【奥美濃】新緑の根尾を歩く 八谷からツルベ岳・雷倉へ

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山日和
記事: 3586
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

【奥美濃】新緑の根尾を歩く 八谷からツルベ岳・雷倉へ

投稿記事 by 山日和 »

【日 付】2024年4月20日(土)
【山 域】奥美濃 雷倉周辺
【天 候】晴れのち曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】八谷7:30---8:25 P529m---10:25ツルベ岳10:40---12:00雷倉---12:05ランチ場13:30---
     14:00 Ca1080mピーク14:15---15:55林道---16:40駐車地

 雷倉とは何か謂れのありそうな山名である。根尾では「かみなりくら」、揖斐では「らいくら」と呼ぶそうだ。
雷倉は花房山と小津権現山を合わせて小津三山と称されている。
小津三山はアプローチが良く、冬の県境付近の天気が悪い時でも、揖斐平野に近いここは比較的晴れる確率が高い。
そのせいもあって、これまで小津三山を合わせると20回以上は登っている。雷倉に登るのは4回目、3回の途中敗退
を入れると7回目だ。無雪期は初めての登頂となる。
 通常は八谷(はったん)の集落から下津谷の左岸尾根を往復するのだが、それでは面白みに欠けるので、大井谷の
左岸尾根から1032.3mのツルベ岳(三角点名大井)を経て山頂に至り、中又谷左岸尾根を下る周回ルートとした。

IMG_5691_1.JPG

 八谷の集落から少し戻ったところで橋を渡ると新しい林道がある。地形図では尾根上の338m標高点を通って八谷
と大井の集落を結ぶ破線が描かれている。
ほぼそのラインに沿って尾根に乗ると、比較的新しい立派な祠があった。山の神だろうか。
尾根沿いはよく手入れされた植林で、昔からの山仕事の道と思われる明瞭な踏み跡が続いている。手の入った植林
は暗さがないのがいい。予想以上に快適な道に足も軽い。

IMG_5721_1.JPG
IMG_5744_1.JPG

 やがて自然林に変わって行くが、意外に常緑樹が多く、なかなかブナの出番がない。
花についてはそれほど期待していたわけではないが、石灰岩の山だけあってフデリンドウやスミレ、ヒトリシズカ、
キランソウ等、いろいろな花が足元を飾り始めた。
 広葉樹林帯に入ると石灰岩の山らしいカレンフェルトが現れ始める。カタクリの葉が目立つが単葉ばかりで、花
を付けるのはまだ先のようだ。と思っていたら花弁を目一杯反り返らせた可憐な花が目に飛び込んできて顔がほこ
ろぶ。

IMG_5747_1.JPG

 カレンフェルトが累々と積み重なる台地では、ヒトリシズカやネコノメソウの花盛りだ。
尾根上にはまったくヤブはなく、疎林の中を自由に歩くことができる。ある程度のヤブを覚悟していたが、これは
うれしい誤算である。ツルベ岳への登りの尾根にはほとんど期待していなかったのだ。
ただ、思ったよりもブナの姿が少ないのは意外だった。

 平凡なツルベ岳山頂を過ぎると雷倉が間近に見えた。標高差を考えても1時間あれば行けそうだと思ったが、少々
甘かった。
これまでの急ながらもゆったりと広い尾根は、岩混じりの痩せた尾根に変わった。小さいながらアップダウンもあ
り、サクサクとは歩けないが、ちょっとしたバリエーション気分が味わえるいいスパイスになった。

IMG_5775_1.JPG

 ようやく尾根が広がり、タンポ(これもピークの名前)へのジャンクションピークまで来ると待望のブナ林の登場
である。尾根の左下には結構大きな池があり雰囲気もいい。タムシバが満開で、真っ白な花が青空に映える。
 これまで見えなかった花房山と小津権現山が姿を現わしたが、肝心の雷倉にはほとんど近付いていない。
よく考えると、ツルベ岳から直線で見るのとここから見るのとでは距離は大して変わらないのだ。

IMG_5794_1.JPG

 左下から林道が上がって来た。ここからしばらくは尾根のブナ林を切り裂いた林道歩きである。この風景を見る
と庄部谷山の惨状を思い起こしてしまう。

 林道を離れて山頂への最後の登りにかかった。このあたりは若いブナ混じりの潅木帯で、まともに照り付ける
日差しに汗が滴り落ちる。
 山頂の手前で花房山への稜線が分岐する。ここも潅木が多く、見晴らしはスカッとはいかないが、数年前の積雪
期に歩いて来た稜線が見える。この季節はもっさりとした風景が広がるだけで、花房山へ歩いて行きたいという思
いは起こらない。

 1168.6mの雷倉山頂。satoさんは初めての登頂だ。三角点名は矢谷だが、まわりには矢谷という谷も集落もない。
どこから来た名前だろう。山頂自体は少し刈り開かれた潅木の中なのであまり落ち着かない。
八谷への登山道分岐の先の能郷白山展望地でランチタイムとしよう。能郷白山と磯倉にもほとんど雪は残っていない。
このあたりは積雪期には素敵なブナ林という記憶が刷り込まれていたのだが、この季節に来てみるとヤブが目立って
些かもっさりとした印象だ。やはり積雪期のイメージをそのまま無雪期にあてはめると失望してしまうのである。


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 根上がりのヒノキの大木が散見される尾根は、基本伐採後の放置植林風で快適とは言えない。
1044m標高点からCa1080mピークまでの間だけは気持ちのいいブナ林が続く。
 このピークから北へ方向を変えて、中又谷の左岸尾根に入る。実は事前にはこの尾根に一番の期待感を持っていた。
しかし、出だしこそブナ林だったが、すぐにヤブっぽい平凡な尾根に変わってしまった。
遠目には良さげに見えた1093mピークもまったく平凡。雰囲気のいい区間もあるがすぐに息切れしてしまうのが残念だ。

 徳山富士方面への市町境尾根を分けると歩きやすくなった。林床にはカタクリがちらほらと咲いている。
防獣ネットが張られた大規模な伐採・植林地に出た。日当たりのいいせいか、ネットの中に咲いているカタクリが多く、
近付いて見ることができない。

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 724m標高点から細くなった尾根を下って行くと、突然丸太で土止めを施された遊歩道のような道が現れて驚いた。
杣道にしてはずいぶん立派な道を辿って、雷倉の山腹を巻いて来た林道に着地。
この林道は3年前に下津谷を遡行した時には、荒れるに任せた廃林道だったが、目の前の林道はフラットで落石も見
られない。荒れていたのは雷倉の山頂直下付近だけだったのだろうか。
 あとはよく整備された林道を八谷の集落に向かうだけだ。
麓に下り着くと祠があり、柔和な顔立ちの観音様が出迎えてくれた。
今日も誰にも会わない静かな一日だった。

           山日和
たんぽぽ
記事: 709
登録日時: 2011年2月20日(日) 11:54

Re: 【奥美濃】新緑の根尾を歩く 八谷からツルベ岳・雷倉へ

投稿記事 by たんぽぽ »

山日和さん、こんにちは。
冬になると雪を頂いたツルベは自宅から望める奥美濃ピークのひとつであり、
いつか登らねばと思いつつ放置してます。
ヤブがなくて無雪期でも快適に登れるんですね。
ヒルがいない季節になったら歩いてみようかな。
お疲れさまでした。
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山日和
記事: 3586
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【奥美濃】新緑の根尾を歩く 八谷からツルベ岳・雷倉へ

投稿記事 by 山日和 »

たんぽぽさん、どうもです。

冬になると雪を頂いたツルベは自宅から望める奥美濃ピークのひとつであり、
いつか登らねばと思いつつ放置してます。


へえー、自宅から見えるんですね。そんなに目立つピークだったかな?

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ヤブがなくて無雪期でも快適に登れるんですね。
ヒルがいない季節になったら歩いてみようかな。

まったくヤブ無しでした。秋は紅葉が楽しめそうです。

            山日和
sato
記事: 423
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【奥美濃】新緑の根尾を歩く 八谷からツルベ岳・雷倉へ

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんにちは。
ゴールデンウイーク初日は曇り空。予報では、前半で晴れの日は明日だけのようですね。
雷倉は、花房山に雪の季節に初めて登った時に目に留まりました。
足元から北に続いていく稜線を眺めながら、いつかこの白い道を辿りたいなぁ、と思いました。
でも、たっぷりの雪が積もっている時にと思うとタイミングが合わず、今年の冬も終わってしまいました。
山日和さんは、7回も訪れているのですね。
雪の山を想い描いていましたが、登山道も整備され無積雪期も楽しめるお山と知り、
新緑か紅葉の季節に訪れるのもいいなぁ、と思ったりもしていました。お話があがりうれしかったです。

今回は、登山道ではなく、中又谷と下津谷を囲む尾根を辿る山旅。
歩き始めの八谷と大井を結ぶ古道の峠には立派な祠があり、八谷の人が樽見に出るのに利用されてきた道なのだなぁと感じ入りました。
尾根は、ヤブっぽいかなと思っていましたが、下草もほとんどなくて歩きやすかったですね。
石灰岩のお山なのですね。岩が現れるとお花に夢中になり、まっ直ぐに歩けなくなりました。
カタクリ、ネコノメソウ、ヒトリシズカ、スミレ・・・花々との出会いはうれしいですね。
山日和さん、たくさんお写真を撮っていましたね。ミノコバイモはあるかなとキョロキョロ探していたのですが見つからず。
いかにも生息していそうな地形だったのですが。

ツルベ岳先の痩せ尾根は面白かったですね。雪の季節はナイフリッジになりそう。
道中、ちょっとした痩せ尾根が現れるとワクワクします。

揖斐川町と本巣市の境の稜線では、池を見つけドキドキしました。
思いもかけない山上の池との出会いは、こころときめきます。ブナの木々に囲まれた池は素敵でしたね。

雷倉山頂にはかわいい看板が立っていましたね。登山道を整備された方々の思いを感じました。
花房山への稜線もそれほどヤブっぽくなくて、この時期も歩けるなぁと思いました。
山頂から北は、積雪期はすっきりとした素敵なブナ林が続くのですね。こちらもカレンフェルトが見られましたね。
伐採地に入ると、陽当りがよいのかカタクリが増えましたね。ここも何十年か後放置植林地となってしまうのでしょうか。
殺伐とした地に咲くカタクリの花の凛としたうつくしさに見入っていました。

地図を見ると雷倉周辺は林道が多く目障りに感じますが、実際に林道に出ると、楽に下れるとホッとしている自分に苦笑。
最後は、千手観音さまにご挨拶。やさしいお顔の観音さまでした。
雷倉、味わい深いお山でした。紅葉の季節にも訪れたくなりました。もちろん雪の季節も!
いい一日でした。ありがとうございました。

sato
アバター
山日和
記事: 3586
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【奥美濃】新緑の根尾を歩く 八谷からツルベ岳・雷倉へ

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、こんばんは。

雷倉は、花房山に雪の季節に初めて登った時に目に留まりました。
足元から北に続いていく稜線を眺めながら、いつかこの白い道を辿りたいなぁ、と思いました。


雪が無いともっさりした山だけど、積雪期に花房山から眺める雷倉への稜線は心惹かれますね。

山日和さんは、7回も訪れているのですね。

まあ、その内3回は山頂に届いてませんが。 :lol:

雪の山を想い描いていましたが、登山道も整備され無積雪期も楽しめるお山と知り、
新緑か紅葉の季節に訪れるのもいいなぁ、と思ったりもしていました。

本巣七山に選定されたりして、あの近辺ではメジャーな山になってしまったようです。
山頂で標識を入れて自撮りしたらうすずみ温泉の入浴料が割引になったらしいけど、温泉が休業してしまって残念でした。


IMG_5687_1_1.JPG

歩き始めの八谷と大井を結ぶ古道の峠には立派な祠があり、八谷の人が樽見に出るのに利用されてきた道なのだなぁと感じ入りました。

林道から少し上がると植林ながら風情のある道が現れましたね。

尾根は、ヤブっぽいかなと思っていましたが、下草もほとんどなくて歩きやすかったですね。

これは予想外でした。少しは手でかき分けるところがあるのかと思っていたら、まったくのヤブ無しでニッコリ。 :D


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石灰岩のお山なのですね。岩が現れるとお花に夢中になり、まっ直ぐに歩けなくなりました。
カタクリ、ネコノメソウ、ヒトリシズカ、スミレ・・・花々との出会いはうれしいですね。
山日和さん、たくさんお写真を撮っていましたね。ミノコバイモはあるかなとキョロキョロ探していたのですが見つからず。
いかにも生息していそうな地形だったのですが。


花はそれほど期待していなかったけど、さすがに石灰岩の山は花が多い。

ツルベ岳先の痩せ尾根は面白かったですね。雪の季節はナイフリッジになりそう。
道中、ちょっとした痩せ尾根が現れるとワクワクします。


結構スリリングな雪稜になりそうでしたね。

IMG_5764_1.JPG

揖斐川町と本巣市の境の稜線では、池を見つけドキドキしました。
思いもかけない山上の池との出会いは、こころときめきます。ブナの木々に囲まれた池は素敵でしたね。


なかなかいい雰囲気の場所にあって顔がほころびました。 :D

IMG_5777_1.JPG

雷倉山頂にはかわいい看板が立っていましたね。登山道を整備された方々の思いを感じました。
花房山への稜線もそれほどヤブっぽくなくて、この時期も歩けるなぁと思いました。


昔は無雪期にはとても歩けない稜線だったと思うけど、ここもヤブの衰退が目立ちます。

山頂から北は、積雪期はすっきりとした素敵なブナ林が続くのですね。こちらもカレンフェルトが見られましたね。

積雪期とのギャップにちょっとガックリしたところもあったけど、ジャンクション付近のブナ林は無雪期も変わらず美しかったですね。


IMG_5820_1.JPG

伐採地に入ると、陽当りがよいのかカタクリが増えましたね。ここも何十年か後放置植林地となってしまうのでしょうか。
殺伐とした地に咲くカタクリの花の凛としたうつくしさに見入っていました。


あのフェンスが張られた伐採地は、高屋山と大白木山の間の尾根を思い出しました。

地図を見ると雷倉周辺は林道が多く目障りに感じますが、実際に林道に出ると、楽に下れるとホッとしている自分に苦笑。

尾根芯を忠実に歩く気もなくなってしまいましたね。


IMG_5879_1.JPG

最後は、千手観音さまにご挨拶。やさしいお顔の観音さまでした。
雷倉、味わい深いお山でした。紅葉の季節にも訪れたくなりました。もちろん雪の季節も!


祠を覗き込んだら覗き込んだら手がいっぱいありました。 :mrgreen:
紅葉もいいでしょうねえ。

            山日和
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