【 日 付 】2023年3月15日(水)
【 山 域 】 美濃
【メンバー】単独
【 天 候 】快晴
【 ルート 】バイクランド7:50>椀戸谷右岸林道>JP第2支尾根>JP>高丸12:05>JPから往路滑降>バイクランド16:18
美濃の西部に聳えるトンガリピークの高丸に登りました。この山は美濃西部では1300mを越える標高を誇りピラミッド型の山容は個性的で嫌がうえにも目だつランドマークでありながら登山道のないヤブ山ですから積雪期以外登られる事の少ない孤高の山です。
おまけにアプローチとなる神岳ダムまでの道も冬は雪に閉ざされているので3月下旬に道路の雪が融けるまで近づくことさえ難しい山ですが、最近のクロオさんのレポで雪が融けて少し入れるようになったらしいので行ってみることにしました。
3月15日(水)朝5時に鈴鹿の自宅を出発。いつものように桑名市から長良川堤防と揖斐川堤防を遡上していくので信号は殆どなくストレスなくR303で旧坂内村に入りました。夜叉龍神社から坂内川左岸道路に入ると狙い通り途中にあるバイクランドを過ぎた辺りまで入れました。
7時50分、斜面から押し出して来たデブリの前に車を止め出発しました。
20分ほど歩くとダム湖の奥にある分岐から椀戸林道に入りました。
林道は雪に埋もれたままでデブリや滑り台のような障害物も多く歩きにくいですが、雪が固く締まっているのが救いでしょうか。
普通はここから林道終点まで一時間ほど歩かねばなりません。
林道が右岸から左岸に渡り、また右岸に渡り返したところでこの先の大きなヘアピンカーブをショートカットするため正面の斜面を登りました。でもヤブが結構濃くてザックに付けたスキーに引っかかってうまく登れません。結局、時間の短縮にならないばかりか余分な体力も使ってしまいました。
今回はスキー滑降にチャレンジするので林道終点から登る尾根(便宜上第1支尾根)ではなく手前の第2支尾根から取り付くことにしました。前に来た時はショートカットして上の林道に出たところでそのまま尾根に取り付けたのですが、今回は雪が融けて崖のような泥斜面になっていました。それらしきところを登ってみると鉄筋のアンカーが打ち込まれていましたが、ロープなどは付いていません。仕方なく草や木の根っこを掴んで何とか取りつきました。50m程高度を上げると雪面も繋がってきました。
暫く針葉樹林の端を登り、その後は針葉樹林の中を登っていく。
右側には高丸と稜線で繋がった烏帽子山も見えてきました。雲一つなく素晴らしい眺めです。
針葉樹林が終わり落葉樹林が出てきたら支尾根は終わり主尾根に出ます。
主尾根まで後一息。
主尾根に出会う辺りは太いブナが沢山生えていて今回のコースでも一番の癒しスポットです。
北側に見える小ピークが1尾根の出会う・1114mです。
二つの尾根の出会いを結ぶ主尾根は痩せていて4月になると張り出している雪庇が一気に落ちて痩せたヤブ尾根だけが残ります。
幸いなことに痩せ尾根の雪庇は辛うじて繋がっていました。これならスキーで降りてこられそうです。
痩せ尾根と少し急な斜面を登って1尾根の出合に着きました。ここからは高丸と烏帽子山の中間であるJP(ジャンクションピーク)まで素晴らしい展望が続きます。
少し霞んでいるのが能郷白山です。
ピラミダルな高丸もくっきり見えます。
平坦な尾根を歩いていき最後に傾斜のある斜面を登ればJPです。
11時半にJPに着きました。さあ、どうしよう。実は今回の主たるミッションはJPから滑降することでピークハントは予定していなかったのです。
烏帽子は難しいところはありませんが、往復するには時間と体力を消耗しそうです。クロオさんの仇打ちは又の機会にしましょう
高丸は時間的に往復できそうですが、アプローチは半月前の金糞岳と同じゴム長でチェーンアイゼンしかありません。高丸直下は急斜面になっていてこんな装備ではクリアできそうにありませんが、行けるところまで行ってみましょう。
中間コルにむけて吊り尾根を下って行きます。
さあ、問題の登り返し。どこまで行けるかな。
上の肩に乗り上げる斜面が一番きつくなりますが、一番きついところでヤブが頭をだしていました。前日のものらしいトレースはその藪の中にきえていました。藪の中なら滑落の危険は少ないので私もそれにならいました。ただし藪の真ん中を抜けるのはきついので藪の端の方を登って上に出ると肩に向けてトレースが続いていました。少し傾斜も緩んだので山頂を目指すことにしました。
肩に乗り上げると山頂が見えました。
12時5分、高丸山頂(1316m)に着きました。この辺りで1300m級の山は金糞岳と高丸しかありませんから、ここに立てばまさにお山の大将。隣の三周ヶ岳さえ見おろすことができるのです。
北には美濃又丸から笹ヶ岳に連なる福井県境稜線が続いて居ます。
その右奥には加賀白山も霞んでします。夜叉が池の奥には上谷山が福井、滋賀県境を守っています。
さあ、大展望を目に刻んだらタッチアンドゴーでJPに戻ります。JPの奥に見える黒いピラミッドは蕎麦粒山です。
JPに戻ったらブーツを履き替えスキー板を付けて滑降準備オーケーです。第1尾根出会いの・1114mまではあっという間に戻りました。出合の南斜面は傾斜がきつくて低木も多いので慎重に下りました。
第2尾根に繋がる痩せ尾根は細い雪庇の張り出しを板を斜めにずらしながら慎重に渡りました。
2尾根の下り始めのブナ林は気持ちよく下れました。針葉樹林帯に入るとだんだんに傾斜が強くなり樹間も狭まってきました。登ってくるときになるべく滑りやすそうなところを選んでトレースを残したのですが、いつの間にか見失ってしまいました。
樹間の狭い所でコース取りを間違えたかスキー操作を間違えたか覚えていませんが、立木に突っ込んで胸を打ってしまいました。その時は「いててっ!」で済ませて滑降を続けたのですが・・・
雪が切れたところで板を外し残り50mを歩いて下り林道に下りました。その下の斜面もショートカットして下の林道に下りたら長々と林道を歩いてダム湖に戻りました。
16時18分、バイクランドの手前で駐車地に戻ったころには胸の痛みを忘れていましたが、帰宅して夕食を済ませ床に入って寝返りを打った途端「ギャーッ」激しい痛みに襲われました。あ~、またやってしまった。肋骨が折れたようです。過去片手に余るほど経験しているのですが、こういう経過は初めてです。今回は体幹の中心線に近い部分であまり痛みは強くなく翌朝も大した苦労も無く起き上がれました。全治するにはひと月近くかかるだろうな。
折角ミッションをクリアしたのに余分なツケを残してしまった。