【越前】魚見から775m無名峰、金粕へ 雪山でヤブ漕ぎ満喫
Posted: 2024年1月17日(水) 21:12
【日 付】2024年1月14日(日)
【山 域】福井県丹南 魚見川源流域
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】金山バス停7:55---8:50鉄塔9:10---11:40 P775m---12:00 P720mランチ場13:35
---14:20金粕---15:55県道203号---17:10駐車地
三角点金粕。普通なら見向きもされない標高700m余りの超マイナーピークである。
福井県池田町の魚見川源流域には、730m前後の同じような高さの山が並んでいるが、一般登山道があるのは
738mの唐木岳だけだ。2年ほど前からこの山域に惹かれ、大小屋山、大曽地、段ノ岳、金粕、岩谷山、唐木岳
といった山々に登ってきた。植林が盛んな山々で地図に載っていない林道があちこちにあるが、思いもかけな
かったブナ林に出会えたり、木々が葉を落とした季節であれば、樹間から白山や越美国境、加越国境の山々を
望むことができる。登山道のある唐木岳と岩谷山の間を除けばまず人に会うこともなく、いわば小さな喜びを
見出す静かな山々である。
今年一番の冷え込みを見せた朝、池田町内に入ると周りの山々は見渡す限りの雪化粧だ。普段なら黒々とし
て愛想の無い植林も、今は総クリスマスツリー状態である。
しかし思ったよりも降雪は少ないようで、道端の積雪もわずか。凍結だけ注意して魚見の集落へと車を走らせ
た。金山のバス停のある集会所前に駐車させてもらう。
唐木岳に朝陽が当たって黄金色に輝いていた。今日はいい一日になりそうだ。
橋を渡って除雪されていない林道に入る。積雪は10~20センチ程度。さらさらのパウダースノーが心地よい。
当初計画していた尾根の末端はどうも食指が動かないので、林道をしばらく進んで送電線の巡視路を利用する
ことにしたが登り口が見つからない。おなじみの小さな標識が必ずあるはずなのだが。
仕方なく適当な斜面に取り付いたが、これが悪手だった。登るにつれて傾斜が急になるのはいいが、ヤブがひ
どくなり、薄く積もった雪に足場が決まらない。100m登るのに疲労困憊してしまった。
登り付いた尾根にはなんと1m幅の立派な道があってガックリである。
入口をよく観察しながら歩いたつもりだったが見逃してしまったのだろう。鉄塔からは見事な展望が広がった。
ここから609m標高点までは間違いなく巡視路があるが、その先はわからない。
あにはからんや、標高点を過ぎたところで道は尾根を外れて左下へ下降して行った。目の前の尾根芯は密な
潅木のヤブだ。最高の天気とコンディションの中、ここでやめるわけにはいかない。
あの手この手でヤブをだましながら這うように前進する。こんな日になんで雪山でヤブを漕がないといけない
のか、この山を選んだ我が身を呪っても詮無いことである。
しばらく我慢しているとやがて植林が現れた。いつもならガックリくる植林もこういう場合は救いの神に見
えるのがおかしなものである。
775mピークの登りにかかるあたりは自然林で悪くない雰囲気だが、粗いヤブを迂回しながらですっきりとは
いかない。
登り着いた775mピークはこの近辺での最高峰なのだが、残念ながら名前がない。魚見川流域では唯一の740m
を超えるピークなので名前が欲しいところだ。
北面は植林だが尾根芯から南側は自然林で、ブナもぽつぽつと立っている。
金草岳方面の展望が開けるが、これは落葉期限定の眺望である。
ここまで無風でランチ場所は自由自在だろう思っていたが、意外に風が出てきた。どうやら南風のようだ。
ずっと北面を歩いてきたので風を感じなかったのだ。
ここからは池田町と南越前町を分ける東西の尾根なのでなかなか風のない場所を見つけるのが難しい。
登りの尾根から見ていたブナ林の感じ良さげな尾根は予想通りのいいブナ林が続いていた。
次の720mピークとその北斜面は特に素晴らしい。
金草岳を眺めながらランチタイムとしたかったが、この斜面も白山が見えて悪くない。風も気にならないので
ここに腰を据えることにしよう。風さえなければ日差しがポカポカと暖かい。
それと引き換えに霧氷は全部落ちてしまったが、すべてを望むのは贅沢というものだ。
のんびりとランチを楽しんでいると金粕の方から登山者が現れたのにはびっくりした。向こうも同じ思いのよ
うで、同時に「こんなところで人に会うとは」と驚きの声が上がる。
いろいろと話をしている内に、「福井の雪山の本を出しているんです」と仰った。「ひょっとして瓜生さんです
か?」と聞くと、まさにベルグラ山の会の創設者の瓜生氏だったので二度驚いた。
実は20年以上前に夜叉ヶ丸の山頂で会っており、その時に「福井の雪山」の続編の執筆中だと聞いていた。
その後出版された「福井の雪山Ⅱ」の三国岳から夜叉ヶ池の項には、山頂で大阪からの登山者と会ったと書かれ
ている。それが私を含むパーティーだったのだ。
その後「嶺南の谷 耳川編」を出された時には直接コンタクトして送ってもらった。
こんな場所で再会を果たすとは、なんとうれしい山の神様からのプレゼントだろう。
瓜生氏は775mピークには登ったことがないらしく、我々のトレースがあることを教えると、ピークに向かって
行かれた。御年77歳で、ご自分では体力が落ちてと言われていたが、単独でこんな人けのない山に向かうのだか
らまだまだお元気だ。
ピークを往復して戻ってきたらまだ我々がいたのでびっくりされたが、「いつもランチタイムはこんな調子で
す」と説明すると感心したように笑っておられた。せっかくなので記念撮影をして別れた。
瓜生氏は魚見川の林道を辿って来られたようで、トレースは谷の方へ向かっていた。
ここから金粕までは再びノートレースである。
気持ちのいいブナ林は続かず、潅木と植林の平凡な林相に変わった。こうして見ると、去年辿った大小屋山から
大曽地、735mピークへの稜線は延々とブナ林が続くこの近辺でも稀有な優れた尾根だったことがわかる。
この付近はナメコの宝庫でもあり、採り残された冷凍ナメコがあちこちに見られた。
下山ルートに選んだのは726m標高点から北東に延びる尾根だ。末端まで歩ければ駐車地までわずかな車道歩き
で済む。仕事が速いルートだろうとの思惑だったが、そうは問屋が卸さず、ユズリハな密なヤブに悩まされてペ
ースが上がらない。それでも今日一日見続けてきた真っ白な姿の白山を真正面に眺めながら下るのは気分がいい。
魚見峠への車道が交わる地点で車道へ逃げることにする。距離は長いが急がば回れである。
午後になっても雪は緩んでおらず、ほとんど沈まないので何も考えずに歩けるのがありがたい。
尾根上では消えていた木々の雪も、谷間に入るとびっしり残ったままだった。
山日和
【山 域】福井県丹南 魚見川源流域
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】金山バス停7:55---8:50鉄塔9:10---11:40 P775m---12:00 P720mランチ場13:35
---14:20金粕---15:55県道203号---17:10駐車地
三角点金粕。普通なら見向きもされない標高700m余りの超マイナーピークである。
福井県池田町の魚見川源流域には、730m前後の同じような高さの山が並んでいるが、一般登山道があるのは
738mの唐木岳だけだ。2年ほど前からこの山域に惹かれ、大小屋山、大曽地、段ノ岳、金粕、岩谷山、唐木岳
といった山々に登ってきた。植林が盛んな山々で地図に載っていない林道があちこちにあるが、思いもかけな
かったブナ林に出会えたり、木々が葉を落とした季節であれば、樹間から白山や越美国境、加越国境の山々を
望むことができる。登山道のある唐木岳と岩谷山の間を除けばまず人に会うこともなく、いわば小さな喜びを
見出す静かな山々である。
今年一番の冷え込みを見せた朝、池田町内に入ると周りの山々は見渡す限りの雪化粧だ。普段なら黒々とし
て愛想の無い植林も、今は総クリスマスツリー状態である。
しかし思ったよりも降雪は少ないようで、道端の積雪もわずか。凍結だけ注意して魚見の集落へと車を走らせ
た。金山のバス停のある集会所前に駐車させてもらう。
唐木岳に朝陽が当たって黄金色に輝いていた。今日はいい一日になりそうだ。
橋を渡って除雪されていない林道に入る。積雪は10~20センチ程度。さらさらのパウダースノーが心地よい。
当初計画していた尾根の末端はどうも食指が動かないので、林道をしばらく進んで送電線の巡視路を利用する
ことにしたが登り口が見つからない。おなじみの小さな標識が必ずあるはずなのだが。
仕方なく適当な斜面に取り付いたが、これが悪手だった。登るにつれて傾斜が急になるのはいいが、ヤブがひ
どくなり、薄く積もった雪に足場が決まらない。100m登るのに疲労困憊してしまった。
登り付いた尾根にはなんと1m幅の立派な道があってガックリである。
入口をよく観察しながら歩いたつもりだったが見逃してしまったのだろう。鉄塔からは見事な展望が広がった。
ここから609m標高点までは間違いなく巡視路があるが、その先はわからない。
あにはからんや、標高点を過ぎたところで道は尾根を外れて左下へ下降して行った。目の前の尾根芯は密な
潅木のヤブだ。最高の天気とコンディションの中、ここでやめるわけにはいかない。
あの手この手でヤブをだましながら這うように前進する。こんな日になんで雪山でヤブを漕がないといけない
のか、この山を選んだ我が身を呪っても詮無いことである。
しばらく我慢しているとやがて植林が現れた。いつもならガックリくる植林もこういう場合は救いの神に見
えるのがおかしなものである。
775mピークの登りにかかるあたりは自然林で悪くない雰囲気だが、粗いヤブを迂回しながらですっきりとは
いかない。
登り着いた775mピークはこの近辺での最高峰なのだが、残念ながら名前がない。魚見川流域では唯一の740m
を超えるピークなので名前が欲しいところだ。
北面は植林だが尾根芯から南側は自然林で、ブナもぽつぽつと立っている。
金草岳方面の展望が開けるが、これは落葉期限定の眺望である。
ここまで無風でランチ場所は自由自在だろう思っていたが、意外に風が出てきた。どうやら南風のようだ。
ずっと北面を歩いてきたので風を感じなかったのだ。
ここからは池田町と南越前町を分ける東西の尾根なのでなかなか風のない場所を見つけるのが難しい。
登りの尾根から見ていたブナ林の感じ良さげな尾根は予想通りのいいブナ林が続いていた。
次の720mピークとその北斜面は特に素晴らしい。
金草岳を眺めながらランチタイムとしたかったが、この斜面も白山が見えて悪くない。風も気にならないので
ここに腰を据えることにしよう。風さえなければ日差しがポカポカと暖かい。
それと引き換えに霧氷は全部落ちてしまったが、すべてを望むのは贅沢というものだ。
のんびりとランチを楽しんでいると金粕の方から登山者が現れたのにはびっくりした。向こうも同じ思いのよ
うで、同時に「こんなところで人に会うとは」と驚きの声が上がる。
いろいろと話をしている内に、「福井の雪山の本を出しているんです」と仰った。「ひょっとして瓜生さんです
か?」と聞くと、まさにベルグラ山の会の創設者の瓜生氏だったので二度驚いた。
実は20年以上前に夜叉ヶ丸の山頂で会っており、その時に「福井の雪山」の続編の執筆中だと聞いていた。
その後出版された「福井の雪山Ⅱ」の三国岳から夜叉ヶ池の項には、山頂で大阪からの登山者と会ったと書かれ
ている。それが私を含むパーティーだったのだ。
その後「嶺南の谷 耳川編」を出された時には直接コンタクトして送ってもらった。
こんな場所で再会を果たすとは、なんとうれしい山の神様からのプレゼントだろう。
瓜生氏は775mピークには登ったことがないらしく、我々のトレースがあることを教えると、ピークに向かって
行かれた。御年77歳で、ご自分では体力が落ちてと言われていたが、単独でこんな人けのない山に向かうのだか
らまだまだお元気だ。
ピークを往復して戻ってきたらまだ我々がいたのでびっくりされたが、「いつもランチタイムはこんな調子で
す」と説明すると感心したように笑っておられた。せっかくなので記念撮影をして別れた。
瓜生氏は魚見川の林道を辿って来られたようで、トレースは谷の方へ向かっていた。
ここから金粕までは再びノートレースである。
気持ちのいいブナ林は続かず、潅木と植林の平凡な林相に変わった。こうして見ると、去年辿った大小屋山から
大曽地、735mピークへの稜線は延々とブナ林が続くこの近辺でも稀有な優れた尾根だったことがわかる。
この付近はナメコの宝庫でもあり、採り残された冷凍ナメコがあちこちに見られた。
下山ルートに選んだのは726m標高点から北東に延びる尾根だ。末端まで歩ければ駐車地までわずかな車道歩き
で済む。仕事が速いルートだろうとの思惑だったが、そうは問屋が卸さず、ユズリハな密なヤブに悩まされてペ
ースが上がらない。それでも今日一日見続けてきた真っ白な姿の白山を真正面に眺めながら下るのは気分がいい。
魚見峠への車道が交わる地点で車道へ逃げることにする。距離は長いが急がば回れである。
午後になっても雪は緩んでおらず、ほとんど沈まないので何も考えずに歩けるのがありがたい。
尾根上では消えていた木々の雪も、谷間に入るとびっしり残ったままだった。
山日和
奥越というか福井の奥座敷のこのエリア、標高も700m前後で、さらに山奥の越美国境の1200mクラスの山と違って昔からヒトと自然が共生してきた度合いが大きい世界なんでしょうね。