【 日 付 】9月15日(土)
【 山 域 】奥美濃
【メンバー】単独
【 天 候 】雨のち曇りのち晴れ
【 ルート 】南越前市広野 丸太橋→ロボットピーク→すごすご・・・→泪橋
ロボピークと夏小屋丸の鞍部から励谷を下降し、不動、千回沢までピストンし、ゴヨクラもしくはハゲン谷でツェルト泊後、翌日のお昼には帰還が当初の予定だった。
そのために、ロープと地下足袋を用意し、家を出る時の気持ちは鬼にカナブン だったが、敗退となり使えずじまいで、猫に小判鮫、豚に真珠湾攻撃になってしまった。
14日登り口にて前泊。
夜半からの雨が車の屋根を叩き続け、頭の中で杞憂が始まる。
明日は足場心配だな。
スベルのは学生時代から慣れてはいるが、谷筋の滑りは命に直結する。
親父の地下足袋を借りてきたが、使うのは初めて。
ロープを持ってきたが、こちらも使ったことがない。
恥ずかしい話、エイト環、カラビナ、ハーネスがあって初めて安全な下降ができるというロープの使い方を知ったのは昨日(図書館で借りてきた沢登の本に書いてあった)。
この4点セットの内、自宅にあったのはロープだけ。
見知らぬ沢は同じだが、真の谷や千回沢は遡行から入ったのに対し、今回はいきなり源頭部からの下降から始めなければならない。
鬼(滝)が出るか蛇(高巻き不可の岩場)が出るか…。
励谷に関する情報もゼロ。
藪ならどんな藪でも時間さえあれば切り抜ける自信があるが、沢については専門外だしなー。
気持ちの中が生来の弱気虫であふれかえってしまった
「尺進あって寸退なし」「赤子泣いても蓋とるな」の格言通り、現場での敵前逃亡は恥ずかしいことだと思っていたが、出発前夜からこの体たらくでは・・・。
まあ、しかし、明日になれば天気も回復し、気持ちも前向きになり、案ずるより産んでみなさい、ってなもんや三度笠
15日AM5時半
雨はあがったが、すっきりしない空模様。
降りさえしなければ良しとしようか。
出発。
今日はお泊まりだから、気楽。
日帰りの時みたいにビバークを心配して気が急くこともない。
残暑できつい登山を覚悟していたが、ブナの間を吹き抜ける風も涼しく登山日和。
この道をたどるのは、「笹ヶ峰」、「okuさんojiさん」、そして今回、つごう3度目。
道を見失うことはないが、体が重い。
普通30分の暖機運転でエンジンがかかってくるが今日はどうしちゃったんだろう。
笹の元気がよいのとあいまって、前進するスピードが自分でもわかるほど遅い。
前回より1時間ほど余分に時間をかけロボピーク到着。
・・・
何も見えない。
視距10mあるかないか。
笹ヶ峰、大河内山はおろか、源頭部降り口さえ分からない。
昨夜降った雨が水蒸気となり、美濃側から吹き上る風に次から次へと乗り、霧で辺り一面覆い尽くされている。
全く想定外の状況が目の前に・・・。
ロボピークからは、不動山を正面に、励谷が桂三枝よろしく「いらっしゃーーい。」と言って迎えてくれるはずだった。
ア、 アカンガナ山国立公園。
尾根専山登リストが専門外初谷下リストになるには、あまりにもリスキーな・・・。
全貌が見えぬなら、見えるまで待とうホトトギス。
しかし、見えない未知の谷は、人を寄せ付けない恐ろしい谷に思えてきて、奈落の底という言葉が思い浮かんだりする
時々瞬間芸で見せる霧晴れ時の谷は、穏やかな感じがしないでもない。
が、絶対間違いないと踏んでいた千回沢でも源頭部近くに5mの落差があったりして、シンプルな沢でも油断ならない。
1時間の間、トライするか、やめるか、気持ちの綱引き状態が続いた。
「このまま、晴れなければトライせずにすみ、言い訳ができる。」
と思った瞬間、自分自身に負けた己を悟った。
言い訳を考えているようでは退くべきだと思った。
既に、勝負に負けているから。
しこうしてKatupediaのページに敗退の文字が燦(惨)然と輝くことに相成った次第。
追記1
準備、実行、後始末。
山行で最も大事な3点セットの内、千回沢での後始末(総括)、今回の準備(心構え)が全くなっていなかった。
エイト環による制動、カラビナによる吊下がり具合などの試行など、やるべきことが何もされていなかった(前日に本で知るなど論外)。
真の谷も千回沢も頭の中で繰り返しシュミレーションを重ねて、当日怖さは全くと言っていいほど感じなかった。
しかし、今回は下降のイメージングをしなかった、というより情報がなさすぎて出来なかったので不安をぬぐい去れなかった。
戦う前に気持ちで敗れていた。
そう、小次郎破れたりである。
『五輪の書』にも書いてあったような気がする。
負けそうないやな予感がすることを「ム(サ)シの声が聞こえる」と・・・
追記2
「ハゲン谷はコゲン下降するばってん。ドゲンこつなかよ。」
と薩摩弁で、誰かレポあげてくれんとよ。
すぐ追いかけるばってん。
カッチャン
ロボピークと夏小屋丸の鞍部から励谷を下降し、不動、千回沢までピストンし、ゴヨクラもしくはハゲン谷でツェルト泊後、翌日のお昼には帰還が当初の予定だった。