【奥美濃】殿又谷二題…花崗岩の沢を行く

山行記、山の思い出、限定
フォーラムルール
新規トピックは文頭に以下のテンプレートをなるべく使ってください。
【 日 付 】
【 山 域 】 
【メンバー】
【 天 候 】
【 ルート 】
※ユーザーでなくても返信が可能です。ユーザー名に名前を入れて返信してください。
返信する
兔夢
記事: 624
登録日時: 2011年2月24日(木) 23:12

【奥美濃】殿又谷二題…花崗岩の沢を行く

投稿記事 by 兔夢 »

 揖斐川町坂内、その白川と浅又川流域はあまり足を運んでいない。この辺りでどこかないかなあと思い「百山百溪」を見ていて目についたのが殿又谷。白川の支流だ。そこの更に支流、石むし谷と滝谷と呼ばれる二つの沢が大滝があり面白そうだ。特に滝谷には3段60mという奥美濃では珍しい大滝があるらしい。

2012年7月15日(日) 曇り 奥美濃 殿又谷から殿又谷ノ頭(△1067.0)
沢登り 単独

8:15 殿又谷林道駐車地 → 8:45 石むし谷二俣 → 9:50 二段大滝 → 10:55 林道 → 11:30~12:30 殿又谷ノ頭 → 12:55 林道 → 13:50 駐車地

 まずは石むし谷から。殿又谷の細いが舗装されている林道を進んでいき砂防堰堤越えたところの広場に車を停め出発。
 大垣を出発した時点で大雨警報が出て雨も降っていが現地に近づくに従って雨はあがり空が明るくなってきた。とりあえず沢の様子だけでも見てこようと林道を歩いていくと二つ目の砂防堰堤があった。石むし谷の出合はこの堰堤の上流にある。
 堰堤を少し越えた辺りで沢に下りた。薮の中を流れる沢は降雨後にしては水量が少ない。流れの中を歩いて石むし谷へ入った。
 岩質は花崗岩で歩きやすそうだがしばらくは薮沢っぽい。それも滑が現れる辺りからすっきりしてくる。
 時折陽が差すようになってきた。この状態が山頂まで続いてくれるのを願おう。
 二俣を左に進んだ辺りは谷が広くなり自然林がみずみずしい。少し谷が狭くなったところの大岩に赤ペンキで「23」と表記されていた。「百山百溪」にも記載されている岩だ。記載からもう四半世紀が過ぎようとしているが残っているとは驚きだ。
 谷が左に緩くカーブした辺りに小さなゴルジュが現れる。ここから3~5m程の滝が続き楽しい。傍らの山腹では猪と数匹のウリボウがこちらの出現に慌てて逃げていた。
P7150053.JPG
P7150053.JPG (62.64 KiB) 閲覧された回数 1140 回
 三俣を右に進みおむすびのような形をした岩を越えて左に曲がったところに大滝が立ちはだかった。この小さな沢に似つかわしくない堂々とした姿だ。
 「百山百溪」では二段30mと紹介されている。しかし見たところ20mそこそこだろう。ここをどうやって越えていくかがポイントだ。下段は左側をよじ登っていけそうだ。その上は左右どちらかの山腹に逃げられるような気配。吸い込まれるように下段に取り付いた。
P7150066.JPG
P7150066.JPG (62.42 KiB) 閲覧された回数 1140 回
 落ち口側へトラバースするのに若干緊張したがなんとかクリア。二段目は左のルンゼに取り付く。下部はホールド、スタンスとも良好だが上部は泥付きとなっていやらしい。上から垂れてきている小枝を引っ張り寄せてそれを手がかりに登っていった。
 大滝の上は滑滝が幾つかあり中にはつるつるでどうやって登ったらいいのか悩んでしまうものもあった。
 細くなった沢が左に曲がった辺りは稜線が数メートルの高さに近づく。これはまるで左門岳の大平のようだ。もちろん規模は全然違うが。
 岩が重なりあってできたトンネルを抜けた先で沢が広々としてきた。しかしほとんど薮に覆われている。この先流れ自体が笹薮の中に没してしまい沢中を歩きながら薮を漕ぐという状態になった。
 やがて沢が狭くなり薮はスッとなくなる。この辺りはなんとなく秘密の通路といった趣だ。ここから林道に出るまでそこそこの小滝もあって楽しい。
 林道より上は沢がずっと小さくなる。しかし薮はそれほどなく比較的歩きやすい。枝分かれする沢を適当に拾って登っていき最後の急斜面を終えると狙ったところより随分と北の稜線に出た。
 植林の稜線を高みに進んでいく。刈り込みがあり歩きやすい。最高点に達したところで灌木と笹に埋もれた三角点を見つけた。
 傍らには「新穂山」と書かれた山名パネルがかけられていたがこれは間違い。百山百溪」には(仮称)と断りを入れて「殿又谷ノ頭」と紹介されていた。点名は「大ケ屋」というらしい。
 いくらか山並みも見えるがガスに隠れて何処がどの山なのか分からない。休憩しているうちにこちらも若干ガスが出てきた。
 下山は檜の植林尾根の杣道を下って林道に出た。林道はしっかりしている。ただ所々倒木があったり流れていたりして自動車で入る事はできない。空は結局最後までもってくれた。


2012年7月28日(土) 晴れ 奥美濃 殿又谷から県民の山(△928.7)
沢登り 単独

7:30 殿又林道駐車地 → 8:55 滝谷50m大滝(かくれ滝) → 9:50 三俣 → 11:00~12:30 県民の山 → 12:40 北東鞍部 → 13:35 滝谷50m大滝(かくれ滝) → 14:30 駐車地

 この日は徳山(揖斐)の西ノ浦から大白木山に登ろうとしたが徳山ダム湖の水位が高く渡渉が難しい。目標を切り替えて殿又谷の枝沢、滝谷に向かう事にした。
 「百山百溪」によれば滝谷には3段60mの大滝があるそうだ。それと「県民の山」という不思議な点名のピークも気になる。
 殿又林道を進み一つ目の砂防堰堤手前にある竹林脇の広場に車を停め出発。竹林を下ったところの流れは晴天続きだったのに関わらず意外に水量が多い。滝谷に入ってからも同じで最初の4m滝が迫力があった。
 時々薮が被っているが苦になる程でなく概ね歩きやすい。滝壺は多くの場合真砂土で埋まっていてせいぜい腰までの深さだ。ほとんどの滝が直登できてる。
 両岸の樹林はほぼ自然林だが時おり時間に取り残されたような植林が現れるのが物悲しい。
 平坦な流れを歩いていると前方で鹿が流れに入って水を飲んでいた。こちらに気付いて山腹を駆け上って逃げていった。沢にはその後も多くの鹿の足跡が残されていた。
 「軍艦岩」を越えてしばらく行ったところのチョックストーンは水量が多い。気合いを入れてフルシャワー覚悟で臨んだがあえなく敗退。左岸を巻いていった。その後も3~4m滝、滑滝が幾つか現れる。水流を切り裂いて登っていくのが心地いい。
P7280032.JPG
P7280032.JPG (44.04 KiB) 閲覧された回数 1140 回
 巾の広い4m滑滝を越えたところの左から落ちてきている沢が県民の山に直登する沢だ。出合には落差6m程の滑滝。そしてその奥には「百山百溪」で60m三段と紹介されている大滝。しかし上部の滑を含めても落差50mほどではないかと思われる。いずれにしても奥美濃ではあまり見ない大滝である事にかわりはない。これは一見の価値がある滝だろう。水量も豊かだ。
P7280056.JPG
P7280056.JPG (51.83 KiB) 閲覧された回数 1140 回
P7280060.JPG
P7280060.JPG (57.66 KiB) 閲覧された回数 1140 回
 左岸を巻こうとルンゼに取付き不図滝方向を見るとフィックスロープが垂れ下がっていた。ひょっとして直近を登っていけるのかと改めて見直すと下段の右側が低木を掴んで登れそうだ。
 下段を登ってその上は滝を横切り右岸に取り付き低木を掴んで巻いていった。
 意外とあっさり大滝をクリアできた。もっと安全に巻くには出合から右岸尾根を登ってしまえばいい。下山時はここを下った。
 大滝の上は平坦な渓相となる。南向きの緩やかな沢で薮がうるさいかと思っていたが気になる程の薮はなく歩きやすい。それよりもクモの巣。これは歩き始めから苦になっていたのだがこの季節だからと諦めるしかない。
 三俣は左に入る。しばらくすると大岩でできたトンネルが現れる。悠々立って潜れる程の大きさで迫力がある。
 少し先の左岸の壁には大きな洞があいていた。まるで古墳の石室のような雰囲気だった。
 壁横のチョックストーンを越えると再び平坦な沢が続く。やがて大岩が沢を埋めはじめ薮が濃くなる。ここは左岸の明確な獣道を辿って進んでいく。最後の二俣を左にとり笹薮斜面を上がっていくと稜線に出た。なんと切り開かれていた。ここを左にとってわずかで三角点に辿り着いた。
 樹林が取り巻いて展望はない。しかし刈り込みがされて休憩するには落ち着いていい所だ。日射しを樹林が遮ってくれるのもいい。ただ少し虫がうるさい。蚊取り線香でもいなくならなかった。
 下山は稜線の切り開きを北東鞍部まで進みそこから沢に下降。薮沢かと思っていたが非常に下りやすかった。途中、大岩が沢を埋めているところが少しやっかいだったが後は滝もほとんどなくスイスイ進んでいく。50mほどの滑滝が唯一の見所だ。
 三俣以降はほとんどの滝がクライムダウンできた。全体を通して明るく楽しい沢だった。ブンゲンの竹屋谷~北谷にも引けを取らない沢ではないだろうか。とにかく大滝は見物だ。
アバター
山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【奥美濃】殿又谷二題…花崗岩の沢を行く

投稿記事 by 山日和 »

兔夢さん、こんばんは。

揖斐川町坂内、その白川と浅又川流域はあまり足を運んでいない。この辺りでどこかないかなあと思い「百山百溪」を見ていて目についたのが殿又谷。白川の支流だ。そこの更に支流、石むし谷と滝谷と呼ばれる二つの沢が大滝があり面白そうだ。特に滝谷には3段60mという奥美濃では珍しい大滝があるらしい。

「百山百渓」には気になる沢がいっぱいありますが、ハズレが恐くてなかなか行けませんわ。
この殿又谷もなんか植林のイメージがあって。
兔夢さんみたいに家から近ければいいんだけどねえ。

 細くなった沢が左に曲がった辺りは稜線が数メートルの高さに近づく。これはまるで左門岳の大平のようだ。もちろん規模は全然違うが。

大平と言えば私の大好きなところ。もう長いこと行ってないなあ。

  傍らには「新穂山」と書かれた山名パネルがかけられていたがこれは間違い。百山百溪」には(仮称)と断りを入れて「殿又谷ノ頭」と紹介されていた。点名は「大ケ屋」というらしい。

ここは「新穂谷山」とか「アリカミノ岳」とか言うらしいですね。去年の積雪期に行きましたが、前後の尾根はなかなかのブナ林でした。

[attachment=0]姉川源流_1_1.JPG[/attachment]
 「百山百溪」によれば滝谷には3段60mの大滝があるそうだ。それと「県民の山」という不思議な点名のピークも気になる。

この「県民の山」ってのも面白いですねえ。ここを知ってる県民はどれぐらいいるんやろ?

 巾の広い4m滑滝を越えたところの左から落ちてきている沢が県民の山に直登する沢だ。出合には落差6m程の滑滝。そしてその奥には「百山百溪」で60m三段と紹介されている大滝。しかし上部の滑を含めても落差50mほどではないかと思われる。いずれにしても奥美濃ではあまり見ない大滝である事にかわりはない。これは一見の価値がある滝だろう。水量も豊かだ。

これはなかなかの見ものでしたね。まだまだ知らないいいところがいくらでもありますね。

 大滝の上は平坦な渓相となる。南向きの緩やかな沢で薮がうるさいかと思っていたが気になる程の薮はなく歩きやすい。それよりもクモの巣。これは歩き始めから苦になっていたのだがこの季節だからと諦めるしかない。

こいつは単独だとどうしようもありません。パーティーなら2番手に逃げれば助かりますけど。(^^ゞ
私も先日の岩井谷ではクモの巣との戦いでした。

  三俣以降はほとんどの滝がクライムダウンできた。全体を通して明るく楽しい沢だった。ブンゲンの竹屋谷~北谷にも引けを取らない沢ではないだろうか。とにかく大滝は見物だ。

おおっ、そう聞いては行かなくちゃ。(^^♪
粕川の加野内谷も気になってます。

                         山日和
添付ファイル
3月の新穂谷山から姉川源流方向を望む
3月の新穂谷山から姉川源流方向を望む
兔夢
記事: 624
登録日時: 2011年2月24日(木) 23:12

Re: 【奥美濃】殿又谷二題…花崗岩の沢を行く

投稿記事 by 兔夢 »

山日和さん、こんばんは。

「百山百渓」には気になる沢がいっぱいありますが、ハズレが恐くてなかなか行けませんわ。
この殿又谷もなんか植林のイメージがあって。
兔夢さんみたいに家から近ければいいんだけどねえ。


おっしゃることよくわかります。僕もハズレるんじゃないかと思いながらのぞんでます。
この二つの沢は植林があるものの沢沿いは自然林が多くなかなか楽しめました。

大平と言えば私の大好きなところ。もう長いこと行ってないなあ。

山日和さんが喜びそうだなと思っていれた描写です。でも期待しないで下さいね。

この「県民の山」ってのも面白いですねえ。ここを知ってる県民はどれぐらいいるんやろ?

「県民の山」って由来は何だろうと思いつつ訪れましたがこれはっていうものはなかったですね。僕はその県民ですがついこの前までその存在を知りませんでした。

これはなかなかの見ものでしたね。まだまだ知らないいいところがいくらでもありますね。

知らないところだらけですね。だから楽しいです。

こいつは単独だとどうしようもありません。パーティーなら2番手に逃げれば助かりますけど。(^^ゞ
私も先日の岩井谷ではクモの巣との戦いでした。


岩井谷もクモの巣がありましたか?僕が行った時は雨後のためかクモの巣は気になりませんでした。いい谷だったというイメージが強くいつかもう一度行こうと思う谷です。

おおっ、そう聞いては行かなくちゃ。(^^♪

「兔夢のは言い過ぎや」と後で聞かされそうな気がします。でも一度足を運んでみて下さい。ちなみに奥美濃大好きのK氏が僕の翌日に遡行したそうです。大滝と大岩の石門(僕の表現ではトンネル)が良かったと言ってました。
P7280090.JPG
P7280090.JPG (54.49 KiB) 閲覧された回数 1057 回
返信する