【京都北山】ツボクリ谷から皆子山へ
Posted: 2022年6月22日(水) 23:26
【日 付】2022年6月18日(土)
【山 域】京都北山 皆子山周辺
【天 候】曇り
【コース】足尾谷橋7:45---8:30ツボクリ谷出合8:45---10:15三俣10:30---11:30皆子山13:20---14:40旧国道---14:55駐車地
足尾谷(あしびだに)は安曇川の最源流に位置する谷のひとつである。この谷は上流で芦火谷川と名前を変える
が、そこには京都市の尾越という集落があり、大見から峠を越えなければ行けない山中の集落である。
この谷を訪れるのは25年振りだろうか。更に遡って50年ほど前にも高校の山岳部で歩いた記憶がある。
皆子山は山域としては京都北山に属するが、今回のコースはツボクリ谷の一部を除いてほとんどが滋賀県内を
歩く。
かつては路線バスが走っていた狭い旧国道は、南の平の方からは通行止め。坂下側から回り込んで足尾谷橋の近
くに車を止めた。バスが走っていた頃はここに「足尾谷口」というバス停があったのが信じられないような何に
もない場所である。
谷の入口から林道が続いているが、すぐに崩壊箇所があって通行止めになっている。
美しい流れを見下ろしながら林道を進むと、右岸の上方に石造りの壁のようなものが続いていた。この先に大正
年間に稼働が始まった中村発電所という小規模な水力発電所の取水堰があり、あの壁の中には発電所へと至る導
水路が走っていたのだ。
取水堰のすぐ先で林道が完全に水没した地点があり、やがて大きな炭焼き窯跡が現れて終点となった。
堰の下流より水量が復活した谷は、周りの鬱蒼とした自然林と相まって深山幽谷の趣きを醸し出している。
前方に建物が現れた。昔の登山地図には載っていたKRCの山小屋だ。
手前のトイレらしき建物は基礎が崩れて今にも谷に落ちそうである。年季の入った小屋だが、ブリキの煙突が真
新しく、現役で使われていることを感じさせた。
昔は皆子山への登山道として使われていたコースだが、今では木橋がすべて落ち、登山靴を濡らさず辿ること
は不可能だろう。
右岸から入るワリ谷を見送って、次の支流がツボクリ谷だ。直進する本流もなかなかの雰囲気である。
ここには大津市消防局のレスキューポイントの看板があり「CALL119」と書かれているが携帯の電波は通じない。
左のツボクリ谷へ入る。荒れ気味ながらも明瞭な(感じ方は人によるが)登山道が続くが、一般ルートかと言わ
れると難しいものがある。小滝が連続する美しい流れを遡って行く。昔は登山靴で歩いたせいもあるのだろうが、
渓相にまったく記憶がない。同行者がドボンして雨具のパンツに履き替えたことだけは覚えている。
人間、どうでもいいようなことほど良く覚えているものだ。
谷にはオオバアサガラの落花が散り敷かれて、苔蒸した岩に彩りを添えている。
意外に植林が少なく、アオバトさんのレポを見るまではこれほど美しい谷だということを忘れていた。
この谷は途中で滋賀県と京都府の境を横切っている。「これより京都府」という看板があるはずもなく、いつ
の間にか京都府に入っている。沢登りの途中で府県境を越えるのも珍しいだろう。
ふくらはぎのあたりがモゾモゾするなと思い、スパッツをめくってみると、3匹もの来客を迎えていた。
但しまだお食事前だったようで被害はゼロ。丁重にお引き取りを願った。
トチの大木が立つ小台地を過ぎると登山道は本流を離れて左へ上がって行く。それを見送って進むと程なく
三俣に到着した。一番流程の長いのは右俣だが、皆子山頂からは一番遠い。
実は本日の目的のひとつはどこかにある20mほどの優美な大滝だった。しかしその場所をちゃんと確認していな
かった。当てずっぽうで中俣を進むも、ちょっと荒れた感じで渓相がよろしくない。これは違うのかと引き返し
て左俣へ入り直した。水量は少ないがきれいなV字の谷で、ナメ滝を直登するのも楽しい。
しかし小滝が続くものの、どうもこ野谷には大滝はないようだ。(帰宅して調べてみると、大滝はまさに引き返
した地点のすぐ先に存在していたようだ。もう少し我慢すればよかった。)
最後の滝の上にも細々と水流が続いているが、最後まで詰める価値もなさそうである。
まわりの樹林は非常にいい雰囲気だ。右手の尾根に乗ってヤブ無しの急斜面を山頂西の尾根まで詰め上げた。
眼前に皆子谷源頭の伸びやかな草原が広がるいいところだ。
3分も歩けば皆子山の山頂に到着。わずか972mしかない山だが京都府の最高峰である。
3年前に本の著者の集まりで西尾根から訪れた時、自然林の意外な豊かさに驚かされた。
植林のイメージがあまりにも強過ぎたのである。それまでに2度もツボクリ谷を歩いているのに自然林の記憶が
ほとんどないのだ。
今日は天気が良く、暑くなるという予報だったが、雨が落ちてきそうな空の色に加えて吹く風も涼しく、肌
寒いぐらいだ。まあ、下半身がずぶ濡れのせいもあるのだが。
下山は東尾根の941mピークから東北東に伸びる尾根を選んだつもりが気が付けば真北に向かっていた。
ヤレヤレである。登り返して再スタート。東尾根は南尾根を少し進んだところから分岐しているのを見逃して
いた。
この尾根は片側自然林で少し雰囲気のいいところもあるものの、ほとんどが植林の面白みのない尾根だった。
最後は地形図の崖マークを避けて杣道を右手の谷へ下りて行くと難なく旧国道のそばに着地。
駐車地までの道すがら崖マークの斜面を見上げると、まっすぐ下りなくてよかったと胸をなで下ろすような風
景が続いていた。
山日和
【山 域】京都北山 皆子山周辺
【天 候】曇り
【コース】足尾谷橋7:45---8:30ツボクリ谷出合8:45---10:15三俣10:30---11:30皆子山13:20---14:40旧国道---14:55駐車地
足尾谷(あしびだに)は安曇川の最源流に位置する谷のひとつである。この谷は上流で芦火谷川と名前を変える
が、そこには京都市の尾越という集落があり、大見から峠を越えなければ行けない山中の集落である。
この谷を訪れるのは25年振りだろうか。更に遡って50年ほど前にも高校の山岳部で歩いた記憶がある。
皆子山は山域としては京都北山に属するが、今回のコースはツボクリ谷の一部を除いてほとんどが滋賀県内を
歩く。
かつては路線バスが走っていた狭い旧国道は、南の平の方からは通行止め。坂下側から回り込んで足尾谷橋の近
くに車を止めた。バスが走っていた頃はここに「足尾谷口」というバス停があったのが信じられないような何に
もない場所である。
谷の入口から林道が続いているが、すぐに崩壊箇所があって通行止めになっている。
美しい流れを見下ろしながら林道を進むと、右岸の上方に石造りの壁のようなものが続いていた。この先に大正
年間に稼働が始まった中村発電所という小規模な水力発電所の取水堰があり、あの壁の中には発電所へと至る導
水路が走っていたのだ。
取水堰のすぐ先で林道が完全に水没した地点があり、やがて大きな炭焼き窯跡が現れて終点となった。
堰の下流より水量が復活した谷は、周りの鬱蒼とした自然林と相まって深山幽谷の趣きを醸し出している。
前方に建物が現れた。昔の登山地図には載っていたKRCの山小屋だ。
手前のトイレらしき建物は基礎が崩れて今にも谷に落ちそうである。年季の入った小屋だが、ブリキの煙突が真
新しく、現役で使われていることを感じさせた。
昔は皆子山への登山道として使われていたコースだが、今では木橋がすべて落ち、登山靴を濡らさず辿ること
は不可能だろう。
右岸から入るワリ谷を見送って、次の支流がツボクリ谷だ。直進する本流もなかなかの雰囲気である。
ここには大津市消防局のレスキューポイントの看板があり「CALL119」と書かれているが携帯の電波は通じない。
左のツボクリ谷へ入る。荒れ気味ながらも明瞭な(感じ方は人によるが)登山道が続くが、一般ルートかと言わ
れると難しいものがある。小滝が連続する美しい流れを遡って行く。昔は登山靴で歩いたせいもあるのだろうが、
渓相にまったく記憶がない。同行者がドボンして雨具のパンツに履き替えたことだけは覚えている。
人間、どうでもいいようなことほど良く覚えているものだ。
谷にはオオバアサガラの落花が散り敷かれて、苔蒸した岩に彩りを添えている。
意外に植林が少なく、アオバトさんのレポを見るまではこれほど美しい谷だということを忘れていた。
この谷は途中で滋賀県と京都府の境を横切っている。「これより京都府」という看板があるはずもなく、いつ
の間にか京都府に入っている。沢登りの途中で府県境を越えるのも珍しいだろう。
ふくらはぎのあたりがモゾモゾするなと思い、スパッツをめくってみると、3匹もの来客を迎えていた。
但しまだお食事前だったようで被害はゼロ。丁重にお引き取りを願った。
トチの大木が立つ小台地を過ぎると登山道は本流を離れて左へ上がって行く。それを見送って進むと程なく
三俣に到着した。一番流程の長いのは右俣だが、皆子山頂からは一番遠い。
実は本日の目的のひとつはどこかにある20mほどの優美な大滝だった。しかしその場所をちゃんと確認していな
かった。当てずっぽうで中俣を進むも、ちょっと荒れた感じで渓相がよろしくない。これは違うのかと引き返し
て左俣へ入り直した。水量は少ないがきれいなV字の谷で、ナメ滝を直登するのも楽しい。
しかし小滝が続くものの、どうもこ野谷には大滝はないようだ。(帰宅して調べてみると、大滝はまさに引き返
した地点のすぐ先に存在していたようだ。もう少し我慢すればよかった。)
最後の滝の上にも細々と水流が続いているが、最後まで詰める価値もなさそうである。
まわりの樹林は非常にいい雰囲気だ。右手の尾根に乗ってヤブ無しの急斜面を山頂西の尾根まで詰め上げた。
眼前に皆子谷源頭の伸びやかな草原が広がるいいところだ。
3分も歩けば皆子山の山頂に到着。わずか972mしかない山だが京都府の最高峰である。
3年前に本の著者の集まりで西尾根から訪れた時、自然林の意外な豊かさに驚かされた。
植林のイメージがあまりにも強過ぎたのである。それまでに2度もツボクリ谷を歩いているのに自然林の記憶が
ほとんどないのだ。
今日は天気が良く、暑くなるという予報だったが、雨が落ちてきそうな空の色に加えて吹く風も涼しく、肌
寒いぐらいだ。まあ、下半身がずぶ濡れのせいもあるのだが。
下山は東尾根の941mピークから東北東に伸びる尾根を選んだつもりが気が付けば真北に向かっていた。
ヤレヤレである。登り返して再スタート。東尾根は南尾根を少し進んだところから分岐しているのを見逃して
いた。
この尾根は片側自然林で少し雰囲気のいいところもあるものの、ほとんどが植林の面白みのない尾根だった。
最後は地形図の崖マークを避けて杣道を右手の谷へ下りて行くと難なく旧国道のそばに着地。
駐車地までの道すがら崖マークの斜面を見上げると、まっすぐ下りなくてよかったと胸をなで下ろすような風
景が続いていた。
山日和