【比良】 春を囁く比良の山でわたしに出会う

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sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

【比良】 春を囁く比良の山でわたしに出会う

投稿記事 by sato »

【日 付】 2021年4月11日(日)
【山 域】 比良
【天 候】 晴れ
【ルート】 黒谷~シロタ谷峠~笹峠~釣瓶岳~スゲ原~1070m台地~広谷~
      ナガオ尾根~栗木田谷右岸尾根~黒谷

獣柵の扉を開けると、ぽっ、とあたたかな光が瞳に飛び込んできた。
湿っぽい谷沿いの林道は、まっ赤な椿の花で飾られていた。
朝、ぐずぐずしていたけれど、来てよかったと早くも思う。
帰りにふたつみっついただこう。開き始めた花にそっと触れ、さぁ出発だ、と前を向く。

二俣に着き、右の栗木田谷の林道に進む。植林の中を流れてくる枝谷を右に見て、地図を開く。
笹峠に行こうかな。釣瓶岳山頂直下でお昼ご飯、それだけは決まっていた。
歩き始めた時は、イクワタ峠に向かおうと思っていたが、気が変わり、イン谷という名のちいさな谷に入る。
右も左も植林のじめっと薄暗い谷だが、しんみりとした気持ちになる物語の詰まった谷だ。
緩やかな斜面は整地され、えんえんと石積みが続いている。
初めてこの光景に出会った時は言葉を失った。どきどきしながら、かつての田んぼを一段一段登っていった。
峠に着くと、石積みは棚田で有名な畑の集落側にも続いていた。

今日も、あれこれ思いを巡らせながら、田んぼの跡を登っていく。
しんとした杉林の中に澄んだ水音が響き渡る。移りゆく風景と変わらぬ水の音。
谷に目をやると、ちいさな二俣のまんなかの平地にも耕した跡が。
太陽の光が降り注ぐ草地に、開けた田んぼの風景の面影を見て、胸に痛みを覚える。

峠から510mの台地に登ってみる。そこは落葉樹が立ち並ぶ広場だった。
なんともいえない穏やかな空気に、
この地を耕した人々が、自らが耕した、ご先祖様が耕した田んぼを眺め、ひと休みしていたのだと確信する。
石積みは、台地の先、急こう配になる手前まで築かれていた。植林はその先も続いた。
峠を目指し、よいしょよいしょと登っていくと、ぼんやりとした道形と出合った。
峠道かどうかは分からない。なんとなく辿っていくと突然林道くらいの道幅になり、笹峠に着いていた。

ずっと植林の尾根だったな。分かっていたのだが、うん、味わい深かった、と頷いている自分にうれしくなる。
ピピピッ、と甲高い鳥のさえずりが耳を貫いた。
なぁに?
声の主の方を向き、あっ、と息を呑んだ。

なんて、こころに沁みる風景なのだろう。
あたたかな春の陽射しを浴び、穏やかに煌めく猪谷源頭のたおやかな起伏。
ダンコウバイの花でふんわりとした黄色に彩られた稜線。
日々眺めるお山の、何度か訪れた場所の、一期一会の輝きが、
こころの奥底の、無意識の中で大切にしているちいさな輝きと、やわらかに溶け合っていくのを感じ、
てのひらを、ぎゅっと握り締める。

ほんとうに、来てよかった。
再び、うん、うんと大きく頷き、ここちよさ、かなしさに、そのまま固まり動かなくなってしまいそうになるのを遮り、
ふわりと通り抜けていく風に揺れ「春だよ、春だよ」と囁く木々の間を縫いながら、イクワタ峠へと歩みを進める。

お気に入りのアセビのピークに着き、うみを眺める。
鈴鹿の山並みの上に並ぶまっ白な雲を見て、おもわず「ヒマラヤだぁ」と口走ってしまう。
ヒマラヤか。では、わたしは、今、どこを歩いているのだろう。
なんだか愉快な気分になり、お腹が空いたと現実に戻り、今日も静かに佇む釣瓶岳を見上げ、急ぎ足で坂道を登っていく。

山頂直下の定位置に着き、ザックを背もたれにして腰を下ろす。
ひと息ついて、家を出る前にあわててにぎった不格好なおにぎりをほおばる。
時が止まったようなやわらかな風景の中、蛇谷ヶ峰を見つめながらおにぎりを食べるわたしがいる。
山とわたしの間を、静かにしずかに時が流れていく。

釣瓶岳からは、ナガオに進みかけたが、イワヒメワラビが生い茂る前の開放感に溢れた谷に引き寄せられ、
鴨川の源流に駆け降りていた。杉木立を抜けるとスゲ原。
戦後から私の生まれる少し前まで、滋賀刑務所の更生施設があり、炭焼きや耕作をしながら受刑者が日々を送っていたという。
多くの登山者でにぎわう比良のお山には、こんな歴史もあったのだ。

「人生のやりなおしの場かぁ・・・。」
流れゆく水を眺める。
まっすぐに流れてきた水が、目の前で「つ」の字を描き、またまっすぐに流れてゆく。
わたしは蛇行を繰り返し、どこに向かうのかな、とふと思う。

流れを追いながら少し歩き、ここだ、と足を止め、武奈ヶ岳東の1070m台地の尾根に取りつく。
ひと登りして、わぁーっ、と目がまんまるになる。
しばらく忘れていた無邪気な感動。すごいものを見てしまったという興奮。
これまで眺めてきた武奈ヶ岳より、圧倒的に大きくて、凛々しいお姿の武奈ヶ岳が、目の前に在ったのだ。
興奮に包まれながら、次の雪の季節、この大きなおおきな山肌から山頂に近づこうとこころに決める。

後ろ髪を引かれつつ、ちいさな輝きを放つ地味な台地を後にし、広谷に降り立つと、
今度は一本のアシュウ杉に導かれ、ナガオへと登っていく。
ぽこぽこと小山を越えていくと、あれよあれよという間に、お昼過ぎの場所に戻っていた。

駆け降りた谷は光り溢れ、鈴鹿のお山の向こうには、ヒマラヤが浮かんでいた。
わたしの見た風景はまだそこに在った。
時は静かに流れゆき、わたしの眼はわたしの過去、現在、未来を同時に感じていた。
握りしめていた手をそっと開く。
がさついたてのひらの上で、むかしむかしから掬い上げてきた砂粒のような宝物が、
午後の陽射しを受け、きらきらと煌めいているのを感じた。

ちいさい頃からちいさな輝きを見つけては、
すごいものを見つけた、と、たいそうによろこんでいたなぁ、
ちっとも変っていないなぁ、と空を見て笑う。
わたしの山をからだいっぱいに感じる。鼻の奥がツンとなる。
いけない。輝く風景が滲んでしまう前に、駆け出そう。
おさないころから大好きだった椿の花を摘んで、お家に帰ろう。

sato
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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【比良】 春を囁く比良の山でわたしに出会う

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、こんばんは。亀レス失礼。

【ルート】 黒谷~シロタ谷峠~笹峠~釣瓶岳~スゲ原~1070m台地~広谷~
      ナガオ尾根~栗木田谷右岸尾根~黒谷

釣瓶岳の東面はまったく知らない世界です。satoさんの家からは歩いて行けるぐらい近所ですね。 :mrgreen:

二俣に着き、右の栗木田谷の林道に進む。植林の中を流れてくる枝谷を右に見て、地図を開く。
笹峠に行こうかな。釣瓶岳山頂直下でお昼ご飯、それだけは決まっていた。
歩き始めた時は、イクワタ峠に向かおうと思っていたが、気が変わり、イン谷という名のちいさな谷に入る。
右も左も植林のじめっと薄暗い谷だが、しんみりとした気持ちになる物語の詰まった谷だ。
緩やかな斜面は整地され、えんえんと石積みが続いている。
初めてこの光景に出会った時は言葉を失った。どきどきしながら、かつての田んぼを一段一段登っていった。
峠に着くと、石積みは棚田で有名な畑の集落側にも続いていた。


その場で自由自在にコースを選べるぐらい、勝手知ったる場所なんですね。
私の庄部谷山みたいなもの?

しんとした杉林の中に澄んだ水音が響き渡る。移りゆく風景と変わらぬ水の音。
谷に目をやると、ちいさな二俣のまんなかの平地にも耕した跡が。
太陽の光が降り注ぐ草地に、開けた田んぼの風景の面影を見て、胸に痛みを覚える。


山の中にも田んぼが点在してるんですね。いつ頃まで使われていたんやろ?

ずっと植林の尾根だったな。分かっていたのだが、うん、味わい深かった、と頷いている自分にうれしくなる。

植林になったとたんモチダウンする私とえらい違いです。 :lol:

なんて、こころに沁みる風景なのだろう。
あたたかな春の陽射しを浴び、穏やかに煌めく猪谷源頭のたおやかな起伏。
ダンコウバイの花でふんわりとした黄色に彩られた稜線。

なんとなく柔らかな風景が想像できます。 :D

お気に入りのアセビのピークに着き、うみを眺める。
鈴鹿の山並みの上に並ぶまっ白な雲を見て、おもわず「ヒマラヤだぁ」と口走ってしまう。
ヒマラヤか。では、わたしは、今、どこを歩いているのだろう。

鈴鹿からヒマラヤに飛ぶとは、想像力の豊かさにビックリです。
さっきの田んぼのあたりはタンボチェ? :mrgreen:

山頂直下の定位置に着き、ザックを背もたれにして腰を下ろす。
ひと息ついて、家を出る前にあわててにぎった不格好なおにぎりをほおばる。
時が止まったようなやわらかな風景の中、蛇谷ヶ峰を見つめながらおにぎりを食べるわたしがいる。
山とわたしの間を、静かにしずかに時が流れていく。


山頂の北鞍部のブナのところですね。ここは落ち着きますよね。

戦後から私の生まれる少し前まで、滋賀刑務所の更生施設があり、炭焼きや耕作をしながら受刑者が日々を送っていたという。
多くの登山者でにぎわう比良のお山には、こんな歴史もあったのだ。

話は聞いたことあります。しかし歩いてしか行けないところにそんな施設を作ったんですねえ。

「人生のやりなおしの場かぁ・・・。」
流れゆく水を眺める。
まっすぐに流れてきた水が、目の前で「つ」の字を描き、またまっすぐに流れてゆく。
わたしは蛇行を繰り返し、どこに向かうのかな、とふと思う。

人生も蛇行そのもの。まっすぐ流れるだけじゃ面白くありません。

ひと登りして、わぁーっ、と目がまんまるになる。
しばらく忘れていた無邪気な感動。すごいものを見てしまったという興奮。
これまで眺めてきた武奈ヶ岳より、圧倒的に大きくて、凛々しいお姿の武奈ヶ岳が、目の前に在ったのだ。
興奮に包まれながら、次の雪の季節、この大きなおおきな山肌から山頂に近づこうとこころに決める。

satoさんの知らない武奈ヶ岳がありましたか。

時は静かに流れゆき、わたしの眼はわたしの過去、現在、未来を同時に感じていた。
握りしめていた手をそっと開く。
がさついたてのひらの上で、むかしむかしから掬い上げてきた砂粒のような宝物が、
午後の陽射しを受け、きらきらと煌めいているのを感じた。


明日には、その目には何が映ってるんでしょうね? :D

              山日和
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【比良】 春を囁く比良の山でわたしに出会う

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんばんは。
海へと向かう山旅を投稿しようと思ったらコメントが。
自分のことを綴っただけの山旅記にありがとうございます。

暮らしの中に蛇谷ヶ峰から釣瓶岳にかけての稜線が映っていますが、勝手知ったる場所ではないです(笑)。
ふたつのお山は、好きとか、お気に入りとか、そういう感覚のお山ではなく(もちろん好きなお山ですが)、
こころのお山なのでしょうね。
だから、ふっと向かい、自分の中の何かに導かれるように歩いてしまいます。

集落の奥の植林は田畑の跡が多いですね。
起し又谷を遡行した時も、標高600mを越えた地まで開墾されていてびっくりしました。
黒谷と畑の人々も、何世代にも渡り、山の斜面を耕し、田んぼを広げていったのですね。
植林の山は、植林される前はどんな風景だったのだろうとか、
このスギを植えた人はどんな暮らしをしていたのだろうとか想像しながら歩くと、
目に映る風景が変わって見えたりします。

もくもくした白い雲、本物のヒマラヤって思ったのです(笑)。一瞬(笑)。
タンボチェ!懐かしい。エベレスト街道、飛行機代が出せなくてジリから往復しました。
20代の頃は、カトマンズがこころのふるさとでした。

釣瓶岳北稜は、四季を通じて味わい深い稜線ですね。
うんと雪の積もった時、それはそれは素敵です。

スゲ原の刑務所施設のことを知った時は驚きました。
今は跡形もなく、どんな場所だったのか想像してもピンときません。
晴れた日のスゲ原はあまりにも長閑で。

武奈ヶ岳東の1070mの台地はずっと気になっていたのですが、なかなか足が向かわなくて。
「いつか訪れる日」は今日でした(笑)。

人生は蛇行そのものですね!ぐねっと曲がり滞っても、また流れていく。
ぐねっとしていた時、こころのお山に出かけ、ふっと、流れを感じました。
その「時」を、言葉に書き留めたくなり、この山旅記を紡いでいました。
そう、明日には、またぐねっとなって、目に映るものが膜がかかったように見えてしまっても、大丈夫だと。

sato
biwaco
記事: 1422
登録日時: 2011年2月22日(火) 16:56
お住まい: 滋賀県近江八幡市

Re: 【比良】 春を囁く比良の山でわたしに出会う

投稿記事 by biwaco »

satoさん、こんにちは。
早くも梅雨入りとは、コロナと合わせ、山がますます遠くなってしまいます。せめて、レポやレスに精を出そうか?などと、気まぐれに思ったりしております。

ピークハントでも縦走でもない山遊びはなんというんでしょう?
山に包まれ、森に遊ばれるひととき。疲れた心にはカンフル剤より1杯のコーヒーが嬉しい。そんなレポをワンフレーズごと口に運びながら味わっています。
一気に飲み干してはいけないな。先を急ぐのはもったいない。一口、一口、辛い味は舌の先、甘い味は舌の横で。口いっぱいにに含んで、その山を味わう。
二俣に着き、右の栗木田谷の林道に進む。植林の中を流れてくる枝谷を右に見て、地図を開く。
鹿ヶ瀬…比良の鬼門、北東からの谷筋です。著名な八淵の滝や武奈ヶ岳を楽しむ登山者の大半はガリバー村へ直行するのですが、ちょっと待てよ…。
satoさんはこれまでもこのエリアに何度も足を運び、心を遊ばせてきたのでしょう。栗木田谷…爺には未踏の世界。そしてイン谷からシロタ谷峠…。手許にある80年版のエアリアマップの記載とほとんど変わっていない。それだけ古くから親しまれてきた山里なんでしょうね。
右も左も植林のじめっと薄暗い谷だが、しんみりとした気持ちになる物語の詰まった谷だ。
峠に着くと、石積みは棚田で有名な畑の集落側にも続いていた。
「畑の棚田」は良く知られていますね。古くからの蛇谷ヶ峰への登山口です。
蛇谷ヶ峰なら「蛇谷」から! と、数年前の雪の時期に取り付いたんですが、敢無く撤退したこと思い出しました。
峠から510mの台地に登ってみる。そこは落葉樹が立ち並ぶ広場だった。
峠道かどうかは分からない。なんとなく辿っていくと突然林道くらいの道幅になり、笹峠に着いていた。
co460mがシロタ谷峠でしょうね。その西のco510m台地からはアテンボ谷と「畑の棚田」が一望できたでしょうか?
笹峠まで来れば春の北比良稜線ですね。ダンコウバイの花、先日の伊吹山で山猫さんに教えてもらいました。ところが、「よく見たらアブラチャン(油瀝青)らしい」と訂正が! マンサクにも少し似てるし、山も花も似た者同士で判別はじつに難しい(ーー;)
鈴鹿の山並みの上に並ぶまっ白な雲を見て、おもわず「ヒマラヤだぁ」と口走ってしまう。
ヒマラヤか。では、わたしは、今、どこを歩いているのだろう。
「ヒラヤマからヒマラヤへ」をキャッチフレーズにしている山の会がありましたけど…、鈴鹿の背中の白雲がヒマラヤ? ってのは初耳です。(^_-)
家を出る前にあわててにぎった不格好なおにぎりをほおばる。
コンビニ弁当よりゼッタイ美味しいでしょうね! その心の余裕が、また味を引き立てる。(^^♪
釣瓶岳からは、ナガオに進みかけたが、イワヒメワラビが生い茂る前の開放感に溢れた谷に引き寄せられ、鴨川の源流に駆け降りていた。杉木立を抜けるとスゲ原。
ナガオ、スゲ原、広谷、武奈ヶ岳東面…、ゆっくり歩けばいろんなものが目に入りそうですね。水の流れも頭の中も、行き先を決めかねて「つ」どころか「め」状態で行ったり来たり~(^_-)
ちいさい頃からちいさな輝きを見つけては、すごいものを見つけた、と、たいそうによろこんでいたなぁ、ちっとも変っていないなぁ、と空を見て笑う。
瑞々しい感性はとっくにどっかヘ行ってしまい、握りしめた手のひらには冷汗しか残ってません。(^_-)
それでも、「ヒラヤマから見たヒマラヤの輝き」を、一瞬でもこの疲弊脳にも見せてやりたい気分になりました。

            ~びわ爺
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【比良】 春を囁く比良の山でわたしに出会う

投稿記事 by sato »

びわ爺さま

こんばんは。コメントありがとうございます。
今週はよく降りましたね。今日は時折小雨がぱらつき、夕方やっと晴れました。
安曇川は薄茶色に濁っています。

山遊びの愉しみは無限にあるのだなぁと感じます。
「山に包まれ、森に遊ばれるひと時」そんなお山の時間も大好きです。
遊んでいるのか、遊ばれているのか。物語を覗いているのか、紡いでいるのか。
山の中にわたしがいるのか、わたしの中に山があるのか。
歩きながら、ふと、そんなことを考えていたりするから、ヒマラヤが見えてしまうのですね(笑)。

釣瓶岳から蛇谷ヶ峰にかけての東面は、そうですね、
ふっと、思い立ってはふらふらと出かけ、彷徨っている地帯です。
びわ爺さん、雪の季節に蛇谷に行かれたのですね。
わたしは夏の季節に、「蛇谷ヶ峰なら蛇谷から」と向かいました。
細くてガラガラの谷で最後まで詰めず尾根に逃げてしまいましたが。

イン谷もアテンボ谷も今は杉で覆われた谷ですので、510m台地からの眺望はありませんでした。
でも、春の陽射しを浴びて輝く、畔にイヌノフグリが咲いている田植え前の棚田が、まぶたの裏に浮かんでいました。

春のお山を彩る黄色いお花の判別はなかなか難しいですよね。
ダンコウバイとアブラチャンの違い・・・枝から直接、数個のお花がぽんと咲いていたらダンコウバイと思っています。
アブラチャンって漢字で書くと偉そうな感じがしますね。油分が多く実や枝から油をとっていたのですね。

お山で食べるごはんは何でもおいしく感じますが、春から秋はやっぱりおにぎりが一番です。
お米大好きです。母の握ったおにぎりを思い出したり。
先月、実家に行ったのですが、帰る時、母から、おにぎりを三個作ったからお昼に食べて、と紙袋を渡されました。
軽いなぁと思いながら貰い、新幹線の中で開けてみると、ちいさなちいさなおにぎりがみっつ。
年を取った母にとって、一個のおにぎりは、こんなにもちいさくなってしまったのだ、とせつなくなりました。
そんなことを思い出しながら、今日のお昼もおにぎりをほおばりました。

大小21の滝?、八つの淵がある八池谷とその支流の情景に惹かれ、
暑い季節、ばちゃばちゃと遊んでいましたが、上流の広谷周辺の雰囲気も大好きです。
訪れる度、いろんなものを見つけます。

行先を決めかねて「め」状態で行ったり来たり・・・わたしもです(笑)。
あの日は、「つ」と感じてうれしかったです。
蛇行~蛇~とぐろ、とグルグル状態にならなくてよかったです(笑)。

びわ爺さんはするめのようなお方ですね。
これからも、味わい深い山旅とお言葉の数々、楽しませてくださいませ。

sato
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