2021年6月20日(日)晴れ 奥美濃 揖斐春日 尾西谷から国見岳
OSK山行 参加9名
- 滑を歩くOSKメンバー
尾西・白山神社8:00ー入渓8:30ー天空の滝9:50ー
登山道10:30ーKDDアンテナ址地11:00~12:05ー
右岸尾根下降ー白山神社14:00
みなさん、ご無沙汰しております。兎夢です。
ちょっと面白い事があったので久し振りに投稿してみました。どうぞお読み下さい。
当初は揖斐・高地谷の白倉谷へいく予定だった。ここは、お気に入りの谷。ここ数年、いろんなルートを歩いて様々な発見があった所だ。初級から上級まで沢登りが楽しめる所でもある。そんな沢をOSKでも紹介したく企画した。しかし、前日が思いの外強い雨でかなりの増水が予想された。中には初心者に近いメンバーもいるし人数も多いので遡行に苦労しそうに思えた。僕には珍しく、どうすべきか参加のそばつるとmasaさんに相談。その上で増水が見込まれても比較的安全な尾西谷へ行き先を変更した。
尾西谷は8年前にすでにOSKで行っている。その時も同じように雨で他の沢を断念したしその代わりにと僕が提案した。その時のメンバーが今回のメンバーの中に多いが時間もかなり経っている事だし再訪も良いだろう。そもそも良い所は何度行っても良いのだ。
尾西集落の白山神社脇に3台の車を停め出発。林道を更に奥に進んで終点に停める事もできるがこの時期、準備している間に蛭にやられてはかなわない。
林道終点からは左岸を進み堰堤を越える。堰堤で塞き止められて出来た池は枯れ木が立ちまるで大正池のように見えて良かったのだが、今回、干し上がっていて無惨な姿になっていた。どうやら溜まっていた水が抜けてしまったらしい。
植林の踏み跡を辿っていくと自然に入渓。すぐに感じの良い滑が現われる。昨日の雨でなかなかの水量になり見栄えがする。普段はチョロチョロの水流なのだが。
基本花崗岩の沢でフリクションは良い方だ。しかし、場所によってヌメリもあるのでバランスよく登らないと滑る。それが結構厳しいつもりでいたがみんな普通に登ってきて感心させられる。まだ沢を始めて3度目のcenちゃんも全く心配のない足取りだ。ちょっとしたシャワークライミングもへっちゃらだ。
- 滑ったところも不安のない足取り
ここを越えたものだけが奥へ入れる、といったように立ちはだかる4m滝。ここも水量はやや多め。シャワーを試みるべきかとも思ったが無難に一番簡単な左側を登る。他のメンバーもそれに習った。誰も正面からのフルシャワーでのぞまなかったのがちょっと寂しい。
- 関門滝を行く
緑の中に布団を重ねたような巾広の滝が現われる。その特異な姿はこの沢で一番美しい。ビューポイントにメンバーを招くとみんな感嘆の声を上げていた。
- 美しい重ね布団滝
わかりにくい630m二俣を左に取り4mの滝を越えるといよいよこの沢を特徴づけている長い滑が始まる。赤茶けた岩と水流の白と樹林の緑が奏でるハーモニーが心を柔らかく包む。
幾つかの滑滝を水流の呼吸を手足に感じながら登ってみる。とても心地よい感覚が全身を包む。いくらでも巻いていけるけど水芯が呼び寄せ吸い込まれていく。
- 滑の呼吸を感じながら
心強い同行者のそばつるとmasaさんはパーティの最後尾からメンバーを見守るようにゆっくりとついてくる。その姿に安心感が生まれる。おかげでトップで好きな所を歩いていける。
- 流芯が誘う
途中、新会員のみぃさんが滑滝脇の岩の合間に鳥の巣と卵を見つけた。増水したら流されてしまいそうな所だ。何鳥のものだろう。初めて見た。
みぃさんは最近のOSKの新会員には珍しく岩も沢も経験がある。今回の装備も歩き方も沢慣れした様子だ。吃驚した事に、一週間前にここ尾西谷を訪れていると言う。その時は間違って右俣を行ったようだが。
連続した滑が終わると巨岩帯が始まる。その一角でちょっとしたお遊び。
OSKのエースにスラブ岩にのぞんでもらう。が、滑った岩は流石に登れなかったようだ。
巨岩帯の中でも特に目を見張る大岩でできた岩屋が現れみんな目を丸くした。修験岩とでも言おうか。ここは一旦岩屋の中に入って岩の下をくぐり抜けることができる。スリルがあり心躍る場所だ。
この沢には珍しい階段状の滝が現われる。やはり何時もより水流は太い。誘われるように半身を水に濡らしながら流芯を歩くのが気持ちいい。
そして現われる大斜瀑。初めて見た時は緑の中で天から落ちてくるかのように見え感動したものだ。しかし、今は両岸が荒れて、下部に堆積物が溜まりあの時の姿はなくなってしまった。それでもこの沢一番の滝には違いなく、ここを直登するのは一つの楽しみだ。右を登ってやっとこの滝を直登したと言えるが今は自信がない。左から楽に越えていく。他のメンバーは付いてこず巻きルートを登っていった。
- 大斜瀑
最後の大きな二俣で沢登りとしては終了。ここを訪れたのは10回前後だろうか。短い沢だが何時きても何かしら心に刻み付けてくれる。今回も楽しい思い出として心に刻まれるだろう。後は登山道を目指して右俣を急登していく。これがきつい。
息を切らして登山道に出て靴を履き替える。山頂までの道のりが意外と長い。やっと出た広場は元KDDIアンテナが立っていた址地だ。ここは見晴らしが良くてお気に入りの場所だ。風に吹かれながら奥美濃の山並みを楽しんで大休止。眠たくなるような気持ちのいいひと時を過ごす。
- 風に吹かれて
休憩の後半、驚く事実が判明した。何の切っ掛けだったか、ヤブコギネットの事が話題になり、みぃさんに話を振ってみると知っている、という。それどころか、何と、山日和さんのファンだ、というではないか!どうやら、「山登りはこんなにも面白い」も持っているようで、左門岳の記述にいたく感動したようだ。カッコいい、とも言っていた。奥美濃・土蔵岳で山日和さんとニアミスした事を会いたかったとくやしがっていた。会わせてあげようか、というと目をキラキラさせていた。影響を受けて誤った道に走らない事を祈るばかりだ…
休憩後、国見岳山頂を訪れる。以前に比べて見晴らしが良くなったような気がする。目の前に広がる山並みはどれも登った事がある所ばかりだ。それぞれに登った時の事が思い出される。
傍らのカレンフェルトが立つ庭園のような窪地には池ができていた。ここを横切って薮斜面に入り下山尾根に取り付く。
下山尾根は自然林に覆われ気持ちいい。時折現われる岩がアクセントを付けて飽きる事もない。中には変わった形の岩もあって目を楽しませる。
この尾根はルートファインディングが重要だ。わかりにくい尾根の分岐が幾つかあり、過去に間違えた事がある。注意が必要だ。しかし、それでも間違った尾根に入ってしまった。どうしようか迷ったが予定通りのルートを歩きたかったので渋い顔のメンバーをなだめて登り返した。予定ルート下部の平坦な尾根の樹林を歩くのがこのルートの楽しみなのだ。
最後は緩やかな植林帯を抜けて杣道を辿ると堰堤横へ出る。林道を帰るしな参加メンバーからの「よかった」の声が初夏の日差しにキラキラと輝いていた。