【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ一時雨
【 ルート】JR佐那具駅7:23 ---
早朝の伊賀盆地は濃い霧に包まれている。私の住む街から名阪国道を通って車で約1時間。JR関西本線の佐那具駅に車を置かせてもらう。今年12月末まで駅駐車場の利用料金が無料になっているのだ。
亀山発加茂行きの1両だけのマッチ箱ディーゼル機関車に乗り込む。通勤時間帯ということもあり,車内はそこそこ混んでいるが,座れないことはない。車窓の風景を見たいのだが,窓は両側ともカーテンがしっかり閉められている。毎日乗っている人達ばかりなので,車窓から見る風景には関心がないのだろう。
関西本線の亀山ー加茂間の1日あたりの利用者数は1000人を割り込んでいる。典型的な赤字経営ローカル路線である。走っている列車はすべて1両のみのワンマン列車。ノスタルジーと言われそうだが,私はこんなローカル路線が好きだし,できればこのまま存続してほしい。
伊賀上野駅で高校生やほとんどの乗客が降り,代わりにまた何人かの乗客が乗り込んできた。次の島ヶ原駅で降りたのは私一人。小さな駅舎の解説を読むと,ここに鉄道が解説されたのは明治30年。この駅舎はその頃からの駅舎ということなので,100年以上経っていることになる。 島ヶ原は大和街道の昔の宿場町だったのだろう。昔の雰囲気が濃く残るいい町だ。坂道を下って木津川べりに出,橋から対岸に渡る。東に向かって急坂を登っていく。与右衛門坂という大和街道の難所の一つらしい。街道脇の民家のたたずまいもいい。 舗装路を右に分け,左の地道に入っていく。「芭蕉の尻もち坂」というらしい。もちろん,昔,松尾芭蕉が通った時に急坂で尻もちをついたという伝承に基づいている。広葉樹の林から秋の日差しが注いで気持ちのいい道だ。 三本松池のほとりを過ぎ,地道を道なりに下って行くと三軒屋の集落。集落の入り口に芭蕉の句碑があった。
「春なれや名もなき山の薄霞」 この後は国道163号線に出,しばらく国道歩きである。結構交通量があり,大型トラックも多いので気を使う。国道を右に入り,伊賀上野の街に向かって歩いて行く。向こうに伊賀上野城が見える。木津川を渡って歩いて行くと,荒木又右衛門伝説で有名な鍵屋の辻。なにやら当たるなと思っていたら小雨が降りはじめた。 伊賀上野の街中に入っていく。街路が碁盤の目のように配置されているのは江戸時代からのものだろうか。ところどころ昔を偲ばせるような格子の家などもある。伊賀鉄道上野市駅の前を通って伊賀上野城に行く。平日なので人が少ない。近くの幼稚園児たちが保母の先生方に連れられて散歩に来ている。天守閣には以前も登ったので今回はパスしよう。石垣のほとりで一休み。 藤堂高虎は石垣作りの名人だったそうで,立派な石垣である。いつもの癖で,壁を見ると登れるかどうか考えてしまう。石の間がガバになっているので,登ることは登れそうだが,あんな高い石垣を登ると疲れそうだな。 街に戻り,ストークという伊賀上野の老舗洋食店でランチにする。予約していなかったが幸いに待つことなく席に着くことができた。味もまずまずで満足満足。
昼食後,伊賀の酒蔵「森喜酒造」がつくっている「妙の華」を買いに行く。残念ながら通常の純米酒「妙の華」は売り切れていたが,酒屋さんに勧められて「妙の華challenge90」というのを買った。「無農薬山田錦90%,きもと無濾過生原酒」という長い但し書きが付いている。酒米を10%だけ削って作った生酛作りの生原酒らしい。日本酒度+9.5,酸度2.0だって。こりゃたしかにチャレンジだろう。家に帰って飲んでみると,米の風味が強く残る,ガツンとくる面白い酒だった。こんな日本酒を作ろうとする酒蔵があるのが面白い。この酒蔵では「ルミ子の酒」が有名だが,こっちの方がずっといい。
6キロほど歩いて佐那具駅に戻る。帰りは長野峠経由で戻ることにし,途中で旧大山田村の老舗和菓子店「つばや」に寄って,名物の「背黒餅」を買う。こしあんが上品な甘さで美味しかった。今度近くを通ることがあったらまた買ってこよう。そのあと,「さるびの温泉」で今日の汗を流し,帰宅した。
今回は歩いた距離も短く,観光がてらの街道歩きだったが,こんな歩きも悪くない。人生,のんびり楽しくいこう。
このあたりは明治には国有化されていて古いですね。