雨のグミの木平に集う---ヤブコギの好き者たち
Posted: 2011年10月31日(月) 22:02
【日 付】2011年10月30(日)
【山 域】鈴鹿南部 グミの木平周辺
【天 候】曇りのち雨
【メンバー】通風山さん、バーチャリさん、とっちゃん、途中からテラさん、山日和
【コース】石水渓7:50---9:25鬼ヶ牙---10:20長坂の頭10:33---11:県境尾根---11:52グミの木平13:31---
15:13石谷川林道---15:58駐車地
朝、目が覚めると車の屋根を雨粒が濡らしていた。どうにも冴えない天気だが、決行は昨晩告知済みだ。オフ会の間だ
けでもなんとか小康状態であってくれることを祈って出発。
出発の準備をしていると、TrailWalkerさん、緑水さん、たそがれさんと、ヤブコギメンバーが次々に通過して行った。
一夜の宴を結んだバンガロー前から尾根に取り付く。前夜のプランでは安楽越からの縦走だったが、急遽第2案の鬼ヶ
牙ルートに変更したのだ。それも一般道ではなく尾根末端からのバリルートだ。
植林の急登を終えて尾根に乗ってしまえば楽勝・・・ではないのがこのルートである。
しばらくは平凡な尾根が続き、左側には岩登りのゲレンデとなっている岩場を眺めながら進む。空間を切り裂くように新名
神の高い高架道路が走っている。高速道の建設中にはあまりに高い橋脚を見上げて驚いたものだ。
予定通り岩壁が立ちはだかった。正面突破は不可能。右手を窺うも岩が立ち過ぎて巻くことはできない。左手の岩壁下
に細いバンドがあるが、ホールドが乏しくちょっと恐い。通さんもとっちゃんもロープを車に置いてきたと言う。まったくのフリ
ーでは一歩が厳しいので、いつもザックに入れてある細引きを木に掛けて安全弁とする。足元の下は木が生えているとは
いえ、相当な急傾斜で谷底に落ち込んでいる。頼りなげな細引きでもあるとないのとでは精神的重圧がまったく違うのだ。
微妙なトラバースをこなして、一度尾根に偵察に上がったがまだ早かった。もう一度下りて安全地帯の樹林をさらにトラバ
ースで進む。岩場を巻き終わって尾根に出た時には30分以上経過していた。
ここからは急にテープ類も現れ、踏み跡も道と言えるレベルとなった。
[attachment=3]P1120261_1.JPG[/attachment]
最初の岩峰で大展望が広がった。「東峰」の標識があるこのピークは、鬼ヶ牙本峰と岩壁を正面に望む、高度感満点の
岩峰だ。鬼ヶ牙のピーク群の中ではここが一番爽快な場所だろう。
一度下って登り返せば「南峰」の表示のあるピーク。続いて鬼ヶ牙の本峰へ上がる。ここには「鬼ヶ牙 488m」の立派な標
識があるが、明らかに間違っている。488mの標高点はもうひとつ北側の平凡なピークである。
休憩していると10人以上の団体が上がってきた。この山は結構人気の山のようだが、我々のルートから上がる人はほとん
どいないのだろう。さっきのトラバースルートの踏み跡の薄さがそれを物語っている。
[attachment=2]P1120271_1.JPG[/attachment]
突然通さんの携帯が鳴った。グーさんからのようだ。小太郎谷から上がろうとしたが、現在位置も不明で集合時間に間に
合いそうもないらしい。おまけにちーたろーさんも一緒だそうだ。なにやってんだか。
そう言うこちらも岩壁で時間を食ってしまい余裕がなくなってきた。
またまた通さん電話が鳴る。またもグーさんかと思いきや、今度はテラさんだった。鬼ヶ牙へ上がってきたが、分岐を反対
に進んでしまって遅れそうだと言う。てっきり我々の後ろを歩いていると思って待とうかとも思ったが、前進していると前から
「テラでーす」とコールが掛かった。テラさんは出発点でたそがれさんと出会ったが、スピードが合わないので先に行ってほ
しいと伝えたとのこと。到着しないとたそがれさんが心配するので遅れることを伝えてもらおうと通さんに電話したということ
だった。
ここからテラさんも加わって5人パーティーとなった。「登りは弱くて」と謙遜しておられたが、なかなかどうして、70才を超えて
いるとは思えない健脚である。
長坂の頭まで来た。ここまで来れば時間も読める。間に合うかどうかギリギリの線だろう。
空はいよいよ暗くなり、ついに雨が落ち始めた。県境稜線へ向かって黙々と歩く。この尾根もアップダウンや足場の悪いとこ
ろがあってペースは上がらない。
756mの県境稜線では5人ほどのパーティーが休んでいた。この分岐は安楽方面から来ると、縦走路は左の山腹をトラバ
ースするように左折しておりわかりにくいところだ。うっかり尾根を直進すると鬼ヶ牙への尾根に入ってしまいそうになる。
ここでたんぽぽさんに電話を入れ、間に合いそうもない旨を連絡した。電話の向うではたそがれさんがテラさんのことを心配
していたようで、テラさんも居る事を伝えるとホッとした空気が伝わってきた。
[attachment=1]P1120285_1.JPG[/attachment]
終始西側山腹に付けられた縦走路をしばらくで小太郎谷源頭の広々とした草原に出る。ここは本当に気持ちのいいところ
だ。しかしのんびりしてはいられない。すぐにミズナシへ向けて登り始める。通さんは足が攣ってしまったようで遅れ始めた。
本当ならグミの木平へは登り切らずにトラバースして行けばいいのだが、変にヤブコギがあったりすると余計に時間を食う。
急がば回れでミズナシのピークまで上がる。ここからはほとんど形を失ったシカ除けネットに沿って下るだけだ。
眼下の草原に青いタープが張られていた。駆け寄ってきたのはふ~さんだ。グーさん御一行はまだ到着しておらず、代わ
りに受付けをしていた。
時間は11時52分。ちょうど岩場で模索していた分の遅刻だった。みなさん、雨の中お待たせしてすみませんでした。
オフ会の様子は省略。さあ、お開きというところでやっとグーさん達が到着した。記念撮影を終え、みんな三々五々散って
行った後、最後にタープを撤収。鍋と水とタープを担ぎ上げて、キノコ鍋を振舞ってくれたzippさんに感謝。
我々の帰路は最短距離と思われたガンサ谷を選んだ。距離は最短でも最速とは限らないのが山である。これがなかなか
骨のある登山道だった。
ガンサ谷は昔の登山地図では「葺谷」と表記されており、「鈴鹿の山と谷」でもそう書かれている。いつからガンサ谷が通名
になったのだろう。
小太郎谷源頭まで戻って薄い踏み跡のヤセ尾根に入る。あまり歩かれていないようだ。谷への下りもかなり急で、トラロ
ープがうれしかったりする。
左手にミニ連瀑帯を見たところで右の谷側へ下りていく。滝場を避けて付けられたルートのようだ。
下り切って谷筋に出たところですぐ下に堰堤があった。かなりの高さがある。林道もないこんな谷の奥にどうやってこんな大
きな堰堤を作ったのだろう。
しばらく行くと、ほとんどバリルートと言ってもいいくらいのはっきりしない道になってしまった。左岸をトラバースして進む道
は踏み跡も微か。もはや登山道とは言えない状態である。テープも見かけなくなったのでどこかで外したのかもしれない。
時々河原に下りるが、必ず白い花崗岩の美しいナメ滝がある。いかつい名前とは裏腹にきれいな谷である。
大きな滝が2つあった。いずれも花崗岩を穿って滑るように流れ落ちる滝で、そこそこの高さもある。高巻き道からはその
全貌を見ることができないのが残念だ。堰堤さえなければ遡行しても楽しい谷だと思う。
[attachment=0]P1120305_1.JPG[/attachment]
通さんがその昔ビビったという橋があるらしいが、なかなか現れない。「もうないんとちゃうの」とか言いながらかなり下まで
下って来たら、ありました。小谷を渡るところで「く」の字に鉄板が掛けられて手すりも付いている。その下に腐った木の橋が
そのまま残されていた。その頃はその木の橋に番線の手すりしかなく、渡ると撓んで揺れたらしい。私も昔通ったことがある
のだが、まったく記憶に残っていなかった。確かに落ちればタダでは済まないところだ。
下部はよく整備されて杣道となり、やっと林道終点に出た。ここからの林道歩きが結構長い。ひとりだと退屈な道のりだが、
パーティーだとこれもまた良し。歩いてきた鬼ヶ牙の尾根を振り仰ぎながらああだこうだと論議するのも楽しいものだ。
大堰堤の駐車スペースに車が1台止まっていた。「ヤブコギ関係者じゃないやろ」「三重ナンバーやん」と言いながら車の横
に差し掛かると、振り向いたその顔は宮指路さんだった。
「どこ行っとったん?」その顛末は宮指路さんのレポをご参照あれ。
そこから石谷川本流へ下りて橋を渡ると、登りもなくあっという間にバンガロー前にピンポイント。
みなさん、お疲れさまでした。また春にお会いしましょう。
山日和
【山 域】鈴鹿南部 グミの木平周辺
【天 候】曇りのち雨
【メンバー】通風山さん、バーチャリさん、とっちゃん、途中からテラさん、山日和
【コース】石水渓7:50---9:25鬼ヶ牙---10:20長坂の頭10:33---11:県境尾根---11:52グミの木平13:31---
15:13石谷川林道---15:58駐車地
朝、目が覚めると車の屋根を雨粒が濡らしていた。どうにも冴えない天気だが、決行は昨晩告知済みだ。オフ会の間だ
けでもなんとか小康状態であってくれることを祈って出発。
出発の準備をしていると、TrailWalkerさん、緑水さん、たそがれさんと、ヤブコギメンバーが次々に通過して行った。
一夜の宴を結んだバンガロー前から尾根に取り付く。前夜のプランでは安楽越からの縦走だったが、急遽第2案の鬼ヶ
牙ルートに変更したのだ。それも一般道ではなく尾根末端からのバリルートだ。
植林の急登を終えて尾根に乗ってしまえば楽勝・・・ではないのがこのルートである。
しばらくは平凡な尾根が続き、左側には岩登りのゲレンデとなっている岩場を眺めながら進む。空間を切り裂くように新名
神の高い高架道路が走っている。高速道の建設中にはあまりに高い橋脚を見上げて驚いたものだ。
予定通り岩壁が立ちはだかった。正面突破は不可能。右手を窺うも岩が立ち過ぎて巻くことはできない。左手の岩壁下
に細いバンドがあるが、ホールドが乏しくちょっと恐い。通さんもとっちゃんもロープを車に置いてきたと言う。まったくのフリ
ーでは一歩が厳しいので、いつもザックに入れてある細引きを木に掛けて安全弁とする。足元の下は木が生えているとは
いえ、相当な急傾斜で谷底に落ち込んでいる。頼りなげな細引きでもあるとないのとでは精神的重圧がまったく違うのだ。
微妙なトラバースをこなして、一度尾根に偵察に上がったがまだ早かった。もう一度下りて安全地帯の樹林をさらにトラバ
ースで進む。岩場を巻き終わって尾根に出た時には30分以上経過していた。
ここからは急にテープ類も現れ、踏み跡も道と言えるレベルとなった。
[attachment=3]P1120261_1.JPG[/attachment]
最初の岩峰で大展望が広がった。「東峰」の標識があるこのピークは、鬼ヶ牙本峰と岩壁を正面に望む、高度感満点の
岩峰だ。鬼ヶ牙のピーク群の中ではここが一番爽快な場所だろう。
一度下って登り返せば「南峰」の表示のあるピーク。続いて鬼ヶ牙の本峰へ上がる。ここには「鬼ヶ牙 488m」の立派な標
識があるが、明らかに間違っている。488mの標高点はもうひとつ北側の平凡なピークである。
休憩していると10人以上の団体が上がってきた。この山は結構人気の山のようだが、我々のルートから上がる人はほとん
どいないのだろう。さっきのトラバースルートの踏み跡の薄さがそれを物語っている。
[attachment=2]P1120271_1.JPG[/attachment]
突然通さんの携帯が鳴った。グーさんからのようだ。小太郎谷から上がろうとしたが、現在位置も不明で集合時間に間に
合いそうもないらしい。おまけにちーたろーさんも一緒だそうだ。なにやってんだか。
そう言うこちらも岩壁で時間を食ってしまい余裕がなくなってきた。
またまた通さん電話が鳴る。またもグーさんかと思いきや、今度はテラさんだった。鬼ヶ牙へ上がってきたが、分岐を反対
に進んでしまって遅れそうだと言う。てっきり我々の後ろを歩いていると思って待とうかとも思ったが、前進していると前から
「テラでーす」とコールが掛かった。テラさんは出発点でたそがれさんと出会ったが、スピードが合わないので先に行ってほ
しいと伝えたとのこと。到着しないとたそがれさんが心配するので遅れることを伝えてもらおうと通さんに電話したということ
だった。
ここからテラさんも加わって5人パーティーとなった。「登りは弱くて」と謙遜しておられたが、なかなかどうして、70才を超えて
いるとは思えない健脚である。
長坂の頭まで来た。ここまで来れば時間も読める。間に合うかどうかギリギリの線だろう。
空はいよいよ暗くなり、ついに雨が落ち始めた。県境稜線へ向かって黙々と歩く。この尾根もアップダウンや足場の悪いとこ
ろがあってペースは上がらない。
756mの県境稜線では5人ほどのパーティーが休んでいた。この分岐は安楽方面から来ると、縦走路は左の山腹をトラバ
ースするように左折しておりわかりにくいところだ。うっかり尾根を直進すると鬼ヶ牙への尾根に入ってしまいそうになる。
ここでたんぽぽさんに電話を入れ、間に合いそうもない旨を連絡した。電話の向うではたそがれさんがテラさんのことを心配
していたようで、テラさんも居る事を伝えるとホッとした空気が伝わってきた。
[attachment=1]P1120285_1.JPG[/attachment]
終始西側山腹に付けられた縦走路をしばらくで小太郎谷源頭の広々とした草原に出る。ここは本当に気持ちのいいところ
だ。しかしのんびりしてはいられない。すぐにミズナシへ向けて登り始める。通さんは足が攣ってしまったようで遅れ始めた。
本当ならグミの木平へは登り切らずにトラバースして行けばいいのだが、変にヤブコギがあったりすると余計に時間を食う。
急がば回れでミズナシのピークまで上がる。ここからはほとんど形を失ったシカ除けネットに沿って下るだけだ。
眼下の草原に青いタープが張られていた。駆け寄ってきたのはふ~さんだ。グーさん御一行はまだ到着しておらず、代わ
りに受付けをしていた。
時間は11時52分。ちょうど岩場で模索していた分の遅刻だった。みなさん、雨の中お待たせしてすみませんでした。
オフ会の様子は省略。さあ、お開きというところでやっとグーさん達が到着した。記念撮影を終え、みんな三々五々散って
行った後、最後にタープを撤収。鍋と水とタープを担ぎ上げて、キノコ鍋を振舞ってくれたzippさんに感謝。
我々の帰路は最短距離と思われたガンサ谷を選んだ。距離は最短でも最速とは限らないのが山である。これがなかなか
骨のある登山道だった。
ガンサ谷は昔の登山地図では「葺谷」と表記されており、「鈴鹿の山と谷」でもそう書かれている。いつからガンサ谷が通名
になったのだろう。
小太郎谷源頭まで戻って薄い踏み跡のヤセ尾根に入る。あまり歩かれていないようだ。谷への下りもかなり急で、トラロ
ープがうれしかったりする。
左手にミニ連瀑帯を見たところで右の谷側へ下りていく。滝場を避けて付けられたルートのようだ。
下り切って谷筋に出たところですぐ下に堰堤があった。かなりの高さがある。林道もないこんな谷の奥にどうやってこんな大
きな堰堤を作ったのだろう。
しばらく行くと、ほとんどバリルートと言ってもいいくらいのはっきりしない道になってしまった。左岸をトラバースして進む道
は踏み跡も微か。もはや登山道とは言えない状態である。テープも見かけなくなったのでどこかで外したのかもしれない。
時々河原に下りるが、必ず白い花崗岩の美しいナメ滝がある。いかつい名前とは裏腹にきれいな谷である。
大きな滝が2つあった。いずれも花崗岩を穿って滑るように流れ落ちる滝で、そこそこの高さもある。高巻き道からはその
全貌を見ることができないのが残念だ。堰堤さえなければ遡行しても楽しい谷だと思う。
[attachment=0]P1120305_1.JPG[/attachment]
通さんがその昔ビビったという橋があるらしいが、なかなか現れない。「もうないんとちゃうの」とか言いながらかなり下まで
下って来たら、ありました。小谷を渡るところで「く」の字に鉄板が掛けられて手すりも付いている。その下に腐った木の橋が
そのまま残されていた。その頃はその木の橋に番線の手すりしかなく、渡ると撓んで揺れたらしい。私も昔通ったことがある
のだが、まったく記憶に残っていなかった。確かに落ちればタダでは済まないところだ。
下部はよく整備されて杣道となり、やっと林道終点に出た。ここからの林道歩きが結構長い。ひとりだと退屈な道のりだが、
パーティーだとこれもまた良し。歩いてきた鬼ヶ牙の尾根を振り仰ぎながらああだこうだと論議するのも楽しいものだ。
大堰堤の駐車スペースに車が1台止まっていた。「ヤブコギ関係者じゃないやろ」「三重ナンバーやん」と言いながら車の横
に差し掛かると、振り向いたその顔は宮指路さんだった。
「どこ行っとったん?」その顛末は宮指路さんのレポをご参照あれ。
そこから石谷川本流へ下りて橋を渡ると、登りもなくあっという間にバンガロー前にピンポイント。
みなさん、お疲れさまでした。また春にお会いしましょう。
山日和