【比良】蛇谷が峰 カツラの谷から錦繍の三ノ谷へ

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yamaneko0922
記事: 209
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39

【比良】蛇谷が峰 カツラの谷から錦繍の三ノ谷へ

投稿記事 by yamaneko0922 » 2019年11月29日(金) 07:42

【 日 付 】2019年11月23日(土曜日)
【 山 域 】比良 
【メンバー】山猫単独
【 天 候 】快晴
【 ルート 】桑原橋9:04〜10:26カツラの谷〜10:57蛇谷ヶ峰11:05〜11:40滝谷ノ頭〜12:01ヨコタニ峠〜12:28畑

この日、週末限定で運行される朽木学校行きの京都バスに乗り込んで国道367を北上したのは、梅ノ木で4分後に通過するはずの高島市営バスに乗り換えて、バスの終点、生杉を目指す予定だった。生杉から若丹国境尾根を縦走して美山に抜けるためである。花折峠を越えた平でおよそ半分の乗客が下車するまで酸欠になりそうな超満員のバスに立ちっぱなしとなる。残りの乗客も坊村で降りるとバスの中には途端にガランとなる。

梅ノ木のバス停が近づくと、目に飛びこできたのは安曇川にかかる梅ノ木橋を渡っていく高島市営バスであった。万事休すである。停車のためのボタンを押してしまっていたので、「梅ノ木ですが降りなくていいんですか?」とバスの運転手は訪ねる。「高島市営バスが行ってしまったので、当初の予定を諦めざるを得なくなりました。」と答えると「梅ノ木での高島市営バスの乗り継ぎは難しいですよ」と運転手の素っ気ないコメントが返ってきた。

頭の中が完全に白紙状態になるとはこのことである。今回の若丹国境尾根への山行は私にしては長時間をかけて用意周到に計画したつもりであったが、思わぬところに陥穽があった。いずれにせよ京都に帰るた目にはJRの駅に出る必要がある。即座に計画を考え直すのであるが、真っ先に思いついたのは、翌日の日曜日に家内を伴って訪れる予定であったのが蛇谷ヶ峰のカツラの谷であった。蛇谷ヶ峰からは地蔵峠への尾根を縦走して、畑に下ればバスがあるだろう。バスの時間を確認すると丁度良さそうな12時35分発のバスがある。

桑原橋でバスを下車すると柏の集落まで、車道を歩く。柏から林道に入ると樹々の黄葉が真っ盛りであり、透過光が空気の色を柔らかな黄色に染め上げている。まもなく林道は谷を直進する道と斜面を上がる道に分岐する。谷を直進する林道の黄葉があまりにも素晴らしく、そのまま林道を直進して、沢伝いに歩くこと可能性が頭を過ぎる。しかし、今日はポールもなく、靴も軽量化していたのでグリップの利く登山靴ではなくローカットのトレッキング・シューズなので、冒険することはやめておこう。

林道を辿って斜面を上がるとすぐに見晴らしのよい尾根筋、谷の対岸の尾根の錦繍が目に入る。
なだらかな尾根を辿る、林道は終わり登山道へと移行する。尾根に乗ると左手からは朽木のいきものふれあいの里から登ってくる登山道が目に入るが、ロープが張られ、進入禁止の立て札がある。このルートが通行止めになって久しいように思われるが、こうして林道からカツラの谷に入ることが出来るのは有難いことである。

登山道はまもなく斜面をほぼ水平にトラバースするようになる。あたり一面の林床は黄葉したコアジサイのせいで黄色いカーペットを敷いたかのようである。いわゆる一般的な紫陽花に比べるとコアジサイは普段は地味な低木だが、この時期のコアジサイの黄葉はアジサイの黄葉に比べてはるかに色鮮やかだ。
コアジサイ.jpg

やがて登山路が尾根を横切り、カツラの谷に入るとせせらぎの音が聞こえ、苔むした岩の間を縫うに流れる渓流と沢沿位にはカツラの大樹が目に入る。折しも谷に差し込む朝陽があたりの黄葉を明るく輝かせ、カツラの樹の大きなシルエットを際立たせる。カツラの樹々の壮麗な様は厳かな神域に入ったかのような気がしてしまう。
カツラの谷.jpg

この神々しい谷間の光景に落ち込んだ気分はすっかり回復し、足取りも軽く谷筋を上流へと辿る。やがて左手にカツラの滝が大きく見えてくる。滝の右側を登り、谷の奥へと進むと大きな岩の下に小さな祠が目に入る。このカツラの谷に霊的なものを古来の人達も感じてこられたのだろう。祠に谷を歩かせていただいたお礼を申し上げると、道なりに右岸の尾根へと上がる。
カツラの滝.jpg
祠.jpg

尾根上の紅葉は終盤ではあるが、鮮やかな紅や黄色の紅葉が最後の輝きを見せている。まもなく尾根上からは好展望が広がり、近江今津の市街の向こうに湖北の山々と、彼方に白銀に輝く白山が見える。蛇谷ヶ峰にはこれまでにも幾度も登っているが白山が見えたのは記憶にない。
彼方に白山.jpg

山頂にたどり着くとこの日は360度の好展望が広がる。琵琶湖の上には薄い靄がかかり、対岸の近江八幡や鈴鹿の山々は靄の上に浮かんでいるようである。今頃、同じ京都バスに乗り合わせた多くの乗客も比良の山の上で歓声をあげているに違いない。蛇谷ヶ峰の山頂では多くの人が休憩しておられる。

山頂を辞し地蔵峠への縦走路を辿りかけるが、すぐ右手に気持ち良さそうな尾根が目に入る。地図で確認するとニノ谷の右岸尾根に相当する尾根だ。この尾根を下り、三ノ谷に入ると、容易に縦走路に乗り換えることが出来そうだ。再び山頂方面に戻り、目指す尾根へと入る。

尾根上には踏み跡の類は全くないが、真正面に釣瓶岳、武奈ヶ岳へと続く北比良の山々の展望が大きく広がる。しかし、この快適な尾根がどこまでも続くわけではない。快適な自然林の尾根を下るとまもなく植林の中へと入ってしまうのだった。しかし尾根は緩やかになり、おまけに薄い踏み跡が現れる。 

尾根が下部に近づいたあたりで尾根を横切る道が現れた。植林の作業道とは明らかに雰囲気が異なる、どうやら古道のようだ。こういう道を見るとついついその先を辿ってみたくなる。古道は左手の斜面を下り、ニノ谷へと降りる。道はしばしば羊歯の草叢に埋もれそうになりながらも、渡渉を繰り返しつつ沢沿いを下ってゆく。

三ノ谷が左手から近づいたところで、谷へと入る細い踏み跡が目に入る。三ノ谷に入ると、植林地の薄暗い空間から明るい自然林の中へと飛び出した。広々として平坦な谷間には紅葉の樹々が蒼穹から降り注ぐ陽射しを浴びて、赤や黄の透過光を林の中に散らしている。まるで別天地とでも形容したくなるような雰囲気だ。
三ノ谷.jpg

この広い谷の景色をしばし楽しんだ後、東側の尾根に乗るとすぐに明瞭な登山道が現れた。なだらかではあるが、植林の続く尾根を須川峠、荒谷峠と経て、横谷峠に至る。ここから畑の集落に下るとバスの時間に丁度良さそうだ。

峠からの下りはこちら昔からの生活道だったのだろう。よくぞここまで掘り込んものだと思うほどに深い掘割の道となる。まもなく斜面には賑やかな錦繍が始まる。道草を喰むとバスの時間までの余裕がなくなるのだが、色鮮やかな紅葉を見かけるとついついカメラを取り出してはモニターを覗いてしまう。
錦繍.jpg

やがて畑の集落が近づき、薄暗い植林地を抜けると、綺麗な棚田の上部に出る。藁を燃やす煙の匂いが刈り入れが深まりゆく秋を感じされる。集落の中を下ってバス停を目指す。三脚を立てて棚田の景色を撮りにこられている方がいる。英語で挨拶をされる。どうやら中国人のようだ。三脚の上のカメラの方向を振り返ると棚田の向こうでは休耕田のススキが昼下がりの陽光を浴びて黄金色に輝いていた。
畑.jpg
バス停にたどり着いたのはバスが到着するのとほぼ同時であった。乗客は私一人のみである。
さて、次の山行に出かけるとしよう。

sato
記事: 56
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【比良】蛇谷が峰 カツラの谷から錦繍の三ノ谷へ

投稿記事 by sato » 2019年12月02日(月) 20:17

山猫さま

こんばんは。
先日、山日和さんの小栗のレポへのコメントで、同じ日に若丹国境稜線を歩かれていたと知り、
どちらにいらっしゃったのかなと思っていました。蛇谷ヶ峰のレポが上げられていて、あれっと思いました。
日曜日ではなく土曜日のレポでした。平日も休日も一期一会の時間を濃密に過ごされる山猫さんのお心持ちに頭が下がります。

土曜日に生杉から若丹国境稜線に向かわれるご予定だったのですね。
電車とバスを乗り継いでの山旅を度々される山猫さんの行動力はすごいなぁと感じます。
(日曜日のレポもすごいなぁとつぶやきながら拝読しました)
乗り換えの梅ノ木で乗るはずだったバスを見つめる山猫さんのお顔を想像しました。
頭の中の切り替えの早さはさすが山猫さんですね。
でも9時からお昼過ぎまでの行程で、桑野橋から蛇谷ヶ峰~横谷峠~畑が浮かぶとはびっくりです。

柏からカツラの谷コースで蛇谷ヶ峰に向かわれたのですね。私もこのコースが大好きです。
四季折々、訪れる度に息を呑む光景に出会い、感慨に耽りながら歩いています。
谷への斜面のトラバース道はコアジサイの道ですね。私は、今年は6月のちょうど花が咲き始めたころに辿りました。
黄葉の季節も素晴らしいですね。道の両側が輝いているのではなく、輝きの中に一筋の道が延びているよう。
どこへ向かっていくのだろうとドキドキしそうです。

谷に降り立ち、カツラの木と対面した時の胸の高まりは、何度訪れても弱まることはありません。
訪れるごとにより強くこころに響くような感じもします。
山猫さんのお写真に見入り、朝陽を浴び金色に輝くカツラの神々しさを目の前にした自分の姿を想像してしまいました。
威圧するような岩とそのたもとに祀られた祠の情景もこころに訴えてきますね。

山頂では白山を望めたのですね。蛇谷の女神さまが微笑んでくださったのですね。
澄み渡った秋の空に浮かぶ白銀の白山を、私もいつか蛇谷ヶ峰から拝みたいです。
ここから二ノ谷の右岸尾根を下られたのですね。私は登ったことがあります。
目に留まった小さな尾根や谷を辿るのは楽しいですね。
そして、小さな風景の中の煌めきに出会った時の歓びはひとしおですね。
三の谷の小さな輝きを山猫さんは味わわれたのですね。
「別天地」は多くの人が行き交う道のすぐ隣に、そっと息を潜めて佇んでいるのですね。

横谷峠道は、最近は雪の季節に歩いただけで、春か秋にまた歩こうと思いつつそのままになっています。
見事な紅葉ですね。来年のお楽しみにします。

山旅の最後の集落の情景はこころに沁みいりますね。
山猫さんの3時間半弱の山旅に、豊かな山旅を感じました。

追伸:岩籠山から乗鞍岳の縦走は、数年前の初夏の一日、日頃より学ばせていただいているKさんと、
    駄口から登って国境に下りました。そして車道を歩き駄口に戻りました。

sato

yamaneko0922
記事: 209
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39

Re: 【比良】蛇谷が峰 カツラの谷から錦繍の三ノ谷へ

投稿記事 by yamaneko0922 » 2019年12月03日(火) 21:22

satoさん コメント有難うございます。

このrepを訪れる方はsatoさんのこのコメントに心打たれることかと思います。

>先日、山日和さんの小栗のレポへのコメントで、同じ日に若丹国境稜線を歩かれていたと知り、
どちらにいらっしゃったのかなと思っていました。蛇谷ヶ峰のレポが上げられていて、あれっと思いました。
日曜日ではなく土曜日のレポでした。平日も休日も一期一会の時間を濃密に過ごされる山猫さんのお心持ちに頭が下がります。

そのようなコメントを綴ってくださるsatoさんにこちらこそ頭が下がります

>土曜日に生杉から若丹国境稜線に向かわれるご予定だったのですね。

そうなんです。若丹国境尾根のrepをupするにはこの山行のrepからupする理由があったのです。

>乗り換えの梅ノ木で乗るはずだったバスを見つめる山猫さんのお顔を想像しました。

さぞかし情けない顔をしていたことと思います。 :(

>頭の中の切り替えの早さはさすが山猫さんですね。
でも9時からお昼過ぎまでの行程で、桑野橋から蛇谷ヶ峰~横谷峠~畑が浮かぶとはびっくりです。


日曜日に予定していた山行を繰り上げただけです・・・それしか思い浮かばなかったのです。

>谷への斜面のトラバース道はコアジサイの道ですね。私は、今年は6月のちょうど花が咲き始めたころに辿りました。

丁度、いい時期に訪れることが出来たかと思います。
そういえば細川尾根のsatoさんとお遭いしたあたりも無雪期はコアジサイが一面に広がるところですね。あの辺もこの時期はとても美しいのではないだろうか・・・と尾根の情景を想い描きながら歩いておりました。

>谷に降り立ち、カツラの木と対面した時の胸の高まりは、何度訪れても弱まることはありません。
訪れるごとにより強くこころに響くような感じもします。


私がこの日にカツラを谷を訪れたことで、家内がここを訪れる機会が先送りになってしまいましたが、近々に家内を伴って再訪することになると思います。

>山頂では白山を望めたのですね。蛇谷の女神さまが微笑んでくださったのですね。

怪我の功名かもしれません。 :D

>ここから二ノ谷の右岸尾根を下られたのですね。私は登ったことがあります。
目に留まった小さな尾根や谷を辿るのは楽しいですね。

蛇谷ヶ峰は登る度に全く違った魅力を発見します。秘めた魅力に富む山なのでしょうね。

>そして、小さな風景の中の煌めきに出会った時の歓びはひとしおですね。
三の谷の小さな輝きを山猫さんは味わわれたのですね。
「別天地」は多くの人が行き交う道のすぐ隣に、そっと息を潜めて佇んでいるのですね。


御意です。この三ノ谷の風景に出会った喜びは一方ならぬものでした。
これも怪我の巧妙なのでしょうね。

>岩籠山から乗鞍岳の縦走は、数年前の初夏の一日、日頃より学ばせていただいているKさんと、
    駄口から登って国境に下りました。そして車道を歩き駄口に戻りました。


凄すぎる!国境から駄口まで歩いて戻るなどと、そのような可能性は微塵たりとも思い浮かびませんでした。
Kさんに脱帽です。

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