人は彼を「超人」「異星人」と呼ぶ。
これは、普通のオジサンが彼の足跡をたどり、命からがら生還を果たした汗と涙の記録である。
【 日 付 】 平成24年5月26日(土)
【 山 域 】 不動山
【 天 候 】 晴れ
【 ルート 】 4:43丸太橋---7:23県境ジャンクションピーク(ロボットピーク)---8:08大河内山(1288)---9:46着床---沢歩き---10:07不動山南西尾根取付き---11:19手前のピーク---11:34不動山11:40---15:44県境ジャンクション(夏小屋丸(1294)付近)---16:19ロボピーク---18:50丸太橋
【メンバー】 単独
しかし、面が割れた後のレポの書きにくいことと言ったら…。
さて、気を取り直してっと。
今回の山行を言い表すのに「身の程知らず」と言うこともできるし、「命知らず」という言葉もある。
しかし、私は「最後のチャンス」という言葉に弱く、「火事場の馬鹿力」という言葉を信じている。
不動山。
千回沢山と並んで、激ヤブと人里遠く離れた奥深さによって日帰り山行は不可能に近い山と言われてきた。
その定説をあっさり覆す男が現れた。
そう、「スーパーokuチャン」こと、屈強なヤブの面々も一目置くokuさんである。
目から鱗のオリジナルルートを引っ提げて、不動山攻略をいとも簡単に成し遂げてしまったのである。
ここに、「風の中のすばる♪ 砂の中の銀河♪ みんな何処へ行った♪ 見送られることもなく♪」プロジェクトXのテーマ曲に乗って、一人の男が敢然と立ち上がった。
「同じヒト科ヒト属ではないか。」、「ヒト科ヒト属とoku科oku属の違いを生身で味わいたい。」という矛盾した思いを胸に。
人は彼を「KM(キワモノ、略してキモー)」と呼ぶ。
とはいえ、その大胆さ、無謀さ、いい加減さからは想像もつかない計算しつくされた緻密な計画がKMの頭の中にあった。
与えられた時間は、日の出日の入りまでの14時間半。
okuさんの消費時間は、鈴谷取水施設(二ツ屋導水施設)から登山口(丸太橋)までの自転車往復(30分+20分と想定)時間を差し引いて、実質11時間10分。
okuさんと同じルートをたどるには5割増の時間が必要であるというのが、我々一般人の共通認識。
したがって、16時間45分。
明らかな闇下である。
途中休憩、昼食休憩をはしょること(立ったまま、あるいは歩きながら(漕ぎながら?)の水分補給・行動食)で、16時間まで短縮。
まだ、闇下。
自ら、背水の陣を敷くこと(明日のオフ会には必ず出席しなければならないのでビバークは許されないという強い気持ちを持つこと)で、本気野生モード全開にして、1時間短縮させ15時間。
あと少し。
「テクマクマヤコン、鹿さんにな~れ」で、30分短縮させ、ついにタイムスケジュール完成。
天気良好、体調完璧、念願の夢達成は約束された。
この思いこみの強さも成功に欠かすべからざる大事な要素。
丸太橋を渡る。
この川は三途ではなく、この丸太こそ希望の架け橋になるのだ。(なるはず・・・。だったらいいな・・・。お願い神様。)
源平谷山からの尾根と合流するあたりで、本日第一回目のヤブ洗礼を受け、笹迷路に陥る。
かろうじて抜け出し、獣道をたどりやっとのことでロボットピーク到着。
不動山が姿を現す。 人は目標物が目に入ると俄然意欲がかきたてられる。ヤル気度5割増。
しかし、直後の大河内山までの激ヤブに5割のスタミナ減。イーブン。
大河内山から東尾根を下り始めてしばらくヤブが続くが、素晴らしいブナの原生林に触れてからはスタミナ回復+α。 着床地点は、北に振りすぎたため沢出会い(S字カーブの辺り。着床予定点としていた。)まで沢を下り、不動山側の沢に乗り換え、遡行する。沢は悪くないが、渡渉下手くそにより、ドボン、ボッチャン、靴の中ベッチャベチャで、スタミナ、気力減退。イーブン。
不動山への取り付きから尾根登り。
ヤブらしいヤブがなく、つつじに癒され、ブナ林で気力回復し、okuさんのコース選定に感謝。ヤル気度激増。
不動山手前のピーク到着。
おおっ、近くに烏帽子、高丸、三周が。この角度からはここにこれた人しか見れない。(当たり前田のクラッカール・ルイス。)イヒヒヒヒッ。
ほどなく不動山、三角点。今まさに夢にまで見た山のピークに立っているのだ。 okuさんのおかげ横丁。宇治橋から眺める五十鈴川の清らかな流れに心いやされるように(麻鈴音さんごめんなさい、引用しちゃいました。)、目の前にある三角点、山名プレート、手の届きそうな位置に見える千回沢山、ここからしか見ることができない奥美濃の山々の原風景などに癒され、元気はつらつオロナミンC1000武田。ウヒャヒャヒャヒャッ。
(ああ、こわれていく・・・。でも、それ以上に幸せ・・・。)
しかし、ゆっくりしている暇はない。
ここから県境ジャンクションまで、okuさんでも3時間を要した。
自分の力では、最大のパフォーマンスができたとしても、4時間以上は間違いなくかかる。
ロボピークへのアプローチ、登山口までの下りの際の道迷いを考えても日の入りギリギリ。
オオ、神ヨ♪我ヲ、救イ給へー♪
ここから4時間の激闘は、激烈を極め(密な灌木の波状攻撃、笹の協奏曲、蔦のカルテットなどなど)、烏帽子・高丸、左門岳から屏風山、猫ヶ洞から横山岳、過去に繰り広げられた数々の名(迷)勝負に勝るとも劣らない、強烈な記憶に刻みこまれるものであった。
(もう一度この稜線をたどれと言われたら、間違いなく全力で聞こえないふりをします。)
ロボピークからの下りでは、いまや恒例となった道迷い&トラバース移動もモリコミーの、計ったようにほぼ日の入りと時を同じくして丸太橋に。
我がSOC(救いようのないオッサンが乗るサイクリング車(ママチャリ))は、弾むような気持ちに共鳴するように、未舗装の林道をバウンドしながら、駐車地へと向かったのであった。
カッチャン
追伸
ふと、昔okuさんが林道を自転車で走っていた時、ヤブから突然現れた熊に追いかけられ振り切った(熊があきらめてヤブに戻った)後、自転車ごと吹っ飛んだレポを思い出し、思わずペダルをこぐスピードが上がっていました。
okuさんへ
復路プラス2案の残る一つは、不動山への登りルートを下り、二股出会いから励谷を詰め、源頭部に当たるロボピークへの直登ルートとみましたが、如何に?
長年の夢をかなえていただいてありがとうございました。m(^^)m
「同じヒト科ヒト属ではないか。」、「ヒト科ヒト属とoku科oku属の違いを生身で味わいたい。」という矛盾した思いを胸に。
