【台高】樫山 ~大正期のトロッコ隧道探索~
Posted: 2011年12月22日(木) 21:45
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【 日 付 】2011年12月18日
【 山 域 】台高南部 地池山~樫山尾根
【メンバー】zipp
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】《小谷小屋谷川出合から樫山尾根》
07:30 白倉林道小河橋手前駐車地--- 08:00 樫山南尾根石積道(水平道)--- 09:15 樫山三角点--- 09:40 岩尾根分岐点(co1080m)--- 10:00~10:05 1174 標高点--- 10:25 p1272--- 10:32~10:55 1272北コル--- 11:10~12:10 p1272北東尾根co1180?(昼食)--- 13:05~13:10 p1174周辺--- 13:30~13:50 飯場跡--- 13:55~14:05 ヤドリギのブナ--- 14:40 石積道(水平道)--- 14:55 小谷小屋谷二俣の下(連続する砂防堤)--- 15:25 駐車地
白倉林道の樫山の西に突き上げる谷・小谷小屋谷出合を見下ろす林道膨らみに車を停めた。
道端に祀られているお地蔵さんに挨拶をして、銚子川(不動谷)へ降りる。
いつの間にか林道降り口には、「樫山入口」なるプレートが付けられていた。
しかしなぁ、樹を掴み体を持ち上げる急登続きのこの尾根ルートは如何なものだろう?降りで使うのはいいが、登りでは使いたくないルートだと思う。
…といいつつ、時間短縮のためこの尾根をピストンするのだが。
砂防堤から上、出合付近には水の流れが無くてびっくりする。干からびて河原になってしまっているのだ。
先月に入った時は、ズボンを脱いで渡渉したというのに。何度かここに来ているが、こんな風景は初めてだ。
川を渡り、二ノ俣林鉄の軌道跡に登って、植林との境界尾根に取つく。初っ端から急登が続く。それに地面には照葉樹の落葉が溜まり、足元が滑るのである。その上、石岩がゴロゴロ。さらに、クマの爪痕がついたシイやヤマモモの樹がいくつも見つけることのできる尾根なのである。
今回は、熊棚のついたタムシバを見つけたのだった。しかし、タムシバなんてクマさん、美味しいの?
樫山三角点には、はじめて登った4年前には無かった沢山のプレートがぶら下がっていた。
三角点まで、いま辿った尾根ルートのピストンをするだけなら、なんの面白みもない山だろう。展望のない山頂に植林と照葉樹林の暗い急登道だけなのだから。
それでも三角点マニア・ピークハンターにとっては、三角点のある山頂に立てたことで満足してしまうのだろうか。
この山の良さは、三角点の先のたおやかな太い尾根や自然林、そして歴史にあるのだと思う。
「樫山」の名の由来は、固くて堅牢な樫の材を伐り出したことからきているのだろう。そうならば、木馬や斧鉈の柄、さらに鍬の柄など人々の生活と結びついた山なのだ。
三角点のある岩コブを降り、すぐに幅広のふくよかな稜線に達する。基本は二次林ではあるが、所々にブナやツガの大木が残されている稜線だ。
この稜線は、尾根芯を辿る限りほとんど展望がない。それでも木々が葉を落とした今は、背後を見れば熊野灘のきらめきが樹間から見え隠れしている。また、不動谷の長瀑清五郎滝(F2)とその上の末広がりのF3が一度に見えるところもあるのだ。
尾根芯を外して、熊野灘を望む。青い空に青い海、志摩半島へと続く弧を描くリアス式海岸に、海に浮かぶ島々。何度見ても素晴らし風景だ。[attachment=3]blgPC180031_800.jpg[/attachment]
1174標高点。樫山まで来たのならぜひここまで足を延ばして欲しいところだ。
ここからは、この稜線を辿って初めて、大台ヶ原・日出ヶ岳が眺望でき、二ノ俣源流の男滝(黒滝)が眼前に見えるところなのだ。
また、なだらかな地形にミズナラやブナ、ツガの大木もよく残っていてランチ場にはいい場所でもある。
きょうの目的の場所は、さらにコブを二つ越えた場所、1272標高点の北のコルだ。
以前に地池山から二ノ俣谷側山腹に残るトロッコ軌道を辿った時( 樫山から地池山 )、トロ道がわからなくなり稜線に登った地点だ。
後日知ったのだが、この地点でトロ道は岩井谷側に移っていたのだ。稜線に隧道を打ち抜いて!
この大台-樫山トロ道は、計画段階では大蛇嵓、蒸籠嵓にも隧道を通す予定だったようだが、それらの隧道は貫通することもトロッコを通すことも無かった。
つまりこの1272標高点北のコルの下が、唯一の隧道箇所で、トロッコが通り抜けた軌道跡なのである。
コルから二ノ俣谷側に降り、軌道跡に降り立つ。標高差50m程だろうか。まさしく以前、崩落した谷を前に軌道跡を見失ったところだ。
谷の上部は岩盤が見えているものの、隧道があったと思われる箇所は、厚く土砂が堆積していて痕跡もうかがい知れない。
コルに這い上がり、岩井谷側に降りて軌道跡に降り立つ。ここは何故か杉の放置植林林だ。
隧道があったと思われるコルからの谷筋部分を歩くが、こちらはさらに厚い土砂に覆われていて露出した岩盤さへ辺りには少ない。
すでに隧道に出入り口は土砂に埋まっていることは、ネット上で知っていたが(とぅーぷまーず、自分の目で確認し、二ノ俣谷側から岩井谷側に抜けたかったのだ。
ここから、1250p(主図根点がある)の南東の谷部分までがトロ道の未踏部分なので、これを繋げるために樫山へ向かう軌道跡を辿って行く。
シカ剥ぎ・クマ剥ぎの放置植林の中、煩い枝を掻き分けてしばらく行くと前方が明るくなり、伐採地に飛び出す。
伐採地というより、皆伐されたが、シャクナゲとアセビしか生えなかった土地と云うのがふさわしいか。地面は土がむき出しで、トロッコの車輪が土に埋もれて僅かにのぞいている。p1272東北東尾根のco1160辺りになるだろうか。
そのおかげで、東面・北面の展望は開かれている。熊野灘から志摩半島、度会の山々が見渡せ、岩井谷支流梅ノ木谷流域が眼下に見える場所だ。
この梅ノ木谷流域は、思わぬ植林が多い。たぶん先ほどトロ道にあったような放置植林なのだろう。皆伐され、植林されたのだろうが、育たなかったのが多いように見える。
しかし、こんな奥地がことごとく伐採され植林もされていたのは驚きだ。
風が遮られ陽がさんさんと降り注ぐ絶好のランチ場で、ゆっくりビアランチだ。
ランチ場あたりからp1250の東尾根を回り込む辺りまでは、トロ道がよく残っている。
上記尾根には、大木のブナも残り、きれいな嘉茂助谷ノ頭の双耳峰が見渡せた。
尾根を回り込むと、岩盤がむき出しとなり、僅かに切削したであろう岩盤を見て辿って行くと、先月敗退した時見た大ブナと出会い、トロ道を繋ぐことに成功した。
前回は5m先も見えないガスで、大ブナ先のトロ道を見失い、腹が減ったと昼食用のガスを出せば空。湿った木々で焚火起こし、なんとか昼食を摂ったものの時間切れ。つまりガスガスで敗退したのだった。
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1174標高点付近で尾根に戻り、尾根を辿る。co1100付近で岩井谷側山腹を辿っていたトロ道は尾根に合流し、再び岩井谷側山腹へと移って行く。この尾根と山腹のトロ道部分を繋ぐのはちょっとわかりづらい。若干標高差があるように思う。
適当に以前(東大台伐採のトロッコ道と樫山) 辿ったトロ道に降りて、飯場跡を目指す。このあたりからトロ道の最終地点ツミバまでの道は、道もよく残り気持ち良い道だ。
当時の食器・ビン類など遺物が散乱する飯場跡をしばらく見て回り、樫山三角点近くのヤドリギを沢山つけたお気に入りのブナの下でいっぷく。
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三角点からは、朝辿った急傾斜の尾根を降りていくのだが、膝が痛くなりだした。足をしっかり地面に着けずに降りているせいでもあるのだろう。急傾斜地の照葉樹の枯葉に体重を乗せた足を置けば滑るだろうと、余計な筋肉を使っているためだ。
主尾根を右に外し、植林に入ってすぐの尾根を横切る石積道。時間もあるので今回これを辿ることにした。この石積道は最初に見たときから気になっていた道でもあるのだ。[attachment=0]blgPC180160_640.jpg[/attachment]
若干降り勾配で小谷小屋谷側に向かって行く。この道はちょうど植林上部の自然林と境についているようだ。この水平道を歩けば、途端に膝の痛みは無くなっていた。
崩落しつつも続く石積み道を辿って行くと、大きな椎の樹のあるところで二俣に分かれ、今来た道の上部をさらに登り勾配で上へと続いている道がある。いったいどこへ行く道なのだろう。また宿題を頂いた気分だ。
もう一方の道を追うと、小谷小屋谷の砂防が上下に二つあるのが望める場所に着いた。この先、石積道は消えている。道を追うのはここまでだ。
当初谷を降りても良いかと考えていたが、谷は大岩のゴーロと岩間滝。こんなのを降りていたら日が暮れそうと、左岸の杣道を拾って出合に降り着いた。
以前樫山南尾根の下流側山腹も歩いているが、この樫山山腹の急峻さにも拘らず、いくつもの道が付けられていたようだ。
これで、わたしの大正期の樫山ー大台ケ原(シオカラ谷)を繋ぐ手押しトロッコ道の探索は一応終了である。
尾鷲道のある尾根のアリノキ嶺(p1414)とその南ピーク辺りの二ノ俣谷側軌道跡は未踏だが、また行く機会もあるだろう。またシオカラ谷の木材集積場から西大台地区へ延びるトロッコ道支線もあるようだが、こちらは入山管理区域の為、探索は難しい。大台ケ原・大峰の自然を守る会の調査報告を待ちたい。
中高年の登山ブームのなせる技です。