【奥越】錦繍の平家岳 日ノ谷源流に遊ぶ
Posted: 2025年11月11日(火) 22:55
【日 付】2025年11月8日(土)
【山 域】奥越 平家岳周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】面谷登山口7:35---8:40巡視路尾根---9:50白山展望地10:15---10:45日ノ谷源流---12:00平家岳13:30---
15:20-尾根分岐---16:00登山口
平家岳に初めて登ったのは30数年前のことである。まだ越美国境稜線に特別な思い入れもなく、山頂から見
える多くの山々もほとんど未踏の頃だ。山と渓谷社から出ていたフルカラーのガイド本でその存在を知り興味
を持ったのだった。
他に登山者もいない登山道を歩いて行くと、前方から重装備のパーティーが現れて驚いたことを覚えている。
岐阜県側からテント泊で縦走しているパーティーだったようだが、その頃はこの山に岐阜県側から登れること
も知らなかったのだ。
その後、今日と同じ面谷鉱山跡から1回、北側の日ノ谷を遡行して1回、東面の荷暮川西ノ谷を遡行して1回と、
都合4回平家岳を訪れている。
1441mという標高は、石徹白の山を除く越美国境稜線の山々の中で、能郷白山、磯倉、美濃平家に次ぐ高さ
を誇る。実際には稜線から少し福井県側に入っており、厳密に言えば完全に福井県の山である。
国道158号から箱ヶ瀬橋を渡って九頭竜湖南岸の県道に入り、最初の面谷橋を渡るところから林道を進むと
面谷鉱山跡に出る。最盛期は3000人以上もの人が働いていたという鉱山跡は荒涼とした風景が広がり、あまり
の殺伐とした景観にノスタルジーを感じる余裕もない。
林道終点の手前から歩き出す。今朝は気温が下がって肌寒いが、日が当たり出せば暖かくなるだろう。
登山道はよく整備されており、送電線の尾根に向かってぐんぐん高度を上げていく。
見事なヒノキの大木があった。あちこちでヒノキの巨樹を見慣れているせいもあり、多少の巨木では驚かない
が、この木は大きさよりも立ち姿が良い。
狙っていた紅葉はまさにドンピシャで、豪華絢爛な紅葉絵巻の中を歩いて行く。
思えば去年の今頃は入院中で、一度も紅葉を愛でることができなかった。入院生活が2か月を過ぎたところで、
ようやく松葉杖を使って歩く練習を始めた頃だったか。1年前の自分の姿を思えばよく歩けるようになったものだ。
昨今のクマ騒ぎで、クマとの遭遇に備えて鈴とホイッスル、百均のピストルで武装して歩く。
これまでそれほどクマを恐いと思ったことはなかったのだが、最近は少し様子が違う。
山の中にいるヤツは里に出没する連中と違って臆病だと思っているのだが、どんな性格のヤツが潜んでいるのか
知るすべもない。
日ノ谷出合から続く主尾根に出てひと息入れる。この長い尾根には鉄塔巡視路が続いており、日ノ谷を遡行
した帰路に使ったのだが、行けども行けども終わりの見えない長さにうんざりしたものだ。
ここから方向を南に変えて主尾根を行くのだが、実際に尾根芯を歩く部分は少なく、斜面をトラバースする
ように道が付けられている。その谷側の景色は実に美しく、落ち葉が散り敷かれた道と相まってしっとりとした
景観を作り出していた。谷へ腕を大きく突き出したような太い枝を持つミズナラの大木が異彩を放っている。
木の間越しに5年前に訪れた猿塚が見えた。あちらの山肌も錦繍に彩られている。
ジグザクを切って緩やかに付けられた道を進むと樹林が切れ、ササと潅木の尾根上に立つ鉄塔と出合う。9月に
地元の山岳会の方々が草刈りをしてくれたようで、ササが被りそうな場所もきれいに刈り取られていたのがあり
がたい。Ca1390mの小ピークも小広く刈られて白山の大展望地となっていた。
今日は貸し切りだと思っていたら人の声が聞こえてきた。数人のパーティーのようだ。
1338m標高点のあたりから西側の谷に下る。足元は先ほどの展望地で渓流シューズに履き替えていた。
登山道をそのまま辿るのでは芸が無いので、ここから日ノ谷の源流へ下りて、平家岳山頂へダイレクトに突き上
げる谷を辿ろうというオプションだ。
ササをササをかき分けて70mほど駆け下れば日ノ谷左俣の穏やかな流れに下り立つ。
この源流はナメが連続する心癒される場所だ。東面の西ノ谷を遡行した時も登山道を辿らず、一旦ここへ下りて
遡行したものだ。
ナメのあまりの心地良さに山頂へ向かう谷をやり過ごしてしまったがこれもご愛嬌である。
ナメを余分に味わえたので良しとしよう。
戻って山頂ダイレクト谷に入る。水流は細いがこちらもナメがどこまでも続く素敵な谷だ。
周りの樹林も素晴らしく、青空の下、燃えるような紅葉に包まれている。
源流の水でコーヒーを淹れようと水を汲んで行く。
最後はさすがにヤブ無しとは行かず、潅木とササのミックスヤブに突入。少しずれて山頂から20mほど南側の
登山道に飛び出した。ピンポイントで山頂ダイレクトを逃してしまったが、誤差の範囲内というところだろう。
意外にも先ほどのパーティーの姿がなかった。ちょうど山頂でランチタイムも真っ最中だと思っていたので、
どこから来たんですかという質問の答えを考えていたのだが拍子抜けである。美濃平家の方へ向かったのだろう
か。平家岳の山頂は北側だけがヤブで遮られているが、あとは展望全開だ。
白山と奥越の山々、北アルプス、越美国境と奥美濃の山々。これまで足跡を残してきた愛しき山たちが目に飛び
込んできた。日差しは暖かいというより暑いぐらいだ。こんな最高の日に貸し切りの山頂を楽しめる僥倖を噛み
しめる。
下りが一般道というのは気楽なもので、時間が読めるのでゆったりと流れる山頂の時間を味わった。
下山は一旦下って井岸山へ。西ノ谷遡行の下山でこのあたりで強烈な足の攣りに襲われ、しばらく動けなくな
ったことを思い出す。あの時は秘薬の入ったポーチを落としてしまい、水分を摂るしか手がなかったのだが、
両足の太もも、ふくらはぎが順番に攣って行き、あまりの痛さに七転八倒していたのだ。
なんとか回復したものの、長い下山路は沢絡みのバリルートで、途中から闇下となってしまい、登って来た踏み
跡も判然とせず、少し焦った苦い思い出がある。
白山展望地で最後の展望を楽しむ。天気はやや下り坂のようで雲が増えてきた。
白山にも少し雲がかかって朝のような澄んだ視界は得られない。
枇杷鞍山から木無山、赤兎山、経ヶ岳、荒島岳から縫ヶ原山といった山々に別れを告げる。
日が翳って少し寒くなってきた。朝に見た景色も時間が経てば光の方向も視線の方向も逆になって新鮮だ。
名残を惜しむように何度も立ち止まり、振り返りながら、登山口への道を下って行った。
下山後、代々灰塚や面谷鉱山の歴史を刻んだ石碑、鉱山跡などを見学する。
箱ヶ瀬橋まで戻ってきて驚いた。なんと大勢の人が橋の上でたむろしているではないか。
橋の真ん中でジャンプして写真を撮っている若者までいる。これはいったい何なのだろう。
国道側の橋の袂には10台以上の車が駐車していた。この橋は「夢のかけ橋」とも呼ばれ、瀬戸大橋の試作として
作られたことで有名だ。観光案内では紅葉スポットとしても紹介されているとは言え、もう5時前だというのに
この人出である。
静寂の山旅最後の最後でびっくりさせられた錦繍の平家岳山行だった。
山日和
【山 域】奥越 平家岳周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】面谷登山口7:35---8:40巡視路尾根---9:50白山展望地10:15---10:45日ノ谷源流---12:00平家岳13:30---
15:20-尾根分岐---16:00登山口
平家岳に初めて登ったのは30数年前のことである。まだ越美国境稜線に特別な思い入れもなく、山頂から見
える多くの山々もほとんど未踏の頃だ。山と渓谷社から出ていたフルカラーのガイド本でその存在を知り興味
を持ったのだった。
他に登山者もいない登山道を歩いて行くと、前方から重装備のパーティーが現れて驚いたことを覚えている。
岐阜県側からテント泊で縦走しているパーティーだったようだが、その頃はこの山に岐阜県側から登れること
も知らなかったのだ。
その後、今日と同じ面谷鉱山跡から1回、北側の日ノ谷を遡行して1回、東面の荷暮川西ノ谷を遡行して1回と、
都合4回平家岳を訪れている。
1441mという標高は、石徹白の山を除く越美国境稜線の山々の中で、能郷白山、磯倉、美濃平家に次ぐ高さ
を誇る。実際には稜線から少し福井県側に入っており、厳密に言えば完全に福井県の山である。
国道158号から箱ヶ瀬橋を渡って九頭竜湖南岸の県道に入り、最初の面谷橋を渡るところから林道を進むと
面谷鉱山跡に出る。最盛期は3000人以上もの人が働いていたという鉱山跡は荒涼とした風景が広がり、あまり
の殺伐とした景観にノスタルジーを感じる余裕もない。
林道終点の手前から歩き出す。今朝は気温が下がって肌寒いが、日が当たり出せば暖かくなるだろう。
登山道はよく整備されており、送電線の尾根に向かってぐんぐん高度を上げていく。
見事なヒノキの大木があった。あちこちでヒノキの巨樹を見慣れているせいもあり、多少の巨木では驚かない
が、この木は大きさよりも立ち姿が良い。
狙っていた紅葉はまさにドンピシャで、豪華絢爛な紅葉絵巻の中を歩いて行く。
思えば去年の今頃は入院中で、一度も紅葉を愛でることができなかった。入院生活が2か月を過ぎたところで、
ようやく松葉杖を使って歩く練習を始めた頃だったか。1年前の自分の姿を思えばよく歩けるようになったものだ。
昨今のクマ騒ぎで、クマとの遭遇に備えて鈴とホイッスル、百均のピストルで武装して歩く。
これまでそれほどクマを恐いと思ったことはなかったのだが、最近は少し様子が違う。
山の中にいるヤツは里に出没する連中と違って臆病だと思っているのだが、どんな性格のヤツが潜んでいるのか
知るすべもない。
日ノ谷出合から続く主尾根に出てひと息入れる。この長い尾根には鉄塔巡視路が続いており、日ノ谷を遡行
した帰路に使ったのだが、行けども行けども終わりの見えない長さにうんざりしたものだ。
ここから方向を南に変えて主尾根を行くのだが、実際に尾根芯を歩く部分は少なく、斜面をトラバースする
ように道が付けられている。その谷側の景色は実に美しく、落ち葉が散り敷かれた道と相まってしっとりとした
景観を作り出していた。谷へ腕を大きく突き出したような太い枝を持つミズナラの大木が異彩を放っている。
木の間越しに5年前に訪れた猿塚が見えた。あちらの山肌も錦繍に彩られている。
ジグザクを切って緩やかに付けられた道を進むと樹林が切れ、ササと潅木の尾根上に立つ鉄塔と出合う。9月に
地元の山岳会の方々が草刈りをしてくれたようで、ササが被りそうな場所もきれいに刈り取られていたのがあり
がたい。Ca1390mの小ピークも小広く刈られて白山の大展望地となっていた。
今日は貸し切りだと思っていたら人の声が聞こえてきた。数人のパーティーのようだ。
1338m標高点のあたりから西側の谷に下る。足元は先ほどの展望地で渓流シューズに履き替えていた。
登山道をそのまま辿るのでは芸が無いので、ここから日ノ谷の源流へ下りて、平家岳山頂へダイレクトに突き上
げる谷を辿ろうというオプションだ。
ササをササをかき分けて70mほど駆け下れば日ノ谷左俣の穏やかな流れに下り立つ。
この源流はナメが連続する心癒される場所だ。東面の西ノ谷を遡行した時も登山道を辿らず、一旦ここへ下りて
遡行したものだ。
ナメのあまりの心地良さに山頂へ向かう谷をやり過ごしてしまったがこれもご愛嬌である。
ナメを余分に味わえたので良しとしよう。
戻って山頂ダイレクト谷に入る。水流は細いがこちらもナメがどこまでも続く素敵な谷だ。
周りの樹林も素晴らしく、青空の下、燃えるような紅葉に包まれている。
源流の水でコーヒーを淹れようと水を汲んで行く。
最後はさすがにヤブ無しとは行かず、潅木とササのミックスヤブに突入。少しずれて山頂から20mほど南側の
登山道に飛び出した。ピンポイントで山頂ダイレクトを逃してしまったが、誤差の範囲内というところだろう。
意外にも先ほどのパーティーの姿がなかった。ちょうど山頂でランチタイムも真っ最中だと思っていたので、
どこから来たんですかという質問の答えを考えていたのだが拍子抜けである。美濃平家の方へ向かったのだろう
か。平家岳の山頂は北側だけがヤブで遮られているが、あとは展望全開だ。
白山と奥越の山々、北アルプス、越美国境と奥美濃の山々。これまで足跡を残してきた愛しき山たちが目に飛び
込んできた。日差しは暖かいというより暑いぐらいだ。こんな最高の日に貸し切りの山頂を楽しめる僥倖を噛み
しめる。
下りが一般道というのは気楽なもので、時間が読めるのでゆったりと流れる山頂の時間を味わった。
下山は一旦下って井岸山へ。西ノ谷遡行の下山でこのあたりで強烈な足の攣りに襲われ、しばらく動けなくな
ったことを思い出す。あの時は秘薬の入ったポーチを落としてしまい、水分を摂るしか手がなかったのだが、
両足の太もも、ふくらはぎが順番に攣って行き、あまりの痛さに七転八倒していたのだ。
なんとか回復したものの、長い下山路は沢絡みのバリルートで、途中から闇下となってしまい、登って来た踏み
跡も判然とせず、少し焦った苦い思い出がある。
白山展望地で最後の展望を楽しむ。天気はやや下り坂のようで雲が増えてきた。
白山にも少し雲がかかって朝のような澄んだ視界は得られない。
枇杷鞍山から木無山、赤兎山、経ヶ岳、荒島岳から縫ヶ原山といった山々に別れを告げる。
日が翳って少し寒くなってきた。朝に見た景色も時間が経てば光の方向も視線の方向も逆になって新鮮だ。
名残を惜しむように何度も立ち止まり、振り返りながら、登山口への道を下って行った。
下山後、代々灰塚や面谷鉱山の歴史を刻んだ石碑、鉱山跡などを見学する。
箱ヶ瀬橋まで戻ってきて驚いた。なんと大勢の人が橋の上でたむろしているではないか。
橋の真ん中でジャンプして写真を撮っている若者までいる。これはいったい何なのだろう。
国道側の橋の袂には10台以上の車が駐車していた。この橋は「夢のかけ橋」とも呼ばれ、瀬戸大橋の試作として
作られたことで有名だ。観光案内では紅葉スポットとしても紹介されているとは言え、もう5時前だというのに
この人出である。
静寂の山旅最後の最後でびっくりさせられた錦繍の平家岳山行だった。
山日和
びわ爺は平家岳は2回行ったと思っておりました。ところが記憶はいい加減なもので、山の記録を見ると1回しか出てきません。でもその1回こっきり(18年6月)の記憶は結構鮮明なものでした。急斜面でウサギさんに追い抜かれたり、芸術祭ストリートかと思うような奇枯木の稜線、激藪の美濃平家山頂と草原の小山のような平家岳山頂とのギャップ…そんなことを思い出しながら読ませてもらいました。