったらさぞと思わせるオアシスのような場所だった。
残念ながら黄緑色の水面はお世辞にも美しいとは言えない。
少しヤブっぽくなった最後の登りをこなすと1080mの三角点「青波」である。
6年前、この南にある三角点「半中」からここまで来ている。高層同様、あまり潤いのない雑然とした山頂だ。
ここから先は道と呼んでもいいレベルの踏み跡が続く。若いブナ林をペースを上げて進む。
ランチ場でのんびりし過ぎたツケで少々時間が押して来たのである。
下山予定の尾根は短いが未見。何が待っているかわからない。
前方には徳山ダム湖のバックウォーターが光っている。その向こうに峙つ三角錐は蕎麦粒山だ。いつまでも
眺めていたい風景だが、そういうわけにもいかない。
Ca990mピークから東北東への尾根に入る。地形図では等高線が消えてしまっている、堰堤記号が連続する谷
の左岸を八谷の林道終点へ下る目論見だ。
このルートが大当たりで、まったくヤブ無し。オール自然林の快適な尾根だった。
但し地形図通りに急峻な尾根で、尾根を歩いているのかただの急斜面を下っているのかわからないような急傾斜
である。滑落に注意しながら慎重に歩を進めると、標高が下がるにつれて再び錦繍の森が蘇った。
途中にはフッキソウ(富貴草)の群落や、岩嵓を背にしたケヤキの大木などが目を楽しませてくれる。
「ここは登りに使いたいとは思わないな」と言うと、satoさんが「登ってたら、ここは下りに使いたくないと言
いますよ」と返された。なるほど、その通りかもしれない。逆もまた真なりだ。
杉林が見えると林道は近い。最初と最後に紅葉を堪能することができたいい一日だった。
山日和