【加越】富士写ヶ岳から小倉谷山・火燈山へ
Posted: 2023年2月14日(火) 21:15
【日 付】2023年2月12日(日)
【山 域】加越国境 小倉谷山周辺
【天 候】晴れのち曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】山中温泉トンネル北口8:10---8:20登山口---11:00富士写ヶ岳---12:00最低鞍部---12:55加越国境JP14:15
---14:40小倉谷山---15:15火燈山---16:55大内峠---17:20駐車地
1年前の冬に訪れた小倉谷山。標高わずか900mの山とはとても思えない、新雪に飾られた鋭くも美しい雪稜の
姿に息を呑んだ。次はあの三角錐の先を歩いてみたい。その思いに捕らわれて、今回は富士写ヶ岳からの周回を
試みたのだ。
山中温泉トンネルを出ると、左側の駐車帯がうまい具合に除雪されていた。大内谷川へ向かう林道は橋に雪の
壁ができている。国道を渡ったところで早速スノーシューを装着。朝の冷え込みで雪はそれなりに締まっている。
今日はかなり気温が上がりそうなので、午後からの難行が予想された。
次の林道支線が富士写ヶ岳への登山道入口となっている。登山道は地形図の破線より1本東側の尾根に付けられ
ていた。出だしは植林だったが、すぐに雑木の道に変わって雰囲気は悪くない。
時間が経つに従って日差しが暑いぐらいになってきた。今年初めてアウターも帽子も着けず、手袋まで途中で
脱いでしまう。同時にそこそこ締まっていた雪は早くもグズグズに腐ってきた。
先週のものと思われるトレースが残っていたが、その通りに歩いても楽はできない。
Ca800mの台地に乗ると胸のすくような展望が広がった。足元には福井平野が大きく広がり、その奥には日本海
が横たわる。南には小倉谷山から火燈山の記憶にも新しい稜線が、早く来いとばかりに呼んでいるようだ。
最後の急登をこなすと広々とした富士写ヶ岳山頂に飛び出した。人気の山らしく、10人近い登山者がくつろい
でいた。まだ11時を回ったところだが、みなさんランチタイムの真っ最中である。
全員が北側の我谷コースからのピストンなのだろう。
東に見える大きな塊は越前大日山だ。その奥には霞んでハッキリと見えないが、白山の姿があるはずだ。
その左に長く横たわる山塊が白山北方稜線の笈、大笠あたりであることはすぐにわかった。
小倉谷山へ向かうトレースはない。先ほどのトレースの主は数日前に周回したはずだが、まったく痕跡が残って
いなかった。
雪は緩んでいるものの、さほど重く感じない。ブナ林の中、自分たちだけのトレースを刻む。
実は富士写ヶ岳を訪れるのは初めてである。シャクナゲの山として有名で、5月の花期にはすごい人で賑わうら
しい。元よりそんなラッシュアワーの山に突っ込むつもりはないし、それ以外には大して面白みのない山だと敬遠
していたのである。言わば食わず嫌いだったのだが、小倉谷山へ続く稜線にはなかなかのブナ林が残されていた。
ただのつなぎの尾根ではなく、ブナを愛でる雪尾根歩きとして十分に楽しめるコースだ。
2か所ほど主尾根より顕著な支尾根に注意すれば、最低鞍部までは楽しい雪尾根が続く。
783m標高点手前のCa710mの鞍部からがこの尾根の真骨頂の始まりだった。
まずは壁のような急斜面を、踏んでも崩れてしまう雪をだましながら立ち木を頼りに体を引っ張り上げる。
ルート取りを間違えれば上がれない場面である。壁を越えてもヒザ高の急登のラッセルが続く。
突然目の前から雪の壁が消えると783m標高点に到着である。ここからは比較的傾斜の緩い尾根が続くのだが、
目の前には不安定な細い雪稜が長く伸びていた。数日前ならナイフエッジのようなもっと鋭い造形を楽しめただろ
うが、ちょっと溶けかけのアイスクリームのようなぼんやりとした雪稜だ。
歩ける場所は狭いが、雪庇が落ちた後のようなので不安はない、雪稜好きのsatoさんは喜々として歩いている。
ひとつ小ピークを越えてブナ林の鞍部を過ぎると、いよいよ加越国境稜線に合流だ。このピークも素晴らしい。
これまで遮られていた南側の展望が開け、正面には丈競山と浄法寺山がどっしりと構えている。
丈競山頂には雪のドームの上のトッピングのように、避難小屋がちょこんと乗って可愛らしい姿を見せていた。
申し分のないランチ場に腰を降ろす。この加越国境稜線は白山へと続く信仰の道でもある。
山麓の豊原寺からは白山詣の人々がこの稜線を伝って白山を目指したのだろう。
目的は違えど、我々にとっても白山は特別な山だ。奥美濃、越美国境、奥越と、どこの山に登ってもまずは白山
の姿を探すのが常になっているのである。
ここから小倉谷山へは指呼の間であるが、その間には昨年歩いた白い三角錐のピークがある。
さすがに昨年ほどの美しさと鋭さには欠けるが、高度感たっぷりの雪稜歩きは気分を高揚させてくれる。
惜しむらくは天気予報に反して青空がなく、光と影の織り成す芸術的な風景を味わえないことである。
小倉谷山の頂稜まで来るとスノーシューのトレースがあった。新しそうに見えたが、先週のもののようだ。
火燈山までは一投足。昨年驚かされた刃物ののような雪稜も、今日は平凡な雪尾根だった。
広大な火燈山頂に立つ。去年の2月に初めて登ってから、この1年間でもう4回目の山頂だ。小倉谷山は3回目である。
これまで興味の外だった山や山域が、あるきっかけでお気に入りの山に変わってしまうという好例だろう。
時刻はもう3時である。あまりのんびりしてはいられない。後は火燈古道をトレース
を利用して下るだけだ。と思っていたら、実はここからが最大の難所だったのだ。
山頂直下は実に美しいブナ林が広がり。今日一日のエピローグとして言うことなしと満足していたのだが、
潅木帯に入ると雪の腐りは頂点となり、古いトレースは何の役にも立たなくなった。
加えて雪に押えられた木の枝が中途半端な高さでヤブ漕ぎを強いるという鬱陶しさである。
七転八倒しながらの難行苦行が続く。一度は右足で左足のスノーシューを踏んで、顔から雪面にダイブしてしま
った。これも白山修験の行と言えるのだろうか。
ようやく大内峠のお地蔵様に辿り着いてホッとひと息。登山口の白山神社に手を合わせて、今日一日の無事を
感謝した。
駐車地までの林道が意外に雪が締まっていて、ほとんど潜ることなく歩けたのは助かった。
山日和
【山 域】加越国境 小倉谷山周辺
【天 候】晴れのち曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】山中温泉トンネル北口8:10---8:20登山口---11:00富士写ヶ岳---12:00最低鞍部---12:55加越国境JP14:15
---14:40小倉谷山---15:15火燈山---16:55大内峠---17:20駐車地
1年前の冬に訪れた小倉谷山。標高わずか900mの山とはとても思えない、新雪に飾られた鋭くも美しい雪稜の
姿に息を呑んだ。次はあの三角錐の先を歩いてみたい。その思いに捕らわれて、今回は富士写ヶ岳からの周回を
試みたのだ。
山中温泉トンネルを出ると、左側の駐車帯がうまい具合に除雪されていた。大内谷川へ向かう林道は橋に雪の
壁ができている。国道を渡ったところで早速スノーシューを装着。朝の冷え込みで雪はそれなりに締まっている。
今日はかなり気温が上がりそうなので、午後からの難行が予想された。
次の林道支線が富士写ヶ岳への登山道入口となっている。登山道は地形図の破線より1本東側の尾根に付けられ
ていた。出だしは植林だったが、すぐに雑木の道に変わって雰囲気は悪くない。
時間が経つに従って日差しが暑いぐらいになってきた。今年初めてアウターも帽子も着けず、手袋まで途中で
脱いでしまう。同時にそこそこ締まっていた雪は早くもグズグズに腐ってきた。
先週のものと思われるトレースが残っていたが、その通りに歩いても楽はできない。
Ca800mの台地に乗ると胸のすくような展望が広がった。足元には福井平野が大きく広がり、その奥には日本海
が横たわる。南には小倉谷山から火燈山の記憶にも新しい稜線が、早く来いとばかりに呼んでいるようだ。
最後の急登をこなすと広々とした富士写ヶ岳山頂に飛び出した。人気の山らしく、10人近い登山者がくつろい
でいた。まだ11時を回ったところだが、みなさんランチタイムの真っ最中である。
全員が北側の我谷コースからのピストンなのだろう。
東に見える大きな塊は越前大日山だ。その奥には霞んでハッキリと見えないが、白山の姿があるはずだ。
その左に長く横たわる山塊が白山北方稜線の笈、大笠あたりであることはすぐにわかった。
小倉谷山へ向かうトレースはない。先ほどのトレースの主は数日前に周回したはずだが、まったく痕跡が残って
いなかった。
雪は緩んでいるものの、さほど重く感じない。ブナ林の中、自分たちだけのトレースを刻む。
実は富士写ヶ岳を訪れるのは初めてである。シャクナゲの山として有名で、5月の花期にはすごい人で賑わうら
しい。元よりそんなラッシュアワーの山に突っ込むつもりはないし、それ以外には大して面白みのない山だと敬遠
していたのである。言わば食わず嫌いだったのだが、小倉谷山へ続く稜線にはなかなかのブナ林が残されていた。
ただのつなぎの尾根ではなく、ブナを愛でる雪尾根歩きとして十分に楽しめるコースだ。
2か所ほど主尾根より顕著な支尾根に注意すれば、最低鞍部までは楽しい雪尾根が続く。
783m標高点手前のCa710mの鞍部からがこの尾根の真骨頂の始まりだった。
まずは壁のような急斜面を、踏んでも崩れてしまう雪をだましながら立ち木を頼りに体を引っ張り上げる。
ルート取りを間違えれば上がれない場面である。壁を越えてもヒザ高の急登のラッセルが続く。
突然目の前から雪の壁が消えると783m標高点に到着である。ここからは比較的傾斜の緩い尾根が続くのだが、
目の前には不安定な細い雪稜が長く伸びていた。数日前ならナイフエッジのようなもっと鋭い造形を楽しめただろ
うが、ちょっと溶けかけのアイスクリームのようなぼんやりとした雪稜だ。
歩ける場所は狭いが、雪庇が落ちた後のようなので不安はない、雪稜好きのsatoさんは喜々として歩いている。
ひとつ小ピークを越えてブナ林の鞍部を過ぎると、いよいよ加越国境稜線に合流だ。このピークも素晴らしい。
これまで遮られていた南側の展望が開け、正面には丈競山と浄法寺山がどっしりと構えている。
丈競山頂には雪のドームの上のトッピングのように、避難小屋がちょこんと乗って可愛らしい姿を見せていた。
申し分のないランチ場に腰を降ろす。この加越国境稜線は白山へと続く信仰の道でもある。
山麓の豊原寺からは白山詣の人々がこの稜線を伝って白山を目指したのだろう。
目的は違えど、我々にとっても白山は特別な山だ。奥美濃、越美国境、奥越と、どこの山に登ってもまずは白山
の姿を探すのが常になっているのである。
ここから小倉谷山へは指呼の間であるが、その間には昨年歩いた白い三角錐のピークがある。
さすがに昨年ほどの美しさと鋭さには欠けるが、高度感たっぷりの雪稜歩きは気分を高揚させてくれる。
惜しむらくは天気予報に反して青空がなく、光と影の織り成す芸術的な風景を味わえないことである。
小倉谷山の頂稜まで来るとスノーシューのトレースがあった。新しそうに見えたが、先週のもののようだ。
火燈山までは一投足。昨年驚かされた刃物ののような雪稜も、今日は平凡な雪尾根だった。
広大な火燈山頂に立つ。去年の2月に初めて登ってから、この1年間でもう4回目の山頂だ。小倉谷山は3回目である。
これまで興味の外だった山や山域が、あるきっかけでお気に入りの山に変わってしまうという好例だろう。
時刻はもう3時である。あまりのんびりしてはいられない。後は火燈古道をトレース
を利用して下るだけだ。と思っていたら、実はここからが最大の難所だったのだ。
山頂直下は実に美しいブナ林が広がり。今日一日のエピローグとして言うことなしと満足していたのだが、
潅木帯に入ると雪の腐りは頂点となり、古いトレースは何の役にも立たなくなった。
加えて雪に押えられた木の枝が中途半端な高さでヤブ漕ぎを強いるという鬱陶しさである。
七転八倒しながらの難行苦行が続く。一度は右足で左足のスノーシューを踏んで、顔から雪面にダイブしてしま
った。これも白山修験の行と言えるのだろうか。
ようやく大内峠のお地蔵様に辿り着いてホッとひと息。登山口の白山神社に手を合わせて、今日一日の無事を
感謝した。
駐車地までの林道が意外に雪が締まっていて、ほとんど潜ることなく歩けたのは助かった。
山日和
