【 日 付 】2024年3月15日
【 山 域 】湖北
【メンバー】sato、tsubo
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】金居原ー金居原コースー横山岳-東尾根コースー金居原
今日も温かな日差しが注いでいる。
昨日使った登山靴、チェーンスパイク、スノーシュー、スパッツを水で洗うのも苦でない。
今頃satoさんは、雪と格闘しているのだろうか。
14日から16日ならちょっと遠くの山でも行けそうだから、都合が付いたらどこか一緒に行きませんかとsatoさんにメールをしたのは1週間前の9日だった。15日の金曜なら都合がつくとお返事をいただいた。私でも雪山が楽しめる山ということで選んでくれたのは横山岳だった。
5月の花の時期に白谷から登ったことがある。花が多く、ブナの新緑が綺麗な山だった。
週末は山では雪が降った。火曜は下界では雨だったが、山はどうだろうか。雨で雪が解けてしまっただろうか、それとも雪になっただろうか。横山岳は私たちにどんな姿を見せてくれるのだろうか。
前日、一人で入道ヶ岳に登って春の花探しをした。翌日の横山岳に疲れを残したくなくて、短時間で登れて楽しめる山にした。ネットで見たシロバナネコノメソウとトウゴクサバノオは見つけることができなかったが、初めてニッコウネコノメソウに出会えた。
花の山から雪の山へ。季節は逆戻りかな。
木ノ本駅で待ち合わせ。satoさんの車に荷物を乗せて助手席に座る。satoさんには行きなれた道だ。
今日は先月skywalkさんがスキーをしに行ったときの逆コースと聞いていた。予習のつもりでskywalkさんのレポを読み返しておいた。
金居原の登山口近くの林道の空き地に車を止める。
satoさんが、尾根を見上げている。「帰りはあの尾根を下ろうと思うけど、どのあたりが下りやすいかしら。」
あれ?帰りは林道ではないのかな?まあ、いいや。
まずは渡渉。苦手だが、水量は少ないし、幅も狭い。石伝いに対岸に渡る。
急なところを登ると、踏み跡があった。それからも急登が続く。木の枝や根っこをつかむが、思わず補助のトラロープも使ってしまう。登りでロープを使うことは滅多にないのだが。
標高700mくらいになって急登が終わり雪が出てきた。
「ここらへんでスノーシューにしましょうか。」
使うかな、どうかなと思いながら担いできたスノーシューの出番だ。
satoさんは今回はわかんを持ってきていた。だが・・・「間違えたかしら・・・」
しばらく歩くがわかんの具合がおかしいようだ。「kさん(ご主人)のわかんと一緒に置いてあったから、間違えて同じほうを二つ持ってきてしまったみたい。」見ると、左用(だったと思う)を二つ持ってきてしまったのだ。なんとか持ってきていたバンドで止めている。
わかんはスノーシューのほど左右はっきりと違った形ではない。ベルトの留め具が左右違うが、ぱっと見には違いがわかりづらい。satoさんでもこんなことあるのね!
雪の上には数日前のツボ足のトレースが一人分あった。日曜のトレースかと思ったが、土日、火曜とこのあたりはお天気が悪かったそうだ。トレースは昨日のものではなさそうだから月曜のものだろうか。
私が住む南紀の色川は土日はそんなにお天気は悪くなかった。でも、色川では火曜は120ミリ以上の大雨だと言ったらsatoさんはびっくりしていた。やっぱり南紀と滋賀では天気は全然違う。
ブナの森をスノーシューで進む。歩きやすい所は私が前を歩き、わかりにくいところはsatoさんが前を歩く。いつものパターンに甘えさせてもらう。
「思っていたより雪があるわね。」私もこの前のスノー衆くらいの雪かと思っていたが、雪は途切れることなく続いていた。
「skywalkさんはこのあたりを滑ったのかしらね。」お会いしたことのないskywalkさんが颯爽とスキーで滑っている姿を想像する。もちろん、かっこいいイケメンおやじを想像しましたよ。(笑)
木々の間から山が見えてきた。「大きな岩に出ると展望が開けるわ。あの景色をtsuboさんに見てもらいたいの。」先頭を譲ってくれる。
どんな景色が待っているんだろう。その場に出るまでできるだけ下を向いて歩く。
岩の上に立つ。顔を上げる。「ああっ!」思わず声が出そうな絶景が広がっていた。
「あれが三周ヶ岳。高丸。烏帽子。」金糞岳も美しい優美な姿を広げている。satoさんが好きな山、でも私には未知の山が連なっている。昨日の入道ヶ岳は快晴だったが、春霞で遠くは見えなかった。今日も展望は期待していなかった。だが、横山岳の北東方面の山はくっきりと見えた。能郷白山も見える。琵琶湖は霞んでいた。
「山頂はあまり展望がよくないから、山頂に着く前に眺めのいいところでお昼にしましょうか。」「先にお昼にしちゃったら山頂に行く気がしなくなるかも知れないからまずは山頂に行きましょう。」5月に登った時は、山頂に建っているプレハブのような小屋の上にはしごを使って登ったが、さほど展望がいいわけではなかった。
痩せ尾根に出た。雪庇が張り出している。
「あまり左に寄らないようにね。」前を歩いたが、途中でsatoさんに先を代わってもらう。少し行くと、さっきまであったトレースは風で消えていた。まっさらな雪庇が美しい。
「あっ!」satoさんが踏み抜いた。足を持ち上げると、その下に地面はなかった。危ない危ない。もう少し右寄りに歩く。
小屋が見えた。山頂だ。山頂にもトレースはなかった。山頂の手前に眺めのいい場所があった。
「あっ、白山が見える。」さっきの展望のいい場所では隠れていた白山が高丸の左に姿を見せていた。大好きな白山が見えるとうれしい。
「ここでお昼にしましょう。」白山を眺めながらランチにする。やっぱり山頂まで来てよかった。風もなく穏やかな日だ。二人ともコンロは持って来なかった。朝沸かしたお湯をポットに入れてきたが、それで十分だった。
下り始めると、雪は緩んでいた。スノーシューが行きよりも潜る。私のアトラスのスノーシューはヤマレコで登りには強いが、後ろの爪が小さくて下りでは爪がきかないと書いてあるレコがあった。スノー衆のときも下りで何度か滑って転んだ。後ろを歩いていた方から滑りやすいのはスノーシューのせいかも知れませんね、と言われた。
satoさんは私のスノーシューを見て、横の爪を使うように横向きになって下ればいいのではないかしらとアドバイスしてくれた。確かに横向きになって下るとあまり滑らなかった。
東尾根分岐に戻り、東尾根を下る。
二重山稜の所にでる。まるでスノボーのハーフパイプみたいな斜面だ。そこに映る木の影が描くカーブが美しい。雪とお日様があってこそ見られる造形だ。
「時間がかかっても楽な林道を下るのと、短時間で下れる急斜面とどちらがいい?」
来たな!(笑)
急な下りが苦手な私、一人だったら時間がかかっても無難な林道を下るだろう。だが、今日はsatoさんと一緒。林道じゃあつまらない。satoワールドに入りましょう。迷いはない。
しかし、本当に急だった。satoさんでさえ、ちょっと後ろ向きになって下るところもあった。それを予測してつけたままにしておいたチェーンスパイク、正解だった。
下に川が見える。朝、渡渉したところだ。あとちょっと。
無事着地!4時半を回っていた。日の長くなりだしたこの時期でよかった。
私にとって、今年一番の雪だった。白い雪の世界は美しい。雪があると世界は一変する。
雪とお日様とブナの森が織りなす美しく不思議な夢のような影絵の世界。
そして、その美しい世界を隠すあの急な登りと下り。
この急斜面を登って下れたら見せてあげよう。そう言われたような気がする。
美しい横山岳の姿、そこから見える山々の姿。この時期だからこそ見ることができた一期一会の出会い。
自然に、satoさんに感謝。ありがとうございました。
夕方、干しておいたスノーシューを取り込む。
今季、またスノーシューを使う日はあるだろうか。
しばらくは未練がましく玄関に置いておこう。
tsubo