【日付】 2020年10月15日(木)
【山域】 比良
【天気】 晴れ
【コース】 坊村~白滝谷~クルシ谷~左岸の小尾根~比良岳~白滝谷~森山岳
~長池~音羽池~夫婦滝~白滝谷登山道~坊村
流れの中にそっと足を入れる。
「よかった」
ネオプレーンの靴下の上まで潜ってもそれほど冷たさは感じない。
目の前の風景がぱぁっと明るくなる。
始まりの谷からあらたに始まる旅が、木々の葉の向こうから顔をのぞかせている。
先日、家の窓から、隣の空き地に生い茂ったススキの穂がさらさらと風にそよぐのを見ているうちに、
ざわざわとこころが揺れてきた。
さらさら、ざわざわ・・音は膨れ上がり、水の音を運んできた。頭の中に谷の情景が広がる。
逃げていく秋を前に水と戯れたい。訪れなければならない場所があると唐突に思った。
そして、今、初めてひとりで遡った谷、白滝谷に、私は立っているのだった。
それほど冷たくなくてよかったと思っても、10月半ばの水は冷たい。
上半身は濡らしたくないので、そろそろと流れを遡っていく。
あの時は、真夏で、「谷の中に、わたし、ただひとり」と、うれしくて、ばちゃばちゃと歩いていたなぁと思い出す。
少し勢いの失せた緑色の風景の中に、しんと立つカツラの木に目が留まる。
まだ葉は青いなぁと思ったら、さぁっと風が流れてきて、
秋は着々と進む、そして、気がつくと逃げているのだと呟き、
どこかに隠れていたまあるい黄色い葉を、遠い空の方へふわりふわりと舞い上がらせた。
風に飛ばされ、最初は戸惑いながら浮かんでいたちいさな葉は、陽光を浴び煌めき始めると、
しばらく秋の空を気持ちよさ気に泳ぎ、そして、十分楽しんだと、はらりと谷に舞い落ちた。
落ちた葉っぱのまわりには、同じように空を舞った無数の葉が散らばっていた。
くすんだ黄色い葉は、静かに過ぎていった秋を物語っていた。
時は移ろう。
しんみりとした気分になり、ふうっと宙を見た瞬間、ズルリと左足が滑り、おしりまで水に浸かってしまった。
以前とは違うのだ。気を付けなければならない。
二俣に着く。今日は、懐かしの谷から未知のクルシ谷へと進んでいく。ずっと気になっていた谷だ。
谷の入り口の岩壁とそこから流れ落ちる滝は、ここから先へは足を踏み入れるなといわんばかりの威圧感で私の前に立ち憚る。
どこから高巻こうか。地形図には左岸に破線がついているが、谷の両側をぐるりと見渡し、手前の小さな枝谷を登ることにする。
ガラガラした谷を少し登り、傾斜が緩くなったところで右にトラバースして尾根に乗る。
谷を見下ろすと傾斜がきつく、ロープを使わなければ下れない。
降りてしまい、この先また滝が現れ、行き詰ったら登り返せないかもと思い、下れるところを探しながら、尾根を進むことにする。
標高730メートル付近で、斜面に杣道を見つける。
辿っていくとすっと谷に降り、ほっとすると同時に拍子抜けし、そういう現金な自分に苦笑する。
思っていたよりも上流に出てしまったので、下流の様子を見に行く。
ナメと小滝の情景に、もうちょっと手前で降りていたらなぁと、また、身の丈をわきまえない思いが頭をもたげそうになり、さあ行こうと上を向く。
地図を見ていた時から、クルシ谷は、水量は多くないだろうと思っていたが、実際、控えめな流れだった。
高巻きを終えた後は、ナメ床やゴロゴロとした石の間をさらさらと水が流れ落ちる、こじんまりとした二次林の明るい谷の風景が続いていく。
標高790メートルの二俣を右に進む。そのすぐ先の三俣は、左は葛川越の道で、惹かれるものがあったが、
今日は、比良岳から生まれた水の最初の一滴を見ようと、入り口が倒木で塞がれた真ん中をとる。
少し進むと、ちょろちょろした流れになる。源は近いのかなと思っていると、倒木の山が現れ、先まで谷底が木々の枝で埋まっていた。
物語を描く私も、現実を目の前にする私も滑稽だ。
見上げた両岸の尾根は、秋のまっすぐな陽射しを受け、さんさんと輝いている。
最初の一滴はもっと上なのだろうが、殺伐とした光景を目の前に、もういいやと尾根に逃げることにする。
ここでも出会うであろう風景を想像してしまう。
色づき始めた自然林が頭に浮かび、右岸の尾根を登り始めるが、対岸のきりりとした尾根も気になり、やっぱり左岸の尾根にしようと谷に戻る。
木を掴みながら尾根に出ると、シャクナゲの林だった。
どこまで続くのだろうと、くねくねと曲がった幹や枝の間をくぐりながら、急こう配の痩せ尾根を登っていく。
途切れることなく続いていく、シャクナゲ林。5月に訪れていたら、どんな気持ちになったのだろう。
気が付くと、井上靖の「比良のシャクナゲ」の詩が頭の中に木霊している。
忘れ去られたような小さな尾根でひっそりと咲くシャクナゲの花がまぶたの裏に映し出される。
枝を握る手に力が入る。そして思う。
絶望と孤独に押しつぶされそうになった時、ピンク色に覆われたこの尾根に再び分け入るのだと。
でも、訪れることはないのだろうなと感じ、そう思えた自分にちょっと安心する。
山頂が近づき、尾根が広く緩やかになるとシャクナゲは姿を消していた。
すうっと、お気に入りの風景の中に入っていく。比良岳山頂だ。
何回か腰を下ろした石のうえに今日も座り、ぼんやりとブナの木々を眺める。
時計を見ると11時過ぎ。まだおなかは空いていない。
見上げた空は限りなく青く澄み渡り、足が動きたくてむずむずしてくる。
ここから一直線に森山岳に向かおう。
山を彷徨い、山に遊ぶ。
地図の中のちっちゃな一角には、なんて自由で面白く、美しくて味わい深い世界があるのだろう。
比良岳、森山岳、白滝山の三つの山に囲まれた地帯に足を踏み入れる度、しみじみと思う。
白滝谷に降り立つ三本並んだ小尾根の真ん中の尾根を下り、対岸の枝谷から右岸の尾根に乗り、森山岳へと登っていく。
この尾根も下部はシャクナゲが多かったが、鉄塔から先は快適な尾根道となった。
森山岳北東の台地に着く。ここでお昼を食べるのは何度目だろう。ゆっくりとパンをかじりながら武奈ヶ岳を眺める。
好きな場所の一期一会の風景を私の中に感じ、あと何枚積み重ねていくのかなと、まだ見ぬ風景に思いを巡らす。
ここからは尾根を登ったり下ったり、谷を覗いたり、彷徨いながら、彷徨ってしまいながら、ゆらりゆらりと音羽池へ近づいていく。
吸い込まれていきそうな秋の空の下の、色づき始めた広葉樹の森は、からりと明るく、
道中の窪地で見られる澄んだ水を湛えた池は、そんな美しい秋の一日の情景を、無言で水面に描いていた。
音羽池からは遠回りになるが、白滝谷に下り山腹道に入る。
風にそよぐススキを見ながら思い描いていたのだ。
今ある私が、初めてひとりで遡った白滝谷を見おろし、感慨に浸りながら下っている姿を。
ところが、以前この道を歩いた時の記憶にある、ところどころで見えたはずの谷はほとんど見えない。
あれ?と思っているうちに、クルシ谷出合いに着いてしまった。
比良の山に遊ばれた。クッと可笑しくなる。
始まりの谷を遡り、始まりの谷を下る山旅。それは、私を遡り、私に戻る旅。
ざわざわしたこころで描いた内省的な山旅は、ふたを開けてみると、何だか違っていて、笑いを含んでいた。
今日、比良の谷を歩き、比良の山を味わっている私がいる。それだけだったのだ。
私はこれからも、その時、その時の、今ある私の、今あるからだで、山に遊び、山に遊ばれていくのだろう。
うん、幸せな山人生よねと、頷きながら、行きより長く感じる林道をてくてくと下っていく。
sato
【比良】 比良に遊び、比良に遊ばれる 始まりの谷白滝谷から比良の山を巡る旅
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Re: 【比良】 比良に遊び、比良に遊ばれる 始まりの谷白滝谷から比良の山を巡る旅
satoさん こんばんは。
【日付】 2020年10月15日(木)
【山域】 比良
【天気】 晴れ
【コース】 坊村~白滝谷~クルシ谷~左岸の小尾根~比良岳~白滝谷~森山岳
~長池~音羽池~夫婦滝~白滝谷登山道~坊村
クルシ谷 行かれたんですか!?
そして、今、初めてひとりで遡った谷、白滝谷に、私は立っているのだった。
昔、ひとりで溯行したんですか~
不肖Sも2001ねんに一人で、2011年に3人で溯行してますが、女性一人の溯行者には出会ったことがないですね~
二俣に着く。今日は、懐かしの谷から未知のクルシ谷へと進んでいく。ずっと気になっていた谷だ。
谷の入り口の岩壁とそこから流れ落ちる滝は、ここから先へは足を踏み入れるなといわんばかりの威圧感で私の前に立ち憚る。
どこから高巻こうか。地形図には左岸に破線がついているが、谷の両側をぐるりと見渡し、手前の小さな枝谷を登ることにする。
ガラガラした谷を少し登り、傾斜が緩くなったところで右にトラバースして尾根に乗る。
谷を見下ろすと傾斜がきつく、ロープを使わなければ下れない。
降りてしまい、この先また滝が現れ、行き詰ったら登り返せないかもと思い、下れるところを探しながら、尾根を進むことにする。
お~ クルシ谷歩き通されたんですね?
出だしはこんな滝でしたよね?
10年前、比良専?だった頃、歩いた気もしますが、思い出せませんわ。
記録を見ると
viewtopic.php?f=4&t=418&sid=6474cd0cfc8 ... 26a475cd4e
で ヤブUPしてますが、中途委半端な登山道歩きでした。
地図を見ていた時から、クルシ谷は、水量は多くないだろうと思っていたが、実際、控えめな流れだった。
高巻きを終えた後は、ナメ床やゴロゴロとした石の間をさらさらと水が流れ落ちる、こじんまりとした二次林の明るい谷の風景が続いていく。
標高790メートルの二俣を右に進む。そのすぐ先の三俣は、左は葛川越の道で、惹かれるものがあったが、
今日は、比良岳から生まれた水の最初の一滴を見ようと、入り口が倒木で塞がれた真ん中をとる。
少し進むと、ちょろちょろした流れになる。源は近いのかなと思っていると、倒木の山が現れ、先まで谷底が木々の枝で埋まっていた。
葛川越えもこの頃、歩きましたが、ほとんど記憶に残ってません。
でも、rep読んでて懐かしく感じましたね~
物語を描く私も、現実を目の前にする私も滑稽だ。
一人の時は あり 有り ですね。
木を掴みながら尾根に出ると、シャクナゲの林だった。
どこまで続くのだろうと、くねくねと曲がった幹や枝の間をくぐりながら、急こう配の痩せ尾根を登っていく。
途切れることなく続いていく、シャクナゲ林。
最近では一番ヤブコギらしいことをひとりでしてたんですね。
すうっと、お気に入りの風景の中に入っていく。比良岳山頂だ。
ここから一直線に森山岳に向かおう。
山を彷徨い、山に遊ぶ。
比良岳、森山岳、白滝山の三つの山に囲まれた地帯に足を踏み入れる度、しみじみと思う。
白滝谷に降り立つ三本並んだ小尾根の真ん中の尾根を下り、対岸の枝谷から右岸の尾根に乗り、森山岳へと登っていく。
この尾根も下部はシャクナゲが多かったが、鉄塔から先は快適な尾根道となった。
森山岳北東の台地に着く。ここでお昼を食べるのは何度目だろう。ゆっくりとパンをかじりながら武奈ヶ岳を眺める。
好きな場所の一期一会の風景を私の中に感じ、あと何枚積み重ねていくのかなと、まだ見ぬ風景に思いを巡らす。
ここからは尾根を登ったり下ったり、谷を覗いたり、彷徨いながら、彷徨ってしまいながら、ゆらりゆらりと音羽池へ近づいていく。
吸い込まれていきそうな秋の空の下の、色づき始めた広葉樹の森は、からりと明るく、
道中の窪地で見られる澄んだ水を湛えた池は、そんな美しい秋の一日の情景を、無言で水面に描いていた。
音羽池からは遠回りになるが、白滝谷に下り山腹道に入る。
風にそよぐススキを見ながら思い描いていたのだ。
今ある私が、初めてひとりで遡った白滝谷を見おろし、感慨に浸りながら下っている姿を。
ところが、以前この道を歩いた時の記憶にある、ところどころで見えたはずの谷はほとんど見えない。
あれ?と思っているうちに、クルシ谷出合いに着いてしまった。
たくさん歩かれましたね。
不肖Sのゆうに2日分ですな・・・
始まりの谷を遡り、始まりの谷を下る山旅。それは、私を遡り、私に戻る旅。
ざわざわしたこころで描いた内省的な山旅は、ふたを開けてみると、何だか違っていて、笑いを含んでいた。
今日、比良の谷を歩き、比良の山を味わっている私がいる。それだけだったのだ。
私はこれからも、その時、その時の、今ある私の、今あるからだで、山に遊び、山に遊ばれていくのだろう。
うん、幸せな山人生よねと、頷きながら、行きより長く感じる林道をてくてくと下っていく。
ホームの山と渓はいいですね。
歩いていると色々想いはめぐりますが、この身、山にあることがしあわせなんでしよう。
SHIGEKI
【日付】 2020年10月15日(木)
【山域】 比良
【天気】 晴れ
【コース】 坊村~白滝谷~クルシ谷~左岸の小尾根~比良岳~白滝谷~森山岳
~長池~音羽池~夫婦滝~白滝谷登山道~坊村
クルシ谷 行かれたんですか!?
そして、今、初めてひとりで遡った谷、白滝谷に、私は立っているのだった。
昔、ひとりで溯行したんですか~
不肖Sも2001ねんに一人で、2011年に3人で溯行してますが、女性一人の溯行者には出会ったことがないですね~
二俣に着く。今日は、懐かしの谷から未知のクルシ谷へと進んでいく。ずっと気になっていた谷だ。
谷の入り口の岩壁とそこから流れ落ちる滝は、ここから先へは足を踏み入れるなといわんばかりの威圧感で私の前に立ち憚る。
どこから高巻こうか。地形図には左岸に破線がついているが、谷の両側をぐるりと見渡し、手前の小さな枝谷を登ることにする。
ガラガラした谷を少し登り、傾斜が緩くなったところで右にトラバースして尾根に乗る。
谷を見下ろすと傾斜がきつく、ロープを使わなければ下れない。
降りてしまい、この先また滝が現れ、行き詰ったら登り返せないかもと思い、下れるところを探しながら、尾根を進むことにする。
お~ クルシ谷歩き通されたんですね?
出だしはこんな滝でしたよね?
10年前、比良専?だった頃、歩いた気もしますが、思い出せませんわ。
記録を見ると
viewtopic.php?f=4&t=418&sid=6474cd0cfc8 ... 26a475cd4e
で ヤブUPしてますが、中途委半端な登山道歩きでした。
地図を見ていた時から、クルシ谷は、水量は多くないだろうと思っていたが、実際、控えめな流れだった。
高巻きを終えた後は、ナメ床やゴロゴロとした石の間をさらさらと水が流れ落ちる、こじんまりとした二次林の明るい谷の風景が続いていく。
標高790メートルの二俣を右に進む。そのすぐ先の三俣は、左は葛川越の道で、惹かれるものがあったが、
今日は、比良岳から生まれた水の最初の一滴を見ようと、入り口が倒木で塞がれた真ん中をとる。
少し進むと、ちょろちょろした流れになる。源は近いのかなと思っていると、倒木の山が現れ、先まで谷底が木々の枝で埋まっていた。
葛川越えもこの頃、歩きましたが、ほとんど記憶に残ってません。
でも、rep読んでて懐かしく感じましたね~
物語を描く私も、現実を目の前にする私も滑稽だ。
一人の時は あり 有り ですね。
木を掴みながら尾根に出ると、シャクナゲの林だった。
どこまで続くのだろうと、くねくねと曲がった幹や枝の間をくぐりながら、急こう配の痩せ尾根を登っていく。
途切れることなく続いていく、シャクナゲ林。
最近では一番ヤブコギらしいことをひとりでしてたんですね。
すうっと、お気に入りの風景の中に入っていく。比良岳山頂だ。
ここから一直線に森山岳に向かおう。
山を彷徨い、山に遊ぶ。
比良岳、森山岳、白滝山の三つの山に囲まれた地帯に足を踏み入れる度、しみじみと思う。
白滝谷に降り立つ三本並んだ小尾根の真ん中の尾根を下り、対岸の枝谷から右岸の尾根に乗り、森山岳へと登っていく。
この尾根も下部はシャクナゲが多かったが、鉄塔から先は快適な尾根道となった。
森山岳北東の台地に着く。ここでお昼を食べるのは何度目だろう。ゆっくりとパンをかじりながら武奈ヶ岳を眺める。
好きな場所の一期一会の風景を私の中に感じ、あと何枚積み重ねていくのかなと、まだ見ぬ風景に思いを巡らす。
ここからは尾根を登ったり下ったり、谷を覗いたり、彷徨いながら、彷徨ってしまいながら、ゆらりゆらりと音羽池へ近づいていく。
吸い込まれていきそうな秋の空の下の、色づき始めた広葉樹の森は、からりと明るく、
道中の窪地で見られる澄んだ水を湛えた池は、そんな美しい秋の一日の情景を、無言で水面に描いていた。
音羽池からは遠回りになるが、白滝谷に下り山腹道に入る。
風にそよぐススキを見ながら思い描いていたのだ。
今ある私が、初めてひとりで遡った白滝谷を見おろし、感慨に浸りながら下っている姿を。
ところが、以前この道を歩いた時の記憶にある、ところどころで見えたはずの谷はほとんど見えない。
あれ?と思っているうちに、クルシ谷出合いに着いてしまった。
たくさん歩かれましたね。
不肖Sのゆうに2日分ですな・・・
始まりの谷を遡り、始まりの谷を下る山旅。それは、私を遡り、私に戻る旅。
ざわざわしたこころで描いた内省的な山旅は、ふたを開けてみると、何だか違っていて、笑いを含んでいた。
今日、比良の谷を歩き、比良の山を味わっている私がいる。それだけだったのだ。
私はこれからも、その時、その時の、今ある私の、今あるからだで、山に遊び、山に遊ばれていくのだろう。
うん、幸せな山人生よねと、頷きながら、行きより長く感じる林道をてくてくと下っていく。
ホームの山と渓はいいですね。
歩いていると色々想いはめぐりますが、この身、山にあることがしあわせなんでしよう。
SHIGEKI
Re: 【比良】 比良に遊び、比良に遊ばれる 始まりの谷白滝谷から比良の山を巡る旅
SHIGEKIさま
こんばんは。
コメントありがとうございます。「白滝谷から擂鉢山」レポも楽しく読ませていただきました。
SHIGEKIさんは、白滝谷を木戸峠まで遡られたのですね。わたしは夫婦滝で谷から離れてしまいました。
比良岳西尾根を登り、烏谷山、擂鉢山、牛コバと、SHIGEKIさんの辿られたコースのショートカットコースでした。
膝の調子が悪い中の山旅だったのですね。
そうなんだぁと読み進みましたが、最後の一文、メンバーの方々のコメントを読んだ後に、読み返すと、
その時のSHIGEKIさんの心中を思ったりして、しんみりしてしまいました。ちょっと、わたしと重なったり。
ひとりで遡行するようになったのは、山日和さんの「オグロ谷から峰床山」のコメントにも書きましたが、
「渓谷」という本に出会ったことが大きいです。わたしの沢山旅のテーマが描かれました。
というとかっこいい?生意気?ですが、実際は、おろおろしながら、ちっちゃな谷を遡っていただけです。
SHIGEKIさんも比良の山に通われていた時期があったのですね。
わたしも、比良のひとつひとつの尾根と谷を辿りたいという夢があります。
遡行の方は、3年前、怪我をしてからは、中断というか、諦めました。怪我をしたのも比良の谷です。
左足首が右足の半分くらいしか曲がらない状態なので、昨年の春までは、沢登り自体も諦めていました。
でも、この状態でも、再び沢を味わえるようになり、今シーズンが終わりに近づき、閉じ込めていた、
わたしのちいさな沢山旅への想いがぬくっと湧き出てしまい、
始まりの谷白滝谷と、いつかと思っていたクルシ谷が浮かび上がりました。
SHIGEKIさんの写真、そうです。クルシ谷の入り口の滝です。
葛川越えの道は、クルシ谷の入り口から入ったのではなくて、
白滝谷の最初の枝谷を過ぎたところにかかる橋の手前から山腹を登っていき(地理院地図に途中まで破線があります)、
標高790メートルの二俣の少し手前で谷に入ったようですね。
びわ湖側は、荒れてはいるものの歩かれていますが、朽木側は、訪れる人は滅多にいないのではと思います。
クルシ谷は最初の滝から上流は穏やかな流れです。岸も広いので登山靴でも歩けます。
比良岳に着き上がる谷は、水がほとんど無くなると、倒木と枝で覆われた風景になってしまったので、
最後までは詰めず、尾根に逃げてしまいました。
「歩いていると、色々思いは巡る・・この身、山にあることがしあわせ・・・」
ほんとうに、そうですね。
「ホームの山と渓」があるしあわせもしみじみと感じます。
おととし、比良の山の登山道を歩きなおしていたのですが、わたしには、比良の山があるから大丈夫って思いました。
sato
こんばんは。
コメントありがとうございます。「白滝谷から擂鉢山」レポも楽しく読ませていただきました。
SHIGEKIさんは、白滝谷を木戸峠まで遡られたのですね。わたしは夫婦滝で谷から離れてしまいました。
比良岳西尾根を登り、烏谷山、擂鉢山、牛コバと、SHIGEKIさんの辿られたコースのショートカットコースでした。
膝の調子が悪い中の山旅だったのですね。
そうなんだぁと読み進みましたが、最後の一文、メンバーの方々のコメントを読んだ後に、読み返すと、
その時のSHIGEKIさんの心中を思ったりして、しんみりしてしまいました。ちょっと、わたしと重なったり。
ひとりで遡行するようになったのは、山日和さんの「オグロ谷から峰床山」のコメントにも書きましたが、
「渓谷」という本に出会ったことが大きいです。わたしの沢山旅のテーマが描かれました。
というとかっこいい?生意気?ですが、実際は、おろおろしながら、ちっちゃな谷を遡っていただけです。
SHIGEKIさんも比良の山に通われていた時期があったのですね。
わたしも、比良のひとつひとつの尾根と谷を辿りたいという夢があります。
遡行の方は、3年前、怪我をしてからは、中断というか、諦めました。怪我をしたのも比良の谷です。
左足首が右足の半分くらいしか曲がらない状態なので、昨年の春までは、沢登り自体も諦めていました。
でも、この状態でも、再び沢を味わえるようになり、今シーズンが終わりに近づき、閉じ込めていた、
わたしのちいさな沢山旅への想いがぬくっと湧き出てしまい、
始まりの谷白滝谷と、いつかと思っていたクルシ谷が浮かび上がりました。
SHIGEKIさんの写真、そうです。クルシ谷の入り口の滝です。
葛川越えの道は、クルシ谷の入り口から入ったのではなくて、
白滝谷の最初の枝谷を過ぎたところにかかる橋の手前から山腹を登っていき(地理院地図に途中まで破線があります)、
標高790メートルの二俣の少し手前で谷に入ったようですね。
びわ湖側は、荒れてはいるものの歩かれていますが、朽木側は、訪れる人は滅多にいないのではと思います。
クルシ谷は最初の滝から上流は穏やかな流れです。岸も広いので登山靴でも歩けます。
比良岳に着き上がる谷は、水がほとんど無くなると、倒木と枝で覆われた風景になってしまったので、
最後までは詰めず、尾根に逃げてしまいました。
「歩いていると、色々思いは巡る・・この身、山にあることがしあわせ・・・」
ほんとうに、そうですね。
「ホームの山と渓」があるしあわせもしみじみと感じます。
おととし、比良の山の登山道を歩きなおしていたのですが、わたしには、比良の山があるから大丈夫って思いました。
sato
-
- 記事: 539
- 登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39
- お住まい: 京都市左京区
Re: 【比良】 比良に遊び、比良に遊ばれる 始まりの谷白滝谷から比良の山を巡る旅
satoさん こんばんは
>先日、家の窓から、隣の空き地に生い茂ったススキの穂がさらさらと風にそよぐのを見ているうちに、
ざわざわとこころが揺れてきた。
さらさら、ざわざわ・・音は膨れ上がり、水の音を運んできた。頭の中に谷の情景が広がる。
逃げていく秋を前に水と戯れたい。訪れなければならない場所があると唐突に思った。
これから秋の紅葉の季節がたけなわとなるところ、逃げていくという表現に驚かれる人も少なからずおられるのではないかと思います。私もその一人でした。
よくよく考えてみるとこれから目にする錦繍の山肌は足早にクライマックスへと向かう物語の最終章なのでしょうね。胸騒ぎのごとく揺れるススキの穂やいつしか冷たさを感じる水の流れにsatoさんの鋭敏な感性は足音を忍ばせて逃げてゆく秋をいち早く感じるのでしょう。
昨日、赤兎山から経ヶ岳にかけて縦走しておりましたが、雲の下に望む白山の斜面は既に雪化粧を纏い、赤兎山の雪を被った山頂湿原でミシミシと靴の下から聞こえる初冠雪の音を聞くと、もう既に秋はその終焉に向かって疾駆していることを痛感いたします。
>少し勢いの失せた緑色の風景の中に、しんと立つカツラの木に目が留まる。
白滝谷に入ったところはいつもは透明でありながらも湿潤した濃厚な緑の空気が流れるところ。
でもその緑は勢いを失っていましたね。違和感を感じて、樹々を見上げると樹冠では黄葉が始まっていました。
satoさんが歩かれた一週間後、先週の土曜日のことでした。
>二俣に着く。今日は、懐かしの谷から未知のクルシ谷へと進んでいく。ずっと気になっていた谷だ。
谷の入り口の岩壁とそこから流れ落ちる滝は、ここから先へは足を踏み入れるなといわんばかりの威圧感で私の前に立ち憚る。
>>出だしはこんな滝でしたよね?
布ヶ滝と呼ばれる滝らしいですが、滝に大きな落差を生む巨大な赤茶けた岩壁がまさにそのような威圧感を感じさせますね。
SHIGEKIさんのお写真でもわかりますが、滝の上段にさらに滝があるのがわかりますね。
蓮瀑帯となっていると聞きますが、私もこのクルシ谷をずっと気になっていました。
>手前の小さな枝谷を登ることにする。
ガラガラした谷を少し登り、傾斜が緩くなったところで右にトラバースして尾根に乗る。
滝の左側の白石谷ですよね。布ヶ滝の手前には大きな岩が滝下にたどり着くのを邪魔しているので、以前、滝下にたどり着くのに白石谷を登ってからトラバースしました。ちなみに先週は左岸をトラバースして滝下にたどり着きました。
おそらくSHIGEKIさんが訪れた時には滝下にこんなに流木はなかったことと思いますが、この流木、見るたびに取り払いたくなるのです。
>そのすぐ先の三俣は、左は葛川越の道で、惹かれるものがあったが、
今日は、比良岳から生まれた水の最初の一滴を見ようと、入り口が倒木で塞がれた真ん中をとる。
ここは葛川越の道が辿る谷のさらに左側にも地図で記されている谷がありますね。どの谷も辿ることが出来そうな気がして、その先はどうなっているのだろうと惹かれるものがありましたが、satoさんが辿った谷を辿るのは諦めることに致しました。:mrgreen:
satoさんが辿られた谷を改めて私も覗いてみました。
>物語を描く私も、現実を目の前にする私も滑稽だ。
>>一人の時は あり 有り ですね。
一人の時でなくとも・・・私の山行でも、先日のヒルに怯んだ伊吹山の谷にしても、雨風に祟られた台高でのテン泊でも・・・
いや、冷静に振り返ってみると、いつもかも・・・
登山という行為に多かれ少なかれ自己満足を追求する側面がある以上、これは逃れられない宿命ですね。
>色づき始めた自然林が頭に浮かび、右岸の尾根を登り始めるが、対岸のきりりとした尾根も気になり、やっぱり左岸の尾根にしようと谷に戻る。
敢えて自然林の尾根を諦めて、急峻な左岸尾根を選択するとは
>すうっと、お気に入りの風景の中に入っていく。比良岳山頂だ。
確かにこの尾根は比良岳の北側の好展望地に出ますね。私もここからの武奈ヶ岳の眺望がとても好きです。
>地図の中のちっちゃな一角には、なんて自由で面白く、美しくて味わい深い世界があるのだろう。
比良岳、森山岳、白滝山の三つの山に囲まれた地帯に足を踏み入れる度、しみじみと思う。
実に味わい深くて、そしてガイドブックには記されていない世界がありますよね。
いつ訪れても違った煌めきを発見することになりますね。
>対岸の枝谷から右岸の尾根に乗り、森山岳へと登っていく。
この尾根も下部はシャクナゲが多かったが、鉄塔から先は快適な尾根道となった。
シャガ谷の左岸に相当する尾根、森山岳北東の好展望の台地にダイレクトに登る尾根でしょうか?
鉄塔から先の下生えの少ない山毛欅の樹林の快適さは目を瞠るものがありますが、この尾根の下部のシャクナゲの藪には辟易しました。とはいえ、このあたりの尾根はどれもそんな感じなのでしょうが。
>ここからは尾根を登ったり下ったり、谷を覗いたり、彷徨いながら、彷徨ってしまいながら、ゆらりゆらりと音羽池へ近づいていく。
吸い込まれていきそうな秋の空の下の、色づき始めた広葉樹の森は、からりと明るく、
道中の窪地で見られる澄んだ水を湛えた池は、そんな美しい秋の一日の情景を、無言で水面に描いていた。
羨ましい限り・・・先週は時間がなくて、訪れることを断念しました。少なくとも足早に通り過ぎてしまうにはあまりにも勿体ない場所に思えるので・・・
私も両手では数え切れないほど彷徨った場所ですが、この迷宮のような、入り組んだ丘陵の複雑な襞の中を気の向くままに歩いているつもりが、自分の意思ではなく、山に誘われるかのように、あるいは翻弄されるかのような気がして、
>うん、幸せな山人生よねと、頷きながら、行きより長く感じる林道をてくてくと下っていく。
satoさんの幸せな山人生には遥かに及ばないものの、少なくともこういう場所が身近にあることによる幸せには共感せずにはいられません。
ちなみに私はヘッデンをつけて足元を確認しながら下ったせいもありますが、行きより下がはるかに長くなりました。
>先日、家の窓から、隣の空き地に生い茂ったススキの穂がさらさらと風にそよぐのを見ているうちに、
ざわざわとこころが揺れてきた。
さらさら、ざわざわ・・音は膨れ上がり、水の音を運んできた。頭の中に谷の情景が広がる。
逃げていく秋を前に水と戯れたい。訪れなければならない場所があると唐突に思った。
これから秋の紅葉の季節がたけなわとなるところ、逃げていくという表現に驚かれる人も少なからずおられるのではないかと思います。私もその一人でした。
よくよく考えてみるとこれから目にする錦繍の山肌は足早にクライマックスへと向かう物語の最終章なのでしょうね。胸騒ぎのごとく揺れるススキの穂やいつしか冷たさを感じる水の流れにsatoさんの鋭敏な感性は足音を忍ばせて逃げてゆく秋をいち早く感じるのでしょう。
昨日、赤兎山から経ヶ岳にかけて縦走しておりましたが、雲の下に望む白山の斜面は既に雪化粧を纏い、赤兎山の雪を被った山頂湿原でミシミシと靴の下から聞こえる初冠雪の音を聞くと、もう既に秋はその終焉に向かって疾駆していることを痛感いたします。
>少し勢いの失せた緑色の風景の中に、しんと立つカツラの木に目が留まる。
白滝谷に入ったところはいつもは透明でありながらも湿潤した濃厚な緑の空気が流れるところ。
でもその緑は勢いを失っていましたね。違和感を感じて、樹々を見上げると樹冠では黄葉が始まっていました。
satoさんが歩かれた一週間後、先週の土曜日のことでした。
>二俣に着く。今日は、懐かしの谷から未知のクルシ谷へと進んでいく。ずっと気になっていた谷だ。
谷の入り口の岩壁とそこから流れ落ちる滝は、ここから先へは足を踏み入れるなといわんばかりの威圧感で私の前に立ち憚る。
>>出だしはこんな滝でしたよね?
布ヶ滝と呼ばれる滝らしいですが、滝に大きな落差を生む巨大な赤茶けた岩壁がまさにそのような威圧感を感じさせますね。
SHIGEKIさんのお写真でもわかりますが、滝の上段にさらに滝があるのがわかりますね。
蓮瀑帯となっていると聞きますが、私もこのクルシ谷をずっと気になっていました。
>手前の小さな枝谷を登ることにする。
ガラガラした谷を少し登り、傾斜が緩くなったところで右にトラバースして尾根に乗る。
滝の左側の白石谷ですよね。布ヶ滝の手前には大きな岩が滝下にたどり着くのを邪魔しているので、以前、滝下にたどり着くのに白石谷を登ってからトラバースしました。ちなみに先週は左岸をトラバースして滝下にたどり着きました。
おそらくSHIGEKIさんが訪れた時には滝下にこんなに流木はなかったことと思いますが、この流木、見るたびに取り払いたくなるのです。
>そのすぐ先の三俣は、左は葛川越の道で、惹かれるものがあったが、
今日は、比良岳から生まれた水の最初の一滴を見ようと、入り口が倒木で塞がれた真ん中をとる。
ここは葛川越の道が辿る谷のさらに左側にも地図で記されている谷がありますね。どの谷も辿ることが出来そうな気がして、その先はどうなっているのだろうと惹かれるものがありましたが、satoさんが辿った谷を辿るのは諦めることに致しました。:mrgreen:
satoさんが辿られた谷を改めて私も覗いてみました。
>物語を描く私も、現実を目の前にする私も滑稽だ。
>>一人の時は あり 有り ですね。
一人の時でなくとも・・・私の山行でも、先日のヒルに怯んだ伊吹山の谷にしても、雨風に祟られた台高でのテン泊でも・・・
いや、冷静に振り返ってみると、いつもかも・・・
登山という行為に多かれ少なかれ自己満足を追求する側面がある以上、これは逃れられない宿命ですね。
>色づき始めた自然林が頭に浮かび、右岸の尾根を登り始めるが、対岸のきりりとした尾根も気になり、やっぱり左岸の尾根にしようと谷に戻る。
敢えて自然林の尾根を諦めて、急峻な左岸尾根を選択するとは
>すうっと、お気に入りの風景の中に入っていく。比良岳山頂だ。
確かにこの尾根は比良岳の北側の好展望地に出ますね。私もここからの武奈ヶ岳の眺望がとても好きです。
>地図の中のちっちゃな一角には、なんて自由で面白く、美しくて味わい深い世界があるのだろう。
比良岳、森山岳、白滝山の三つの山に囲まれた地帯に足を踏み入れる度、しみじみと思う。
実に味わい深くて、そしてガイドブックには記されていない世界がありますよね。
いつ訪れても違った煌めきを発見することになりますね。
>対岸の枝谷から右岸の尾根に乗り、森山岳へと登っていく。
この尾根も下部はシャクナゲが多かったが、鉄塔から先は快適な尾根道となった。
シャガ谷の左岸に相当する尾根、森山岳北東の好展望の台地にダイレクトに登る尾根でしょうか?
鉄塔から先の下生えの少ない山毛欅の樹林の快適さは目を瞠るものがありますが、この尾根の下部のシャクナゲの藪には辟易しました。とはいえ、このあたりの尾根はどれもそんな感じなのでしょうが。
>ここからは尾根を登ったり下ったり、谷を覗いたり、彷徨いながら、彷徨ってしまいながら、ゆらりゆらりと音羽池へ近づいていく。
吸い込まれていきそうな秋の空の下の、色づき始めた広葉樹の森は、からりと明るく、
道中の窪地で見られる澄んだ水を湛えた池は、そんな美しい秋の一日の情景を、無言で水面に描いていた。
羨ましい限り・・・先週は時間がなくて、訪れることを断念しました。少なくとも足早に通り過ぎてしまうにはあまりにも勿体ない場所に思えるので・・・
私も両手では数え切れないほど彷徨った場所ですが、この迷宮のような、入り組んだ丘陵の複雑な襞の中を気の向くままに歩いているつもりが、自分の意思ではなく、山に誘われるかのように、あるいは翻弄されるかのような気がして、
>うん、幸せな山人生よねと、頷きながら、行きより長く感じる林道をてくてくと下っていく。
satoさんの幸せな山人生には遥かに及ばないものの、少なくともこういう場所が身近にあることによる幸せには共感せずにはいられません。
ちなみに私はヘッデンをつけて足元を確認しながら下ったせいもありますが、行きより下がはるかに長くなりました。
最後に編集したユーザー yamaneko0922 [ 2020年10月29日(木) 22:50 ], 累計 1 回
山猫
Re: 【比良】 比良に遊び、比良に遊ばれる 始まりの谷白滝谷から比良の山を巡る旅
やまねこさま
こんにちは。
コメントありがとうございます。やまねこさんの言葉は音楽を感じますね。
土曜日、比良の山を日没後に下り、日曜日には、赤兎山から経ヶ岳にかけて歩かれたのですか。
頭の中がえっ??となりました。山域が随分離れているのですが・・・。
赤兎山の初冠雪を踏まれたのですね。初冠雪の山を思うと、きゅっと胸が熱くなります。白山は雪でしたか。
わたしは、朽木の山で行われた、とちのき観察会に参加していたのですが、
お昼の休憩の時、ふと見上げた澄みきった青空の向こうに、白く輝く白山を想い描いていたのでした。
土曜日はクルシ谷を遡り、葛川越の埋もれた道を辿られたのでしょうか。
5枚目の写真の場所はどちらでしょうか。
一日の最後の光が、やまねこさんが出会った逃げゆく秋を包み込み、暫しの間、留まらせているような情景。
「錦繍の山肌は足早にクライマックスへと向かう物語の最終章」
そうかもしれませんね。
あるいは、冬への序章。煌びやかに、燃える秋。でも、その影には、冬の音、冬の匂いを含んでいる。
わたしも白滝谷を訪れると、布ヶ滝(と呼ばれているのですね)の滝の下までいき、なんて不思議な滝なのだろうと眺めていました。
15日も、左岸から滝に近づき見上げました。でも、高巻きすると、大巻きになりそうな感じがして、右岸に戻りました。
「葛川越の道が辿る谷のさらに左側の谷」は標高790メートルの左俣ですね。
わたしも烏谷山に突き上げる谷と、気になりました。
ガラガラの谷だったので、辿っても、ちょっと進んだら、左岸の尾根に逃げてしまいそうですが。
そうなのです。困ったことに、痩せ尾根を見ると気になってしまうのです。
静謐を湛えた自然林の尾根や谷に魅了されているのですが、尖がった山、急峻な尾根に、こころが奪われます。
森山岳には、そうです、シャガ谷左岸の尾根を辿りました。
末端からではなく、少し谷を進み、斜面を登って尾根に乗りました。
やまねこさんは、両手では数えきれないほど、この一帯を彷徨われたのですね。
レポも投稿されていましたね。
やまねこさんの足あとを想像すると、色とりどりの糸で美しい刺繍が施されたような地図が頭の中に浮かび上がりました。
それは、わたしの描いた線とまた違うものでした。
「自分の意志ではなく、山に誘われるかのように、あるいは翻弄されるかのように」
彷徨う、彷徨ってしまう地には、万華鏡のような世界が展開するのですね。
滑稽な旅。
わたしも、あるがままの山に分け入り、あるがままの姿にぽかんとしたり、よろこんだり、
予想外の状況にあたふたしたり、ままならぬ自然を前におろおろしたり、ちいさな輝きに涙が出そうになったり・・・
滑稽な旅ばかり重ねています。
そして、そんな滑稽な旅の数々が、いとおしく大切な記憶となり、からだに刻まれ、今のわたしを構成しているのだなぁと感じます。
sato
こんにちは。
コメントありがとうございます。やまねこさんの言葉は音楽を感じますね。
土曜日、比良の山を日没後に下り、日曜日には、赤兎山から経ヶ岳にかけて歩かれたのですか。
頭の中がえっ??となりました。山域が随分離れているのですが・・・。
赤兎山の初冠雪を踏まれたのですね。初冠雪の山を思うと、きゅっと胸が熱くなります。白山は雪でしたか。
わたしは、朽木の山で行われた、とちのき観察会に参加していたのですが、
お昼の休憩の時、ふと見上げた澄みきった青空の向こうに、白く輝く白山を想い描いていたのでした。
土曜日はクルシ谷を遡り、葛川越の埋もれた道を辿られたのでしょうか。
5枚目の写真の場所はどちらでしょうか。
一日の最後の光が、やまねこさんが出会った逃げゆく秋を包み込み、暫しの間、留まらせているような情景。
「錦繍の山肌は足早にクライマックスへと向かう物語の最終章」
そうかもしれませんね。
あるいは、冬への序章。煌びやかに、燃える秋。でも、その影には、冬の音、冬の匂いを含んでいる。
わたしも白滝谷を訪れると、布ヶ滝(と呼ばれているのですね)の滝の下までいき、なんて不思議な滝なのだろうと眺めていました。
15日も、左岸から滝に近づき見上げました。でも、高巻きすると、大巻きになりそうな感じがして、右岸に戻りました。
「葛川越の道が辿る谷のさらに左側の谷」は標高790メートルの左俣ですね。
わたしも烏谷山に突き上げる谷と、気になりました。
ガラガラの谷だったので、辿っても、ちょっと進んだら、左岸の尾根に逃げてしまいそうですが。
そうなのです。困ったことに、痩せ尾根を見ると気になってしまうのです。
静謐を湛えた自然林の尾根や谷に魅了されているのですが、尖がった山、急峻な尾根に、こころが奪われます。
森山岳には、そうです、シャガ谷左岸の尾根を辿りました。
末端からではなく、少し谷を進み、斜面を登って尾根に乗りました。
やまねこさんは、両手では数えきれないほど、この一帯を彷徨われたのですね。
レポも投稿されていましたね。
やまねこさんの足あとを想像すると、色とりどりの糸で美しい刺繍が施されたような地図が頭の中に浮かび上がりました。
それは、わたしの描いた線とまた違うものでした。
「自分の意志ではなく、山に誘われるかのように、あるいは翻弄されるかのように」
彷徨う、彷徨ってしまう地には、万華鏡のような世界が展開するのですね。
滑稽な旅。
わたしも、あるがままの山に分け入り、あるがままの姿にぽかんとしたり、よろこんだり、
予想外の状況にあたふたしたり、ままならぬ自然を前におろおろしたり、ちいさな輝きに涙が出そうになったり・・・
滑稽な旅ばかり重ねています。
そして、そんな滑稽な旅の数々が、いとおしく大切な記憶となり、からだに刻まれ、今のわたしを構成しているのだなぁと感じます。
sato
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- 記事: 539
- 登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39
- お住まい: 京都市左京区
Re: 【比良】 比良に遊び、比良に遊ばれる 始まりの谷白滝谷から比良の山を巡る旅
satoさん レス返有難うございます。
>やまねこさんの言葉は音楽を感じますね。
残念ながらそういう話は聞いたことがありません。多くの人が同意しかねるのでは
>土曜日、比良の山を日没後に下り、日曜日には、赤兎山から経ヶ岳にかけて歩かれたのですか。
頭の中がえっ??となりました。山域が随分離れているのですが・・・。
その通りです。どこでもドアがなくても、車があれば可能です。
>土曜日はクルシ谷を遡り、葛川越の埋もれた道を辿られたのでしょうか。
説明不足で失礼しました、satoさんがSHIGEKIさんに説明しておられたように最初から葛川越の古道に入り比良岳にたどり着きました。
>5枚目の写真の場所はどちらでしょうか。
比良岳から下降したボウダラ谷です。その後、白滝谷を下ったのでした。
>森山岳には、そうです、シャガ谷左岸の尾根を辿りました。
末端からではなく、少し谷を進み、斜面を登って尾根に乗りました。
この尾根は末端からシャクナゲの藪が続きますので、それは正解ですね。
>彷徨ってしまう地には、万華鏡のような世界が展開するのですね。
よくよく考えると彷徨うことが出来るところというのはとても貴重ですね。
>やまねこさんの言葉は音楽を感じますね。
残念ながらそういう話は聞いたことがありません。多くの人が同意しかねるのでは
>土曜日、比良の山を日没後に下り、日曜日には、赤兎山から経ヶ岳にかけて歩かれたのですか。
頭の中がえっ??となりました。山域が随分離れているのですが・・・。
その通りです。どこでもドアがなくても、車があれば可能です。
>土曜日はクルシ谷を遡り、葛川越の埋もれた道を辿られたのでしょうか。
説明不足で失礼しました、satoさんがSHIGEKIさんに説明しておられたように最初から葛川越の古道に入り比良岳にたどり着きました。
>5枚目の写真の場所はどちらでしょうか。
比良岳から下降したボウダラ谷です。その後、白滝谷を下ったのでした。
>森山岳には、そうです、シャガ谷左岸の尾根を辿りました。
末端からではなく、少し谷を進み、斜面を登って尾根に乗りました。
この尾根は末端からシャクナゲの藪が続きますので、それは正解ですね。
>彷徨ってしまう地には、万華鏡のような世界が展開するのですね。
よくよく考えると彷徨うことが出来るところというのはとても貴重ですね。
山猫