【加越国境】竹田川本流から三ツ尾山 激ヤブの国境稜線を歩く
Posted: 2025年11月18日(火) 23:06
【日 付】2025年11月15日(土)
【山 域】加越国境 竹田川源流域
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】林道駐車地8:10---8:25入渓点---670m二俣10:05---11:35林道---
13:00三ツ尾山---14:30林道15:30---16:35駐車地
そろそろ沢納めの季節がやってきた。昨年は9月に事故で強制終了してしまったが、今年は無事シーズンを
終えることができそうだ。
今季最後の沢登りの舞台は福井の竹田川にしよう。流域の支流である小倉谷、水上谷、ハンノキ谷は自分でも
歩いており、それなりに有名で遡行されているが、本流を遡った記録はほとんどない。記録が少ないというの
はイコール面白くない可能性が高いのだが、蕪山の奥牧谷の例もあることだし、谷は入ってみないとわからな
いのである。
龍ヶ鼻ダムから竹田川本流沿いの長い林道を進む。ダムから一気に400mの標高差を稼ぐ急な林道だ。
朝日に照らされたまわりの山肌は燃えるような赤と黄で染められている。先週に続いて今日も最高潮の紅葉を
楽しめそうだ。
547m標高点に向かって小尾根を下降するが、釣り師のものなのか明瞭な踏み跡が付けられていて楽に本流に
下り立った。谷沿いには植林が目立ち、凡流という以外の表現が見当たらない平凡な流れである。
効率化のために適当に川岸の杣道を拾いながら進む。
進むにつれ植林が切れて林相が自然林に変わった。やや暗かった谷間が明るさを取り戻してきた。
流れが平凡でも紅葉の自然林の中を歩くのは格別の気分だ。
巨大なプールのような釜を持つ2mほどの小滝は、谷幅一杯に水を落としてスケール感がある。
その後も時折短いナメや1mばかりの滝とも呼べないような小滝が現れる程度。のんびりとした沢歩きの風情で
ある。
谷の真ん中にトラックのタイヤが落ちていて驚く。左岸の林道から落ちてきたのだろうか。
この後もビニール屑やらゴミが目に付いたのが少々残念だ。
突然水の流れが消えた。石垣のように積み重なった岩が谷を埋める。どうやら伏流しているようだ。
岩の隙間の穴に落ちないように登って行く。奥美濃の東前の谷のようだ。
登り切った先は枯れたダム湖のようになっており、さらにその奥に自然の石積みが谷が遮っていて驚かされた。
岩に挟まれた谷はまるで窪地のようだ。滝の代わりにいろいろ変化を楽しませてくれる谷だ。
670mの二俣でみつまた山へ向かう右俣を分けて左俣へ入る。ようやく滝らしい滝が現れた。
2条10m足らずの滝だが、やっと来たかという感じである。濡れたくないのであっさり右岸から高巻く。
滝の上にはナメが続いていて思わず顔がほころんだ。
美しい小滝が何本か現れて、やっと沢登りらしくなってきた。と思っていたらまたもや伏流帯。今度はまるで
ロックフィルダムのようなきれいな石積みが立ちはだかった。自然にできたとは思えないようにぎっしりと石が
積み重なっていた。前記した伏流帯の前にも一か所あったので、都合3度目の伏流である。
こんな谷も珍しいのではないだろうか。
そろそろ林道が横切るかと思ったところで異物が目に入った。金属製の導水管の残骸である。まあ、いろんな
ものを楽しませてくれる谷だ。
林道から一段と細くなった谷を進むと、巨岩を割るように落ちる溝状の5m滝が現れる。
左から巻くと、その後はナメ滝とナメが続くがあまりスッキリした印象ではない。
水が切れて急斜面を息も絶え絶えになりながらヤブを漕いで行くと、青空が近づいたと思うと目の前に標石が
現れた。三ツ尾の三角点である。先週はダイレクトを逃してしまったが、今日はまさにピンポイント。
加越国境稜線のピークである1062.7mの三ツ尾山の山頂に立った。
この山は深田久弥の心残りの山と言われている。生前、彼がこの山を登ろうとしたがヤブに阻まれて果たせず、
11年前に「深田久弥山の文化館」の人々が真砂からの林道が加越国境稜線を横切るところから道を切り開いたら
しい。
記録を調べてみると2件ばかりヒットしたが、一番新しいものでも8年前である。その時の写真ではまだ道は明瞭
だった。山頂は小広く切り開かれて、白山はもちろん360度の展望が楽しめるということだった。
しかし現実の山頂は2m四方ぐらいは刈られているが、背丈より少し低いぐらいのササに覆われている。
座ったら何も見えないのでここでランチタイムという気が起こらなかった。
ちなみに福井県側からは岩屋の登山口からみつまた山を経由して登られているようだ。
ランチ場を求めて加越国境稜線に踏み出した。10年前に付けられた道は足元にわずかな痕跡を残すのみで、背丈
を超すネマガリダケのヤブに覆われている。足元を注視しながらネマガリをかき分けて行くがまったくスピードが
上がらない。少しでも踏み跡から外れるととても歩けたものではない。
油断すれば跳ね返ったネマガリが容赦なく顔を叩くので気が抜けない。
ブナ林まで行けば腰を降ろせる場所があるだろうと、それだけを楽しみにカタツムリのような歩みで進んだ。
後ろからsatoさんに呼び止められた。何事かと振り向くと、私のカメラとストックの先を手にしている。
カメラのストラップがヤブに引っかかってちぎれてしまったようだ。単独ならカメラとストックを失っているところ
だった。
ヤブの向こうにブナの木立が見えたと思ったら、不意に前方が開けた。
低いミヤコザサの林床に若いブナが並んでいるスッキリした場所に飛び出したのだ。これなら座ってランチタイム
を楽しめると思ったのだが、もう少し先へ進めばもっといいところがあるかもと欲をかいてさらに前進する。
しかしその期待も空しく、再び身を没するネマガリに包まれてしまった。下りならまだマシだが、緩い登り返しで
もネマガリの抵抗は倍化して襲ってくる。こうなったら腹を括って林道まで頑張るしかない。
satoさんはクマが恐いのでホイッスルを吹きっぱなしである。視界のまったく効かないヤブの中で出くわしたら逃げ
ようがないのだ。
北西へ下る加越国境稜線を外して西寄りの林道への最短ルートを取ったが、これがまた強烈な急傾斜である。
ヤブの薄いのだけが救いだ。最後はちょっと大きな段差に万全を期してロープを出した。
ようやく林道へ着地した。やれやれである。山頂から直線距離にして600mぐらいしかないところを1時間半も
かかってしまった。あそこでランチにしなくて本当によかったと笑い合う。
当初はこの林道から本流に向かって尾根を下ろうと思っていたが、とてもそんな気力は残っていない。
時刻はもう2時半だがとにかく昼メシを食べよう。林道を少し歩いたところに大展望地があった。
正面に高平山、丈競山と小倉谷山を望む絶好の場所だ。林道の路肩に腰を降ろして遅いランチタイムを楽しんだ。
すっかり遅くなってしまったが、後は現役の林道を歩くだけというのは気が楽なものである。
日が翳って頂稜部だけが赤く照らされた山々を眺めながら、日陰で少し沈んだトーンの紅葉を愛でる林道歩きは
悪くない。途中でカモシカがこちらをじっと見ていたが、手を振ったら逃げてしまった。
1時間ほどで駐車地に到着。
終わってみればまあ、いろいろと盛りだくさんな一日だったが、自分らしい沢納めだったと言えるのかもしれない。
山日和
【山 域】加越国境 竹田川源流域
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】林道駐車地8:10---8:25入渓点---670m二俣10:05---11:35林道---
13:00三ツ尾山---14:30林道15:30---16:35駐車地
そろそろ沢納めの季節がやってきた。昨年は9月に事故で強制終了してしまったが、今年は無事シーズンを
終えることができそうだ。
今季最後の沢登りの舞台は福井の竹田川にしよう。流域の支流である小倉谷、水上谷、ハンノキ谷は自分でも
歩いており、それなりに有名で遡行されているが、本流を遡った記録はほとんどない。記録が少ないというの
はイコール面白くない可能性が高いのだが、蕪山の奥牧谷の例もあることだし、谷は入ってみないとわからな
いのである。
龍ヶ鼻ダムから竹田川本流沿いの長い林道を進む。ダムから一気に400mの標高差を稼ぐ急な林道だ。
朝日に照らされたまわりの山肌は燃えるような赤と黄で染められている。先週に続いて今日も最高潮の紅葉を
楽しめそうだ。
547m標高点に向かって小尾根を下降するが、釣り師のものなのか明瞭な踏み跡が付けられていて楽に本流に
下り立った。谷沿いには植林が目立ち、凡流という以外の表現が見当たらない平凡な流れである。
効率化のために適当に川岸の杣道を拾いながら進む。
進むにつれ植林が切れて林相が自然林に変わった。やや暗かった谷間が明るさを取り戻してきた。
流れが平凡でも紅葉の自然林の中を歩くのは格別の気分だ。
巨大なプールのような釜を持つ2mほどの小滝は、谷幅一杯に水を落としてスケール感がある。
その後も時折短いナメや1mばかりの滝とも呼べないような小滝が現れる程度。のんびりとした沢歩きの風情で
ある。
谷の真ん中にトラックのタイヤが落ちていて驚く。左岸の林道から落ちてきたのだろうか。
この後もビニール屑やらゴミが目に付いたのが少々残念だ。
突然水の流れが消えた。石垣のように積み重なった岩が谷を埋める。どうやら伏流しているようだ。
岩の隙間の穴に落ちないように登って行く。奥美濃の東前の谷のようだ。
登り切った先は枯れたダム湖のようになっており、さらにその奥に自然の石積みが谷が遮っていて驚かされた。
岩に挟まれた谷はまるで窪地のようだ。滝の代わりにいろいろ変化を楽しませてくれる谷だ。
670mの二俣でみつまた山へ向かう右俣を分けて左俣へ入る。ようやく滝らしい滝が現れた。
2条10m足らずの滝だが、やっと来たかという感じである。濡れたくないのであっさり右岸から高巻く。
滝の上にはナメが続いていて思わず顔がほころんだ。
美しい小滝が何本か現れて、やっと沢登りらしくなってきた。と思っていたらまたもや伏流帯。今度はまるで
ロックフィルダムのようなきれいな石積みが立ちはだかった。自然にできたとは思えないようにぎっしりと石が
積み重なっていた。前記した伏流帯の前にも一か所あったので、都合3度目の伏流である。
こんな谷も珍しいのではないだろうか。
そろそろ林道が横切るかと思ったところで異物が目に入った。金属製の導水管の残骸である。まあ、いろんな
ものを楽しませてくれる谷だ。
林道から一段と細くなった谷を進むと、巨岩を割るように落ちる溝状の5m滝が現れる。
左から巻くと、その後はナメ滝とナメが続くがあまりスッキリした印象ではない。
水が切れて急斜面を息も絶え絶えになりながらヤブを漕いで行くと、青空が近づいたと思うと目の前に標石が
現れた。三ツ尾の三角点である。先週はダイレクトを逃してしまったが、今日はまさにピンポイント。
加越国境稜線のピークである1062.7mの三ツ尾山の山頂に立った。
この山は深田久弥の心残りの山と言われている。生前、彼がこの山を登ろうとしたがヤブに阻まれて果たせず、
11年前に「深田久弥山の文化館」の人々が真砂からの林道が加越国境稜線を横切るところから道を切り開いたら
しい。
記録を調べてみると2件ばかりヒットしたが、一番新しいものでも8年前である。その時の写真ではまだ道は明瞭
だった。山頂は小広く切り開かれて、白山はもちろん360度の展望が楽しめるということだった。
しかし現実の山頂は2m四方ぐらいは刈られているが、背丈より少し低いぐらいのササに覆われている。
座ったら何も見えないのでここでランチタイムという気が起こらなかった。
ちなみに福井県側からは岩屋の登山口からみつまた山を経由して登られているようだ。
ランチ場を求めて加越国境稜線に踏み出した。10年前に付けられた道は足元にわずかな痕跡を残すのみで、背丈
を超すネマガリダケのヤブに覆われている。足元を注視しながらネマガリをかき分けて行くがまったくスピードが
上がらない。少しでも踏み跡から外れるととても歩けたものではない。
油断すれば跳ね返ったネマガリが容赦なく顔を叩くので気が抜けない。
ブナ林まで行けば腰を降ろせる場所があるだろうと、それだけを楽しみにカタツムリのような歩みで進んだ。
後ろからsatoさんに呼び止められた。何事かと振り向くと、私のカメラとストックの先を手にしている。
カメラのストラップがヤブに引っかかってちぎれてしまったようだ。単独ならカメラとストックを失っているところ
だった。
ヤブの向こうにブナの木立が見えたと思ったら、不意に前方が開けた。
低いミヤコザサの林床に若いブナが並んでいるスッキリした場所に飛び出したのだ。これなら座ってランチタイム
を楽しめると思ったのだが、もう少し先へ進めばもっといいところがあるかもと欲をかいてさらに前進する。
しかしその期待も空しく、再び身を没するネマガリに包まれてしまった。下りならまだマシだが、緩い登り返しで
もネマガリの抵抗は倍化して襲ってくる。こうなったら腹を括って林道まで頑張るしかない。
satoさんはクマが恐いのでホイッスルを吹きっぱなしである。視界のまったく効かないヤブの中で出くわしたら逃げ
ようがないのだ。
北西へ下る加越国境稜線を外して西寄りの林道への最短ルートを取ったが、これがまた強烈な急傾斜である。
ヤブの薄いのだけが救いだ。最後はちょっと大きな段差に万全を期してロープを出した。
ようやく林道へ着地した。やれやれである。山頂から直線距離にして600mぐらいしかないところを1時間半も
かかってしまった。あそこでランチにしなくて本当によかったと笑い合う。
当初はこの林道から本流に向かって尾根を下ろうと思っていたが、とてもそんな気力は残っていない。
時刻はもう2時半だがとにかく昼メシを食べよう。林道を少し歩いたところに大展望地があった。
正面に高平山、丈競山と小倉谷山を望む絶好の場所だ。林道の路肩に腰を降ろして遅いランチタイムを楽しんだ。
すっかり遅くなってしまったが、後は現役の林道を歩くだけというのは気が楽なものである。
日が翳って頂稜部だけが赤く照らされた山々を眺めながら、日陰で少し沈んだトーンの紅葉を愛でる林道歩きは
悪くない。途中でカモシカがこちらをじっと見ていたが、手を振ったら逃げてしまった。
1時間ほどで駐車地に到着。
終わってみればまあ、いろいろと盛りだくさんな一日だったが、自分らしい沢納めだったと言えるのかもしれない。
山日和
感動の平家岳沢山旅から一週間。いよいよ沢納めの日。どこの谷にするのかなとわくわくしていました。