【湖北】 シロートの浅はかさ 菅並から横山岳
Posted: 2012年3月19日(月) 17:30
湖北 横山岳(1132m)
2012年3月18日(SUN) 曇り
同行者 I君
まだ日の出前だと言うのに、伊吹広域農道の電光掲示板は気温10度を示していた。助手席のI君に「ヘイ ジュード!」と言ったくらいだ。この暖かさではせっかく寡雪の鈴鹿を脱出したのに、大して変わらないことになりはしないかと心配になってくる。木之本にも全く雪はない。ところがR365を右折して菅並方面の県道に入ると除雪された雪が壁のようになり、屋根から落ちた雪もうず高く積み上がっていた。トンネルも抜けていないのに、この変わりようはキツネに化かされたようだ。さては長浜や木之本は、観光客の目をそらすために表通りから雪を隠したな。
この付近はまだ標高200m位しかない。寡雪の心配から一転して雪の多さにビビる。下界でこの雪なら山頂は100m位積もっているのではではなかろうか。菅並に入ると真っ白な田んぼから朝霧が立ち込め、日本の原風景を見るようだ。バス停に着く。高時川はゴウゴウと乳白色の雪代を流していた。I君はちゃっかり屋根付きのバス停を拝借して着替えている。
出発は7時頃だったろうか。二人とも初めての山なので登山口すら分からない。ネットで登った人のGPS軌跡を予習しておいた。どれも支流を途中まで進み大きくUターンして尾根の先端に取りついている。地形図を見れば集落裏からいきなり尾根に取りつけそうな感じだが・・・。しかしまあ初めての山に敬意を表して普通に登ろう。
最初の支流沿いの道を歩くと浄水場に出た。道は裏手へ登っているが全くトレースがない。人気のない山なのだろうか。やがて道はなくなり、大量の雪代で渡渉もならず行き詰った。岩盤のへつりに目印があるようだが水量が多くて無理だ。あたりを見回すと右岸の高い所に林道が見える。ルートはあれなのか?入り口で間違ったのか? よく見るとこちらの左岸にも林道の法面らしきものが見える。よし、もはやあそこまで登るしか手はない。川の上の崖を樹木の枝を引っ張りながら攀じ登る。腐れ雪が邪魔をする。いきなりの核心部だ。やっと林道に這い上がった時はヘロヘロで、出だしからこんなでは今日の登頂は無理だろうなという予感がした。土地勘がないことは悲しい。
林道を奥に進む。この先にUターンする登山口があると思っていた。後で分かったが、これは逆走であった。これこそがUターンする道だったのだ。無知は悲しい。地形図に林道が載ってないのも悪い。当然ながら我々が進んだ奥に登山口などあろうはずはなく、折り返しの橋を見てようやく事情を悟ったのだった。もはやここから尾根の腹を登って西尾根に出るしかないだろう。
股まで踏み抜くズボズボの雪に抵抗するのは容易ではない。堰堤の斜面でまた体力を擦り減らす。ここからひたすら腐れ雪と藪がミックスした急登との戦い。何歩か目には必ず踏み抜いて力が抜けていく。おまけに雪で寝た灌木の枝が逆目である。苦しい。「俺、何でこんなことしてんの~」という、いつもの疑問が脳裏に浮かんでは消えていく。
苦闘の末、標高490mで尾根芯に出た。ちょうど古ぼけた共同アンテナがあるところだ。体力メーターはもう30パーセントを切っているのに、地図を見ればまだ序の口。しかしまあ正式ルートに出たことだし、もうこんな苦労はないだろうと思った。座り込んで餌と水の補給をする。
どうも登山道とは思えない尾根である。藪はないが切り開きもなく、目印もない。雪の上のトレースもない。けやき広場と思われるケヤキの大木を確認。ひたすら黙々と高度を上げる。やがて展望が開けてきた。山の名はさっぱりだが、所々ガスが棚引いてピーカンとは違う味わいがある。望外の好景だ。
積雪は尾根の北側は薄いが、南側は雪庇状で数メートルある。だんだん踏み抜きは減ってきた。今日はツボである。I君と相談の上、アイゼンもワカンも要らないと判断。男は黙ってツボじゃ!・・・と言いつつ、荷物が増えることを何より嫌う二人の意見が一致したのであった。実際この判断は当たりであった。急斜面ではアイゼンがあった方が多少楽だとは思うが、靴を蹴り込めば登れるのである。
出だしの失敗で疲れてはいるが、このまま平和な尾根が続けば登頂できるかもしれないと思った。所々テープも出てきた。標高は鈴鹿程度の山だが、歩き出しが200mと低いのでなかなかハードである。I君は年に3回くらいしか山に登らないがけっこう強い。だから彼には3週間ばかり空いたから体調が・・・なんていう言い訳は通用しない。越百山カモシカ落としに同行した幼稚園からの同級生である。
標高940mほどで平和は破られ、いきなり巨大な雪壁が行く手を阻んだ。尾根芯なのにこちらに向かって雪庇ができているのだ。こういうのは鈴鹿では見たことがない。どうすんだこれ? あちこち観察して弱点を見つけ、ピッケルで崩して攀じ登った。すると今度は岩の急な痩せ尾根にぶつかり、一見ルートがあるとは思えない。御池の石灰岩のような割れ目をつかんで突破する。これも雪が付いているので難儀であった。
その上は見上げるような急登である。面白い山だ。これが予習にあった展望岩らしい。へろへろになって登ると、そこは名に恥じぬ大展望であった。先ほど棚引いていたガスが雲海へと変わっている。鈴鹿程度の山とは思えぬ高度感と風景である。たまには違う山に登るのもいいものだ。
やがてブナが多くなり、そこそこ太いものも見られる。少しの踏ん張りで稜線のT字路に到達し、北側の絶景にしばし見とれた。青空はないが予報の悪い中、ここまで見えれば御の字である。ここでようやく雪の上に微かなスノーシューの痕跡をみる。地図では山頂はすぐ東なのだが、それらしきものは見えない。ともかく先へ進むと小屋のようなものが見えてきた。どうやら山頂らしい。全く「らしさ」がない山頂で、単に尾根上の小ピークだ。でも嬉しい。朝は絶望視された山頂を踏んだのだ。
小屋と思われたのは金属製の物置で、完全に雪に埋まり、上の枠組みだけが出ている。建物の中で食事ができるという望みは絶たれた。三角点も山名表示もなく、本当に山頂なのかと疑問に思いGPSで確かめた。まぎれもなく山頂だった。すべて埋まっているのだろう。南の斜面を下りて風を避け昼食とした。11時50分・・・時間掛かり過ぎ(T_T)
誰もいない静かな山頂。横山岳って不人気なのだろうか? そう思っていたとき、上に人影が見えた。何と単独の女性である。キョトンとしている我々に「私もここでお昼にさせて下さい」と言ってきた。なにも断る理由はない。で、いろいろ話もできた。杉野から東尾根をスノーシューで登ってきた由。けっこう長いコースである。大阪の人で、鈴鹿では仙ヶ岳や霊仙を登ったことがあるという。なんと実家は四日市だそうな。
帰りのコースどうする? I君と地図を眺める。三高尾根から鳥越峠を経て谷筋を菅並へ下りる、あるいは北尾根を回るという手もある。しかしあの雪代水では谷を下ると悲惨なことになる気もする。北尾根は無駄に長いうえに、尾根下りは必ず外す自信もある。
「ほな、ピストンか?」
「そやなあ、ガスも湧いてきたし、今日はこれくらいで勘弁しといたろか」
「今度来るときはそうはいかんぞ、覚えてやがれ横山!」
帰りはセードも交え、転がるように下りた。373三角点からは藪である。林道に飛び降りて少し離れた所で木の梯子を確認した。こんなの登山道と言えるのか? ここからぐるりと林道を回って帰るほどお目出度くはない。そのままガードレールを越えて植林の急斜面を下ると、程なく民家の裏庭に出た。しかし、ここいらの雪ときたら・・・この高気温の雨続きで、なお且つこの雪。住民の人も大変だろう。
時間的に早く着き過ぎたが、下山とともに雨が降り始め、結局安易で芸なしのピストンは正解だったと言えよう。
ハリマオ
2012年3月18日(SUN) 曇り
同行者 I君
まだ日の出前だと言うのに、伊吹広域農道の電光掲示板は気温10度を示していた。助手席のI君に「ヘイ ジュード!」と言ったくらいだ。この暖かさではせっかく寡雪の鈴鹿を脱出したのに、大して変わらないことになりはしないかと心配になってくる。木之本にも全く雪はない。ところがR365を右折して菅並方面の県道に入ると除雪された雪が壁のようになり、屋根から落ちた雪もうず高く積み上がっていた。トンネルも抜けていないのに、この変わりようはキツネに化かされたようだ。さては長浜や木之本は、観光客の目をそらすために表通りから雪を隠したな。
この付近はまだ標高200m位しかない。寡雪の心配から一転して雪の多さにビビる。下界でこの雪なら山頂は100m位積もっているのではではなかろうか。菅並に入ると真っ白な田んぼから朝霧が立ち込め、日本の原風景を見るようだ。バス停に着く。高時川はゴウゴウと乳白色の雪代を流していた。I君はちゃっかり屋根付きのバス停を拝借して着替えている。
出発は7時頃だったろうか。二人とも初めての山なので登山口すら分からない。ネットで登った人のGPS軌跡を予習しておいた。どれも支流を途中まで進み大きくUターンして尾根の先端に取りついている。地形図を見れば集落裏からいきなり尾根に取りつけそうな感じだが・・・。しかしまあ初めての山に敬意を表して普通に登ろう。
最初の支流沿いの道を歩くと浄水場に出た。道は裏手へ登っているが全くトレースがない。人気のない山なのだろうか。やがて道はなくなり、大量の雪代で渡渉もならず行き詰った。岩盤のへつりに目印があるようだが水量が多くて無理だ。あたりを見回すと右岸の高い所に林道が見える。ルートはあれなのか?入り口で間違ったのか? よく見るとこちらの左岸にも林道の法面らしきものが見える。よし、もはやあそこまで登るしか手はない。川の上の崖を樹木の枝を引っ張りながら攀じ登る。腐れ雪が邪魔をする。いきなりの核心部だ。やっと林道に這い上がった時はヘロヘロで、出だしからこんなでは今日の登頂は無理だろうなという予感がした。土地勘がないことは悲しい。
林道を奥に進む。この先にUターンする登山口があると思っていた。後で分かったが、これは逆走であった。これこそがUターンする道だったのだ。無知は悲しい。地形図に林道が載ってないのも悪い。当然ながら我々が進んだ奥に登山口などあろうはずはなく、折り返しの橋を見てようやく事情を悟ったのだった。もはやここから尾根の腹を登って西尾根に出るしかないだろう。
股まで踏み抜くズボズボの雪に抵抗するのは容易ではない。堰堤の斜面でまた体力を擦り減らす。ここからひたすら腐れ雪と藪がミックスした急登との戦い。何歩か目には必ず踏み抜いて力が抜けていく。おまけに雪で寝た灌木の枝が逆目である。苦しい。「俺、何でこんなことしてんの~」という、いつもの疑問が脳裏に浮かんでは消えていく。
苦闘の末、標高490mで尾根芯に出た。ちょうど古ぼけた共同アンテナがあるところだ。体力メーターはもう30パーセントを切っているのに、地図を見ればまだ序の口。しかしまあ正式ルートに出たことだし、もうこんな苦労はないだろうと思った。座り込んで餌と水の補給をする。
どうも登山道とは思えない尾根である。藪はないが切り開きもなく、目印もない。雪の上のトレースもない。けやき広場と思われるケヤキの大木を確認。ひたすら黙々と高度を上げる。やがて展望が開けてきた。山の名はさっぱりだが、所々ガスが棚引いてピーカンとは違う味わいがある。望外の好景だ。
積雪は尾根の北側は薄いが、南側は雪庇状で数メートルある。だんだん踏み抜きは減ってきた。今日はツボである。I君と相談の上、アイゼンもワカンも要らないと判断。男は黙ってツボじゃ!・・・と言いつつ、荷物が増えることを何より嫌う二人の意見が一致したのであった。実際この判断は当たりであった。急斜面ではアイゼンがあった方が多少楽だとは思うが、靴を蹴り込めば登れるのである。
出だしの失敗で疲れてはいるが、このまま平和な尾根が続けば登頂できるかもしれないと思った。所々テープも出てきた。標高は鈴鹿程度の山だが、歩き出しが200mと低いのでなかなかハードである。I君は年に3回くらいしか山に登らないがけっこう強い。だから彼には3週間ばかり空いたから体調が・・・なんていう言い訳は通用しない。越百山カモシカ落としに同行した幼稚園からの同級生である。
標高940mほどで平和は破られ、いきなり巨大な雪壁が行く手を阻んだ。尾根芯なのにこちらに向かって雪庇ができているのだ。こういうのは鈴鹿では見たことがない。どうすんだこれ? あちこち観察して弱点を見つけ、ピッケルで崩して攀じ登った。すると今度は岩の急な痩せ尾根にぶつかり、一見ルートがあるとは思えない。御池の石灰岩のような割れ目をつかんで突破する。これも雪が付いているので難儀であった。
その上は見上げるような急登である。面白い山だ。これが予習にあった展望岩らしい。へろへろになって登ると、そこは名に恥じぬ大展望であった。先ほど棚引いていたガスが雲海へと変わっている。鈴鹿程度の山とは思えぬ高度感と風景である。たまには違う山に登るのもいいものだ。
やがてブナが多くなり、そこそこ太いものも見られる。少しの踏ん張りで稜線のT字路に到達し、北側の絶景にしばし見とれた。青空はないが予報の悪い中、ここまで見えれば御の字である。ここでようやく雪の上に微かなスノーシューの痕跡をみる。地図では山頂はすぐ東なのだが、それらしきものは見えない。ともかく先へ進むと小屋のようなものが見えてきた。どうやら山頂らしい。全く「らしさ」がない山頂で、単に尾根上の小ピークだ。でも嬉しい。朝は絶望視された山頂を踏んだのだ。
小屋と思われたのは金属製の物置で、完全に雪に埋まり、上の枠組みだけが出ている。建物の中で食事ができるという望みは絶たれた。三角点も山名表示もなく、本当に山頂なのかと疑問に思いGPSで確かめた。まぎれもなく山頂だった。すべて埋まっているのだろう。南の斜面を下りて風を避け昼食とした。11時50分・・・時間掛かり過ぎ(T_T)
誰もいない静かな山頂。横山岳って不人気なのだろうか? そう思っていたとき、上に人影が見えた。何と単独の女性である。キョトンとしている我々に「私もここでお昼にさせて下さい」と言ってきた。なにも断る理由はない。で、いろいろ話もできた。杉野から東尾根をスノーシューで登ってきた由。けっこう長いコースである。大阪の人で、鈴鹿では仙ヶ岳や霊仙を登ったことがあるという。なんと実家は四日市だそうな。
帰りのコースどうする? I君と地図を眺める。三高尾根から鳥越峠を経て谷筋を菅並へ下りる、あるいは北尾根を回るという手もある。しかしあの雪代水では谷を下ると悲惨なことになる気もする。北尾根は無駄に長いうえに、尾根下りは必ず外す自信もある。
「ほな、ピストンか?」
「そやなあ、ガスも湧いてきたし、今日はこれくらいで勘弁しといたろか」
「今度来るときはそうはいかんぞ、覚えてやがれ横山!」
帰りはセードも交え、転がるように下りた。373三角点からは藪である。林道に飛び降りて少し離れた所で木の梯子を確認した。こんなの登山道と言えるのか? ここからぐるりと林道を回って帰るほどお目出度くはない。そのままガードレールを越えて植林の急斜面を下ると、程なく民家の裏庭に出た。しかし、ここいらの雪ときたら・・・この高気温の雨続きで、なお且つこの雪。住民の人も大変だろう。
時間的に早く着き過ぎたが、下山とともに雨が降り始め、結局安易で芸なしのピストンは正解だったと言えよう。
ハリマオ
グーさんのスレッドでレスにそう書きました。