【奥美濃】小津権現山横断ラッセル行
Posted: 2012年1月30日(月) 21:37
蒼穹とはこういう空のことを言うのだろうか。透明感のある、それでいて深い蒼で塗りつぶしたような空が頭上に広が
っている。
4時間のラッセルを経て辿り着いた稜線の景観は、それまでの労苦を報いるに十分なものだった。
実際には小津権現の山頂までまだ1時間半のラッセルを強いられたのだが。
[attachment=3]P1050123_1.JPG[/attachment]
【日 付】2012年1月29日(日)
【山 域】西濃 小津権現山
【天 候】快晴
【メンバー】ふ~さん、山日和
【コース】小津7:40---12:05Ca1050mピーク12:20---13:40小津権現山14:40---15:50999mピーク16:05---17:40横山ダム
小津の集落の雪は、昨年のスノー衆の時とは比べるべくもなかった。
雪国の山村を思わせた、屋根に厚く雪が積もり軒からつららをぶら下げた家々の情景はここにはない。あれは年に何度
もないような特別の姿だったのかもしれない。
高地谷に架かる橋を渡り、民家と畑の間から尾根に取り付いた。雪はうっすらと積もっている程度。いきなりの急登に
ふくらはぎが悲鳴を上げる。
予想通り、尾根の下部は植林が続いた。地形図ではCa600mあたりまで破線路が付けられている。古くからの仕事道が
あるのだろう。
しばらく登ると右手から浅く掘り込まれた幅の広い道が合流した。尾根の末端寄りから上がっているようだ。
道を歩いてみると、雪が溜まっていてかえって歩きにくい。ここは道を外した方が得策だ。
スノーシューを着けるタイミングを見計らっていた。Ca500m付近でひざ近くまで潜りだしたので装着。くるぶし程度の沈
みに楽勝ムードが漂った。山頂まで4時間半と見ていたが、これなら楽に到達できそうである。
ところが意外と雪に粘り気があり、雪を蹴散らして歩くという感じではない。左側が自然林、右が植林という植生だが、植
林の中の方が雪がよく締まっているので、ふだんとは逆に植林の中を歩く。
「山頂までこのまま植林の方が楽やな。」と軽口も飛び出した。
一見伐採地のような無木立の雪原に出た。雪原というにはゴツゴツし過ぎているが、何気なく前進していると前を歩く
ふ~さんの足元が急に沈み込んだ。どうやら大岩がゴロゴロしている地帯のようだ。落ち込まないよう慎重にルートを選
ぶ。
小津権現山の南東尾根とでも呼ぶべきこの尾根には以前から着目していた。基本的にはなだらかそうに見える尾根も、
何箇所か急登を交える。その急登部分は例外なく岩場となっており、体を持ち上げるのに難儀することしばしばである。
下手にルートを選ぶと前進不能になってしまうので頭を使うのだ。
しかし晴れているというのはいいものだ。今日にしてよかったと笑い合う。予想より重い雪を交代しながらラッセルして
行く。右手の高地谷の奥には雷倉からタンポへの尾根が連なる。
ブナが少ないのが予想外だった。雑木主体のブナ混じりといった林相だが悪くはない。しかし小津からの登山道や西尾
根上部に比べると見劣りするのはやむを得ない。
すぐそこに思えた花房~小津権現の稜線は、にせピーク状の突起に幾度も裏切られてなかなか到達しない。それでも
青空へ向かって一歩ずつ高度を上げていくのは痛快である。
稜線の側面に堆積した夥しい量の雪の塊が間近に迫った。いよいよ待望の稜線だ。
雪原となったCa1050mピークからは、叫び出したくなるほどの広がりを見せる奥美濃の山々が惜しげもなくその姿を曝
け出した。
花房へ伸びる雪稜は優美な曲線を描いて誘いを掛ける。その山頂付近、東前の谷の平らかな源流とそれを取り巻く尾根
の造形は秀逸という他ない。ふ~さんはそれを「蜜壷」と形容したが、まさに意味不明である。
そして屏風山から能郷白山、磯倉、若丸、冠、ミノマタ、蕎麦粒、黒津、天狗といった山々がオールスターキャストで迎え
てくれた。風もなく、ランチ場としては最高のシチュエーションだがここで落ち着くわけにはいかない。
小津権現の山頂がずいぶん遠く見えた。無雪期なら30分ばかりの行程だが、この雪ではどれぐらい掛かるのだろう。
[attachment=1]P1050153_1.JPG[/attachment]
[attachment=4]P1050105_1.JPG[/attachment]
稜線上は雪質がさらに悪く、スノーシューのデッキに乗った雪がやたら重たい。まるで鉛の錘を付けられた囚人さなが
らである。西側の樹林寄りにルートを取れば若干はマシだが、胸のすくような展望と引き換えなので胸中複雑だ。
ここでかなり足にきてしまい、小津権現山頂への最後の登りはふ~さんに頼ってしまった。
基部から見上げるとまともに登れそうもない。ジグザグを切りながら蝸牛のごとくジワジワと高度を稼ぐ。
切り立った正面の雪壁を避けて右手の杉林に回り込むと、やっと高いところがなくなった。出発から既に6時間が経過して
いた。
豪雪の去年より雪は多いかもしれない。山頂の祠は完全に雪の中にその姿を没していた。
ふ~さんとガッチリ握手&ハイタッチで決めた。
[attachment=2]P1050141_1.JPG[/attachment]
風を避けて斜面でランチとする。予定より1時間ばかり遅れているが、ランチタイムの省略などあり得ない。ガスストーブ
でいつも通りのランチと、文明堂のしるこで仕上げとした。もちろんビールで乾杯は欠かせない。
気が付けば2時40分。ノートレースの雪山でのんびりしている時間ではないが、自分たちのトレースを辿って戻る気はさら
さらない。予定通り西尾根を下りよう。西尾根の登山口である横山ダムにはふ~さんの車をデポしてあるのだ。
それにこの尾根は勝手知ったるルート、今回で4度目である。
ただ不安は足の状態だ。下りとはいえラッセルは必定。なんとか闇下回避できる時間に下りられるだろうか。
鍋倉から貝月、伊吹、金糞といった南部の大観を楽しみながら、西尾根最上部の雪原地帯を行く。ここには二重山稜
状の地形があり、右の尾根は雪壁となり小さいながらも雪庇ができているのが面白い。4度目とは言いながら、晴れて
いる時に歩くのは今回が初めてで、目に映る風景もすべてが新鮮である。
どんよりとしたモノトーンの世界しか知らなかったこの尾根が、光を浴びるとこんなにも華やかに輝きを放つのだ。
[attachment=0]P1050168_1.JPG[/attachment]
左足の付け根が痛み出した。かろうじてふ~さんに付いて行く。さっき足が攣りかけたので、秘薬は服用済みだ。
重たい雪は相変わらずだが、ふ~さんは確実にトレースを刻んでいる。
P999mからは急降下である。足を投げ出せば前に進めるのでここでトップ交代。ちょうど横位置から小津権現、前衛峰、
高屋山をと並ぶ尾根を望むいいところだ。はるか下には揖斐川の流れと国道が見える。
しばらくは調子よく歩けたが、電波塔のあたりから痛みがひどくなってきた。足を上げるのも辛いといった状態だ。軽くス
トレッチと水分補給をしたら少し楽になった。
ふじはし観音への急斜面が懸念材料だったが、雪がしっかり積もっていて苦労することなく下りる。
最後はふ~さんの車の真横にスノーシューを履いたまま到着だ。こういうシーンも珍しいだろう。
かなり薄暗くなったがなんとか闇下は回避。なんせ今年は「脱・闇下宣言」の年なのである。(ホントか?)
ここで再び握手&ハイタッチ。小津権現山オールラッセル横断ルートの完成だ。
笑顔に満足感が漂う。山行の充実度は消費したエネルギーに比例するのである。
山日和
っている。
4時間のラッセルを経て辿り着いた稜線の景観は、それまでの労苦を報いるに十分なものだった。
実際には小津権現の山頂までまだ1時間半のラッセルを強いられたのだが。
[attachment=3]P1050123_1.JPG[/attachment]
【日 付】2012年1月29日(日)
【山 域】西濃 小津権現山
【天 候】快晴
【メンバー】ふ~さん、山日和
【コース】小津7:40---12:05Ca1050mピーク12:20---13:40小津権現山14:40---15:50999mピーク16:05---17:40横山ダム
小津の集落の雪は、昨年のスノー衆の時とは比べるべくもなかった。
雪国の山村を思わせた、屋根に厚く雪が積もり軒からつららをぶら下げた家々の情景はここにはない。あれは年に何度
もないような特別の姿だったのかもしれない。
高地谷に架かる橋を渡り、民家と畑の間から尾根に取り付いた。雪はうっすらと積もっている程度。いきなりの急登に
ふくらはぎが悲鳴を上げる。
予想通り、尾根の下部は植林が続いた。地形図ではCa600mあたりまで破線路が付けられている。古くからの仕事道が
あるのだろう。
しばらく登ると右手から浅く掘り込まれた幅の広い道が合流した。尾根の末端寄りから上がっているようだ。
道を歩いてみると、雪が溜まっていてかえって歩きにくい。ここは道を外した方が得策だ。
スノーシューを着けるタイミングを見計らっていた。Ca500m付近でひざ近くまで潜りだしたので装着。くるぶし程度の沈
みに楽勝ムードが漂った。山頂まで4時間半と見ていたが、これなら楽に到達できそうである。
ところが意外と雪に粘り気があり、雪を蹴散らして歩くという感じではない。左側が自然林、右が植林という植生だが、植
林の中の方が雪がよく締まっているので、ふだんとは逆に植林の中を歩く。
「山頂までこのまま植林の方が楽やな。」と軽口も飛び出した。
一見伐採地のような無木立の雪原に出た。雪原というにはゴツゴツし過ぎているが、何気なく前進していると前を歩く
ふ~さんの足元が急に沈み込んだ。どうやら大岩がゴロゴロしている地帯のようだ。落ち込まないよう慎重にルートを選
ぶ。
小津権現山の南東尾根とでも呼ぶべきこの尾根には以前から着目していた。基本的にはなだらかそうに見える尾根も、
何箇所か急登を交える。その急登部分は例外なく岩場となっており、体を持ち上げるのに難儀することしばしばである。
下手にルートを選ぶと前進不能になってしまうので頭を使うのだ。
しかし晴れているというのはいいものだ。今日にしてよかったと笑い合う。予想より重い雪を交代しながらラッセルして
行く。右手の高地谷の奥には雷倉からタンポへの尾根が連なる。
ブナが少ないのが予想外だった。雑木主体のブナ混じりといった林相だが悪くはない。しかし小津からの登山道や西尾
根上部に比べると見劣りするのはやむを得ない。
すぐそこに思えた花房~小津権現の稜線は、にせピーク状の突起に幾度も裏切られてなかなか到達しない。それでも
青空へ向かって一歩ずつ高度を上げていくのは痛快である。
稜線の側面に堆積した夥しい量の雪の塊が間近に迫った。いよいよ待望の稜線だ。
雪原となったCa1050mピークからは、叫び出したくなるほどの広がりを見せる奥美濃の山々が惜しげもなくその姿を曝
け出した。
花房へ伸びる雪稜は優美な曲線を描いて誘いを掛ける。その山頂付近、東前の谷の平らかな源流とそれを取り巻く尾根
の造形は秀逸という他ない。ふ~さんはそれを「蜜壷」と形容したが、まさに意味不明である。
そして屏風山から能郷白山、磯倉、若丸、冠、ミノマタ、蕎麦粒、黒津、天狗といった山々がオールスターキャストで迎え
てくれた。風もなく、ランチ場としては最高のシチュエーションだがここで落ち着くわけにはいかない。
小津権現の山頂がずいぶん遠く見えた。無雪期なら30分ばかりの行程だが、この雪ではどれぐらい掛かるのだろう。
[attachment=1]P1050153_1.JPG[/attachment]
[attachment=4]P1050105_1.JPG[/attachment]
稜線上は雪質がさらに悪く、スノーシューのデッキに乗った雪がやたら重たい。まるで鉛の錘を付けられた囚人さなが
らである。西側の樹林寄りにルートを取れば若干はマシだが、胸のすくような展望と引き換えなので胸中複雑だ。
ここでかなり足にきてしまい、小津権現山頂への最後の登りはふ~さんに頼ってしまった。
基部から見上げるとまともに登れそうもない。ジグザグを切りながら蝸牛のごとくジワジワと高度を稼ぐ。
切り立った正面の雪壁を避けて右手の杉林に回り込むと、やっと高いところがなくなった。出発から既に6時間が経過して
いた。
豪雪の去年より雪は多いかもしれない。山頂の祠は完全に雪の中にその姿を没していた。
ふ~さんとガッチリ握手&ハイタッチで決めた。
[attachment=2]P1050141_1.JPG[/attachment]
風を避けて斜面でランチとする。予定より1時間ばかり遅れているが、ランチタイムの省略などあり得ない。ガスストーブ
でいつも通りのランチと、文明堂のしるこで仕上げとした。もちろんビールで乾杯は欠かせない。
気が付けば2時40分。ノートレースの雪山でのんびりしている時間ではないが、自分たちのトレースを辿って戻る気はさら
さらない。予定通り西尾根を下りよう。西尾根の登山口である横山ダムにはふ~さんの車をデポしてあるのだ。
それにこの尾根は勝手知ったるルート、今回で4度目である。
ただ不安は足の状態だ。下りとはいえラッセルは必定。なんとか闇下回避できる時間に下りられるだろうか。
鍋倉から貝月、伊吹、金糞といった南部の大観を楽しみながら、西尾根最上部の雪原地帯を行く。ここには二重山稜
状の地形があり、右の尾根は雪壁となり小さいながらも雪庇ができているのが面白い。4度目とは言いながら、晴れて
いる時に歩くのは今回が初めてで、目に映る風景もすべてが新鮮である。
どんよりとしたモノトーンの世界しか知らなかったこの尾根が、光を浴びるとこんなにも華やかに輝きを放つのだ。
[attachment=0]P1050168_1.JPG[/attachment]
左足の付け根が痛み出した。かろうじてふ~さんに付いて行く。さっき足が攣りかけたので、秘薬は服用済みだ。
重たい雪は相変わらずだが、ふ~さんは確実にトレースを刻んでいる。
P999mからは急降下である。足を投げ出せば前に進めるのでここでトップ交代。ちょうど横位置から小津権現、前衛峰、
高屋山をと並ぶ尾根を望むいいところだ。はるか下には揖斐川の流れと国道が見える。
しばらくは調子よく歩けたが、電波塔のあたりから痛みがひどくなってきた。足を上げるのも辛いといった状態だ。軽くス
トレッチと水分補給をしたら少し楽になった。
ふじはし観音への急斜面が懸念材料だったが、雪がしっかり積もっていて苦労することなく下りる。
最後はふ~さんの車の真横にスノーシューを履いたまま到着だ。こういうシーンも珍しいだろう。
かなり薄暗くなったがなんとか闇下は回避。なんせ今年は「脱・闇下宣言」の年なのである。(ホントか?)
ここで再び握手&ハイタッチ。小津権現山オールラッセル横断ルートの完成だ。
笑顔に満足感が漂う。山行の充実度は消費したエネルギーに比例するのである。
山日和
山日和さん、こんばんは~