【奥美濃】赤谷からタンド谷遡行…思わぬ達成感!

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兔夢
記事: 623
登録日時: 2011年2月24日(木) 23:12

【奥美濃】赤谷からタンド谷遡行…思わぬ達成感!

投稿記事 by 兔夢 »

2017年9月23~24日 
奥美濃 揖斐川支流赤谷~タンド谷 単独
DSCN1633.JPG
DSCN1633.JPG (37.98 KiB) 閲覧された回数 1098 回
出来れば不動山まで行くつもりだった計画は、
気力、体力がともなわず泊地からのピストンとなったものの、
険悪なゴルジュを往復した事で意外と達成感がある山行となった。

9月23日(土)曇り

赤谷出合駐車地7:00ー道谷出合8:10ー銚子滝9:20ー
タンド谷出合11:30~12:30ー800mテント泊地14:30

塚の才ノ谷橋を渡った空き地には先行の車が停まっていた。
その脇に車を入れていると持ち主が現われた。
「釣りですか?」と尋ねるとそうだという。
沢登りをしたいという意向を伝えると
流れに出来るだけ入らないという条件で了承していただいた。
その後の会話で近辺の谷の情報などを話すと気を良くしてくれたようだ。

釣り人を立てて出発は30分程遅らせた。
駐車地から踏跡を追って赤谷に下りる。
夕べ降ったという雨の所為か、水量は多いようだ。
深い渕も笹濁りで青色が曇っている。

釣り人と遡行者のスピード差は歴然としていて
イチン谷を過ぎた辺りで早くも追いついた。
「どうですか?」と問えば
「水量が多くて(ルアーの)ポイントに渡れないところがあって…」
と渋い顔。
「どうぞ、どんどん先に行って下さい」
とおっしゃるので遠慮なく先行。
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DSCN1429.JPG (33.84 KiB) 閲覧された回数 1098 回
道谷出合を過ぎると水量は落ち着く。
しかし、出発から何度となく繰り返す渡渉がつらい。
せめて晴ていればいいのだが予報に反して曇天が続く。

両岸がやや立ってくると深い渕の向こうに滝が見えた。
前方に立ちはだかるかのように見えるが
実は右岸の枝沢にかかっている。
さきほどの釣り人によれば「銚子滝」というらしい。
赤谷で最大の滝だ。
水量が多く以前赤谷を遡行した時(http://old.yabukogi.net/forum/wforum.cg ... read#22168)とは印象が随分違う。
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DSCN1456.JPG (34.97 KiB) 閲覧された回数 1098 回
ここからが今回の一番の核心部。
滝の前で右に曲がっていく沢は陰鬱なゴルジュを形成。
すぐに現われる岩壁に挟まれた深い渕
(百山百渓によれば「通らず」と呼ぶらしい)は来る者を拒んでいる。
ここをどう越えるかが今回のポイントだ。
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DSCN1459.JPG (33.02 KiB) 閲覧された回数 1098 回
右岸の壁にフィックスロープがあるが
沢泊装備でこんな急崖をよじ登る気にはならない。
渕の左脇から水の中へ入っていく。
水深はすぐに腰に至り胸に達する。
しばらく水中にあった足場もやがて届かなくなり
エイ、ヤ!と水中に身を投げる。
泳ごうと手足をばたつかせるもザックの浮力が強いのか
上手くバランスがとれない。
それでももがいて何とか渡りきった。
傍から見たら溺れているようにしか見えなかったであろう。

渡りきって渕を見ると片側の水流が激しいせいで
渕全体で渦を巻いていた。
あとで確認すると以前ここを越えたときより水量が多く水勢もある。
その所為で渦を巻いているようだ。
渡ったところは上流に向かって流れていた。
「泳いだ」というより押し流されてきた形だ。
ここを下る時は逆流になる。
下降時の事が心配になる。

難場を越えても息つく暇はない。
奥に控える怒濤の4m滝を巻く為に速い流れを渡渉。
巻きも草付きの急斜面があり気を抜けない。
ここを抜けてやっと少し緊張が解けた。
しかし、その後も深い渕や速い流れの渡渉が続く。
一ヶ所、以前巻いた覚えのない高巻きもあった。

左岸の枝沢(フナキ谷)を越えて
左に大きく曲がっていく辺りは広々として浅い瀬が続く。
ほっとする場所だが先ほどから天から落ちるものが川原を濡らす。
時折差す陽は長続きしない。

タンド谷が近づくと瀞場が現われた。
ここは見た目程の深さがなく歩いて越える。
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DSCN1488.JPG (37.96 KiB) 閲覧された回数 1098 回
タンド谷の出合は2mほどの滝がかかっていた。
ここで休憩。

滝を右から越えるとゴーロが続く。
これといって特徴のない沢はどこか懐かしい。
故郷の川に何かしら似ているからだろうか。

左右の樹林はナラ、ミズナラといったものが主体のようだ。
大木が見当たらないのは二次林という事だろうか。

中流域で大きく深い釜を持った小滝が現われた。
一旦、釜を渡って滝の左に取り付こうとしたが水深があり足が届かない。
引返して右の凹のところから越えていった。

沢筋には広い川原が多く見られる。
流木も豊富で幕営地には事欠かない。
しかし、明日の事を考えるとなるべく上流で泊まりたい。

空が大きく開けたところを越えると両岸が立ってくる。
2、3の滝は問題なく越えていく。
更にその先で両岸が立ち怪しいと思っていると
15m大滝が現われた。
滝芯に流木が立ち見た目をスポイルされているが
なかなか立派な滝だ。
左岸のルンゼから越えていく。
滝の右岸にはウロのある大木が立っていて目を引いた。
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DSCN1534.JPG (42.09 KiB) 閲覧された回数 1098 回
大滝を越えると770mの三俣だった。
この辺りでテン泊の予定だったが適地がない。
更に不動山に突き上げる左俣に進む。
すぐの4m滝を流木を使って越えたところに
調度ひと張り分の平があった。
あたりに流木も豊富だったのでここを泊地と決めツェルトを張った。

荷物を解くとどっと疲れが出てきて
何時も以上に身体の動きに切れがない。
焚火の準備も薪が豊富にあるにも拘らずはかどらない。
ここまでで思った以上に消耗したようだ。
この状態では不動山登頂は危うい。
モチベーションが下がる。

焚火をしながら夕飯を食べ7時半にはツェルトに潜り込んだ。
何時もよりかなり早い就寝となった。

9月24日(日)晴れ

泊地7:30ータンド谷出合9:30~10:00ー
銚子滝12:05~12:40ー道谷出合13:40ー
駐車地14:40

朝になっても身体の疲れは変わらない。
登頂へのモチベーションがあがらず、
ゆっくり起床しのんびり焚火を起して朝食を摂る。
すでにここからの引き返しを決意していた。
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DSCN1548.JPG (41.64 KiB) 閲覧された回数 1098 回
のんびり、といっても7時半には出発できた。
念のため往路ではしてなかったハーネスを締めた。

越えてきた滝は問題なく下りる事ができた。
15m大滝は登りとは反対のウロの大木が立つ右岸から下りた。
登りもこちらの方が良かったかもしれない。

快晴の空のもと、沢は昨日と違って見えた。
朝陽を浴びた樹林が清々しい。
水面もみずみずしく煌めく。
昨日、こんな中を登ってきたなら
モチベーションも落ちなかったかもしれない。

赤谷へ出てからも気分のいい下降が続いた。
青空を見ながら広く浅い瀬を踏んでいると、
思わず「気持ちいい!」と叫んでいた。
とは言っても険悪なゴルジュが優しく微笑んでくれるわけではない。

怒濤の飛沫をあげる4m滝を慎重に巻き下りると
「通らず」が横たわる。
見ればゆっくりと渦巻いていてやはり右は逆流となっている。
左は泡立つ激流で飛び込む気にならない。
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DSCN1624.JPG (39.34 KiB) 閲覧された回数 1098 回
ザックを浮き袋代わりに胸に抱え逆流に負けないように飛び込む。
やはりザックの浮力が勝り上手くバランスがとれないまま
手足をばたつかせる。
半分程いったところで逆流に負けた。
押し戻される途中、
なんとかフィックスロープの垂れ下がる棚によじ登った。
そして再度飛び込む。
岩をけったりしている内に
ホールドがある辺りまで進む事ができた。
ホールドを頼りに慎重に身体を運ぶと足場も出てきた。
これで何とか渡りきる事ができた。

渡りきった事で思わぬ達成感がわき起こってきた。
銚子滝の前に出た時は「come on !! 」と意味なく叫んでいた。
その後の下降は登りと同じように渡渉を繰り返す。
気の張りがとれその分、疲れを感じる。
水流に押されて倒されないようにしなければと言い聞かせて歩いた。

ほぼ思った時間に駐車地に辿り着いた。
しかし計画より時間がかかったている。
本流下降の想定が甘かったのだ。
これで不動山登頂が入っていたら駐車地に付く前に日没だったろう。

車で着替えをしていると塚林道から下りてくる車が後を絶たない。
この晴天に冠山方面はかなりの賑わいだったようだ。

最後に…

温泉でサウナに入る為に、コンタクトを眼鏡に替えておこうと
ザックから眼鏡ケースを取り出し開けてみると…

ない!
眼鏡がない!

そういえば…

今朝、出発前にコンタクトをはめた時、
傍らの石の上に眼鏡を置いたっけ…

うぅwww …やってしまったぁ~
誰か優しい方!とって来てぇ~

        兔夢
最後に編集したユーザー 兔夢 [ 2017年10月04日(水) 21:25 ], 累計 1 回
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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
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Re: 赤谷からタンド谷遡行…思わぬ達成感!

投稿記事 by 山日和 »

兔夢さん、こんばんは。
必ずタイトルに【山域】を入れて下さいよ。 :lol:

出来れば不動山まで行くつもりだった計画は、
気力、体力がともなわず泊地からのピストンとなったものの、
険悪なゴルジュを往復した事で意外と達成感がある山行となった。


そこまで行く気力がうらやましいです。少しは見習わんとなあ。

「釣りですか?」と尋ねるとそうだという。
沢登りをしたいという意向を伝えると
流れに出来るだけ入らないという条件で了承していただいた。


この場面。20年以上前に荷暮川の野々小屋谷で釣り師と一触即発になりかけたことを思い出しますわ。あの頃は人間ができてなかったんでしょう。

道谷出合を過ぎると水量は落ち着く。
しかし、出発から何度となく繰り返す渡渉がつらい。


こういう水量の多い平流歩きは苦手ですわ。 :oops:

渕の左脇から水の中へ入っていく。
水深はすぐに腰に至り胸に達する。
しばらく水中にあった足場もやがて届かなくなり
エイ、ヤ!と水中に身を投げる。
泳ごうと手足をばたつかせるもザックの浮力が強いのか
上手くバランスがとれない。
それでももがいて何とか渡りきった。
傍から見たら溺れているようにしか見えなかったであろう。


単独の時の思い切ったプレーは気を付けてちょうだいよ。
もう斎藤さんの時みたいな思いはしたくないですから。

荷物を解くとどっと疲れが出てきて
何時も以上に身体の動きに切れがない。
焚火の準備も薪が豊富にあるにも拘らずはかどらない。
ここまでで思った以上に消耗したようだ。
この状態では不動山登頂は危うい。
モチベーションが下がる。


その状況では登っても下りが辛すぎるでしょう。

朝になっても身体の疲れは変わらない。
登頂へのモチベーションがあがらず、
ゆっくり起床しのんびり焚火を起して朝食を摂る。
すでにここからの引き返しを決意していた。


気持ちが上がらない時はやめるのが正解です。
いいんじゃない?

快晴の空のもと、沢は昨日と違って見えた。
朝陽を浴びた樹林が清々しい。
水面もみずみずしく煌めく。
昨日、こんな中を登ってきたなら
モチベーションも落ちなかったかもしれない。


皮肉なものですねえ。でもよかったんじゃないですか。

ザックを浮き袋代わりに胸に抱え逆流に負けないように飛び込む。
やはりザックの浮力が勝り上手くバランスがとれないまま
手足をばたつかせる。
半分程いったところで逆流に負けた。
押し戻される途中、
なんとかフィックスロープの垂れ下がる棚によじ登った。
そして再度飛び込む。


帰路がただ引き返すだけじゃないところが厳しいですね。
ひとりでよくやりますわ。

ほぼ思った時間に駐車地に辿り着いた。
しかし計画より時間がかかったている。
本流下降の想定が甘かったのだ。
これで不動山登頂が入っていたら駐車地に付く前に日没だったろう。


闇沢下にならずによかったですなあ。 :D

今朝、出発前にコンタクトをはめた時、
傍らの石の上に眼鏡を置いたっけ…
うぅwww …やってしまったぁ~
誰か優しい方!とって来てぇ~


今度行ったらメガネをかけたクマと会えるかもね。
私もロープ、スリングと無くして、今度はレス返の相手まで間違える始末。
だんだん私の境地に近付いてきましたね~。 :mrgreen:

           山日和
兔夢
記事: 623
登録日時: 2011年2月24日(木) 23:12

Re: 【奥美濃】赤谷からタンド谷遡行…思わぬ達成感!

投稿記事 by 兔夢 »

DSCN1435.JPG
DSCN1435.JPG (35.84 KiB) 閲覧された回数 1012 回
山日和さん,こんばんは。
必ずタイトルに【山域】を入れて下さいよ。


忘れてました。すみません。

そこまで行く気力がうらやましいです。少しは見習わんとなあ。


この辺りは僕の中で空白地帯だったので前から行きたかったんです。
残るは中ツ又。

この場面。20年以上前に荷暮川の野々小屋谷で釣り師と一触即発になりかけたことを思い出しますわ。あの頃は人間ができてなかったんでしょう。


切れかける事はありますね。でもぶつからないようにして、こそっと大巻きしたりします。

こういう水量の多い平流歩きは苦手ですわ。


得意な人、少ないんじゃないですかね。でも、練習と思って、オイッチニ、オイッチニ!

単独の時の思い切ったプレーは気を付けてちょうだいよ。
もう斎藤さんの時みたいな思いはしたくないですから。


斉藤さんの事を言われると気が重くなります。
文章的には危ない臭いがしてますがそうならないように十分気をつけてますし、実力以上の事はしないようにしてます。

その状況では登っても下りが辛すぎるでしょう。


そう思ったので止めました。

気持ちが上がらない時はやめるのが正解です。
いいんじゃない?


そう思って止めたつもりなのですが、下山後、地図を見たりすると行けたんじゃないかなあ、なんて思ったりして。

帰路がただ引き返すだけじゃないところが厳しいですね。
ひとりでよくやりますわ。


時々、何かが憑依してきます。

闇沢下にならずによかったですなあ。


何が嫌って闇下が一番嫌です、山日和さんと違って。

今度行ったらメガネをかけたクマと会えるかもね。
私もロープ、スリングと無くして、今度はレス返の相手まで間違える始末。
だんだん私の境地に近付いてきましたね~。


今度行って、そのまま残っていたら面白いですけど無理ですねぇ。
ロープはまだないですがスリングは3本くらい無くしてます。
人をよく間違えます。
何でも、山日和越えする事は良いもんです!

             兔夢


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