【湖北】懸案の笠岩へ 起し又川源流周遊
Posted: 2021年12月01日(水) 20:35
【日 付】2021年11月21日(日)
【山 域】湖北 起し又川周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】寺谷林道登山口8:35---10:15三角点曲谷---12:00笹刈山13:10---13:55笠岩---14:30尾根分岐---
16:05五色の滝16:25---16:35登山口
去年の夏、起し又川を遡行した時に見つけられなかった場所があった。江美国境稜線の西側の山腹に位置する笠岩と
いう奇岩である。今回はこの岩を尾根から探ろうと計画した。
アプローチは起し又川にある五色の滝への登山道を利用する。ここから尾根伝いに江美国境稜線へと辿るルートは、
実は先週レイさんがブログにアップしていた。無雪期に歩けるとは考えもしなかったそのコースを見て、後追いを潔し
としない自分も目から鱗の思いだった。
林道の登山口から少し入ったところで五色の滝への道が右へ下りて行く。これを左へ尾根通しに進むのだが、明瞭な
道が続いていた。まだ標高の低いこのあたりは紅葉がちょうど見頃。赤と黄に彩られた雑木林の中を気持ち良く歩くこ
とができる。谷を挟んだ対岸の尾根もグレーと赤、黄のまだら模様に飾られて、歩いてみたいという気にさせられる。
すぐそばには金糞の大きな山体が横たわり、その右には木の間越しに蕎麦粒、小蕎麦粒、五蛇池のトリオを肩を並べて
いる。
1006.2mの三角点曲谷まではさほどのヤブもなく、概ね歩きやすいと言えるレベルだ。
前方に白いものが見えた。ここのところずっと暖かく、雨も降ってないので雪のはずはない進んでみると、花崗岩の砂
ザレだった。潅木とササに覆われた尾根の中でその部分だけが白い帯を敷いたような姿を見せているのが面白い。
このまま楽々と国境稜線へ出られれば最高なのだが、それほど甘くはなかった。
Ca1090mのピークで甲津原からの尾根と合流した。ここからは数年前の冬、ブンゲンを目指して歩いた尾根である。
あの時は無雪期にここ歩くとは夢にも思わなかった。雪の下は当然激ヤブだろうと思っていたのだ。1110mピークにか
けてはブナ林が続く代わりに林床のササも増えてきた。あまりスッキリしないが、これがブナ林の本来の姿だろう。
国境稜線への最後の登りがかかると、ヤブの密度がやや濃くなった。稜線脇のササの生え方を考えれば当然だ。
それでも歩くのに難儀するほどではなく、高度を上げて行くと大岩がゴロゴロと転がる地帯に着く。どういう加減でこ
ういうところができるのかわからないが、ヤブの中ににょっきりと現れる大岩はインパクトがある。笠岩はどういう感
じなのだろう。
勾配がなくなり、背丈を超えるササを押し分けて登山道に飛び出すと、すぐ横が笹刈山の山頂だった。
昔はこんな名前を聞いたことがなかったのだが、いつ付けられたのか。
強引に笹ヤブを切り開いた稜線上のピークは全部笹刈山だとも言える。
ここは積雪期には純白のドームとなるピークだ。展望は積雪期と変わらず雄大で、北にブンゲン、貝月。南に虎子、
伊吹、さらには琵琶湖と鈴鹿の北部まで見えるビューポイントである。大展望を眺めながらランチタイムとしよう。
笠岩のだいたいの位置は把握しているが、正確な場所はわからない。稜線から見えるわけでもないし、1187mピーク
の南西斜面にあるらしいということだけはわかっている。
一度訪れたことがあるというsatoさんもどこでも歩ける積雪期の話で、その時とは全く違う今の状況でははっきりしない。
ピークの先の鞍部まで下りたが、南へ来過ぎていると思い少し引き返す。適当なところからヤブに突っ込んだ。
右方向に大きな岩が見えた。あれか。そう思ってヤブをかき分けながら近付いたが、岩は全周取り付くシマもない状態だ。
ボルダラーなら登れるかもしれないが、下りるときはジャンプするしかない。
satoさんがもっと谷状の地形のところだった気がすると言うので、左寄りに下って小さい谷へ出た。ここにも上がまっ平
らな大きな岩があったが、違うようだ。
さらに谷を下ると右手の大岩の奥にそれらしき岩が見えた。急いで近付いてみると、いかにも展望が利きそうな開けた
場所に鎮座している。岩の周りはハングばかりで上に立てるのかと思ったが、一箇所だけ立ち木が岩に寄り添うようにあ
り、木登りすれば上部で岩に渡れそうである。恐らくこれまでたくさんの人がこの木を使って登ったに違いない。この木
が枯れてしまえば岩に登ることは不可能になるだろう。
笠岩の上に立つと、予想通りの素晴らしい展望が開けた。姉川の下流から琵琶湖へと続く湖北の風景が眼前に展開した。
satoさんはわざわざ斜面下の方まで下りて、笠岩の全貌が見える場所から写真を撮ってくれた。
手を上げてポーズを取るが、フレームに上半身がやっと入るぐらいだった。もう少し端に寄れば全身が入るのだが、笠岩
は平坦ではなく下の方へ傾斜しているので恐いのだ。
ようやく訪れることができた笠岩に満足して帰路に付く。
先ほどの谷まで戻って上流(水流はないが)へ上がって行くと、なんとまったくヤブ無しの斜面が稜線へ続いているでは
ないか。最後にササをひと掻きして登山道に飛び出すと、そこはさっき来過ぎたと思って引き返した地点だった。こんな
ことならあのままヤブに突っ込めば簡単に見付けられたのに、余計な苦労を買ってしまったがこれも一興。なんでもうま
く行き過ぎては面白くないと言うものである。
下山はちょうど五色の滝のあたりへ落ちる尾根を選んだ。この尾根はほとんどヤブも無く、意外に視界の利く尾根だっ
たが、何より驚いたのは中間部あたりから出てきた、深く掘り込まれた道だ。杣道としてはよくあるパターンだか、掘り
込みの深さと広さ、カーブの付け方が、粟柄越の古道を思わせるような見事さだった。
足首まで埋もれるほど積もった落ち葉をカサッ、カサッと乾いた音を立てながら歩いていく。
高度が下がってくると再び紅葉が戻ってきた。日が翳って燃えるような色彩でないのが残念だが、頭上も足元も黄と赤で
埋め尽くされた道の美しさは、今日の行程の最後を飾るにふさわしい。
尾根の末端ではやや右寄りに下りて、昨年も確認した大規模な田畑の跡へ着地。少し下れば五色の滝の落ち口である。
落ち口の流れはなんとも言えない屈曲を描いて実に美しい。
左岸の巻き道を辿って滝の前に立つ。大増水していた去年とは打って変わって穏やかな姿である。この水量なら直登
可能だったが、昨年の激流状態ではどうしようもなかった。
ここからは駐車地まで遊歩道を10分足らず。以前歩いた時には植林のつまらない道だという印象があったのだが、最後
まで紅葉を楽しめる自然林の雰囲気のある道だと見直した。
山日和
【山 域】湖北 起し又川周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】寺谷林道登山口8:35---10:15三角点曲谷---12:00笹刈山13:10---13:55笠岩---14:30尾根分岐---
16:05五色の滝16:25---16:35登山口
去年の夏、起し又川を遡行した時に見つけられなかった場所があった。江美国境稜線の西側の山腹に位置する笠岩と
いう奇岩である。今回はこの岩を尾根から探ろうと計画した。
アプローチは起し又川にある五色の滝への登山道を利用する。ここから尾根伝いに江美国境稜線へと辿るルートは、
実は先週レイさんがブログにアップしていた。無雪期に歩けるとは考えもしなかったそのコースを見て、後追いを潔し
としない自分も目から鱗の思いだった。
林道の登山口から少し入ったところで五色の滝への道が右へ下りて行く。これを左へ尾根通しに進むのだが、明瞭な
道が続いていた。まだ標高の低いこのあたりは紅葉がちょうど見頃。赤と黄に彩られた雑木林の中を気持ち良く歩くこ
とができる。谷を挟んだ対岸の尾根もグレーと赤、黄のまだら模様に飾られて、歩いてみたいという気にさせられる。
すぐそばには金糞の大きな山体が横たわり、その右には木の間越しに蕎麦粒、小蕎麦粒、五蛇池のトリオを肩を並べて
いる。
1006.2mの三角点曲谷まではさほどのヤブもなく、概ね歩きやすいと言えるレベルだ。
前方に白いものが見えた。ここのところずっと暖かく、雨も降ってないので雪のはずはない進んでみると、花崗岩の砂
ザレだった。潅木とササに覆われた尾根の中でその部分だけが白い帯を敷いたような姿を見せているのが面白い。
このまま楽々と国境稜線へ出られれば最高なのだが、それほど甘くはなかった。
Ca1090mのピークで甲津原からの尾根と合流した。ここからは数年前の冬、ブンゲンを目指して歩いた尾根である。
あの時は無雪期にここ歩くとは夢にも思わなかった。雪の下は当然激ヤブだろうと思っていたのだ。1110mピークにか
けてはブナ林が続く代わりに林床のササも増えてきた。あまりスッキリしないが、これがブナ林の本来の姿だろう。
国境稜線への最後の登りがかかると、ヤブの密度がやや濃くなった。稜線脇のササの生え方を考えれば当然だ。
それでも歩くのに難儀するほどではなく、高度を上げて行くと大岩がゴロゴロと転がる地帯に着く。どういう加減でこ
ういうところができるのかわからないが、ヤブの中ににょっきりと現れる大岩はインパクトがある。笠岩はどういう感
じなのだろう。
勾配がなくなり、背丈を超えるササを押し分けて登山道に飛び出すと、すぐ横が笹刈山の山頂だった。
昔はこんな名前を聞いたことがなかったのだが、いつ付けられたのか。
強引に笹ヤブを切り開いた稜線上のピークは全部笹刈山だとも言える。
ここは積雪期には純白のドームとなるピークだ。展望は積雪期と変わらず雄大で、北にブンゲン、貝月。南に虎子、
伊吹、さらには琵琶湖と鈴鹿の北部まで見えるビューポイントである。大展望を眺めながらランチタイムとしよう。
笠岩のだいたいの位置は把握しているが、正確な場所はわからない。稜線から見えるわけでもないし、1187mピーク
の南西斜面にあるらしいということだけはわかっている。
一度訪れたことがあるというsatoさんもどこでも歩ける積雪期の話で、その時とは全く違う今の状況でははっきりしない。
ピークの先の鞍部まで下りたが、南へ来過ぎていると思い少し引き返す。適当なところからヤブに突っ込んだ。
右方向に大きな岩が見えた。あれか。そう思ってヤブをかき分けながら近付いたが、岩は全周取り付くシマもない状態だ。
ボルダラーなら登れるかもしれないが、下りるときはジャンプするしかない。
satoさんがもっと谷状の地形のところだった気がすると言うので、左寄りに下って小さい谷へ出た。ここにも上がまっ平
らな大きな岩があったが、違うようだ。
さらに谷を下ると右手の大岩の奥にそれらしき岩が見えた。急いで近付いてみると、いかにも展望が利きそうな開けた
場所に鎮座している。岩の周りはハングばかりで上に立てるのかと思ったが、一箇所だけ立ち木が岩に寄り添うようにあ
り、木登りすれば上部で岩に渡れそうである。恐らくこれまでたくさんの人がこの木を使って登ったに違いない。この木
が枯れてしまえば岩に登ることは不可能になるだろう。
笠岩の上に立つと、予想通りの素晴らしい展望が開けた。姉川の下流から琵琶湖へと続く湖北の風景が眼前に展開した。
satoさんはわざわざ斜面下の方まで下りて、笠岩の全貌が見える場所から写真を撮ってくれた。
手を上げてポーズを取るが、フレームに上半身がやっと入るぐらいだった。もう少し端に寄れば全身が入るのだが、笠岩
は平坦ではなく下の方へ傾斜しているので恐いのだ。
ようやく訪れることができた笠岩に満足して帰路に付く。
先ほどの谷まで戻って上流(水流はないが)へ上がって行くと、なんとまったくヤブ無しの斜面が稜線へ続いているでは
ないか。最後にササをひと掻きして登山道に飛び出すと、そこはさっき来過ぎたと思って引き返した地点だった。こんな
ことならあのままヤブに突っ込めば簡単に見付けられたのに、余計な苦労を買ってしまったがこれも一興。なんでもうま
く行き過ぎては面白くないと言うものである。
下山はちょうど五色の滝のあたりへ落ちる尾根を選んだ。この尾根はほとんどヤブも無く、意外に視界の利く尾根だっ
たが、何より驚いたのは中間部あたりから出てきた、深く掘り込まれた道だ。杣道としてはよくあるパターンだか、掘り
込みの深さと広さ、カーブの付け方が、粟柄越の古道を思わせるような見事さだった。
足首まで埋もれるほど積もった落ち葉をカサッ、カサッと乾いた音を立てながら歩いていく。
高度が下がってくると再び紅葉が戻ってきた。日が翳って燃えるような色彩でないのが残念だが、頭上も足元も黄と赤で
埋め尽くされた道の美しさは、今日の行程の最後を飾るにふさわしい。
尾根の末端ではやや右寄りに下りて、昨年も確認した大規模な田畑の跡へ着地。少し下れば五色の滝の落ち口である。
落ち口の流れはなんとも言えない屈曲を描いて実に美しい。
左岸の巻き道を辿って滝の前に立つ。大増水していた去年とは打って変わって穏やかな姿である。この水量なら直登
可能だったが、昨年の激流状態ではどうしようもなかった。
ここからは駐車地まで遊歩道を10分足らず。以前歩いた時には植林のつまらない道だという印象があったのだが、最後
まで紅葉を楽しめる自然林の雰囲気のある道だと見直した。
山日和