【奥越】霧幻から蒼穹へ 桂島山から木無山周回
Posted: 2012年3月11日(日) 23:56
【日 付】2012年3月10日(土)
【山 域】奥越 桂島山1173.3m、木無山1328.6m
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】蛇鏡橋7:16---9:27 P1073m---10:19桂島山10:28---11:22 973mコル(前坂峠)11:35---12:45 P1153m
13:58---14:51木無山15:01---15:43 Ca1070mピーク15:54---16:59長倉谷林道---17:17蛇鏡橋
雨は夜更け過ぎに雪へと変わらず、明け方にはなんとか上がってくれた。どんよりとした空の色。いつもなら「またか」
とモチベーション低下症候群に陥るところだが、天気は回復傾向。歩いているうちに青空を拝めるだろう。
先週の洞吹氏のレポに刺激を受けた。週末ごとに恵まれない北陸地方の天気のせいもあり、遠征するのが億劫にな
っていたのだ。そこへ快晴の木無山のレポである。行くしかないだろう。
2度踏んでいる山頂だが、今回は桂島山を絡めての周回を狙ってみよう。
洞吹レポに従い、林道奥越線の入口の除雪スペースに車を止めた。前坂谷に架かる橋の名前は「蛇鏡(じゃかがみ)
橋」と書いてあった。「蛇鏡」というのはスキー場西にある1121.3mの三角点峰の名前だ。
スノーシュ―を履いて歩き出す。右にカーブしたところで林道側壁のガケが切れたので、植林を縫って取り付いた。
80mほどの我慢で尾根に出る。地図上では針葉樹マークなので植林だと思っていたが、右半分は雑木林が残っており、
雰囲気は悪くない。雪も適度に締まり、スノーシュ―には最適である。昨日の雨で表面はややグサグサになりかけてい
るが、こういう雪質に強いのがスノーシュ―だ。
749m標高点下で最初の林道を越え、Ca980m付近で再度林道と出合う。ここまで休まず歩いてきたので少し腹拵え
をしておこう。すると頭上が明るくなってきた。「キターッ」思わず顔がほころぶ。
正面のガケを避けて右から回り込むように再び尾根に乗ると、そこは霧氷のブナ林。この霧氷の回廊は途切れることな
くどこまでも続いていた。
1073mピーク付近も実にいいブナ林が広がる。ここは2年前、小白山から枇杷倉山、桂島山と周回した時に通過した
ピークだ。この時は南東へ下る尾根を使った。今日はあれより1ヵ月早い時期ということもあり、雪の量が全然違う。
昨日の雨もこの高さでは雪だったようで、うっすらと積もった新雪が春の雪の汚れを覆い隠して、神々しいほどの美しさ
だ。
[attachment=4]P1050744_1.JPG[/attachment]
気合いに反して足が重く、前に進まない。ここのところ単独でのロングコースを歩いていない。しばらく体をいじめてい
ないツケが回って来たのか。
桂島山へ着いた頃には疲れが出てきた。おまけに晴れるはずの空はなぜかホワイトアウト状態に逆戻りである。
風もあり、腰を降ろす気にもなれない。
そそくさと出発して、ふと方向を確かめると北に向かっている。これは枇杷倉山への尾根だ。登って来た方向から左折し
たつもりだったが、どうもガスで方向感覚がおかしくなっている。
改めて西南西への尾根に乗る。あたりはまさに夢幻、いや霧幻の世界。ガスの中からブナが浮かび上がっては消え
て行く。左側の前坂谷右俣源頭部は見事なブナ林が残されている。
途中で右へ分岐する尾根を少し下ってしまい、登り返すはめになった。こんな登り返しでも体が重い。
973m標高点への最後の下りは急傾斜だ。下の方に予想外のものが見えた。白い帯が左右に続いている。林道だ。
ちょっとしたガケの上に出てしまい、脱いだスノーシュ―を放り投げて法面の草付きを慎重に下りる。
地形図にないこの林道は、先ほどの2度目の林道出合から北面の谷山川へ抜けているようだ。
973mのコルはもう少し下にあった。いつまでも回復しない天候とイマイチな体調にかなりやる気を失っていた。桂島山
の山頂ではここまで下りてランチにしようかと思ってたぐらいだ。当然木無山はカットである。何も見えないなら行く必要
もない。
しかしここはあまりいいところではないし、木無に行かないにしても1159mピークまでは登らなければいけない。もうひと
頑張りして1159mピークもしくは1153mピーク付近の台地でランチとしよう。
登るにつれ、前坂谷方面のガスが取れて見通しが利くようになった。まるでかき氷器の中を歩いているように、風に吹
かれた霧氷が頭にバラバラと降り注ぎ、足元にスノーフレークが積もっている。
1159mピーク手前からはブナの疎林が広がる山上の楽園。霧氷の道具立ても揃って素晴らしい台地だ。
これに青空があれば言うことなしなのだが。
もう登らなくてもいい場所までと、1153mピークの手前まで来て両足が攣りかけた。早速秘薬をスポーツドリンクで流し
込むとあーら不思議、一瞬で痛みが消えてしまった。飲み薬がこんなに瞬間的に効果を発揮するわけはないのだが、
「病は気から」の裏返しだろうか。
1153mピークの南側の雪堤が絶好の風避けとなっていた。ゆっくりビール、寄せ鍋、コーヒーといつも通りのフルコース
を楽しむ。もうすっかり下山モードである。
[attachment=0]パノラマ 4_1_1.JPG[/attachment]
ところがいつの間にか日が差してきた。雪堤の上に上がってみると、北側に経ヶ岳から赤兎山への山稜が浮かんでい
た。木無山を覆っていた雲も取れている。これは行けというサインか。
時間を計算してみる。最低鞍部から240mの登り返し。山頂まで1時間はかからないだろう。下山は南尾根上部の状態
次第だが、通過できれば2時間もあれば長倉谷へ下りられるはずだ。
それなら5時、遅くとも5時半には下山できると踏んだ。行こう。これを逃したら、二度とこの周回ルートをやる機会がない
かもしれない。第一この青空と目の前に広がる雪稜。ここでやめる理由は何もない。
気分が明るくなっても体が軽くなったわけではない。何度も立ち止まって休みながら、一歩ずつ高度を上げて行く。
そして登るにつれ前方以外の三方の展望がどんどんダイナミックなものになっていく。
稜線の左側は膨大な雪堤が長倉谷源頭へ切れ落ちて、近付くこともできない。
山頂手前のブナ林は相変わらず素敵だ。気温が上がり風が吹いているにも関わらず、まだ霧氷を残してくれている。
ブナ林を過ぎると寄せ豆腐のような白い台形の山頂部が目の前だ。
[attachment=3]P1050872_1.JPG[/attachment]
木無山の山頂部はあちこちに穴があるので注意が必要である。密生した潅木の上に積もった雪が部分的に融けて落
とし穴を作っている。表面上はまだ穴になっていない落とし穴予備軍もあるので始末が悪い。
穴を避けて木無山の山頂に立った。目の前にはどーんと荒島岳。すこし雲がかかっているのと、遅い午後の逆光で美し
さが減殺されているのが残念だ。
それでもこの大パノラマはどうだろう。2時間前には考えられなかった雄大な風景が目の前に広がっている。
山々の名は洞吹氏のレポにも新しいので省略。やはり来てよかった。
南尾根の様子を窺う。先週の高温と雨で雪庇はかなり落ちたようだ。さほど危険なところもなさそうなので、予定通り
南尾根経由の周回ルートを実行しよう。
少し下ったところでスノーシュ―を外す。左側は雪庇が崩れた跡の雪が割れて近寄れない。右側は急傾斜の雪面でス
リップは許されない。ツボ足になるとヒザ近くまで潜るが滑落するよりはマシだ。
[attachment=2]P1050896_1.JPG[/attachment]
100mほどで危険地帯を脱出して再びスノーシュ―を履いた。
ここからはブナの並ぶ雪稜歩き。改めて南尾根ルートは素晴らしいと思う。ほどよい幅の尾根に続くブナ林。切れ落ち
た東側にできる強烈な雪庇とその上に浮かぶ白いドームの山頂。上部での高度感。1162mピークから南側のゆったり
としたブナの台地。晴れた日にこの尾根を登る時、胸のときめきを抑えるのは難しいだろう。
[attachment=1]P1050928_1.JPG[/attachment]
Ca1170mピークで最後の休憩を取る。ここまで来れば時間は読める。ゆっくりコーヒーで楽しみたいような心癒される
ブナ林に包まれた場所だ。
長倉谷林道へ下りる一番確実な方法はここから東~南東へ伸びる尾根を辿るルートだ。しかしそのルートは以前登っ
ているし、単純過ぎて面白くない。ここから東側の斜面は広大なカール状の谷地形となって、長倉谷へ向かって流れ落
ちている。下部で少々ややこしいことになってもそれほど困難はないだろう。
雪庇が崩れた跡から左の斜面に飛び込んで滑り降りて行った。少し下りればどこを歩くも自由の広大な雪斜面となる。
適当に方向を決めてぐんぐん進む。
876m標高点を過ぎたあたりから下部は放置植林が目立ち始め、行く手の見定めが難しくなる。この辺まで来るとさす
がに谷には水が流れ、両岸は雪の堆積で渡るのも苦労しそうだ。
できるだけ長く続く尾根を選ぶのがポイントである。本当は876mから左寄りに逃げて最初の尾根沿いを行けばよかった
のだろう。
途中で真新しいワカンの足跡が出て来て、これで楽勝だと思ったら見失ってしまった。しかしあのワカンの主はどこへ行
ったのだろう。木無山の稜線はまったくのノートレースだった。
ついに谷にぶちあたり、1回目の渡渉となった。と言っても水量は少なく谷も狭いのでまたいで渡れる程度だ。問題は
対岸の雪の壁ををどう上がるかだ。2mほどの雪壁をストックリングで円柱状に掻き出して、1m弱の場所にステップを作
る。そこにスノーシュ―を蹴り込んで体を持ち上げる。ステップに乗りこんでしまえばこっちのものだ。後は反対側の足で
ヒザ蹴りを食らわして、そのままヒザを支点に這い上がれば一丁上がりである。
その後も渡渉を繰り返して結局計6回も渡ってしまった。わざわざ苦労を買いに行ったところもあるようだが、まあ自分ら
しいエンディングと言えるのかもしれない。
やっと雪の積もった橋が見えた。ほぼ予定通り。
天気の方も予定通りで、途中折れかかった心が繋がったおかげで思い描いた通りのラインを辿ることができた。
ランチを食ってそのまま下りていたら充実感は半分以下だっただろう。
いい山だった。
山日和
【山 域】奥越 桂島山1173.3m、木無山1328.6m
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】蛇鏡橋7:16---9:27 P1073m---10:19桂島山10:28---11:22 973mコル(前坂峠)11:35---12:45 P1153m
13:58---14:51木無山15:01---15:43 Ca1070mピーク15:54---16:59長倉谷林道---17:17蛇鏡橋
雨は夜更け過ぎに雪へと変わらず、明け方にはなんとか上がってくれた。どんよりとした空の色。いつもなら「またか」
とモチベーション低下症候群に陥るところだが、天気は回復傾向。歩いているうちに青空を拝めるだろう。
先週の洞吹氏のレポに刺激を受けた。週末ごとに恵まれない北陸地方の天気のせいもあり、遠征するのが億劫にな
っていたのだ。そこへ快晴の木無山のレポである。行くしかないだろう。
2度踏んでいる山頂だが、今回は桂島山を絡めての周回を狙ってみよう。
洞吹レポに従い、林道奥越線の入口の除雪スペースに車を止めた。前坂谷に架かる橋の名前は「蛇鏡(じゃかがみ)
橋」と書いてあった。「蛇鏡」というのはスキー場西にある1121.3mの三角点峰の名前だ。
スノーシュ―を履いて歩き出す。右にカーブしたところで林道側壁のガケが切れたので、植林を縫って取り付いた。
80mほどの我慢で尾根に出る。地図上では針葉樹マークなので植林だと思っていたが、右半分は雑木林が残っており、
雰囲気は悪くない。雪も適度に締まり、スノーシュ―には最適である。昨日の雨で表面はややグサグサになりかけてい
るが、こういう雪質に強いのがスノーシュ―だ。
749m標高点下で最初の林道を越え、Ca980m付近で再度林道と出合う。ここまで休まず歩いてきたので少し腹拵え
をしておこう。すると頭上が明るくなってきた。「キターッ」思わず顔がほころぶ。
正面のガケを避けて右から回り込むように再び尾根に乗ると、そこは霧氷のブナ林。この霧氷の回廊は途切れることな
くどこまでも続いていた。
1073mピーク付近も実にいいブナ林が広がる。ここは2年前、小白山から枇杷倉山、桂島山と周回した時に通過した
ピークだ。この時は南東へ下る尾根を使った。今日はあれより1ヵ月早い時期ということもあり、雪の量が全然違う。
昨日の雨もこの高さでは雪だったようで、うっすらと積もった新雪が春の雪の汚れを覆い隠して、神々しいほどの美しさ
だ。
[attachment=4]P1050744_1.JPG[/attachment]
気合いに反して足が重く、前に進まない。ここのところ単独でのロングコースを歩いていない。しばらく体をいじめてい
ないツケが回って来たのか。
桂島山へ着いた頃には疲れが出てきた。おまけに晴れるはずの空はなぜかホワイトアウト状態に逆戻りである。
風もあり、腰を降ろす気にもなれない。
そそくさと出発して、ふと方向を確かめると北に向かっている。これは枇杷倉山への尾根だ。登って来た方向から左折し
たつもりだったが、どうもガスで方向感覚がおかしくなっている。
改めて西南西への尾根に乗る。あたりはまさに夢幻、いや霧幻の世界。ガスの中からブナが浮かび上がっては消え
て行く。左側の前坂谷右俣源頭部は見事なブナ林が残されている。
途中で右へ分岐する尾根を少し下ってしまい、登り返すはめになった。こんな登り返しでも体が重い。
973m標高点への最後の下りは急傾斜だ。下の方に予想外のものが見えた。白い帯が左右に続いている。林道だ。
ちょっとしたガケの上に出てしまい、脱いだスノーシュ―を放り投げて法面の草付きを慎重に下りる。
地形図にないこの林道は、先ほどの2度目の林道出合から北面の谷山川へ抜けているようだ。
973mのコルはもう少し下にあった。いつまでも回復しない天候とイマイチな体調にかなりやる気を失っていた。桂島山
の山頂ではここまで下りてランチにしようかと思ってたぐらいだ。当然木無山はカットである。何も見えないなら行く必要
もない。
しかしここはあまりいいところではないし、木無に行かないにしても1159mピークまでは登らなければいけない。もうひと
頑張りして1159mピークもしくは1153mピーク付近の台地でランチとしよう。
登るにつれ、前坂谷方面のガスが取れて見通しが利くようになった。まるでかき氷器の中を歩いているように、風に吹
かれた霧氷が頭にバラバラと降り注ぎ、足元にスノーフレークが積もっている。
1159mピーク手前からはブナの疎林が広がる山上の楽園。霧氷の道具立ても揃って素晴らしい台地だ。
これに青空があれば言うことなしなのだが。
もう登らなくてもいい場所までと、1153mピークの手前まで来て両足が攣りかけた。早速秘薬をスポーツドリンクで流し
込むとあーら不思議、一瞬で痛みが消えてしまった。飲み薬がこんなに瞬間的に効果を発揮するわけはないのだが、
「病は気から」の裏返しだろうか。
1153mピークの南側の雪堤が絶好の風避けとなっていた。ゆっくりビール、寄せ鍋、コーヒーといつも通りのフルコース
を楽しむ。もうすっかり下山モードである。
[attachment=0]パノラマ 4_1_1.JPG[/attachment]
ところがいつの間にか日が差してきた。雪堤の上に上がってみると、北側に経ヶ岳から赤兎山への山稜が浮かんでい
た。木無山を覆っていた雲も取れている。これは行けというサインか。
時間を計算してみる。最低鞍部から240mの登り返し。山頂まで1時間はかからないだろう。下山は南尾根上部の状態
次第だが、通過できれば2時間もあれば長倉谷へ下りられるはずだ。
それなら5時、遅くとも5時半には下山できると踏んだ。行こう。これを逃したら、二度とこの周回ルートをやる機会がない
かもしれない。第一この青空と目の前に広がる雪稜。ここでやめる理由は何もない。
気分が明るくなっても体が軽くなったわけではない。何度も立ち止まって休みながら、一歩ずつ高度を上げて行く。
そして登るにつれ前方以外の三方の展望がどんどんダイナミックなものになっていく。
稜線の左側は膨大な雪堤が長倉谷源頭へ切れ落ちて、近付くこともできない。
山頂手前のブナ林は相変わらず素敵だ。気温が上がり風が吹いているにも関わらず、まだ霧氷を残してくれている。
ブナ林を過ぎると寄せ豆腐のような白い台形の山頂部が目の前だ。
[attachment=3]P1050872_1.JPG[/attachment]
木無山の山頂部はあちこちに穴があるので注意が必要である。密生した潅木の上に積もった雪が部分的に融けて落
とし穴を作っている。表面上はまだ穴になっていない落とし穴予備軍もあるので始末が悪い。
穴を避けて木無山の山頂に立った。目の前にはどーんと荒島岳。すこし雲がかかっているのと、遅い午後の逆光で美し
さが減殺されているのが残念だ。
それでもこの大パノラマはどうだろう。2時間前には考えられなかった雄大な風景が目の前に広がっている。
山々の名は洞吹氏のレポにも新しいので省略。やはり来てよかった。
南尾根の様子を窺う。先週の高温と雨で雪庇はかなり落ちたようだ。さほど危険なところもなさそうなので、予定通り
南尾根経由の周回ルートを実行しよう。
少し下ったところでスノーシュ―を外す。左側は雪庇が崩れた跡の雪が割れて近寄れない。右側は急傾斜の雪面でス
リップは許されない。ツボ足になるとヒザ近くまで潜るが滑落するよりはマシだ。
[attachment=2]P1050896_1.JPG[/attachment]
100mほどで危険地帯を脱出して再びスノーシュ―を履いた。
ここからはブナの並ぶ雪稜歩き。改めて南尾根ルートは素晴らしいと思う。ほどよい幅の尾根に続くブナ林。切れ落ち
た東側にできる強烈な雪庇とその上に浮かぶ白いドームの山頂。上部での高度感。1162mピークから南側のゆったり
としたブナの台地。晴れた日にこの尾根を登る時、胸のときめきを抑えるのは難しいだろう。
[attachment=1]P1050928_1.JPG[/attachment]
Ca1170mピークで最後の休憩を取る。ここまで来れば時間は読める。ゆっくりコーヒーで楽しみたいような心癒される
ブナ林に包まれた場所だ。
長倉谷林道へ下りる一番確実な方法はここから東~南東へ伸びる尾根を辿るルートだ。しかしそのルートは以前登っ
ているし、単純過ぎて面白くない。ここから東側の斜面は広大なカール状の谷地形となって、長倉谷へ向かって流れ落
ちている。下部で少々ややこしいことになってもそれほど困難はないだろう。
雪庇が崩れた跡から左の斜面に飛び込んで滑り降りて行った。少し下りればどこを歩くも自由の広大な雪斜面となる。
適当に方向を決めてぐんぐん進む。
876m標高点を過ぎたあたりから下部は放置植林が目立ち始め、行く手の見定めが難しくなる。この辺まで来るとさす
がに谷には水が流れ、両岸は雪の堆積で渡るのも苦労しそうだ。
できるだけ長く続く尾根を選ぶのがポイントである。本当は876mから左寄りに逃げて最初の尾根沿いを行けばよかった
のだろう。
途中で真新しいワカンの足跡が出て来て、これで楽勝だと思ったら見失ってしまった。しかしあのワカンの主はどこへ行
ったのだろう。木無山の稜線はまったくのノートレースだった。
ついに谷にぶちあたり、1回目の渡渉となった。と言っても水量は少なく谷も狭いのでまたいで渡れる程度だ。問題は
対岸の雪の壁ををどう上がるかだ。2mほどの雪壁をストックリングで円柱状に掻き出して、1m弱の場所にステップを作
る。そこにスノーシュ―を蹴り込んで体を持ち上げる。ステップに乗りこんでしまえばこっちのものだ。後は反対側の足で
ヒザ蹴りを食らわして、そのままヒザを支点に這い上がれば一丁上がりである。
その後も渡渉を繰り返して結局計6回も渡ってしまった。わざわざ苦労を買いに行ったところもあるようだが、まあ自分ら
しいエンディングと言えるのかもしれない。
やっと雪の積もった橋が見えた。ほぼ予定通り。
天気の方も予定通りで、途中折れかかった心が繋がったおかげで思い描いた通りのラインを辿ることができた。
ランチを食ってそのまま下りていたら充実感は半分以下だっただろう。
いい山だった。
山日和
2度踏んでいる山頂だが、今回は桂島山を絡めての周回を狙ってみよう。