【大峰】黒谷の頭から池郷川源流、天狗山
Posted: 2011年11月14日(月) 20:22
【日 付】2011年11月12日(土)
【山 域】大峰南部 前鬼周辺
【天 候】晴れ
【コース】前鬼林道ゲート7:15---7:31取付き---8:41 P1105m南西---9:24黒谷の頭---10:09小池宿跡10:39---
12:19天狗山13:48---14:13 P1472m---14:55 P1224m15:13---15:57前鬼小仲坊---16:22ゲート
前鬼へ来るのは10年振りだ。前鬼川林道は凄まじい被害をもたらした台風にも関わらず、崩落箇所もなさそうで健在だった。
ゲート手前の駐車場に止めて歩き出す。黒谷を吊橋で渡る旧道は通行止め。最近は使われていないようだ。
林道を15分ほど歩いたところで左側斜面に取り付いた。大きなトチの木が目印ということだったが、今はすぐ手前の谷の崩壊斜面
の方が目立つ。ほとんど意味のないロープなどもぶら下がっており、少し上がると杣道に導かれた。
植林はすぐに終わり、伐採跡の潅木帯の急登が続く。杣道はあるようなないような状態だが、歩く場所を見つけるのに苦労はない。
しかし久し振りの晴天の週末だというのに体調は最悪だ。下腹部に違和感があり、圧迫した姿勢になると、痛いとまで行かない
嫌な感じがして気持ち悪い。それにこの涼しさの割に異常なほど汗が出る。これは上までも行けないかもしれないと弱気の虫が出
始めた。
とにかくゆっくり、ゆっくりだけを心掛けて足を運ぶ。意外に早くP1105m南西の尾根に乗った。
伐採跡のここは展望抜群、孔雀岳・釈迦ヶ岳・大日岳と並ぶ山並みは壮観だ。孔雀岳の山腹には五百羅漢と呼ばれる岩塔群が
立ち並び、その威容に目を瞠る。東には雲海の上に台高南部の山々が連綿と連なる。
[attachment=4]P1030701_1.JPG[/attachment]
そして手前の鬱蒼とした樹林の中にポッカリと開いた空間。前鬼に1軒だけ残る宿坊の小仲坊だ。1300年以上前、円の行者が
大峰山を開いた際にその弟子夫婦がここ前鬼に住みつき、その5人の子、五鬼熊(行者坊)、五鬼童(不動坊)、五鬼上(中之坊)、
五鬼助(小仲坊)、五鬼継(森本坊)がそれぞれ館を構えて修験道の聖地として護ってきたが、今では五鬼助(ごきじょ)の末裔だけ
が今も住み、修験者や登山者に宿を提供している。
この眺めに一気に元気を取り戻した。1333.4mの黒谷の頭(三角点名黒谷峠)を目指す。
崩れ落ちたシカ除けネットが植林の名残りを示している。ヒメシャラの若木の林を抜けて進むと、次第にブナが目立つようになって
きた。尾根上は自由に歩ける状態だ。
[attachment=3]P1030724_1.JPG[/attachment]
針葉樹主体のこんもりした森が近付くと黒谷の頭の山頂に到着だ。東西に細長い山頂部は西寄りに落ち着けるブナの台地があ
る。南側斜面には紅葉がまだ残り、眩いばかりの日差しに照らされてキラキラと光っていた。
三角点があるはずだが見つからない。こんなヤブ無しの山頂なのにどうしたことか。三角点マニアではないから別にいいのだが、
なんとなく消化不良感が残る。
さて、次は池郷川源流へ向けて350mの下降である。そこから大峰南奥駈道へは550m登り返さねばならない。あまり賢い人間の
やることではなさそうだが、本当に面白いことは一見バカみたいなことの中にこそあるのだ。
1208m標高点を経由して西へ伸びる尾根を辿る。こちらもヤブ無しの疎林が続いた。30分余りで最後の急斜面を駈け下れば池郷
川源流部の小池宿跡に下り立った。
名にし負う6級のゴルジュが下流にあることを想像もできない、伸びやかで穏やかな流れと川辺に広がる疎林の台地があった。
実にいいところだ。下から遡行してくれば、ここで泊っていけと言わんばかりの泊適地である。大峰主稜の反対側にある滝川赤井
谷と似た感じだ。この谷の遡行も何年も前から懸案のまま残されている。来年こそは来よう。
ここにはかつて作業場があったのか、錆びたドラム缶が半分土に埋もれて転がっていた。
[attachment=2]P1030752_1.JPG[/attachment]
いよいよ天狗山への登り返しだ。バテないようにのんびり行こう。川岸から見上げる尾根も実にいい雰囲気だ。このあたりは一部
太い木があるものの、大半は細い木々で構成されている。鈴鹿同様、一度伐採を受けた後の二次林なのだろう。ブナ、ヒメシャラ、
ツガ(モミ?)、ミズナラ等の混生する疎林は下生えもなく実に快適である。
Ca1180m付近の台地はどんな景観を見せてくれるのか楽しみにしていたが、意外に平凡だった。
傾斜が増してくると樹林が切れ、ササ原の中に潅木が混じる斜面となった。真っ青な空の下に立ち枯れの白木のコントラストが何
とも言えない。
左手には地蔵岳から天狗山への稜線が近付いてきた。こちらも魅力的な佇まいを見せ、割愛したことをちょっぴり後悔するが、今朝
の体調ではやむを得まい。
[attachment=1]P1030800_1.JPG[/attachment]
青空とササ原の割合が逆転すると、そこに天狗山の山頂があった。大峰の南奥駈道と呼ばれる太古の辻以南の大峰主稜は初め
てである。その内にと先延ばししている間に北方の山へ足繁く通うようになり、足が遠のいてしまったのだ。
天狗山の山頂は遮るもののない展望に恵まれている。これは予想外だった。三角点のそばにシートを敷いてランチの準備だ。
ここで左足が攣ってしまった。それも太ももの外側と内側同時だ。急いで秘薬を飲む。食事が終わる寸前に今度は右足が襲われた。
これが強烈に痛い。秘薬をさらに一服追加して水分も補給したがなかなか治まらなかった。こんなひどい攣りは久し振りだ。
痛みも和らいだところでシートにひっくり返って目を瞑った。20分ばかり熟睡したようだ。
[attachment=0]P1030818_1.JPG[/attachment]
たっぷり1時間半休んで下山に掛かる。今日の下山路は登りもなく、前鬼まで距離も短いので気が楽である。
次のピークの石楠花岳は名は体を表すという言葉通り、シャクナゲのトンネルをくぐって登山道が付けられている。5月に来ればさぞ
美しいことだろう。
登山道が山頂を迂回する1472mピークで主稜を離れる。ここから黒谷の頭へ続く尾根を辿り、1224mピークの先で前鬼に向かって
左折するというのが下山ルートだ。
この尾根もシャクナゲが多い。今日の天狗山までのルートに比べると尾根芯は潅木が多く、ルート取りに気を遣わされる。
しかしいつの間にか黄色のテープが頻繁に現われて導いてくれた。ところが調子良く付いて行くと明らかに池郷川の源流の方に下り
始めた。左を見れば尾根がある。戻って尾根に復帰。こちらにも同じテープがあった。これはどういう意図のマーキングなのだろう。
安易にテープに釣られたことに反省する。
尾根の右寄りをトラバース気味に進む。特別良くもないが悪くはない林相だ。
右下50mばかりのところに流れが見えた。池郷川源流部だ。こういう場面を見ると、つい駆け下りたい衝動に駆られてしまう。
1224mピークから北東へダイレクトに下る選択肢もあったが、続く稜線の雰囲気の良さにそのまま尾根を進むと、前鬼へ続く隣の尾
根の分岐が地形図では表われない小広いピークになっており、ここも実に落ち着きのある疎林が広がっていた。北には孔雀岳と釈
迦ヶ岳が正面に望むことができる展望の広場となっていた。
ここで黒谷の頭へ続く主尾根と分かれて北東尾根に入る。伐採時の搬出場となっていたのだろう、立ち枯れた木にはワイヤーが
巻きつけられ、尾根上にはそこここにワイヤーが散乱している。
なぜかこの尾根に入った途端に、今までとは違う赤やピンクのテープが百花繚乱となった。おまけに木にペンキで赤丸まで書いてあ
る。尾根下りは外さないよう細心の注意が必要だが、これでは外しようがない。小仲坊のワンコの鳴き声が聞こえてきた。
最後は左にトラバースして小谷へ下り立つ。ここは小仲坊の水源地となっているようで、黒いホースが延々と引かれていた。
ホースの横には道がある。小谷を渡って続く道を辿り、もう1本谷を渡ると小仲坊のすぐ裏手に飛び出した。
後はチンタラと舗装林道を戻るだけだ。
10数年前、厳冬期に洞吹氏と釈迦を目指した帰り道、足首が逆に曲がるひどい捻挫をしたことを思い出す。あの時は辛うじて自力
で歩くことができて助かったが、それからひと月の間休養を余儀なくされたものだ。
山を始めた40年前からいろんな思い出の詰まる大峰の山々。これからもたまには訪れてみよう。
ここには他の山とはまったく違う「気」のようなものが感じられるのだ。
山日和
【山 域】大峰南部 前鬼周辺
【天 候】晴れ
【コース】前鬼林道ゲート7:15---7:31取付き---8:41 P1105m南西---9:24黒谷の頭---10:09小池宿跡10:39---
12:19天狗山13:48---14:13 P1472m---14:55 P1224m15:13---15:57前鬼小仲坊---16:22ゲート
前鬼へ来るのは10年振りだ。前鬼川林道は凄まじい被害をもたらした台風にも関わらず、崩落箇所もなさそうで健在だった。
ゲート手前の駐車場に止めて歩き出す。黒谷を吊橋で渡る旧道は通行止め。最近は使われていないようだ。
林道を15分ほど歩いたところで左側斜面に取り付いた。大きなトチの木が目印ということだったが、今はすぐ手前の谷の崩壊斜面
の方が目立つ。ほとんど意味のないロープなどもぶら下がっており、少し上がると杣道に導かれた。
植林はすぐに終わり、伐採跡の潅木帯の急登が続く。杣道はあるようなないような状態だが、歩く場所を見つけるのに苦労はない。
しかし久し振りの晴天の週末だというのに体調は最悪だ。下腹部に違和感があり、圧迫した姿勢になると、痛いとまで行かない
嫌な感じがして気持ち悪い。それにこの涼しさの割に異常なほど汗が出る。これは上までも行けないかもしれないと弱気の虫が出
始めた。
とにかくゆっくり、ゆっくりだけを心掛けて足を運ぶ。意外に早くP1105m南西の尾根に乗った。
伐採跡のここは展望抜群、孔雀岳・釈迦ヶ岳・大日岳と並ぶ山並みは壮観だ。孔雀岳の山腹には五百羅漢と呼ばれる岩塔群が
立ち並び、その威容に目を瞠る。東には雲海の上に台高南部の山々が連綿と連なる。
[attachment=4]P1030701_1.JPG[/attachment]
そして手前の鬱蒼とした樹林の中にポッカリと開いた空間。前鬼に1軒だけ残る宿坊の小仲坊だ。1300年以上前、円の行者が
大峰山を開いた際にその弟子夫婦がここ前鬼に住みつき、その5人の子、五鬼熊(行者坊)、五鬼童(不動坊)、五鬼上(中之坊)、
五鬼助(小仲坊)、五鬼継(森本坊)がそれぞれ館を構えて修験道の聖地として護ってきたが、今では五鬼助(ごきじょ)の末裔だけ
が今も住み、修験者や登山者に宿を提供している。
この眺めに一気に元気を取り戻した。1333.4mの黒谷の頭(三角点名黒谷峠)を目指す。
崩れ落ちたシカ除けネットが植林の名残りを示している。ヒメシャラの若木の林を抜けて進むと、次第にブナが目立つようになって
きた。尾根上は自由に歩ける状態だ。
[attachment=3]P1030724_1.JPG[/attachment]
針葉樹主体のこんもりした森が近付くと黒谷の頭の山頂に到着だ。東西に細長い山頂部は西寄りに落ち着けるブナの台地があ
る。南側斜面には紅葉がまだ残り、眩いばかりの日差しに照らされてキラキラと光っていた。
三角点があるはずだが見つからない。こんなヤブ無しの山頂なのにどうしたことか。三角点マニアではないから別にいいのだが、
なんとなく消化不良感が残る。
さて、次は池郷川源流へ向けて350mの下降である。そこから大峰南奥駈道へは550m登り返さねばならない。あまり賢い人間の
やることではなさそうだが、本当に面白いことは一見バカみたいなことの中にこそあるのだ。
1208m標高点を経由して西へ伸びる尾根を辿る。こちらもヤブ無しの疎林が続いた。30分余りで最後の急斜面を駈け下れば池郷
川源流部の小池宿跡に下り立った。
名にし負う6級のゴルジュが下流にあることを想像もできない、伸びやかで穏やかな流れと川辺に広がる疎林の台地があった。
実にいいところだ。下から遡行してくれば、ここで泊っていけと言わんばかりの泊適地である。大峰主稜の反対側にある滝川赤井
谷と似た感じだ。この谷の遡行も何年も前から懸案のまま残されている。来年こそは来よう。
ここにはかつて作業場があったのか、錆びたドラム缶が半分土に埋もれて転がっていた。
[attachment=2]P1030752_1.JPG[/attachment]
いよいよ天狗山への登り返しだ。バテないようにのんびり行こう。川岸から見上げる尾根も実にいい雰囲気だ。このあたりは一部
太い木があるものの、大半は細い木々で構成されている。鈴鹿同様、一度伐採を受けた後の二次林なのだろう。ブナ、ヒメシャラ、
ツガ(モミ?)、ミズナラ等の混生する疎林は下生えもなく実に快適である。
Ca1180m付近の台地はどんな景観を見せてくれるのか楽しみにしていたが、意外に平凡だった。
傾斜が増してくると樹林が切れ、ササ原の中に潅木が混じる斜面となった。真っ青な空の下に立ち枯れの白木のコントラストが何
とも言えない。
左手には地蔵岳から天狗山への稜線が近付いてきた。こちらも魅力的な佇まいを見せ、割愛したことをちょっぴり後悔するが、今朝
の体調ではやむを得まい。
[attachment=1]P1030800_1.JPG[/attachment]
青空とササ原の割合が逆転すると、そこに天狗山の山頂があった。大峰の南奥駈道と呼ばれる太古の辻以南の大峰主稜は初め
てである。その内にと先延ばししている間に北方の山へ足繁く通うようになり、足が遠のいてしまったのだ。
天狗山の山頂は遮るもののない展望に恵まれている。これは予想外だった。三角点のそばにシートを敷いてランチの準備だ。
ここで左足が攣ってしまった。それも太ももの外側と内側同時だ。急いで秘薬を飲む。食事が終わる寸前に今度は右足が襲われた。
これが強烈に痛い。秘薬をさらに一服追加して水分も補給したがなかなか治まらなかった。こんなひどい攣りは久し振りだ。
痛みも和らいだところでシートにひっくり返って目を瞑った。20分ばかり熟睡したようだ。
[attachment=0]P1030818_1.JPG[/attachment]
たっぷり1時間半休んで下山に掛かる。今日の下山路は登りもなく、前鬼まで距離も短いので気が楽である。
次のピークの石楠花岳は名は体を表すという言葉通り、シャクナゲのトンネルをくぐって登山道が付けられている。5月に来ればさぞ
美しいことだろう。
登山道が山頂を迂回する1472mピークで主稜を離れる。ここから黒谷の頭へ続く尾根を辿り、1224mピークの先で前鬼に向かって
左折するというのが下山ルートだ。
この尾根もシャクナゲが多い。今日の天狗山までのルートに比べると尾根芯は潅木が多く、ルート取りに気を遣わされる。
しかしいつの間にか黄色のテープが頻繁に現われて導いてくれた。ところが調子良く付いて行くと明らかに池郷川の源流の方に下り
始めた。左を見れば尾根がある。戻って尾根に復帰。こちらにも同じテープがあった。これはどういう意図のマーキングなのだろう。
安易にテープに釣られたことに反省する。
尾根の右寄りをトラバース気味に進む。特別良くもないが悪くはない林相だ。
右下50mばかりのところに流れが見えた。池郷川源流部だ。こういう場面を見ると、つい駆け下りたい衝動に駆られてしまう。
1224mピークから北東へダイレクトに下る選択肢もあったが、続く稜線の雰囲気の良さにそのまま尾根を進むと、前鬼へ続く隣の尾
根の分岐が地形図では表われない小広いピークになっており、ここも実に落ち着きのある疎林が広がっていた。北には孔雀岳と釈
迦ヶ岳が正面に望むことができる展望の広場となっていた。
ここで黒谷の頭へ続く主尾根と分かれて北東尾根に入る。伐採時の搬出場となっていたのだろう、立ち枯れた木にはワイヤーが
巻きつけられ、尾根上にはそこここにワイヤーが散乱している。
なぜかこの尾根に入った途端に、今までとは違う赤やピンクのテープが百花繚乱となった。おまけに木にペンキで赤丸まで書いてあ
る。尾根下りは外さないよう細心の注意が必要だが、これでは外しようがない。小仲坊のワンコの鳴き声が聞こえてきた。
最後は左にトラバースして小谷へ下り立つ。ここは小仲坊の水源地となっているようで、黒いホースが延々と引かれていた。
ホースの横には道がある。小谷を渡って続く道を辿り、もう1本谷を渡ると小仲坊のすぐ裏手に飛び出した。
後はチンタラと舗装林道を戻るだけだ。
10数年前、厳冬期に洞吹氏と釈迦を目指した帰り道、足首が逆に曲がるひどい捻挫をしたことを思い出す。あの時は辛うじて自力
で歩くことができて助かったが、それからひと月の間休養を余儀なくされたものだ。
山を始めた40年前からいろんな思い出の詰まる大峰の山々。これからもたまには訪れてみよう。
ここには他の山とはまったく違う「気」のようなものが感じられるのだ。
山日和
奈良県の山を購入してから般若岳~天狗岳の稜線を歩きたくてチェクしていた所です。