【越前】道元の道を歩く 吉峰寺から大佛寺山、永平寺へ
Posted: 2025年12月03日(水) 23:04
【日 付】2025年11月29日(土)
【山 域】越前 大佛寺山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】越前竹原駅8:20---9:05吉峰寺9:20---10:50祝山11:05---11:50仙尾山---12:50大佛寺山14:00---
15:05永平寺ダム---15:45永平寺
えちぜん鉄道の永平寺口駅を初めて訪れた。ここから越前竹原駅まで鉄道を利用して、吉峰寺(きっぽうじ)
から仙尾山(せんのおさん)を経て大佛寺山へ至り、永平寺へ下山しようとう縦走コースだ。
切符売り場の朗らかなおばちゃんから「竹原は無人駅だから先頭のドアしか開かないので注意して」と説明
を受ける。いかにも県外からの客らしい風体を見て親切に教えてくれたのだろう。
2両編成のかわいい電車がホームに入ってきた。なるほど、ワンマン運行なので無人駅では運転士が切符を
回収する必要があるのだ。運転士は常に安全確認のための指差呼称で忙しい。
ガタゴトと揺れながら越前竹原駅に到着。ここで福井行きの電車とすれ違う。
ホームに走ってきた高校生が間に合わず、肩を落として待合室に戻って行った。次の電車は30分後だ。
吉峰寺を目指して車道を歩き出した。今日は快晴だが朝の空気は冷たい。
北側には先日登った三ツ尾の前衛のみつまた山を真ん中に鷲ヶ岳と水無山が両脇を固めている。
みつまた山と三ツ尾は逆に書かれている資料もあるのだが、どちらが正しいのだろう。
(増永廸男氏の「福井の山150」では先日登ったピークがみつまた山となっている)
朝日に輝く大きなイチョウの木が目に入った。お寺のようだ。
興行寺と書かれた山門をくぐると、一面に真っ黄色のイチョウの落葉の絨毯が散り敷かれた美しい境内と対面
した。これほどのイチョウの落葉を見たのは初めてかもしれない。
行き交う車もほとんどない田舎道を行く。吉峰の集落を抜けると吉峰寺参道の入口に着いた。
ここから大佛寺山を経て永平寺へと至る道は租跡コースと呼ばれている。
1200年前に泰澄が開いたと言われる老梅山吉峰寺は曹洞宗の開祖、道元が永平寺を開山する前に居留していた
寺であり、長い尾根を歩いて大佛寺山の直下にまず大佛寺を開いた。これが永平寺の前身であり、あまりに山奥
深いため参拝しづらいということで今の永平寺に場所を移したということである。
道元はここで「正法眼蔵」を書き始めたという。
徹通坂と呼ばれる長い石段を上がって行く。つづら折れに続く苔むした石段は、鬱蒼とした杉林に包まれて
荘厳な雰囲気を醸し出していた。曲がり角に必ずある石仏は参拝する人々を見守ってきたのだろう。
吉峰寺の境内も落ち着いた佇まいで迎えてくれる。本堂の前でひと息入れて服装を整えた。
横手には道元が座禅を組んだと伝えられる座禅岩がある。
本堂の裏手から植林の道に入る。しばらく歩くとあたりは自然林に変わった。よく整備された歩きやすい道は
標高の低いこともあって紅葉が目を楽しませてくれる。
左後ろに目をやると真っ白な山塊が目に飛び込んできた。白山だ。昨日の雨は当然雪だったのだろう。
まわりの黒い山の中で白山だけが神々しく白く輝いていた。
主稜線へ至るこの尾根道は意外に長く、ようやく祝山(三角点大谷)に到着した時には1時間半が経過していた。
次のピーク、仙尾山に向けて踏み出したところでナメコを発見。味噌汁サイズの形のいいナメコがびっしりと
付いている。先週、当面はナメコに困らないぐらい収穫したのでスルーしようとしたのだが、satoさんは未練が
あるようでひとり刈り取っていた。稜線の真下には上がってきた林道が並行して走っている。
一度林道に下りて、仙尾山の登り口で再び山道に入る。今日の最高点である仙尾山までひと頑張り。
山頂には南側から巡視路が上がってきており、これから進む方向へ幅広く刈り開かれた道が続いていた。
緩やかにアップダウンする道は林相も良く、葉をすっかり落としたブナ林は展望が素晴らしい。
終始白山と加越国境稜線を眺められる稜線歩きだ。南側には能郷白山や荒島岳の姿も望むことができる。
左下に池が見えた。「血脈の池」と呼ばれるこの池にはおどろおどろしい伝説があるようだが、見たところ杉林
の中のお世辞にも美しいとは言えない池だったので、見下ろすだけにとどめておいた。
大佛寺山頂に到着。予想に反してこの快晴無風の登山日和に誰も登っていない。
予定より少し遅くなったが下山は早いのでのんびりしていこう。と言っても永平寺からのバスの時間があるので
ほどほどにしなければ。
白山と加越国境稜線方面は遮るもののない展望が開けているので、そちらを向いて腰を降ろす。
眼下には九頭竜川の河岸台地が細長く延びている。
おもちゃの鉄道のようなえちぜん鉄道の電車が走っているのが見えた。
14時になった。そろそろ下山にかかろう。今日はふつうの登山道なので時間が読めるから気が楽である。
南側の急斜面に付けられたジグザグの道を下ると、そこだけが杉林に包まれた小台地が現れた。大佛寺跡である。
こんなところに寺院を開いたとは思えない狭い場所だ。
石組みの下に祀られた何体かの石仏があり、見上げる明るい雑木林と対照的な空間を作り出していた。
谷沿いに下る道は石段が設えられているが、崩れかけている上に滑りやすく油断できない。
小さなナメ滝が右の谷から出合うと左に虎班の滝への道を分ける。当初はこの滝見物も予定していたが、滝まで
200mという標識を見てカットすることに決定。
広い遊歩道風の道に変わると大佛湖の水面が光って見えた。
永平寺ダムのダム湖である大佛湖は名前とは裏腹に小さな湖だ。
右岸の林道からダム堤を渡って左岸の林道へ。ダム本体の両側には80mを一気に下る階段が作られていた。
ダムの案内板を見ると右岸側の階段が遊歩道の一部になっているようだ。林道をそのまま進むと相当な遠回りに
なる。左岸側の階段は関係者以外立入禁止になっていたので右岸の階段も同様だと思っていたのだが、右岸階段
の入口に戻ってみるとちゃんと標識があった。
遠目には強烈な傾斜の階段に見えたのだが、無数の折り返しで緩やかになっており、高い手すりがあるので恐さ
はまったくない。ただ岩壁から滲み出したのだろうか階段が水浸しになっており、スニーカーを履いて歩けば足
がびしょ濡れになってしまうだろう。
下から見上げるダムの中心には白布を垂らしたように一条の水流を落としていた。
もう時間の心配はない。永平寺に近付くにつれ、曹洞宗大本山の空気が漂ってくるような気がした。
観光客で賑わう山門前でバスに乗るために汗まみれの服を着替える。
バス停まで立ち並ぶみやげ物屋を冷やかしながら歩く。
永平寺と言えば胡麻豆腐を思い起こす。一軒の店で胡麻豆腐を買い求めてバスの客となった。
永平寺口の駅までほんのひと時のバス旅である。こういう山旅のエピローグもいいものだ。
山日和
【山 域】越前 大佛寺山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】越前竹原駅8:20---9:05吉峰寺9:20---10:50祝山11:05---11:50仙尾山---12:50大佛寺山14:00---
15:05永平寺ダム---15:45永平寺
えちぜん鉄道の永平寺口駅を初めて訪れた。ここから越前竹原駅まで鉄道を利用して、吉峰寺(きっぽうじ)
から仙尾山(せんのおさん)を経て大佛寺山へ至り、永平寺へ下山しようとう縦走コースだ。
切符売り場の朗らかなおばちゃんから「竹原は無人駅だから先頭のドアしか開かないので注意して」と説明
を受ける。いかにも県外からの客らしい風体を見て親切に教えてくれたのだろう。
2両編成のかわいい電車がホームに入ってきた。なるほど、ワンマン運行なので無人駅では運転士が切符を
回収する必要があるのだ。運転士は常に安全確認のための指差呼称で忙しい。
ガタゴトと揺れながら越前竹原駅に到着。ここで福井行きの電車とすれ違う。
ホームに走ってきた高校生が間に合わず、肩を落として待合室に戻って行った。次の電車は30分後だ。
吉峰寺を目指して車道を歩き出した。今日は快晴だが朝の空気は冷たい。
北側には先日登った三ツ尾の前衛のみつまた山を真ん中に鷲ヶ岳と水無山が両脇を固めている。
みつまた山と三ツ尾は逆に書かれている資料もあるのだが、どちらが正しいのだろう。
(増永廸男氏の「福井の山150」では先日登ったピークがみつまた山となっている)
朝日に輝く大きなイチョウの木が目に入った。お寺のようだ。
興行寺と書かれた山門をくぐると、一面に真っ黄色のイチョウの落葉の絨毯が散り敷かれた美しい境内と対面
した。これほどのイチョウの落葉を見たのは初めてかもしれない。
行き交う車もほとんどない田舎道を行く。吉峰の集落を抜けると吉峰寺参道の入口に着いた。
ここから大佛寺山を経て永平寺へと至る道は租跡コースと呼ばれている。
1200年前に泰澄が開いたと言われる老梅山吉峰寺は曹洞宗の開祖、道元が永平寺を開山する前に居留していた
寺であり、長い尾根を歩いて大佛寺山の直下にまず大佛寺を開いた。これが永平寺の前身であり、あまりに山奥
深いため参拝しづらいということで今の永平寺に場所を移したということである。
道元はここで「正法眼蔵」を書き始めたという。
徹通坂と呼ばれる長い石段を上がって行く。つづら折れに続く苔むした石段は、鬱蒼とした杉林に包まれて
荘厳な雰囲気を醸し出していた。曲がり角に必ずある石仏は参拝する人々を見守ってきたのだろう。
吉峰寺の境内も落ち着いた佇まいで迎えてくれる。本堂の前でひと息入れて服装を整えた。
横手には道元が座禅を組んだと伝えられる座禅岩がある。
本堂の裏手から植林の道に入る。しばらく歩くとあたりは自然林に変わった。よく整備された歩きやすい道は
標高の低いこともあって紅葉が目を楽しませてくれる。
左後ろに目をやると真っ白な山塊が目に飛び込んできた。白山だ。昨日の雨は当然雪だったのだろう。
まわりの黒い山の中で白山だけが神々しく白く輝いていた。
主稜線へ至るこの尾根道は意外に長く、ようやく祝山(三角点大谷)に到着した時には1時間半が経過していた。
次のピーク、仙尾山に向けて踏み出したところでナメコを発見。味噌汁サイズの形のいいナメコがびっしりと
付いている。先週、当面はナメコに困らないぐらい収穫したのでスルーしようとしたのだが、satoさんは未練が
あるようでひとり刈り取っていた。稜線の真下には上がってきた林道が並行して走っている。
一度林道に下りて、仙尾山の登り口で再び山道に入る。今日の最高点である仙尾山までひと頑張り。
山頂には南側から巡視路が上がってきており、これから進む方向へ幅広く刈り開かれた道が続いていた。
緩やかにアップダウンする道は林相も良く、葉をすっかり落としたブナ林は展望が素晴らしい。
終始白山と加越国境稜線を眺められる稜線歩きだ。南側には能郷白山や荒島岳の姿も望むことができる。
左下に池が見えた。「血脈の池」と呼ばれるこの池にはおどろおどろしい伝説があるようだが、見たところ杉林
の中のお世辞にも美しいとは言えない池だったので、見下ろすだけにとどめておいた。
大佛寺山頂に到着。予想に反してこの快晴無風の登山日和に誰も登っていない。
予定より少し遅くなったが下山は早いのでのんびりしていこう。と言っても永平寺からのバスの時間があるので
ほどほどにしなければ。
白山と加越国境稜線方面は遮るもののない展望が開けているので、そちらを向いて腰を降ろす。
眼下には九頭竜川の河岸台地が細長く延びている。
おもちゃの鉄道のようなえちぜん鉄道の電車が走っているのが見えた。
14時になった。そろそろ下山にかかろう。今日はふつうの登山道なので時間が読めるから気が楽である。
南側の急斜面に付けられたジグザグの道を下ると、そこだけが杉林に包まれた小台地が現れた。大佛寺跡である。
こんなところに寺院を開いたとは思えない狭い場所だ。
石組みの下に祀られた何体かの石仏があり、見上げる明るい雑木林と対照的な空間を作り出していた。
谷沿いに下る道は石段が設えられているが、崩れかけている上に滑りやすく油断できない。
小さなナメ滝が右の谷から出合うと左に虎班の滝への道を分ける。当初はこの滝見物も予定していたが、滝まで
200mという標識を見てカットすることに決定。
広い遊歩道風の道に変わると大佛湖の水面が光って見えた。
永平寺ダムのダム湖である大佛湖は名前とは裏腹に小さな湖だ。
右岸の林道からダム堤を渡って左岸の林道へ。ダム本体の両側には80mを一気に下る階段が作られていた。
ダムの案内板を見ると右岸側の階段が遊歩道の一部になっているようだ。林道をそのまま進むと相当な遠回りに
なる。左岸側の階段は関係者以外立入禁止になっていたので右岸の階段も同様だと思っていたのだが、右岸階段
の入口に戻ってみるとちゃんと標識があった。
遠目には強烈な傾斜の階段に見えたのだが、無数の折り返しで緩やかになっており、高い手すりがあるので恐さ
はまったくない。ただ岩壁から滲み出したのだろうか階段が水浸しになっており、スニーカーを履いて歩けば足
がびしょ濡れになってしまうだろう。
下から見上げるダムの中心には白布を垂らしたように一条の水流を落としていた。
もう時間の心配はない。永平寺に近付くにつれ、曹洞宗大本山の空気が漂ってくるような気がした。
観光客で賑わう山門前でバスに乗るために汗まみれの服を着替える。
バス停まで立ち並ぶみやげ物屋を冷やかしながら歩く。
永平寺と言えば胡麻豆腐を思い起こす。一軒の店で胡麻豆腐を買い求めてバスの客となった。
永平寺口の駅までほんのひと時のバス旅である。こういう山旅のエピローグもいいものだ。
山日和
道元の道への山旅、楽しかったですね。このコースは以前気になって歩こうと思ったのですが、