【飛騨】霧氷とブナの回廊を行く 白木ヶ峰から万波山へ

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【飛騨】霧氷とブナの回廊を行く 白木ヶ峰から万波山へ

by 山日和 » 2026年3月17日(火) 16:10

【日 付】2026年3月14日(土)
【山 域】飛騨北部 旧宮川村周辺
【天 候】曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】まんが王国7:05---10:30黒谷源流---11:35白木ヶ峰13:15---14:40万波山---15:45△桑谷---
     16:40国道360号---17:05まんが王国

 こころが少し重たくなるような空の色だ。飛騨地方の天気予報は終日曇り。
少しぐらいは晴れ間が覗いてくれるだろうか。
 登山口は岐阜県旧宮川村杉原のまんが王国という施設。村おこしのため30年前に建てられたまんが図書館である。
宿泊施設もあり、温泉も湧いている。15年ほど前まではここに白木ヶ峰スキー場が開かれていた。今はゲレンデ跡
で雪遊びが楽しめるようだ。

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 これから目指す1206.2mの三角点牛尾は白木ヶ峰と名付けられている。すぐそばに白木峰という超メジャーな山が
あるのでまぎらわしいが、こちらは登山道もない超マイナーな山である。
 雪がほとんど消えたゲレンデを歩いて、林道上部から尾根の末端に取付いた。
しばらくはスノーシューを履ける程度の雪が積もっていたが、植林に入るとまばらになりスノーシューを外す。
少しヤブっぽい植林帯は重苦しい空と相まってモチベーションを上げてくれない。昨日の雨で雪はグズグズだ。
先週の固く締まった雪を期待していたのがあてが外れてしまった。高度が上がるにつれて雪の量も増えて行くが、
スノーシューを履いて快適に登れるような状態ではなく、ひたすら我慢の急登である。
植林の中に幹周4mを超すブナが残されていて驚く。

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 標高750mを超えるとようやく雪が繋がった。植林も終わりブナが目立ち始める。
900mあたりからブナの枝先に白いものが見え始めた。昨日の雨と今朝の冷え込みである程度期待はしていたのだが、
予想が当たるとうれしいものである。あまり発達していない儚げが霧氷だ。さらに高度を上げれば霧氷の森が待って
いてくれるだろうか。
 昨日の雨はこの標高では雪だったようで、10センチ程度の新雪が古い雪を覆ってまっさら雪の上を歩いて行く。
スノーシューの沈みもほとんどない。


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 950mで傾斜が緩み、尾根は広がりを見せる。左側に植林が上がってきたのが玉にキズだが、尾根上と右側斜面は
ブナの純林だ。東からの尾根が合流するあたりでは美しい霧氷の森となり、感嘆の声が上がる。
わずかに青空が覗いて、ひょっとしたらという期待に胸がふくらんだ。ただ、晴れて来れば霧氷が落ちるのが早い。
山頂までは曇り空でいてほしいという気持ちと、青空の下の霧氷を味わいたいという気持ちがせめぎ合う。
 このどんよりした空でも風が吹くと勢い良く霧氷がバラバラと音を立てて落ちてくるので頭上注意である。
時々霧氷の攻撃を受けたsatoさんが悲鳴を上げている。


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 地形図を見ると、山頂の近辺は実に面白い地形をしている。緩やかな起伏の中に尾根と谷が複雑に絡み合い、気の
向くまま彷徨い歩きたくなるような地形だ。
 山上の一角に着いたところで直接山頂へ向かわず、北から入る黒谷の源頭に足を踏み入れた。
このほとんど勾配のない黒谷源流は、尾根と谷が渾然一体となった左門岳の大平源流を彷彿させる桃源郷だ。
唐堀山への尾根と並行して流れる黒谷は、白木ヶ峰の付近で複雑に分岐し、それぞれの支谷は蛇行しながらさらに
分流を繰り返す。時間と体力に余裕があればじっくり歩き回りたい場所だが、残念ながらどちらも限られている。

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 次の二俣は大きく開け、眺める上流も下流もほとんど傾斜がない。
ここで折り返すように左の谷に入る。雪原のように見える谷だが、流れの部分だけは深く刻まれているので油断
しているとドボンしてしまう。雪で埋め尽くされた谷の下には水流があるのだ。
Uの字を描いて元の尾根の手前まで戻ってきた。尾根に乗り直してもいいのだが、もう少しこの谷の源頭の風景を楽
しもう。雪山の山上で谷歩きを堪能できるのも得難いことだ。


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 いよいよ谷が行き止まりとなって、目の前の尾根に乗り上げる。緩い登りで少し進めば白木ヶ峰の山頂に到着で
ある。標識の類は何もなく、ブナ林に包まれたこんもりとしたわずかな高みが山頂だと教えてくれた。
霧に覆われて展望は皆無だが、晴れていてもこの樹林の中から展望が利くのかどうかはわからない。霧氷に飾られ、
白いガスに覆われた山頂は文字通り白木ヶ峰にふさわしいだろう。
 スノースコップで堅い雪を削ってランチ場を設営する。胸のすくような景色がなくても、この濃密なブナ林と霧氷
があれば何も要らない。持ってきた衣類を全部着込んでビールと鍋のランチタイムを楽しんだ。


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 食後、進行方向と真反対の北へ歩き出したのはご愛敬だが、おかけで素晴らしい霧氷に飾られたブナ林の雪原を
味わうことができた。
再び山頂へ戻って正しい方向へ踏み出す。これから向かうのは1160.4mの三角点北平。万波山と呼ばれているようだ。
南西に向かって延びる尾根も同様に複雑な曲線を描き、屈曲点には緩やかな谷が入り込んでそのすべてがブナの森だ。
若いブナも多いが、幹周3mオーバーの風格ある巨木が点在している。
スックと立つ若武者のようなブナと違って、歳を重ねたブナはごつごつとした樹肌と四方八方に伸びた枝を持ち、
一本一本が違う表情を見せるので見飽きることがない。
白とグレーのモノトーンの世界。晴れてくれなかった負け惜しみではなく、ブナには霧がよく似合うのである。


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 急降下した鞍部から小ピークへ登り返し、再び緩やかに下ったところが帰路の尾根の分岐。
ここから空身で万波山へ向かう。この尾根にもブナ林が続く。今日はいったい何本のブナを見たのだろう。
ガスがわずかに切れて本家の白木峰方面が見えたが、山頂は雲に包まれている。
万波山の山頂は西側に植林が入っているのが残念だが、それ以外は見事なブナ林。白木ヶ峰と同様まったく地味な
山頂である。


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 ザックのデポ地に戻って下山開始。779.5mの三角点桑野を経由する尾根を辿る。
この尾根もかなり下部までブナ主体の森が続く快適な尾根だ。
午後の遅い時間になっても雪は緩んでおらず、スノーシューが沈むこともほとんどない。
末端だけはさすがに急傾斜で、スノーシューをチェーンスパイクに履き替えて下った。
総体的に傾斜が緩い分、登りの尾根よりも楽に歩けるだろう。
 国道を歩いてまんが王国へ戻る。道端の水路でドロドロになったチェーンスパイクを洗っていたら、勢いよく流
れる水流に片足を持って行かれてしまった。
国道のすぐ横を走る高山本線の列車が走り過ぎて行ったが、2両編成の列車にはほとんど乗客はいなかった。
まんが王国への最後の登り坂が今日一番しんどかったかもしれない。

                    山日和

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