【湖北】左千方・谷山・安蔵山 展望とブナの山旅
Posted: 2012年3月22日(木) 12:57
【日 付】2012年3月20日(火)
【山 域】湖北 左千方1196.8m・谷山938.7m・安蔵山900.1m
【天 候】晴れのち曇り
【コース】小原7:00---8:35奥川並8:52---10:41谷山---12:10左千方12:40---13:15ランチ場14:07---14:23谷山
---15:35安蔵山15:45---16:51田戸---17:01小原
菅並からの県道は、小原の集落跡を過ぎたところで雪のブロックに塞がれていた。
田戸までは歩いても10分足らず、ここまで入れれば十分だ。
支度をしていると車が1台。釣師かと思ったが登山者だった。奥川並への林道は咋秋の豪雨で山抜けが発生して通れないらし
い。「行けるとこまで行ってみますわ」と先発した。
今日は朝から青空が広がりすこぶるいい気分だ。高時川は勢い良くたっぷりの水量で流れている。
ワイヤーゲートをまたいで林道に入る。真新しそうなキャタピラの跡が続いていた。これは結構楽できるかもしれない。
うまくいけば奥川並まで雪を踏まずに行けるかもと思ったが、そうは問屋が卸さなかった。
カーブを曲がったところで除雪は突然終わり、林道を埋める雪は急傾斜の滑り台と化していた。斜面の下はリッカ谷川へストン
と落ちている。
今日はアイゼンを置いて来てしまった。慎重に滑り台へ進むと、カチンカチンにクラストしているわけではなく、靴のエッジで蹴り
込めば安定して立つことができた。2本のストックを駆使して3点確保でじわじわと進む。滑れば川へ一直線。地獄への滑り台で
ある。なんとかクリアして緊張が解けた。ここから先もまた登場するのだろうか。
[attachment=4]P1060193_1.JPG[/attachment]
結果的には滑り台がもう1ヶ所あったが、最初のものに比べるとなんでもなかった。山抜けは確かにあったが、崩れた林道の上
に雪が堆積してうまい具合に通過することができた。
退屈なはずの林道歩きにはちょうどいいアトラクションだった。ちょっとスパイスが効き過ぎかもしれないが。
1時間半かかってやっと奥川並の集落跡に到着。予定よりも時間がかかり過ぎている。
あまりのいい天気に日焼け止めを塗ろうとザックのポケットを探したが、ない。まったくお日様を見なかった先週は持って行ってい
たのになんたること。気を取り直してお茶を飲もうとペットボトルを出すと、新品のはずのフタが開いて中身が少し減っている。
おかしいなあと思いながらひと口飲むと、口の中がおかしくなった感じがした。異物混入か!!
携帯も繋がらないこんなところで倒れたら一巻の終わりである。しばらく様子を見ていたが、体が変調をきたす気配もない。
どうやらどこかで開けて飲んだのを忘れていたようだ。やれやれ。
計画ではさらに林道を進んで、中津谷と足ノ又の中間尾根を県境稜線に上がり、左千方から谷山、安蔵山と縦走するつもりだ
った。ちょっと時間が足りないか。いい天気だし、青空の下のブナ林散策に切り替えるかと、谷山への尾根を上がり始めた。
のっけからの急傾斜もスノーシュ―ががっちりと雪面を捉えてくれて快適そのものである。
この尾根も3回目となれば新鮮味はなさそうなものだが、たっぷり雪の積もった尾根はまったく違う印象を与えてくれた。
706m下の主尾根に合流する手前から見事なブナ林となる。1度目は2月の末ながら寡雪の年でヤブが顔を出していた。2度目
は去年の夏、ヤブが勢いを増す頃だった。今日は余りある積雪がヤブを埋め尽くし、雪の上にブナの疎林が広がるのみ。初めて
歩く尾根のような感動を受ける。
右手には左千方から神又峰の県境稜線が横たわる。左千方はササ薮の山なので、きれいな白いドームとなって登高欲を刺激す
る。登る予定だった尾根の高さに思ったより早く達すると、「あっちに行けばよかったかな」と後悔の念が頭を掠めた。
[attachment=3]P1060299_1.JPG[/attachment]
ヤブが露出しているだろうと思われたやせ尾根も雪に乗って通過できた。谷山の山頂が眼前に迫る。このままだと早く着き過ぎ
て時間を持て余してしまう。今日は早く下りて家で晩飯を食うメールをしようかと本気で思ったりした。
それでもブナ並木の中をあっけなく谷山の山頂に到着。周りは一面の雪原にブナの疎林が広がる。初めて顔を出した上谷山もま
だ真っ白だ。今年は雪融けのスピードが速いと言いながらも賞味期限まではまだまだありそうな感じである。
とりあえず時間つぶしに谷山の東に伸びる広大なブナの尾根を散策して、適当な場所でランチとしよう。
谷山への尾根と同じく、前回はヤブが頭を出してすっきりしない印象だったこのブナの台地は素晴らしい場所だった。959m手前
の鞍部まで見事なブナ林が続く。それに加えてこの展望の素晴らしさはどうだ。
左の上谷山、右の横山岳、正面の左千方に囲まれた台地は一日中ここにいてもいいのではないかと思わせるほど魅力的である。
そう思っている割には足の出るスピードが速いなと感じていた。とりあえず959mまで行って考えよう。
ブナ林を抜けて完全な雪尾根に変わったところをひと登りで959m標高点。展望は全開だ。
頭上に覆い被さるように見える左千方はずいぶん近くなった。谷山から見た時はあまりに遠いとあきらめていた山頂が手の届く
ところにある。山頂付近には霧氷もできているようだ。
[attachment=2]P1060347_1.JPG[/attachment]
標高差は240m。どこかで見たようなシーンだ。帰路は安蔵山までの縦走が待っている。距離の長さが気になるが、時間はまだ
昼前、行くしかないだろう。
スノーシュ―のフレームが雪を噛む。早朝ならクラストして難儀していたかもしれないが、適度に緩んだ雪がありがたい。ヒールリ
フターもばっちり決まる。50m、100mと高度を上げ、最後の100mは一度も上を見ずに足元だけを見つめて一歩一歩足を出した。
突然足を上げる必要がなくなった。視線を上げると美濃側の空間が目の前に広がった。
やった。小さくガッツポーズ。240mを30分で登り切った。下の台地で十分と思えた展望とは異次元のパノラマが展開した。
美しい雪庇の尾根の先に三国岳。そして三周ヶ岳、高丸、能郷白山、蕎麦粒山、金糞岳。さっき見えていた上谷や横山は言うに
及ばずである。やたら遠く見える安蔵山の向こうには妙理、大黒。その奥には野坂の山々。そして琵琶湖に浮かぶ竹生島。
ここまで来てよかったと心から思った。と同時に、当初の予定の尾根を辿ってここに立っていたらもっとよかったとも。その尾根もた
っぷりの雪を着けて魅力的なラインを描いているし、何より県境稜線が素晴らしいのだ。
3年前は雪が少ない上に終始曇り空。快晴の空の下、この稜線を歩けたらどんなに心満たされただろう。贅沢を言ったらキリがな
い。とにかく今は大満足である。
[attachment=1]P1060376_1.JPG[/attachment]
しかし風があってここでランチという気にはならない。それに青空が影を潜めて頭上を雲が覆い始めた。残念だがブナの台地ま
で戻るとしよう。
スノーシュ―を脱いでかかと落としで走るように下って行けば、10分余りで959mに着いてしまった。適当なランチ場を探しながら
進む。ホントはどこでも適当な場所なのだが、下りて来てもやや風があったので、少しでも風がないところをと物色しながら歩いた。
再び太陽が顔を見せた。横山岳と金糞岳を正面に望む展望地でザックを降ろした。
谷山へ戻り、安蔵山への稜線に一歩を踏み出した。積雪期は初めてだ。ブナ林はずっと続いている。去年の6月もブナ林の良
さは感じたが、下生えも多く、雑然とした印象は拭えなかった。今は視界に入るのは雪とブナだけである。
時間にあまり余裕がないのでブナ林を楽しんでいられないのが残念だ。4時までに安蔵山に着けば問題なく下山できると踏んで
ひたすら歩く。
奥川並からの尾根が合流するCa810mピークでスノーシュ―のトレースと出会った。朝の登山者のものだろう。安蔵山に登って
ここまで足を延ばしたようだ。このあたりも素晴らしいブナ林が続くので、足を延ばす価値は十二分にある。
[attachment=0]P1060396_1.JPG[/attachment]
わずかな登り返しで安蔵山に到着した。予定の15分前だ。これなら余裕で下山できる。
しかし最近は下山時や下山後に核心部が待っていたりするので油断は禁物である。
それにしても奥川並の少し上からここまで、左千方の最後の登りを除いて延々とブナ林が続いていた。時間にして6時間ぐらい
はブナ林に包まれていたことになる。分け行っても分け行ってもブナ林。そんな山がまだ湖北には残されているのがうれしい。
ここまでの豊潤なブナ林に慣れてしまうと、安蔵山からの下りでのブナは若い木が多くて物足りなく感じてしまうのは贅沢という
ものだろうか。
Ca720mの台地まで来た。先行者のトレースは、当然のことながら登山道のある南南東の尾根へ向かっている。
ここで最短距離の下山ルートを考えた。田戸の橋の袂に出る南南西向きの尾根である。どこかでこの尾根を歩いた記録を見た
覚えがあった。GPSで慎重に方向を定めて下る。下手をすれば林道のガケの上で立ち往生か、高時川本流へドボンかである。
最初の内は雪もあり、傾斜も緩いので快調に下って行けた。尾根が立ってきたところでスノーシュ―を脱ぐ。雪も少なくなり、雪の
ないところは滑りやすいので神経を使う。
赤テープがあった。ここを歩いた人間がいるというのは心強い。ひとりほくそ笑む。
「これは楽勝や」と思ったが、それほど甘くはなかった。川が近く見え出した頃、ヤブがその勢いを増して行く手を阻んだ。強烈な
急傾斜とヤブ。得意の潅木の立ち木懸垂を交えながら、七転八倒で高度を下げて行く。こういうヤツは単独でないととてもできな
い。
思い描いたルートより西寄りに振った。眼下の高時川左岸に平地が見えたからだ。よく考えてみると、ここは田戸集落の畑地跡の
あったところ。斜面からいきなり川ではないのだ。地図をよく見ればわかることなのだが。
やっとの思いで河川敷に着地。自然と左千方山頂に劣らぬ小ガッツポーズが出た。
畑の跡がドロドロの湿地になっていたのには参ったが、わずかに残る雪を繋いで橋の上に這い上がる。
無事下りてくるのを待っていたように小雨が降り始めた。
山日和
【山 域】湖北 左千方1196.8m・谷山938.7m・安蔵山900.1m
【天 候】晴れのち曇り
【コース】小原7:00---8:35奥川並8:52---10:41谷山---12:10左千方12:40---13:15ランチ場14:07---14:23谷山
---15:35安蔵山15:45---16:51田戸---17:01小原
菅並からの県道は、小原の集落跡を過ぎたところで雪のブロックに塞がれていた。
田戸までは歩いても10分足らず、ここまで入れれば十分だ。
支度をしていると車が1台。釣師かと思ったが登山者だった。奥川並への林道は咋秋の豪雨で山抜けが発生して通れないらし
い。「行けるとこまで行ってみますわ」と先発した。
今日は朝から青空が広がりすこぶるいい気分だ。高時川は勢い良くたっぷりの水量で流れている。
ワイヤーゲートをまたいで林道に入る。真新しそうなキャタピラの跡が続いていた。これは結構楽できるかもしれない。
うまくいけば奥川並まで雪を踏まずに行けるかもと思ったが、そうは問屋が卸さなかった。
カーブを曲がったところで除雪は突然終わり、林道を埋める雪は急傾斜の滑り台と化していた。斜面の下はリッカ谷川へストン
と落ちている。
今日はアイゼンを置いて来てしまった。慎重に滑り台へ進むと、カチンカチンにクラストしているわけではなく、靴のエッジで蹴り
込めば安定して立つことができた。2本のストックを駆使して3点確保でじわじわと進む。滑れば川へ一直線。地獄への滑り台で
ある。なんとかクリアして緊張が解けた。ここから先もまた登場するのだろうか。
[attachment=4]P1060193_1.JPG[/attachment]
結果的には滑り台がもう1ヶ所あったが、最初のものに比べるとなんでもなかった。山抜けは確かにあったが、崩れた林道の上
に雪が堆積してうまい具合に通過することができた。
退屈なはずの林道歩きにはちょうどいいアトラクションだった。ちょっとスパイスが効き過ぎかもしれないが。
1時間半かかってやっと奥川並の集落跡に到着。予定よりも時間がかかり過ぎている。
あまりのいい天気に日焼け止めを塗ろうとザックのポケットを探したが、ない。まったくお日様を見なかった先週は持って行ってい
たのになんたること。気を取り直してお茶を飲もうとペットボトルを出すと、新品のはずのフタが開いて中身が少し減っている。
おかしいなあと思いながらひと口飲むと、口の中がおかしくなった感じがした。異物混入か!!
携帯も繋がらないこんなところで倒れたら一巻の終わりである。しばらく様子を見ていたが、体が変調をきたす気配もない。
どうやらどこかで開けて飲んだのを忘れていたようだ。やれやれ。
計画ではさらに林道を進んで、中津谷と足ノ又の中間尾根を県境稜線に上がり、左千方から谷山、安蔵山と縦走するつもりだ
った。ちょっと時間が足りないか。いい天気だし、青空の下のブナ林散策に切り替えるかと、谷山への尾根を上がり始めた。
のっけからの急傾斜もスノーシュ―ががっちりと雪面を捉えてくれて快適そのものである。
この尾根も3回目となれば新鮮味はなさそうなものだが、たっぷり雪の積もった尾根はまったく違う印象を与えてくれた。
706m下の主尾根に合流する手前から見事なブナ林となる。1度目は2月の末ながら寡雪の年でヤブが顔を出していた。2度目
は去年の夏、ヤブが勢いを増す頃だった。今日は余りある積雪がヤブを埋め尽くし、雪の上にブナの疎林が広がるのみ。初めて
歩く尾根のような感動を受ける。
右手には左千方から神又峰の県境稜線が横たわる。左千方はササ薮の山なので、きれいな白いドームとなって登高欲を刺激す
る。登る予定だった尾根の高さに思ったより早く達すると、「あっちに行けばよかったかな」と後悔の念が頭を掠めた。
[attachment=3]P1060299_1.JPG[/attachment]
ヤブが露出しているだろうと思われたやせ尾根も雪に乗って通過できた。谷山の山頂が眼前に迫る。このままだと早く着き過ぎ
て時間を持て余してしまう。今日は早く下りて家で晩飯を食うメールをしようかと本気で思ったりした。
それでもブナ並木の中をあっけなく谷山の山頂に到着。周りは一面の雪原にブナの疎林が広がる。初めて顔を出した上谷山もま
だ真っ白だ。今年は雪融けのスピードが速いと言いながらも賞味期限まではまだまだありそうな感じである。
とりあえず時間つぶしに谷山の東に伸びる広大なブナの尾根を散策して、適当な場所でランチとしよう。
谷山への尾根と同じく、前回はヤブが頭を出してすっきりしない印象だったこのブナの台地は素晴らしい場所だった。959m手前
の鞍部まで見事なブナ林が続く。それに加えてこの展望の素晴らしさはどうだ。
左の上谷山、右の横山岳、正面の左千方に囲まれた台地は一日中ここにいてもいいのではないかと思わせるほど魅力的である。
そう思っている割には足の出るスピードが速いなと感じていた。とりあえず959mまで行って考えよう。
ブナ林を抜けて完全な雪尾根に変わったところをひと登りで959m標高点。展望は全開だ。
頭上に覆い被さるように見える左千方はずいぶん近くなった。谷山から見た時はあまりに遠いとあきらめていた山頂が手の届く
ところにある。山頂付近には霧氷もできているようだ。
[attachment=2]P1060347_1.JPG[/attachment]
標高差は240m。どこかで見たようなシーンだ。帰路は安蔵山までの縦走が待っている。距離の長さが気になるが、時間はまだ
昼前、行くしかないだろう。
スノーシュ―のフレームが雪を噛む。早朝ならクラストして難儀していたかもしれないが、適度に緩んだ雪がありがたい。ヒールリ
フターもばっちり決まる。50m、100mと高度を上げ、最後の100mは一度も上を見ずに足元だけを見つめて一歩一歩足を出した。
突然足を上げる必要がなくなった。視線を上げると美濃側の空間が目の前に広がった。
やった。小さくガッツポーズ。240mを30分で登り切った。下の台地で十分と思えた展望とは異次元のパノラマが展開した。
美しい雪庇の尾根の先に三国岳。そして三周ヶ岳、高丸、能郷白山、蕎麦粒山、金糞岳。さっき見えていた上谷や横山は言うに
及ばずである。やたら遠く見える安蔵山の向こうには妙理、大黒。その奥には野坂の山々。そして琵琶湖に浮かぶ竹生島。
ここまで来てよかったと心から思った。と同時に、当初の予定の尾根を辿ってここに立っていたらもっとよかったとも。その尾根もた
っぷりの雪を着けて魅力的なラインを描いているし、何より県境稜線が素晴らしいのだ。
3年前は雪が少ない上に終始曇り空。快晴の空の下、この稜線を歩けたらどんなに心満たされただろう。贅沢を言ったらキリがな
い。とにかく今は大満足である。
[attachment=1]P1060376_1.JPG[/attachment]
しかし風があってここでランチという気にはならない。それに青空が影を潜めて頭上を雲が覆い始めた。残念だがブナの台地ま
で戻るとしよう。
スノーシュ―を脱いでかかと落としで走るように下って行けば、10分余りで959mに着いてしまった。適当なランチ場を探しながら
進む。ホントはどこでも適当な場所なのだが、下りて来てもやや風があったので、少しでも風がないところをと物色しながら歩いた。
再び太陽が顔を見せた。横山岳と金糞岳を正面に望む展望地でザックを降ろした。
谷山へ戻り、安蔵山への稜線に一歩を踏み出した。積雪期は初めてだ。ブナ林はずっと続いている。去年の6月もブナ林の良
さは感じたが、下生えも多く、雑然とした印象は拭えなかった。今は視界に入るのは雪とブナだけである。
時間にあまり余裕がないのでブナ林を楽しんでいられないのが残念だ。4時までに安蔵山に着けば問題なく下山できると踏んで
ひたすら歩く。
奥川並からの尾根が合流するCa810mピークでスノーシュ―のトレースと出会った。朝の登山者のものだろう。安蔵山に登って
ここまで足を延ばしたようだ。このあたりも素晴らしいブナ林が続くので、足を延ばす価値は十二分にある。
[attachment=0]P1060396_1.JPG[/attachment]
わずかな登り返しで安蔵山に到着した。予定の15分前だ。これなら余裕で下山できる。
しかし最近は下山時や下山後に核心部が待っていたりするので油断は禁物である。
それにしても奥川並の少し上からここまで、左千方の最後の登りを除いて延々とブナ林が続いていた。時間にして6時間ぐらい
はブナ林に包まれていたことになる。分け行っても分け行ってもブナ林。そんな山がまだ湖北には残されているのがうれしい。
ここまでの豊潤なブナ林に慣れてしまうと、安蔵山からの下りでのブナは若い木が多くて物足りなく感じてしまうのは贅沢という
ものだろうか。
Ca720mの台地まで来た。先行者のトレースは、当然のことながら登山道のある南南東の尾根へ向かっている。
ここで最短距離の下山ルートを考えた。田戸の橋の袂に出る南南西向きの尾根である。どこかでこの尾根を歩いた記録を見た
覚えがあった。GPSで慎重に方向を定めて下る。下手をすれば林道のガケの上で立ち往生か、高時川本流へドボンかである。
最初の内は雪もあり、傾斜も緩いので快調に下って行けた。尾根が立ってきたところでスノーシュ―を脱ぐ。雪も少なくなり、雪の
ないところは滑りやすいので神経を使う。
赤テープがあった。ここを歩いた人間がいるというのは心強い。ひとりほくそ笑む。
「これは楽勝や」と思ったが、それほど甘くはなかった。川が近く見え出した頃、ヤブがその勢いを増して行く手を阻んだ。強烈な
急傾斜とヤブ。得意の潅木の立ち木懸垂を交えながら、七転八倒で高度を下げて行く。こういうヤツは単独でないととてもできな
い。
思い描いたルートより西寄りに振った。眼下の高時川左岸に平地が見えたからだ。よく考えてみると、ここは田戸集落の畑地跡の
あったところ。斜面からいきなり川ではないのだ。地図をよく見ればわかることなのだが。
やっとの思いで河川敷に着地。自然と左千方山頂に劣らぬ小ガッツポーズが出た。
畑の跡がドロドロの湿地になっていたのには参ったが、わずかに残る雪を繋いで橋の上に這い上がる。
無事下りてくるのを待っていたように小雨が降り始めた。
山日和
神又峰から左千方は私にとって未だ未踏の尾根だけに羨ましく思いながら楽しくレポを拝見しました。