【京都北山】予想外の大滝とゴルジュ 奥ノ谷からカミギリ谷へ
Posted: 2021年10月04日(月) 21:28
【日 付】2021年10月2日(土)
【山 域】京都北山 芦生周辺
【天 候】晴れ
【コース】口芦生8:30---9:10ゴルジュ入口---9:50 25m滝上10:10---11:55奥ノ谷山13:10---14:40櫃倉谷出合15:05
---15:40須後---16:05口芦生
奥ノ谷(オクノタン)は由良川上流、芦生の手前の口芦生から北上する谷である。有名な芦生の京大演習林の外
側に位置するが、源流の三角点はその名も「芦生」という。
口芦生の集落から谷沿いの道を上がって行くが、植林の中の細々とした流れは風采も上がらず、ホントに遡行
の対象になるのかという印象だ。
杣道を辿りながら進んで行くと、意外に早く植林が切れた。と同時にナメ滝が連続して現れる。植林帯にもナメ
はあったが、やはり自然林の中は空気が違う。
見た目には美しいナメ滝だが、この谷の岩質は滑りやすく、フェルトのフリクションを効かして歩くのは不可能
だ。乾いた岩でもよく滑るのでまったく油断できない。
突然両岸そば立つゴルジュが現れた。ただ者ではない気配を感じる。
カーブを越えて目の前に現れたのは、どう見ても直登不能の10mほどのナメ滝だ。曲がっているので見えないが、
その先にも滝が続いているようである。左から巻き上がって滝頭に出ると5mほどの滝が続く。これは水流のど真
ん中を直登できた。驚いたことに、続いて20mはありそうな斜瀑が立ちはだかる。
なんという岩なのか知らないが、なだらかにカーブした縞模様が美しい。
滑るように流れる水流を見ながら左から慎重に巻き上がると、そこには度肝を抜かれるような光景が待ってい
た。3段25mはありそうな大滝だ。1段目を簡単に登ったところでルートを探る。
2段目の上の右側に見える草付きのルンゼが傾斜も緩そうだ。左から取付いて2段目の落ち口を渡ろうと試みたが、
どうもそのルンゼへの足がかりが心許ない。右岸側を見上げると切れ切れながら岩壁が続いて、行き詰まり必至
だろう。一旦下まで下りて、今度は右からのアプローチを試みる。とにかくズルズルの斜面なので、チェーンス
パイク無しでは恐くて歩けない。左岸の岩壁下のバンドを辿って行けそうな気がしたが、もう少しというところ
で1m足らずの岩に阻まれてしまった。こいつを越せば後は問題ないのだが、あまりにもホールドが乏しく断念。
再び振り出しに戻ってしまった。
改めて2段目の滝を見ると、右端の溝状の部分がホールドになりそうである。灯台下暗し。これを使えば悩む
ことなくあの緩いルンゼに到達できたのだ。
ルンゼを上がると雰囲気が変わった。これまでの草もしゃもしゃの斜面から、木立ちのある岩っぽい斜面にな
った。ここまでの巻きは、立ち木も木の根もなく、ひたすら根無し草のような草を押え込んで登るしかなかった
のだが、木があるというだけで安心感がまったく違う。しかも、よく見るとロープが垂れ下がっているではない
か。それもよく見るトラロープではなく、登山用のロープだ。
全体重をかけるのも恐いので、ロープにプルージックを取って登った。
落ち口に立てば、ようやくゴルジュも終了。のどがカラカラである。
一番下の滝から合計すると、60mぐらいはあっただろう。久し振りに緊張させられた滝場の通過だった。
ここから上は一転して、芦生の谷らしい癒しの渓相となる。緊張から開放されてのんびりと谷を進む。
時折現れる小滝はやはりツルツルで、気持ち良く登れるところが少ないのが玉にキズだが、ようやく日が差して
きた谷間をキラキラと光りながら滑るように流れる水流は美しい。
このまま源頭部へ突入かと思われたが、まだ仕掛けが待っていた。さすがに水流は少なくなり迫力には欠ける
ものの、15mはありそうな滝が現れた。水は岩壁を濡らす程度しか流れていないが、増水時ならなかなかの迫力
だろう。滝はさらに続き、上部のナメ滝を合わせると結局4段で50mぐらいはあっただろうか。まったく予想外
の展開だ。
これが終わるといよいよ本当の源頭部。美しい樹林が広がる伸びやかな風景が展開した。
尾根に乗るとほどなく三角点芦生、通称奥ノ谷山に到着である。この山頂は2度目だが、あまり林相がいいとは
言えないので、奥ノ谷側の斜面でランチタイムとした。
下山は演習林側の櫃倉谷の支流、カミギリ谷を選ぶ。山頂からすぐに右へと意識していたら、危うく奥ノ谷の
右俣へ下りるところだった。
源頭から急斜面を駆け下りると、細い溝状の谷底へ下り立つ。流れは穏やかで、両岸にはトチの巨木が散在し
ている雰囲気満点の場所だ。
しばらくは穏やかな渓相が続いたが、やがて10mオーバーの滝が連続して活気を呈してきた。
この谷も滑りやすいので、クライムダウンできそうな滝も安全を期して巻き下って行く。
登りに取れば楽しく遡行できるだろう。
特に難所もなく櫃倉谷の出合まで下りてきた。ここで靴を履き替える。
ここからは長い車道歩きが待っている。
須後の演習林入口から先、後は下流方向へ進むだけだから楽だと思っていたら、口芦生の手前で結構な登りがあ
って疲れてしまった。
奥ノ谷。芦生らしい癒し系の谷だと思っていたら、思いのほか骨のある谷だった。
山日和
【山 域】京都北山 芦生周辺
【天 候】晴れ
【コース】口芦生8:30---9:10ゴルジュ入口---9:50 25m滝上10:10---11:55奥ノ谷山13:10---14:40櫃倉谷出合15:05
---15:40須後---16:05口芦生
奥ノ谷(オクノタン)は由良川上流、芦生の手前の口芦生から北上する谷である。有名な芦生の京大演習林の外
側に位置するが、源流の三角点はその名も「芦生」という。
口芦生の集落から谷沿いの道を上がって行くが、植林の中の細々とした流れは風采も上がらず、ホントに遡行
の対象になるのかという印象だ。
杣道を辿りながら進んで行くと、意外に早く植林が切れた。と同時にナメ滝が連続して現れる。植林帯にもナメ
はあったが、やはり自然林の中は空気が違う。
見た目には美しいナメ滝だが、この谷の岩質は滑りやすく、フェルトのフリクションを効かして歩くのは不可能
だ。乾いた岩でもよく滑るのでまったく油断できない。
突然両岸そば立つゴルジュが現れた。ただ者ではない気配を感じる。
カーブを越えて目の前に現れたのは、どう見ても直登不能の10mほどのナメ滝だ。曲がっているので見えないが、
その先にも滝が続いているようである。左から巻き上がって滝頭に出ると5mほどの滝が続く。これは水流のど真
ん中を直登できた。驚いたことに、続いて20mはありそうな斜瀑が立ちはだかる。
なんという岩なのか知らないが、なだらかにカーブした縞模様が美しい。
滑るように流れる水流を見ながら左から慎重に巻き上がると、そこには度肝を抜かれるような光景が待ってい
た。3段25mはありそうな大滝だ。1段目を簡単に登ったところでルートを探る。
2段目の上の右側に見える草付きのルンゼが傾斜も緩そうだ。左から取付いて2段目の落ち口を渡ろうと試みたが、
どうもそのルンゼへの足がかりが心許ない。右岸側を見上げると切れ切れながら岩壁が続いて、行き詰まり必至
だろう。一旦下まで下りて、今度は右からのアプローチを試みる。とにかくズルズルの斜面なので、チェーンス
パイク無しでは恐くて歩けない。左岸の岩壁下のバンドを辿って行けそうな気がしたが、もう少しというところ
で1m足らずの岩に阻まれてしまった。こいつを越せば後は問題ないのだが、あまりにもホールドが乏しく断念。
再び振り出しに戻ってしまった。
改めて2段目の滝を見ると、右端の溝状の部分がホールドになりそうである。灯台下暗し。これを使えば悩む
ことなくあの緩いルンゼに到達できたのだ。
ルンゼを上がると雰囲気が変わった。これまでの草もしゃもしゃの斜面から、木立ちのある岩っぽい斜面にな
った。ここまでの巻きは、立ち木も木の根もなく、ひたすら根無し草のような草を押え込んで登るしかなかった
のだが、木があるというだけで安心感がまったく違う。しかも、よく見るとロープが垂れ下がっているではない
か。それもよく見るトラロープではなく、登山用のロープだ。
全体重をかけるのも恐いので、ロープにプルージックを取って登った。
落ち口に立てば、ようやくゴルジュも終了。のどがカラカラである。
一番下の滝から合計すると、60mぐらいはあっただろう。久し振りに緊張させられた滝場の通過だった。
ここから上は一転して、芦生の谷らしい癒しの渓相となる。緊張から開放されてのんびりと谷を進む。
時折現れる小滝はやはりツルツルで、気持ち良く登れるところが少ないのが玉にキズだが、ようやく日が差して
きた谷間をキラキラと光りながら滑るように流れる水流は美しい。
このまま源頭部へ突入かと思われたが、まだ仕掛けが待っていた。さすがに水流は少なくなり迫力には欠ける
ものの、15mはありそうな滝が現れた。水は岩壁を濡らす程度しか流れていないが、増水時ならなかなかの迫力
だろう。滝はさらに続き、上部のナメ滝を合わせると結局4段で50mぐらいはあっただろうか。まったく予想外
の展開だ。
これが終わるといよいよ本当の源頭部。美しい樹林が広がる伸びやかな風景が展開した。
尾根に乗るとほどなく三角点芦生、通称奥ノ谷山に到着である。この山頂は2度目だが、あまり林相がいいとは
言えないので、奥ノ谷側の斜面でランチタイムとした。
下山は演習林側の櫃倉谷の支流、カミギリ谷を選ぶ。山頂からすぐに右へと意識していたら、危うく奥ノ谷の
右俣へ下りるところだった。
源頭から急斜面を駆け下りると、細い溝状の谷底へ下り立つ。流れは穏やかで、両岸にはトチの巨木が散在し
ている雰囲気満点の場所だ。
しばらくは穏やかな渓相が続いたが、やがて10mオーバーの滝が連続して活気を呈してきた。
この谷も滑りやすいので、クライムダウンできそうな滝も安全を期して巻き下って行く。
登りに取れば楽しく遡行できるだろう。
特に難所もなく櫃倉谷の出合まで下りてきた。ここで靴を履き替える。
ここからは長い車道歩きが待っている。
須後の演習林入口から先、後は下流方向へ進むだけだから楽だと思っていたら、口芦生の手前で結構な登りがあ
って疲れてしまった。
奥ノ谷。芦生らしい癒し系の谷だと思っていたら、思いのほか骨のある谷だった。
山日和