【野坂山地】水のない沢登り 荒谷右俣から野坂岳
Posted: 2021年9月15日(水) 23:35
【日 付】2021年9月12日(日)
【山 域】野坂山地
【天 候】曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】山コース登山口9:15---9:30入渓点---10:45 400m二俣---12:50尾根取付き---14:05野坂岳15:20---
15:50尾根分岐---16:50登山口
敦賀市民の心の山、野坂岳にはいろんな方向からアプローチしている。今回のコースはその中でも頗る付きの
マゾヒスティックなルートだった。
山集落から荒谷林道の終点に入る。何度も訪れている登山口であるが、谷を行くのは初めてだ。一見して沢登
りの対象になるような谷は見当たらない。
山コースの登山道を進んで、谷を渡渉する地点で入渓した。まわりは植林と伐採の、いわゆる「じじむさい」渓
相で、普通ならまったく食指が動かないだろう。
これから進む荒谷右俣は、地形図で見るとなにやらおどろおどろしいガケ記号に包まれている。しかし実際に
はコケおどしで、岩壁ではなく低い土壁のミニゴルジュの中に滝と呼ぶのも憚られるような落差がいくつか存在
する程度。看板に偽りありというところか。
次の二俣を右に入ると少しは沢らしい滝が現れるようになる。と言っても3~5m程度の小滝だが、ホールドが
少なく結構テクニカルだ。お助けを駆使して次々とクリアして行く。
次の二俣を左へ取り、その次の二俣は右のはずなのだが、水流のある左に対して右はなんと水が流れていない。
標高はまだ400mあまり。山頂までの標高差は500mを残している。マジですか!
「福井の雪山」によると、ここはスラブの快適なナメが延々と続くという触れ込みだった。目の前にあるのは草
付きだか涸れ滝だかよくわからない、風采の上がらない岩場である。
まったく流れのない階段状の岩場をこなして行く。水がないくせにヌメっている場所もあるので油断できない。
直登が難しい岩場(ホントは滝と書きたいのだが)では巻きを模索するが、急斜面の上に立ち木や木の根のホールド
がないズルズルの草付きなので気が抜けない。高く追い上げられることがないのが救いである。
こういう巻きがちょいちょい出てくるのでチェーンスパイクは履きっぱなし。岩場を登る時はまるでアイトレを
しているような気分だ。
もう少し進めば状況は劇的に変わるかも、という思いもむなしく、谷はヤブっぽさを増すばかりである。
標高600mを超えたところで業を煮やして右手の尾根に取り付いた。
この尾根はとにかく急ながらも、意外に下草がなく歩きやすい尾根だった。こんなところを歩く物好きもいな
いと思われるが、明瞭な踏み跡のように見えたのはシカの道だろうか。
ブナも現れて、このまま快適に山頂へ、と言うのはあまりにも甘い期待だった。
山頂が近付くにつれ、これまでの喬木の自然林は背丈をやや超える潅木に変わり、その密度が半端なくなってきた。
ササなら押し分けて前進できるが、入り組んだ潅木にチクチクと痛いツゲに加えてサルトリイバラのバリアの三重
苦が通過を困難なものにしていた。
こんな場面でも喜々として歩いているsatoさんは頼もしいと言うか、ちょっとネジがはずれているのかもしれない。
最後の標高差100m足らずに30分以上かけて、ようやく登山道に飛び出した。足だけで歩ける幸せを噛みしめる。
野坂岳山頂に着いた時は2時を過ぎていた。ちょっとナメてかかってスタート時間が遅すぎたせいもあるのだが、
結局山頂まで5時間を要してしまったのである。
この時間になるとさすがに登山者もまばら。日差しもなく涼しい山頂で、遅いランチタイムを楽しんだ。
高曇りながら、若狭や湖西の山々、金糞岳から横山岳、越美国境の山々、遠く白山と別山まで望むことができた。
全面を雲に覆われたグレーに沈んだ景色は、真っ青な空の下で見る展望とはまた違った味わいがある。
下山は通い慣れた「山コース」。この道はブナの大木が林立する素晴らしいコースだ。
惜しむらくは下部が伐採されてしまい、ずいぶん見晴らしが良くなってしまったことである。
数年前に枯れてしまったと聞いた、この山域ナンバー1のブナの巨木もわからずに通過してしまった。
荒谷右俣は水のない沢登りが好きな人?にはうってつけのルートである。
この記録を呼んで後追いしようと思うヤツはいないとは思うが、名峰野坂岳へのバリエーションルートとしては
面白い・・・かもしれない。知らんけど。
山日和
【山 域】野坂山地
【天 候】曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】山コース登山口9:15---9:30入渓点---10:45 400m二俣---12:50尾根取付き---14:05野坂岳15:20---
15:50尾根分岐---16:50登山口
敦賀市民の心の山、野坂岳にはいろんな方向からアプローチしている。今回のコースはその中でも頗る付きの
マゾヒスティックなルートだった。
山集落から荒谷林道の終点に入る。何度も訪れている登山口であるが、谷を行くのは初めてだ。一見して沢登
りの対象になるような谷は見当たらない。
山コースの登山道を進んで、谷を渡渉する地点で入渓した。まわりは植林と伐採の、いわゆる「じじむさい」渓
相で、普通ならまったく食指が動かないだろう。
これから進む荒谷右俣は、地形図で見るとなにやらおどろおどろしいガケ記号に包まれている。しかし実際に
はコケおどしで、岩壁ではなく低い土壁のミニゴルジュの中に滝と呼ぶのも憚られるような落差がいくつか存在
する程度。看板に偽りありというところか。
次の二俣を右に入ると少しは沢らしい滝が現れるようになる。と言っても3~5m程度の小滝だが、ホールドが
少なく結構テクニカルだ。お助けを駆使して次々とクリアして行く。
次の二俣を左へ取り、その次の二俣は右のはずなのだが、水流のある左に対して右はなんと水が流れていない。
標高はまだ400mあまり。山頂までの標高差は500mを残している。マジですか!
「福井の雪山」によると、ここはスラブの快適なナメが延々と続くという触れ込みだった。目の前にあるのは草
付きだか涸れ滝だかよくわからない、風采の上がらない岩場である。
まったく流れのない階段状の岩場をこなして行く。水がないくせにヌメっている場所もあるので油断できない。
直登が難しい岩場(ホントは滝と書きたいのだが)では巻きを模索するが、急斜面の上に立ち木や木の根のホールド
がないズルズルの草付きなので気が抜けない。高く追い上げられることがないのが救いである。
こういう巻きがちょいちょい出てくるのでチェーンスパイクは履きっぱなし。岩場を登る時はまるでアイトレを
しているような気分だ。
もう少し進めば状況は劇的に変わるかも、という思いもむなしく、谷はヤブっぽさを増すばかりである。
標高600mを超えたところで業を煮やして右手の尾根に取り付いた。
この尾根はとにかく急ながらも、意外に下草がなく歩きやすい尾根だった。こんなところを歩く物好きもいな
いと思われるが、明瞭な踏み跡のように見えたのはシカの道だろうか。
ブナも現れて、このまま快適に山頂へ、と言うのはあまりにも甘い期待だった。
山頂が近付くにつれ、これまでの喬木の自然林は背丈をやや超える潅木に変わり、その密度が半端なくなってきた。
ササなら押し分けて前進できるが、入り組んだ潅木にチクチクと痛いツゲに加えてサルトリイバラのバリアの三重
苦が通過を困難なものにしていた。
こんな場面でも喜々として歩いているsatoさんは頼もしいと言うか、ちょっとネジがはずれているのかもしれない。
最後の標高差100m足らずに30分以上かけて、ようやく登山道に飛び出した。足だけで歩ける幸せを噛みしめる。
野坂岳山頂に着いた時は2時を過ぎていた。ちょっとナメてかかってスタート時間が遅すぎたせいもあるのだが、
結局山頂まで5時間を要してしまったのである。
この時間になるとさすがに登山者もまばら。日差しもなく涼しい山頂で、遅いランチタイムを楽しんだ。
高曇りながら、若狭や湖西の山々、金糞岳から横山岳、越美国境の山々、遠く白山と別山まで望むことができた。
全面を雲に覆われたグレーに沈んだ景色は、真っ青な空の下で見る展望とはまた違った味わいがある。
下山は通い慣れた「山コース」。この道はブナの大木が林立する素晴らしいコースだ。
惜しむらくは下部が伐採されてしまい、ずいぶん見晴らしが良くなってしまったことである。
数年前に枯れてしまったと聞いた、この山域ナンバー1のブナの巨木もわからずに通過してしまった。
荒谷右俣は水のない沢登りが好きな人?にはうってつけのルートである。
この記録を呼んで後追いしようと思うヤツはいないとは思うが、名峰野坂岳へのバリエーションルートとしては
面白い・・・かもしれない。知らんけど。
山日和