【台高】望外の大滝越えてマブシ嶺で昼寝。+翁の足跡。
Posted: 2012年6月13日(水) 21:47
梅雨入りして最初の晴天の休日。梅雨の晴れ間はだいじに使いたい。
天気予報を見れば、台高北部はガスりそうだ。南下する方が良さそうだと、晴天が期待できそうな台高南部へと車を走らせた。
車窓から見る八町滝は、昨日雨で水量が豊富だ。その上の嘉茂助谷ノ頭を控えた稜線は、ガスが掛かってしまっている。
[attachment=4]マブシ嶺から_925.jpg[/attachment]
【 日 付 】2012年06月10日
【 山 域 】台高南部 尾鷲道、不動谷腰森谷、木組峠、マブシ嶺
【メンバー】zipp
【 天 候 】晴天
【 ルート 】《橡山林道からマブシ嶺》
08:15 栃山林道駐車地(970標高点の北あたり)--- 08:45 尾鷲道登山口(地蔵峠標識)--- 09:00 腰森谷--- 09:05~09:15 腰森谷左岸枝谷出合--- 10:20 稜線co1240m(木組峠東)--- 11:05 「一本木」標識--- 11:40~13:20 マブシ嶺三角点峰--- 14:05「一本木」標識--- 14:20~14:35 木組峠--- 14:55 木組峠東co1240--- 15:20 橡山林道終点--- 15:55~16:05 追分地蔵--- 16:20 駐車地
橡山林道は、先の尖った落石多く、バーストに気を付けながらの運転だ。
清五郎滝降り口を越えて入ってしまったが、降り口手前の広場に車を停めるのが賢明そうだ。
二ノ俣源流の男滝(オン滝、決してエアリア表記の「黒滝」ではない)は、一筋の白瀑となって落ち、大台ヶ原はガスに包まれてしまっている。しかし上空は真っ青な青空が広がり、新緑が眩い。その新緑の森からは、今年初めて聞くエゾハルゼミの鳴き声が響く。
崩壊した林道をテクテク。地蔵峠の標識越え、不動谷に架かる橋(西原橋)を越えて、不動谷支流の腰森谷に架かる橋が木組橋だ。この両橋名、稜線を越えた奈良県側の地名を付けるというのはどんなものなんだろうか?
この橋の袂が登山口なのだが、しばらく来ないうちに3種類ほどのマーキング付いてしまっていた。ラッカーのマーキングまであるが、これは止めてほしいものだ。青ビニテープ紐の主は、道を外してマーキングを付けてるが、間違えたところに付けたのは外すのがマナーだろうに。
しかし、よくもまぁこんなマイナールートを歩く人がいるもんだ。
新緑に包まれた谷は清々しく気持ち良い。
本流に小滝が掛かり、右から入る枝谷も小滝で合流している。小滝を左から巻く途中、その枝谷の奥に白瀑が掛かっているのを見て、出合上の岩でザックを降ろした。本谷の奥には7m程の滝が掛かっているところだ。
今日の予定は、マブシ嶺三角点をさらに北上した支稜上のピークだ。時間的にはギリギリで、道草をする余裕はない。けど……。
[attachment=3]大滝1_800.jpg[/attachment]
枝谷は、標高1000mで北から入る谷。地形図を見る限り、出合近くに滝が掛かってそうには思えない谷だ。
谷は、最初から廊下というか、岩溝状。浅い淵はへつって越え、奥には20m程の斜瀑だ。そしてその滝のさらに奥に白瀑が覗いていて驚いた。
20mは、下段を登り、上段は右から巻くと二俣。意外にも右俣も左俣もさらに斜瀑となって続いている。なんってこった!!
左俣を登る。足を濡らさすに、直登できてしまう。光谷大滝のミニチュア版のような滝だなと、光谷大滝に入ったこともないのに思ってしまう(^^;。
20m程あっただろうか、いったん中だるみとなり、さらに滝は続く。滝上の樹林にぽっかり空いた青空が呼んでいるようだ。
あとで地形図を見ると、二俣までに20mの滝があったことを勘案すれば、標高差90m近く滝が続いてることになる。腰森谷枝谷にこんな大滝があろうとは!望外だ。
どの滝もシャワーだと楽しく登れてしまうだろう。…って、雨後の水量でもそれほどスパイク地下足袋を濡らさずに登ってしまったんだから、水量の方が心配か(^^;。
[attachment=2]大滝2_800.jpg[/attachment]
平流となって二俣。遠回りではあるが本谷である右俣を選ぶと、水湧き出す森は、ブナ、ミズナラ、ホウの大木の森だ。
もう何年前だったろうか、この稜線を歩いた時、スズタケのヤブが茂っていてとても入れるものではなかった。そのスズタケもいまや勢いを無くし、枯れ竿となって残っているだけだ。
稜線に登り、木組峠を目指す。途中、光谷大滝の一部が樹間から垣間見え、シロヤシオもヤマツツジもすでに落花してしまっている。
木組峠付近で水が得られないかと、遠回りして谷を降りて行くと、窯跡が二つ三つあり、近くに水が湧いていた。窯跡があるところを見ると、雨後だけではなく常時水が得られそうな感じだ。
なだらかな谷沿いを少し登って木組峠。ここは広々とした平坦地があり、北側には大木が残され、実にいいところ。
尾鷲道は、主稜線の西側山腹に伸びている。この先、主稜線と尾鷲道が交わるのは、「一本木」の標識のあるところ(「標識」であって、本来の一本木の場所は別のところだ)。
「一本木標識」までは稜線伝いで北上し、標識から尾鷲道を辿る。
マブシ嶺直下の急登をこなせば、雄大な景色が望められる三角点峰山頂だ。
大台ケ原にはガスが掛かり、大峰も大普賢や八経などはガスが掛かって山容が見えない。翻って熊野灘は青空の下、入組んだ入り江や島々が見渡せる。水平線上にに連なる雲は梅雨前線だろうか。北西の風が強く、頭上に雲が流れてきては消えていく。ちょうどここは、曇天と青空の境目のような場所のようだ。
風を避けるため、海側に少し降りたところでシートを広げた。きょうはここまでだ。
蚊取り線香に蚊帳、防虫ヘッドネットなどを用意してきたが、ザックから出す必要もない。
少々風が強いが、陽を浴びてもちょうど良い暖かさ。昼寝するのにもってこいの日だ。
そういえば、このあたりの山に登るのは、ドライブウェイが閉鎖されてる時期ばかりで、
木々が葉を付けてる頃は一度もなかった。新緑も良いが、やっぱりこの山は眺望だろう。空気の澄んだ日に登ってナンボの山だ。…などと思いながら眠りについた。
[attachment=1]新緑の尾鷲道_800.jpg[/attachment]
30分ほど気持ちの良いうたた寝をして、帰路につく。
帰路は、「一本木標識」までは、森をウロウロ稜線歩き。以降は山腹にある尾鷲道。つまり、往路とちょうど逆を歩く。
マブシ嶺直下から1216標高点の森の三重県側は、大木が多く彷徨うのにいい森だ。水を確認しようと谷筋を見て回るが、随分降りないと得られそうもなさそうだ。袋角した雄シカが逃げていく。
尾鷲道は、木組峠直下の谷筋の橋が落ち、大きくえぐられた谷(水はない)を越えなければならない。
木組峠へと登り、大木の下でいっぷく。オオアカゲラが鳴き、二羽のアカゲラがもたれている樹にとまる。見上げたこの樹の葉は、よく見るとハリギリだ。ハリギリ独特の樹皮に深く刻んだ縦縞が幹の下部には無く、オオイタヤの大木だと思い込んでいた。
往路でスズタケが衰退しているのを見たので、木組峠から東に張り出す稜線から、不動谷の二俣に通じる古道の道型を探しながら帰ることにした。
1887年(明治20年)松浦武四郎翁は、大台・牛石で護摩行を行ったあと、帰路木組村から稜線を越え不動谷二俣に降りている。
『不動谷と云、此処にて谷筋二ツに分る。右を腰森、左を不動と云。』(丁亥前記「松浦武四郎大台紀行集」から)
現在の地形図にも木組から、三重県側に張り出す稜線を通る破線道が描かれている。1184標高点には向かわず、手前のピークから林道の終点に向かう尾根を降りる予定だ。
稜線を外して右の尾根に乗るco1240ピーク。道があったとするなら、ピークにまで登らず、山腹を少しトラバースして尾根に乗るはずだとの予想のもと道型を探すと、大ブナの間を通る掘れた道型が続いている。尾根に乗れば何故か二筋程の掘割があり、水の流れた痕の可能性もありそうだ。
co1160ピークでは、若い植林越しに、中ノ嶺(△点名:西原)を挟んだ三つのピークが並んでよく見えている。ここからは、急坂路だ。そして掘割は、ジグザグを切って続いていた。このことから水流痕ではなく明らかに古い道痕なのだ。
しかし残念ながらこの道は、林道建設による花崗岩のザレた崖で断ち切られてしまう。
[attachment=0]追分のお地蔵さん2_800.jpg[/attachment]
崖を降りて林道終点。林道から、さらに続く道型はないかと下を見るが、痕跡を見つけることは難しい。あとは林道を歩き、この古道の延長線上にある追分のお地蔵さんに挨拶して帰ることにする。
『辻。此処に道分石あり。此処に出るや昨年越せしイサイ谷通りの本道なり。』(丁亥前記)
『辻休場、また追分とも云。大谷木組よりは此処に出来るなり。』(丙戌前記「同」より)。
ツガの大木の下、自然石に囲われ、「右 きくみ 左 で口」と彫られたお地蔵さんに、きょうの山行の無事を感謝し、ここからはそのまま古道を辿って林道をショートカットする。
武四郎翁が飲んだであろう釈仙水を、場所は違えどペットボトルに汲んで、駐車地へと帰ったのだった。
腰森の枝谷や古道を辿るのは、予定外のルートだったが、梅雨の晴れ間の山行に関わらず十二分に充実した山行ができた、ホンマに感謝である。
zippってジッポーライターのzippoからきたんじゃないですよね?