【野坂山地】闇上がりの野坂岳と井ノ口川 美保の滝
Posted: 2023年8月29日(火) 23:07
【日 付】2023年8月26.(土)
【山 域】野坂山地 野坂岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】いこいの村登山口0:05---2:05野坂岳6:10---7:25井ノ口川7:45---8:40美保の滝9:00---9:55源頭ランチ場10:45
---11:25野坂岳---11:45二ノ岳12:20---13:15登山口
夜の12時ともなると、さすがにいこいの村の登山口には1台の車の影もない。
今日は久し振りの夜間歩行。前夜発日帰りでありながら山頂で朝を迎えるというスタイルである。これまで竜ヶ岳、
御池岳、武奈ヶ岳、蓬莱山などで実践したきたが、まともに日の出を見られたのは御池岳の1度だけだ。
街灯もなく真っ暗な中、ヘッデンを点けて歩き出す。見上げる漆黒の空には満天の星が輝いている。
歩き出すとすぐに向こうから4つのヘッデンの光が見えた。こんな時間に歩いてるヤツがいるのかと自分のことを
棚に上げて訝ると、その4つの光は2頭のシカの目だった。
昼間なら人間に気付くと一散に走り去るシカも、夜は自分たちの時間だとばかりに、悠然と歩いている。
日差しに焼かれないだけマシだが夜になっても気温は高く、全身から汗が噴き出してくるようだ。
闇を切り裂く一条の光の先だけを見つめてひたすら歩く。
夜間歩行の最大のデメリットは、何にも見えないので何の楽しみもないことである。景色は明るくなってからの
お楽しみ。何も見えない分、耳に聞こえるいろんな音には鋭敏になる。
風の渡る音、虫の鳴き声、ガサガサという動物の動く音、そして自分の息遣い。ヘッデンが照らす限られた範囲の
わずかな視界から目に入る情報より、耳に飛び込むさまざまな音の方が想像力をかき立ててくれる。
暗闇が苦手な人にはおすすめできないが。
それでも闇の中からふっと目の前に現れるナツエビネやヤマジノホトトギスの姿を見ると、気分がほっこりする。
2時間ほどで野坂岳山頂に到着した。山頂にテントを張るつもりで担いで来たのだが、意外に風があるのと、雨
が降ったのか夜露なのか、地面が濡れていたので山頂直下の避難小屋に泊まることにした。よく整備されて、こう
いう時にはありがたい小屋である。
眼下には敦賀市の夜景が広がり、さまざまな色の光の瞬きが美しい。
明日、いや今日の日の出は5時23分頃らしい。もう3時間ほどしかないが、せっかく担いできて飲まないわけに
はいかないのでビールタイムである。
寝ていると、小屋の外で足音がしたと思ったらガラっと戸が開いた。まさか人が寝ているとは思わなかったの
だろう。すぐに戸を閉めて去って行った。どうやら同じ山頂ご来光組の登山者のようだ。
何度も途中で目が覚めたこともあり、結局2時間足らずしか寝られなかった。
5時過ぎに山頂へ向かい(徒歩30秒だが)日の出を待つ。先ほどの登山者も東の空を見つめていた。
敦賀湾の方に面白い形の雲が4つ、水平長くに伸びたオレンジの光の帯の上に浮かんでいる。
さっきまで次から次へと雲が流れていたが、それも消えて金糞岳の方向から太陽が眩い光を放ちながら頭を出した
と思うと、みるみる内にその姿は大きくなり、ひんやりしていたあたりの空気が温かみを持ち始めた。
さて、これで今回の目的のひとつを果たしたわけだが、最大の目的は別にある。ここから西へ下って、井ノ口川
を遡行して再び山頂へ戻ってくるという計画である。あまり面白そうな谷ではないが、美保の滝という大きな滝が
あるらしい。
寝不足だし足もだるいので迷ったが、このまま下山するのはバカらしいので予定通り実行しよう。
少し戻って三ノ岳のあたりから西尾根に入る。不要な荷物はポリ袋に入れて木の根元にデポ。目印に赤いひもを
木にくくり付けておいた。
この西尾根はあまり踏み跡もはっきりしておらず、何度も軌道修正。歩く人は少ないのだろう。
尾根芯はヤブが濃いところが多いので、北側斜面を選んで歩くのがポイントだ。ただ、お世辞にも面白いコースだ
とは言えない。
579m標高点の手前からようやくいい感じの尾根になる。579mの下りではなんのためのものかわからないが、
ロープが何か所も設置されていた。
1時間ほどで井ノ口川に下り立った。まあ別に期待していたわけではないが、ショボい流れである。
標高900mほどの野坂岳で450mの上り下りを加えて1200m近い標高差にするのもオツなものだ。
ここで渓流シューズに履き替えて遡行開始。井ノ口川本流は穏やかで、時折ナメ滝や2m程度の小滝が現れるぐ
らいで見るべきところは少ない。何と言っても林相がよろしくないのが不本意だ。
岩はヌメヌメで、フェルトソールでも油断できない。ここしばらくフリクションのいい谷ばかりだったので、久々
のヌメりの強い谷に少々戸惑う。
谷が狭くなり、両岸が立ち始めた。両岸とも草ボーボーなので視覚的には迫力はないが、谷芯には小滝が連続
している。その一番奥、はるかな高みから大きな滝が落ちているのが見えた。あれが美保の滝か。
谷芯はややこしそうなので、右岸の草付きをかなり上がってからトラバース。下り立ったところが美保の滝の真ん
前だった。まわりを50m以上の壁に囲まれたこの谷底は言葉を失うような場所だった。
スラブ壁を音もなく滑るように落ちる美保の滝。野坂岳の裏側にこんな滝があったとは驚きだ。
高さは30mぐらいはあるだろうか。水量が少ないのでやや迫力不足だが、水の多い時なら素晴らしい景観だろう。
滝つぼはなく、滝の前の大岩の上でゆっくりと美保の滝を楽しんだ。
傾斜があまり強くないので一見登れそうに見えるが、この滝もやはりヌメヌメで下手に取り付くと危ない。
左側のルンゼにルートを求め、途中から滝横の草付きを上がって行った。
最後は落ち口へのラインを見つけてドンピシャで落ち口に立つ。
落ち口の上流の渓相もこれまでと大差なく、ここにだけ突然変異のように大滝ができたのが不思議だ。
まだ10時前だが、水のあるところで涼しいうちにランチタイムとする。稜線まではあと100m余りの登りだから、
多少足元が覚束なくてもなんとかなるだろう。
谷芯がヤブっぽくなってきたので左の斜面に逃げる。いつもならブナ林の中を気持ち良くというところだが、
ここは植林一色で興覚めである。
ほどなく三国山からの稜線に飛び出す。潅木ばかりで日陰のないこの道は暑い。
本日2度目の野坂岳山頂は、この暑い中ランチタイムを楽しむ数組の登山者で賑わっていた。
夜景、夜明け、昼間と、野坂岳の違う表情を半日ばかりの内に味わうのも感慨深い。
とは言え、とにかく暑いので早々に山頂を辞してブナ林へと向かう。
一の岳から山頂手前に至る間にはなかなかのブナ林が残されている。ブナ林へ入ってしまえば暑さ知らず。
デポした荷物を回収して、二の岳を過ぎたあたりで腰を降ろして靴を履き替えた。
まだ昼を過ぎたところ。下界ではこれから暑さのピークを迎えるのだろう。
山日和
【山 域】野坂山地 野坂岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】いこいの村登山口0:05---2:05野坂岳6:10---7:25井ノ口川7:45---8:40美保の滝9:00---9:55源頭ランチ場10:45
---11:25野坂岳---11:45二ノ岳12:20---13:15登山口
夜の12時ともなると、さすがにいこいの村の登山口には1台の車の影もない。
今日は久し振りの夜間歩行。前夜発日帰りでありながら山頂で朝を迎えるというスタイルである。これまで竜ヶ岳、
御池岳、武奈ヶ岳、蓬莱山などで実践したきたが、まともに日の出を見られたのは御池岳の1度だけだ。
街灯もなく真っ暗な中、ヘッデンを点けて歩き出す。見上げる漆黒の空には満天の星が輝いている。
歩き出すとすぐに向こうから4つのヘッデンの光が見えた。こんな時間に歩いてるヤツがいるのかと自分のことを
棚に上げて訝ると、その4つの光は2頭のシカの目だった。
昼間なら人間に気付くと一散に走り去るシカも、夜は自分たちの時間だとばかりに、悠然と歩いている。
日差しに焼かれないだけマシだが夜になっても気温は高く、全身から汗が噴き出してくるようだ。
闇を切り裂く一条の光の先だけを見つめてひたすら歩く。
夜間歩行の最大のデメリットは、何にも見えないので何の楽しみもないことである。景色は明るくなってからの
お楽しみ。何も見えない分、耳に聞こえるいろんな音には鋭敏になる。
風の渡る音、虫の鳴き声、ガサガサという動物の動く音、そして自分の息遣い。ヘッデンが照らす限られた範囲の
わずかな視界から目に入る情報より、耳に飛び込むさまざまな音の方が想像力をかき立ててくれる。
暗闇が苦手な人にはおすすめできないが。
それでも闇の中からふっと目の前に現れるナツエビネやヤマジノホトトギスの姿を見ると、気分がほっこりする。
2時間ほどで野坂岳山頂に到着した。山頂にテントを張るつもりで担いで来たのだが、意外に風があるのと、雨
が降ったのか夜露なのか、地面が濡れていたので山頂直下の避難小屋に泊まることにした。よく整備されて、こう
いう時にはありがたい小屋である。
眼下には敦賀市の夜景が広がり、さまざまな色の光の瞬きが美しい。
明日、いや今日の日の出は5時23分頃らしい。もう3時間ほどしかないが、せっかく担いできて飲まないわけに
はいかないのでビールタイムである。
寝ていると、小屋の外で足音がしたと思ったらガラっと戸が開いた。まさか人が寝ているとは思わなかったの
だろう。すぐに戸を閉めて去って行った。どうやら同じ山頂ご来光組の登山者のようだ。
何度も途中で目が覚めたこともあり、結局2時間足らずしか寝られなかった。
5時過ぎに山頂へ向かい(徒歩30秒だが)日の出を待つ。先ほどの登山者も東の空を見つめていた。
敦賀湾の方に面白い形の雲が4つ、水平長くに伸びたオレンジの光の帯の上に浮かんでいる。
さっきまで次から次へと雲が流れていたが、それも消えて金糞岳の方向から太陽が眩い光を放ちながら頭を出した
と思うと、みるみる内にその姿は大きくなり、ひんやりしていたあたりの空気が温かみを持ち始めた。
さて、これで今回の目的のひとつを果たしたわけだが、最大の目的は別にある。ここから西へ下って、井ノ口川
を遡行して再び山頂へ戻ってくるという計画である。あまり面白そうな谷ではないが、美保の滝という大きな滝が
あるらしい。
寝不足だし足もだるいので迷ったが、このまま下山するのはバカらしいので予定通り実行しよう。
少し戻って三ノ岳のあたりから西尾根に入る。不要な荷物はポリ袋に入れて木の根元にデポ。目印に赤いひもを
木にくくり付けておいた。
この西尾根はあまり踏み跡もはっきりしておらず、何度も軌道修正。歩く人は少ないのだろう。
尾根芯はヤブが濃いところが多いので、北側斜面を選んで歩くのがポイントだ。ただ、お世辞にも面白いコースだ
とは言えない。
579m標高点の手前からようやくいい感じの尾根になる。579mの下りではなんのためのものかわからないが、
ロープが何か所も設置されていた。
1時間ほどで井ノ口川に下り立った。まあ別に期待していたわけではないが、ショボい流れである。
標高900mほどの野坂岳で450mの上り下りを加えて1200m近い標高差にするのもオツなものだ。
ここで渓流シューズに履き替えて遡行開始。井ノ口川本流は穏やかで、時折ナメ滝や2m程度の小滝が現れるぐ
らいで見るべきところは少ない。何と言っても林相がよろしくないのが不本意だ。
岩はヌメヌメで、フェルトソールでも油断できない。ここしばらくフリクションのいい谷ばかりだったので、久々
のヌメりの強い谷に少々戸惑う。
谷が狭くなり、両岸が立ち始めた。両岸とも草ボーボーなので視覚的には迫力はないが、谷芯には小滝が連続
している。その一番奥、はるかな高みから大きな滝が落ちているのが見えた。あれが美保の滝か。
谷芯はややこしそうなので、右岸の草付きをかなり上がってからトラバース。下り立ったところが美保の滝の真ん
前だった。まわりを50m以上の壁に囲まれたこの谷底は言葉を失うような場所だった。
スラブ壁を音もなく滑るように落ちる美保の滝。野坂岳の裏側にこんな滝があったとは驚きだ。
高さは30mぐらいはあるだろうか。水量が少ないのでやや迫力不足だが、水の多い時なら素晴らしい景観だろう。
滝つぼはなく、滝の前の大岩の上でゆっくりと美保の滝を楽しんだ。
傾斜があまり強くないので一見登れそうに見えるが、この滝もやはりヌメヌメで下手に取り付くと危ない。
左側のルンゼにルートを求め、途中から滝横の草付きを上がって行った。
最後は落ち口へのラインを見つけてドンピシャで落ち口に立つ。
落ち口の上流の渓相もこれまでと大差なく、ここにだけ突然変異のように大滝ができたのが不思議だ。
まだ10時前だが、水のあるところで涼しいうちにランチタイムとする。稜線まではあと100m余りの登りだから、
多少足元が覚束なくてもなんとかなるだろう。
谷芯がヤブっぽくなってきたので左の斜面に逃げる。いつもならブナ林の中を気持ち良くというところだが、
ここは植林一色で興覚めである。
ほどなく三国山からの稜線に飛び出す。潅木ばかりで日陰のないこの道は暑い。
本日2度目の野坂岳山頂は、この暑い中ランチタイムを楽しむ数組の登山者で賑わっていた。
夜景、夜明け、昼間と、野坂岳の違う表情を半日ばかりの内に味わうのも感慨深い。
とは言え、とにかく暑いので早々に山頂を辞してブナ林へと向かう。
一の岳から山頂手前に至る間にはなかなかのブナ林が残されている。ブナ林へ入ってしまえば暑さ知らず。
デポした荷物を回収して、二の岳を過ぎたあたりで腰を降ろして靴を履き替えた。
まだ昼を過ぎたところ。下界ではこれから暑さのピークを迎えるのだろう。
山日和
また、変わったことをしてますなあ。