【野坂山地】 2022年沢納め ふたたびのヤンゲン谷へ 「源流への山旅」

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sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

【野坂山地】 2022年沢納め ふたたびのヤンゲン谷へ 「源流への山旅」

投稿記事 by sato »

【日 付】  2022年11月12日(土曜日)
【山 域】  野坂山地
【天 候】  晴れ
【メンバー】 山日和さん sato
【コース】 粟柄林道~トチノキ谷~ヤンゲン谷~大谷山~寒風~
      ・859割谷の頭~トチノキ谷~P


美浜町を流れる耳川の上流粟柄谷に沿って延びる林道粟柄谷線。
「わぁ、お山が燃えている。あっ、石。あっ、枝」
車を運転する山日和さんの隣で、車窓に広がる錦織りなす山にうっとりしたり、
路面に次々と現れる石や木の枝に冷や冷やしたりしているうちに、駐車地に到着した。

いつもと同じように準備を整え、軽くストレッチ。お山の神様にご挨拶をして一歩を踏み出す。
トチノキ谷の林道に入り、谷を見下ろしながら歩いていると、大きなトチが目に飛び込んだ。
ここから林道に出たのだなぁ。確かではないけれど、このごつごつとした幹のトチは印象に残っている。
あともう少しと、訳の分からない痛みに顔をゆがめながら登った斜面を、後ろ向きになり、
落ち葉の上を確認して、トントンと手をつき下っていく。
PB120016_1.JPG
降り立つと、ふわりと静謐な空気に包まれた。一年前もその前にも感じたのと同じ空気。
苔むした岩。やわらかな流れ。谷を見つめるトチの木々。しんとした穏やかな世界。
道路が通されてしまっても、尚もやさしく佇む奇跡のような谷。移りゆく時、巡りゆく季節の中、
変わらぬ光をこうしてまた感じることの出来たよろこびに身を任せながら、ゆらりゆらりと流れを遡っていく。

「そろそろかな」と、右側を眺めていると、黄金色に煌めく谷と目が合った。
「あっ」と息を呑む。朝の光が差し込んだヤンゲン谷だった。まだ光が届かぬ谷底の流れがちいさく過ぎゆく秋を歌っている。
「あぁ・・」思いが湧き上がるその前に、澄んだ響きに吸い込まれるように思い出の谷に立っていた。

標高813.9mの大谷山の南西を源とする粟柄谷支流トチノキ谷の、さらに支流のヤンゲン谷。
地形図を見ても、稜線まで延びる粟柄谷林道と、その横の「し」の字のような林道が、でんと存在を主張していて、
目を留めることもなく、すっと通り過ぎてしまいそうな、そっけないくらい短くちいさな谷。
そのちいさな谷に、お山は、珠玉の風景を描いている。

今日は、どんな風景に出会うのだろう。何を感じるのだろう。
「よし、行こう」と足を出す。でも、すぐに歩みが止まってしまった。
PB120031_1.JPG
足元から、やわらかな弧を描き穏やかな光を放つ谷が広がっていた。
真ん中には、お山の神様が、ぽんと置かれたかのようなおおきな岩。なんて不思議で、なんて調和のとれた妙なる風景なのだろう。
岩の前にいき隙間を覗くと、奥には滝が流れ、破壊と創造の神様シバをほうふつさせる岩が鎮座していた。
自然が創り出した神を感じる不思議な造形。目を閉じると、流れ落ちる水の音から、お山のちいさな祈りの声が浮かんできた。
どこかに暮らす誰かのちいさな祈りの声が浮かんできた。そして、わたしのちいさな祈りの声と合わさり、
透き通った響きとなり、祈りを唱える誰かの元へと、さらさらと足元を流れていくのを感じた。

ふたたびの谷の、はじめての風景。
赤や黄に彩られたヤンゲン谷は、緑の装いの時よりも、より明るく、よりせつなく、こころの奥底に触れてくる。
初冬の陽ざしの中に、すぐそこまで来た厳しい冬の足音を聞いている一本一本の木々は、あらゆる感情を超えて青い空を見上げ、
吹き抜けていく風に乗せて煌めく葉を手放していき、その無数の落ち葉で敷き詰められたやわらかにうねる山肌は、
そんな木々を包み込むようにやさしく琥珀色に輝いていた。
わたしの暮らす地から眺める大谷山は、こんなにもうつくしくせつない風景を秘めているのだ、と胸が熱くなる。
PB120047_1.JPG
黒い岩壁を流れる、こじんまりとした滝を目が捉えた。

「ここだ」真下に立ち、左岸を見上げる。そう、この草付きを、手をつきながらぱたぱたと登っていき、
あの木のところで曲がろうとした時、右肘下に衝撃が走ったのだ。
今日も、同じラインを辿ろうとしたら、山日和さんは、小滝のツルツルした足場をタワシで擦り、登ってしまわれた。
シュリンゲを垂らしていただいたので、わたしも後に続く。
PB120062_1.JPG
「あの日も、タワシを持っていたら」登り終えたわたしを見て山日和さんが呟いた。
あの時、ここで見上げた、ふんわり淡く泣きたくなるようなやさしい水色の空がまぶたの裏に浮かぶ。
「持っていなくてよかったのだ」とわたしは思う。
あの時、あの場所にお腹に子を持ったマムシがいて、今、こうして、ふたたびのヤンゲン谷で、
静かな感動に包まれているわたしがいるのだ。
マムシに咬まれるという思いもがけない体験は、わたしの大事な大事な物語となり、今も紡がれている。

酷い腫れの影響で、拘縮が少し残った右手首を触りながら、辿ってきた穏やかに輝くヤンゲン谷を見下ろし、
ひと息ついて、初冬の低くなった太陽の光をまっ直ぐに受け、眩く輝くやわらかな弧を描くヤンゲン谷を見上げた。
あの日、じっと見つめた輝きの中へと進んでいく。
PB120070_1.JPG
ここからしばらく、やわらかな谷は、谷底をキュッと狭め、流れに勢いをつけていた。
透き通った水が、もこもことうねる草付きの斜面と斜面の間を、いくつかの小滝となりながら、
ひと筋の白い煌めきを放ち、わたしたちの方に向かってくる。
あまりの眩さに、しあわせな気持ちとは裏腹に、片目を閉じ眉間にしわを寄せながらの歩みとなってしまう。

流れがふたたび緩やかになると、谷はよりやわらかに広がっていった。谷は最後までやさしかった。
水面に浮かぶオオモミジの黄葉をうっとりと眺めているうちに、すぅと水は消えていて、
ふかふかの落ち葉の上を歩いていた。空が近くなったと思ったら、いつしかやわらかな弧は稜線に吸いこまれていて、
ススキに囲まれ、若狭と近江の国境の上に立っていた。
PB120105_1.JPG
やわらかな弧を描き穏やかな光を放つ谷を遡った先には、愛するたおやかな山やまが並んでいて、
眼下には、わたしの暮らす地が穏やかに広がり、白く光るうみが水色の空と溶け合うように浮かんでいた。
「そうかぁ」言葉にならない、しみじみとした感慨に包まれる。

ススキに覆われた大谷山の山頂で、沢靴を脱ぎ、登山靴に履き替えた。
お昼ご飯は、あの場所で。山日和さんもお気に入りのブナ林へと向かう。
寒風から少し北西に入った、カマノ谷源頭の地で、大御影山を眺めながら、耳川上流の山と谷のお話をしながらのお昼ご飯。
ふっと後ろを向くと、葉っぱの大半を落としたブナの木々がお行儀よく並び、わたしたちの話に耳を澄ましていた。
PB120126_1.JPG
うつくしい旅は続いていく。
・859割谷の頭から、以前、少し歩いてその先が気になっていた掘割の道を辿っていく。
素晴らしいブナの林の尾根に丁寧に掘られた道。深いところではわたしの背丈以上もある。
この道は、トチノキ谷とボンカと呼ばれる谷の源、石庭嶽の方に続いていると山日和さんが教えてくださる。
マキノの石庭と粟柄村を結んだ道なのだろうか。山仕事の道にしては立派すぎる。
石庭を流れる大谷川の上流では古くから鉄鉱石を採取していた。石庭嶽も鉄鉱石を産出する山なのだろうか。
あれこれ思いを巡らせて歩いていると、道は、ゆるりと絶妙なカーブを描きながら急斜面を下っていった。
PB120169_1.JPG
次への旅を感じながら、石庭嶽への道とお別れをして、トチノキ谷を下っていく。谷にも道が残っていた。
上流も、名前の通り、トチノキが静かに佇むやさしい谷だった。足を濡らさずに歩け、
「あっ」と思う場所には、必ずと言っていいくらい炭焼き窯の跡が見られた。

下るにつれ、谷は色鮮やかに染まっていく。何度も立ち止まり振り返っては、大きくため息をついてしまう。
あともう少しで林道。このうつくしい旅が思い出になってしまうのだと、ちょっとかなしくなる。




この日の夜、ひさしぶりに、ぽっ、とくり返される懐かしい夢を見た。
幼いわたしが父と一緒に自転車を漕ぎ、森の中に延びる一本の道へと入っていく。
森を抜けた先には、わたしの知らないわたしの暮らす町と似たような風景が広がっている。
いや、わたしは元に戻ってきたのか。「お父さん」と口走ったり、「えっ?」と不思議な感覚に包まれたり・・・。
そこでこの夢は毎回終わっている。

翌朝、庭先で、沢靴をいつもより丁寧に洗いながら、昨日の山旅と夢を振り返り、
「そうかぁ。そうかぁ」と、やっぱり言葉にはならないけれど、昨日よりおおきく呟くわたしがいた。
これからも続いていく「源流への山旅」。洗い終えた靴を、定位置にぱたんと置いて、
どこかに続いていく、どこかから戻ってくる淡い色の空を見上げた。

sato
SHIGEKI
記事: 1028
登録日時: 2011年7月25日(月) 18:30

Re: 【野坂山地】 2022年沢納め ふたたびのヤンゲン谷へ 「源流への山旅」

投稿記事 by SHIGEKI »

sato さん こんにちは。

【日 付】  2022年11月12日(土曜日)

この日で沢納め?ちょっと早い気もしますが・・・

ま、落ち葉サクサクもいいですよね。

【山 域】  野坂山地
【天 候】  晴れ
【メンバー】 山日和さん sato
【コース】 粟柄林道~トチノキ谷~ヤンゲン谷~大谷山~寒風~
      ・859割谷の頭~トチノキ谷~P

あの!! マムシ退治に出動しましたか~

黒い岩壁を流れる、こじんまりとした滝を目が捉えた。

「ここだ」真下に立ち、左岸を見上げる。そう、この草付きを、手をつきながらぱたぱたと登っていき、
あの木のところで曲がろうとした時、右肘下に衝撃が走ったのだ。
今日も、同じラインを辿ろうとしたら、山日和さんは、小滝のツルツルした足場をタワシで擦り、登ってしまわれた。
シュリンゲを垂らしていただいたので、わたしも後に続く。

あれ~ かわしたのですね :mrgreen:

マムシさんがとぐろを巻いて鎌首もたげ、再会を待ち望んでいたかもしれないのに・・・ :mrgreen:


「あの日も、タワシを持っていたら」登り終えたわたしを見て山日和さんが呟いた。
あの時、ここで見上げた、ふんわり淡く泣きたくなるようなやさしい水色の空がまぶたの裏に浮かぶ。
「持っていなくてよかったのだ」とわたしは思う。
あの時、あの場所にお腹に子を持ったマムシがいて、今、こうして、ふたたびのヤンゲン谷で、
静かな感動に包まれているわたしがいるのだ。
マムシに咬まれるという思いもがけない体験は、わたしの大事な大事な物語となり、今も紡がれている。

この心境!!なれる人ナカナカいまへんデ~

酷い腫れの影響で、拘縮が少し残った右手首を触りながら、辿ってきた穏やかに輝くヤンゲン谷を見下ろし、
ひと息ついて、初冬の低くなった太陽の光をまっ直ぐに受け、眩く輝くやわらかな弧を描くヤンゲン谷を見上げた。
あの日、じっと見つめた輝きの中へと進んでいく。

あの日と今現在の感覚と渓の景色が何故か旨く繋がってますね??

不肖Sもヤンゲン谷は ’17/9/14 に歩いてました。
20170914-P9140752.jpg
林道脇には たくさんの紫シソありました。
20170914-P9141001.jpg
どこかに続いていく、どこかから戻ってくる淡い色の空を見上げた。

夢と現実の続き?夢で見たいもの、でしか見ることのできないもの、自分の眼で続きをみたいモノもありますね。? :mrgreen:

何か 訳ワカリマヘンな~

      SHIGEKI
バーチャリ
記事: 547
登録日時: 2011年3月12日(土) 20:58

Re: 【野坂山地】 2022年沢納め ふたたびのヤンゲン谷へ 「源流への山旅」

投稿記事 by バーチャリ »

satoさん こんばんは

標高813.9mの大谷山の南西を源とする粟柄谷支流トチノキ谷の、さらに支流のヤンゲン谷。

トチノキが多いからトチノキ谷なんでしょうか

わたしの暮らす地から眺める大谷山は、こんなにもうつくしくせつない風景を秘めているのだ、と胸が熱くなる。


satoさんの地域から眺める事が出来るのですね。


「ここだ」真下に立ち、左岸を見上げる。そう、この草付きを、手をつきながらぱたぱたと登っていき、
あの木のところで曲がろうとした時、右肘下に衝撃が走ったのだ。


まだ少し違和感を感じる時が有るのですね


あの時、あの場所にお腹に子を持ったマムシがいて、今、こうして、ふたたびのヤンゲン谷で、
静かな感動に包まれているわたしがいるのだ。
マムシに咬まれるという思いもがけない体験は、わたしの大事な大事な物語となり、今も紡がれている。


マムシにかまれた谷ですか?
良くいかれましたね、怖さはなかったですか?

流れがふたたび緩やかになると、谷はよりやわらかに広がっていった。谷は最後までやさしかった。
水面に浮かぶオオモミジの黄葉をうっとりと眺めているうちに、すぅと水は消えていて、
ふかふかの落ち葉の上を歩いていた。空が近くなったと思ったら、いつしかやわらかな弧は稜線に吸いこまれていて、
ススキに囲まれ、若狭と近江の国境の上に立っていた


モミジの紅葉もいいですが、
モミジ黄葉は奥ゆかしい色ですよね。


やわらかな弧を描き穏やかな光を放つ谷を遡った先には、愛するたおやかな山やまが並んでいて、
眼下には、わたしの暮らす地が穏やかに広がり、白く光るうみが水色の空と溶け合うように浮かんでいた。
「そうかぁ」言葉にならない、しみじみとした感慨に包まれる。


琵琶湖が見えると琵琶湖さんsatoさんがうかびます。 


寒風から少し北西に入った、カマノ谷源頭の地で、大御影山を眺めながら、耳川上流の山と谷のお話をしながらのお昼ご飯。
ふっと後ろを向くと、葉っぱの大半を落としたブナの木々がお行儀よく並び、わたしたちの話に耳を澄ましていた。


ブナの木は人を引き付ける魅力が有りますね。


次への旅を感じながら、石庭嶽への道とお別れをして、トチノキ谷を下っていく。谷にも道が残っていた。
上流も、名前の通り、トチノキが静かに佇むやさしい谷だった。足を濡らさずに歩け、
「あっ」と思う場所には、必ずと言っていいくらい炭焼き窯の跡が見られた。


そうですよね、鈴鹿も窯の跡が多いです。


下るにつれ、谷は色鮮やかに染まっていく。何度も立ち止まり振り返っては、大きくため息をついてしまう。
あともう少しで林道。このうつくしい旅が思い出になってしまうのだと、ちょっとかなしくなる。


かなしくなるのですか?
素敵な谷だったからでしょうか。
先週、釈迦岳からハト峰を歩きましたが、
釈迦岳から稜線は雰囲気が良く今度は花の時期に歩きたいと
希望が有りましたが(^^♪


翌朝、庭先で、沢靴をいつもより丁寧に洗いながら、昨日の山旅と夢を振り返り、
「そうかぁ。そうかぁ」と、やっぱり言葉にはならないけれど、昨日よりおおきく呟くわたしがいた。
これからも続いていく「源流への山旅」。洗い終えた靴を、定位置にぱたんと置いて、
どこかに続いていく、どこかから戻ってくる淡い色の空を見上げた。


何事も無く無事に沢旅が終わり良かったです。
紅葉も終わると雪山ですね。
お疲れ様でした。

 バーチャリ

  
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【野坂山地】 2022年沢納め ふたたびのヤンゲン谷へ 「源流への山旅」

投稿記事 by sato »

SHIGEKIさま

こんばんは。
数日前から、いきなり寒くなりましたね。比良や野坂山地のお山も初冠雪を迎えました。
昨日は、あちこちのお山で、青い空と純白の初雪を楽しめたのでしょうね。
私は、今日、風力発電の計画が進んでいる三十三間山周辺の植生調査に参加したのですが、
大日では10cmほど積もっていました。

11月12日で沢納めは早いのでしょうか?SHIGEKIさんは、いつ頃までお水と戯れているのでしょうか。
私は冷え性なので、秋になると上半身は濡れたくない、下半身も膝まで、と思ってしまいます。
(真夏でもよろこんでずぶ濡れになりたいとは思わないですが)
そう、冷えきると骨折した足首が猛烈に痛くなります。歩いている時は大丈夫なのですが、
遡行が終わり、お昼の休憩中にいきなり痛くなったりします。
さすったり、グルグル回したりしているうちに、血が通い治まるのですが。
SHIGEKIさんの足は大丈夫だといいのですが・・・。

5月15日の大音波谷の謎解きの旅から始まった今シーズンの沢山旅。
ヤンゲン谷は、ずっと頭の中に描いていましたが、初夏も夏も秋の始まりも足が向かいませんでした。
理由はあとからついてくるといいますが、沢納めの日に向かうことになっていたのかなぁ、と。
この日、出会った風景、湧き上がった感情を振り返り、そう思いました。

マムシ遭遇の地(実際は見ていませんが)に着いたら、今回も同じように巻いて
「ここでひなたぼっこしてお腹の子を育てていたマムシを驚かせてしまったのだ」と感慨に浸ろうと思っていたのですが、
山日和さんが、小滝を登ってしまわれ「さぁ」と促されましたので、後に続いてしまいました。
あの日お腹にいた赤ちゃんと会えるかな、そうだったらすごいな、と想像したりもしていたのですが(笑)。
山日和さん、夫には迷惑をかけてしまいましたが、
マムシアクシデントとその後の日々は、ほんとうに私にとって大切なものとなっています。

「あの日と今現在の感覚と渓の景色が何故か旨く繋がっている」
そうですね。
あの日があり、こうして、今、ヤンゲン谷を深く味わっているわたしがいるのだと感じました。
あの日がなかったら出会うことのなかった景色でした。

そう、SHIGEKIさんも、ヤンゲン谷を味わわれているのですよね!
緑あふれるヤンゲン谷も素晴らしいですね。あぁ、来年も訪れたくなりました。

林道脇の赤シソ。私も初めて見た時、びっくりしました。
折戸谷の奥の方まで見られます。ミツバは、林道を歩くとちょこちょこ見ますが、
赤シソは粟柄、折戸谷以外では見たことがないような。

「どこかに続いていく、どこかから戻ってくる淡い色の空」
は、その時、見上げた空が、私の目にそう映ったので、そのまま言葉にしました。
意味は、あるのかないのか?
「何か 訳ワカリマヘンな~」
分からないから、また旅にでて、「自分の目で続きを見たい」のかもしれませんね。

SHIGEKIさん、コメントありがとうございました!

sato
アバター
山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【野坂山地】 2022年沢納め ふたたびのヤンゲン谷へ 「源流への山旅」

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、こんばんは。

美浜町を流れる耳川の上流粟柄谷に沿って延びる林道粟柄谷線。
「わぁ、お山が燃えている。あっ、石。あっ、枝」
車を運転する山日和さんの隣で、車窓に広がる錦織りなす山にうっとりしたり、
路面に次々と現れる石や木の枝に冷や冷やしたりしているうちに、駐車地に到着した。

石や木の枝よりsatoさんの叫び声でびっくりしてハンドル操作を誤るのが恐いです。 :mrgreen:

トチノキ谷の林道に入り、谷を見下ろしながら歩いていると、大きなトチが目に飛び込んだ。
ここから林道に出たのだなぁ。確かではないけれど、このごつごつとした幹のトチは印象に残っている。


このトチはトチノキ谷で一番立派な巨木でした。

あともう少しと、訳の分からない痛みに顔をゆがめながら登った斜面を、後ろ向きになり、
落ち葉の上を確認して、トントンと手をつき下っていく。


あの時は右手をつけずに大変でしたね。


PB120022_1.JPG

降り立つと、ふわりと静謐な空気に包まれた。一年前もその前にも感じたのと同じ空気。
苔むした岩。やわらかな流れ。谷を見つめるトチの木々。しんとした穏やかな世界。


すぐ上に林道が走っているとは思えない静かで落ち着いた佇まいがいいですね。

「そろそろかな」と、右側を眺めていると、黄金色に煌めく谷と目が合った。
「あっ」と息を呑む。朝の光が差し込んだヤンゲン谷だった。まだ光が届かぬ谷底の流れがちいさく過ぎゆく秋を歌っている。
「あぁ・・」思いが湧き上がるその前に、澄んだ響きに吸い込まれるように思い出の谷に立っていた。


この出合がまたいいです。トチの大木が何本も立つ河岸台地の間から控えめに流れ出すヤンゲン谷の穏やかな流れ。

PB120027_1.JPG

標高813.9mの大谷山の南西を源とする粟柄谷支流トチノキ谷の、さらに支流のヤンゲン谷。
地形図を見ても、稜線まで延びる粟柄谷林道と、その横の「し」の字のような林道が、でんと存在を主張していて、目を留めることもなく、すっと通り過ぎてしまいそうな、そっけないくらい短くちいさな谷。そのちいさな谷に、お山は、珠玉の風景を描いている。


この山域に通ってるからこそ気になる谷です。まったくのハズレはまずありません。

足元から、やわらかな弧を描き穏やかな光を放つ谷が広がっていた。
真ん中には、お山の神様が、ぽんと置かれたかのようなおおきな岩。なんて不思議で、なんて調和のとれた妙なる風景なのだろう。


谷の正面にいきなり現れるこの風景は、思わず息を飲みますね。2回目なので驚きはないけれど。

岩の前にいき隙間を覗くと、奥には滝が流れ、破壊と創造の神様シバをほうふつさせる岩が鎮座していた。
自然が創り出した神を感じる不思議な造形。目を閉じると、流れ落ちる水の音から、お山のちいさな祈りの声が浮かんできた。
どこかに暮らす誰かのちいさな祈りの声が浮かんできた。そして、わたしのちいさな祈りの声と合わさり、
透き通った響きとなり、祈りを唱える誰かの元へと、さらさらと足元を流れていくのを感じた。


その滝の胎内に入り込んで岩場をよじ登る。そこから見下ろし、見上げた光景は、自分と谷が一体になったような思いを抱かせてくれました。


PB120032_1.JPG

初冬の陽ざしの中に、すぐそこまで来た厳しい冬の足音を聞いている一本一本の木々は、あらゆる感情を超えて青い空を見上げ、
吹き抜けていく風に乗せて煌めく葉を手放していき、その無数の落ち葉で敷き詰められたやわらかにうねる山肌は、そんな木々を包み込むようにやさしく琥珀色に輝いていた。


見上げる山肌は真っ赤に燃えていましたね。谷筋は逆光で暗く見えたけれど。
この季節に谷を辿る喜びにあふれていました。



黒い岩壁を流れる、こじんまりとした滝を目が捉えた。

「ここだ」真下に立ち、左岸を見上げる。そう、この草付きを、手をつきながらぱたぱたと登っていき、
あの木のところで曲がろうとした時、右肘下に衝撃が走ったのだ。
今日も、同じラインを辿ろうとしたら、山日和さんは、小滝のツルツルした足場をタワシで擦り、登ってしまわれた。
シュリンゲを垂らしていただいたので、わたしも後に続く。


2mほどの小さい滝だったけれど、去年はツルツルで危なかったので巻いてしまいました。


PB120063_1.JPG

「あの日も、タワシを持っていたら」登り終えたわたしを見て山日和さんが呟いた。
あの時、ここで見上げた、ふんわり淡く泣きたくなるようなやさしい水色の空がまぶたの裏に浮かぶ。
「持っていなくてよかったのだ」とわたしは思う。
あの時、あの場所にお腹に子を持ったマムシがいて、今、こうして、ふたたびのヤンゲン谷で、
静かな感動に包まれているわたしがいるのだ。
マムシに咬まれるという思いもがけない体験は、わたしの大事な大事な物語となり、今も紡がれている。


マムシに咬まれて入院生活を送り、今もなお後遺症が残る身でありながら、そういう風に思える感性に感嘆してしまいます。
しかし、あの日はなかなか大変でしたね。 :D

酷い腫れの影響で、拘縮が少し残った右手首を触りながら、辿ってきた穏やかに輝くヤンゲン谷を見下ろし、ひと息ついて、初冬の低くなった太陽の光をまっ直ぐに受け、眩く輝くやわらかな弧を描くヤンゲン谷を見上げた。
あの日、じっと見つめた輝きの中へと進んでいく。


ここから先は未踏の谷です。あの日、前方に見た連瀑帯へ。

PB120080_1.JPG

ここからしばらく、やわらかな谷は、谷底をキュッと狭め、流れに勢いをつけていた。
透き通った水が、もこもことうねる草付きの斜面と斜面の間を、いくつかの小滝となりながら、
ひと筋の白い煌めきを放ち、わたしたちの方に向かってくる。


ほんの短い連瀑帯だったけど、ちょっぴり沢登りらしくなりましたね。

あまりの眩さに、しあわせな気持ちとは裏腹に、片目を閉じ眉間にしわを寄せながらの歩みとなってしまう。

正面からの太陽がホントに眩しかった。滝の写真はまともに撮れませんでした。 :oops:

流れがふたたび緩やかになると、谷はよりやわらかに広がっていった。谷は最後までやさしかった。
水面に浮かぶオオモミジの黄葉をうっとりと眺めているうちに、すぅと水は消えていて、
ふかふかの落ち葉の上を歩いていた。空が近くなったと思ったら、いつしかやわらかな弧は稜線に吸いこまれていて、
ススキに囲まれ、若狭と近江の国境の上に立っていた。


いつの間にか国境稜線に立っているような穏やかな源頭でしたね。

PB120123_1.JPG

ススキに覆われた大谷山の山頂で、沢靴を脱ぎ、登山靴に履き替えた。
お昼ご飯は、あの場所で。山日和さんもお気に入りのブナ林へと向かう。
寒風から少し北西に入った、カマノ谷源頭の地で、大御影山を眺めながら、耳川上流の山と谷のお話をしながらのお昼ご飯。


大抵の人は展望を楽しみながらランチタイムとするんだろうけど、私の場合はブナ林が優先です。 :D
寒風の脇のブナ林はホントにいいですね。これまでは上の台地で食べてましたが、大御影を正面に見るあの場所は最高でした。

・859割谷の頭から、以前、少し歩いてその先が気になっていた掘割の道を辿っていく。
素晴らしいブナの林の尾根に丁寧に掘られた道。深いところではわたしの背丈以上もある。
この道は、トチノキ谷とボンカと呼ばれる谷の源、石庭嶽の方に続いていると山日和さんが教えてくださる。
マキノの石庭と粟柄村を結んだ道なのだろうか。山仕事の道にしては立派すぎる。
石庭を流れる大谷川の上流では古くから鉄鉱石を採取していた。石庭嶽も鉄鉱石を産出する山なのだろうか。
あれこれ思いを巡らせて歩いていると、道は、ゆるりと絶妙なカーブを描きながら急斜面を下っていった。


初めてトチノキ谷からここへ来た時、割谷の左岸尾根を石庭嶽経由でここへ来た時、なんでこんな掘り込まれた道があるのだろうと思っていました。石庭の集落から大谷山へ上がる道も深く掘り込まれてますね。

PB120171_1.JPG

上流も、名前の通り、トチノキが静かに佇むやさしい谷だった。足を濡らさずに歩け、
「あっ」と思う場所には、必ずと言っていいくらい炭焼き窯の跡が見られた。

下るにつれ、谷は色鮮やかに染まっていく。何度も立ち止まり振り返っては、大きくため息をついてしまう。
あともう少しで林道。このうつくしい旅が思い出になってしまうのだと、ちょっとかなしくなる。


トチノキ谷は一つの滝もなく、登山靴で歩ける谷。どうってことのない谷なんだけど、そのどうってことなさが心に沁みたりしますね。
極彩色のこの季節はなおさらです。

これからも続いていく「源流への山旅」。洗い終えた靴を、定位置にぱたんと置いて、
どこかに続いていく、どこかから戻ってくる淡い色の空を見上げた。


その空の向こうには何が見えたんでしょう。

              山日和
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sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【野坂山地】 2022年沢納め ふたたびのヤンゲン谷へ 「源流への山旅」

投稿記事 by sato »

バーチャリさま

こんばんは。
バタバタした日が続き(要領が悪いから?)お返事が遅くなってしまい、すみません。
あっという間に師走ですね。気が付くと、一日、一週間と時が経っています。

私の家の周辺からは、比良、野坂山地、鈴鹿の山やまが見渡せます。
仕事場に、天気のいい日は自転車に乗って行くのですが、行きは鈴鹿の山やま、
帰りは比良、野坂山地の山やまを眺めながら自転車を漕いでいます。
今日は、空気が澄んでいて、鈴鹿の山もくっきりと見えました。山頂付近は雲に覆われていましたが。
このところ忙しい日が続いていて、ため息の連続ですが、好きなお山を毎日眺めて暮らせるのは、しあわせですね。
気持ちが滅入っていても、グルグルしていても、「大丈夫」と思えます。

トチノキ谷は、名前の通りトチノキの多い谷です。炭焼き窯跡も点々と見られ、山と人とが描き出したうつくしい世界を感じます。
鈴鹿の山も、至る所で炭焼き窯跡に出会いますね。
山に還りつつある窯跡を眺めていると、窯は、炭焼きという目的のために作られたものなのだけど、
今、人の思いを超えて、ここにあるべくしてあるように感じます。

山では(山でも)、いつ、なにが起こるか分からないと常々思っているのですが、
マムシに咬まれるということを想像したことはありませんでした。
治療開始まで9時間近く経ってしまったので、腫れが酷くなり、筋肉や神経がダメージを受け、
麻痺が起こり手首に拘縮が残ってしまいました。今は、左腕より右腕の方が少し細いです。
でも、こうして沢山旅も楽しんでいるので大丈夫です!
訳の分からない痛みで、これ以上進めなくなり、引き返す時、谷を見上げ、来年また訪れるのだとこころに決めました。
高島病院で、マムシ咬み傷と診断されてからも気持ちは変わらなかったです。私が、マムシを怖がらせてしまったのだなぁ、と。
今年も山中で何度かマムシを見ましたが、怖さは感じなかったです。

私も、赤く染まった葉もこころ惹かれますが、タカノツメやコシアブラの淡い黄色の葉、シロモジの鮮やかな黄色の葉、
黄金色から赤褐色へと移りゆくブナの黄葉に、より、こころが吸い込まれていきそうになります。
「なんてうつくしいのだろう」と感じた時、私は、ふっと、かなしくなってしまいます。何でなのでしょうね。
バーチャリさんは、素敵な風景に出会われると、次への希望をお感じになるのですね。そうですね。私も感じます。

釈迦岳からハト峰は、シロヤシオの林が続きますね。私も花の咲く頃に訪れてみたいです。
釈迦岳といえば、素晴らしい景色に出会った日のことを思い出します。
冬のある日、甲津畑から雨乞岳に向かおうとしたのですが、降りしきるみぞれで諦め、
三重県側に行ったら天気がましかな、と持っていた地図を見て、八風キャンプ場から釈迦岳三池岳周回に変更しました。
新雪を踏みしめながら辿り着いた釈迦岳は見事な霧氷で飾られていました。
こんなにも素晴らしい霧氷を知っているのは、世界で、わたし、ただひとり、と感動に包まれていました。
その時も、ふっと、かなしくなりました(笑)

今シーズンは、大仲津谷で、くちびるを切り、前歯をちょこっと欠くという、不注意によるアクシデントがありましたが、
ゆたかな沢山旅を重ね、素晴らしい沢納めが出来、ほんとうにすべてのものに感謝の気持ちでいっぱいです。

湖西の山は、先週の金曜日に初冠雪を迎えましたが、一昨日の雨で、武奈ヶ岳の雪はすっかり融けてしまいました。
二の谷山から野坂山地にかけては、まだちょこっと白さが残っています。
白いお姿を見せてくれるのは、次はいつかな。ドキドキしています。

バーチャリさん、コメントありがとうございました。

sato
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【野坂山地】 2022年沢納め ふたたびのヤンゲン谷へ 「源流への山旅」

投稿記事 by sato »

山日和さま

こんばんは。今回も素敵なお写真のご提供と貼り付けありがとうございます。
この日は、200枚以上撮られましたね。歩きながらすごいなぁ、といつも思っています。

今シーズンの沢山旅の最後はヤンゲン谷へ。決めていたわけではないのですが、そうなっていたのですね。
お山に向かう時、マムシに関しては、不安はありませんでしたが、パンクが心配でした。
ゴンニャク沢山旅以来、パンク恐怖症です(冷や汗)
「あっ、危ない」と思わず声を上げてしまい、すみませんでした。

高島に越してきて、野坂山地の山やまが好きになり、三国山のウツロ谷を訪れ、折戸谷支流の谷に惹き込まれていき、
ちまちまとちいさな谷を歩いていました。
粟柄谷支流の谷は、そのうちと思っているうちに怪我をしてしまい、山日和さんとご一緒するまでは、
国境稜線から下りていき、上流の風景を味わうだけにとどまっていました。
山日和さんは、何年にも渡り、耳川流域の谷を、旅し続けていらっしゃるのですよね。

トチノキ谷は、しみじみとうつくしい谷ですね。あのごつごつしたトチのお姿は印象に残りますね。
あぁ、またお会いすることが出来た、とうれしさがこみ上がりました。
ヤンゲン谷の出合も素敵ですね。控えめな流れが、やさしくこころを震わせます。
大きな岩が佇む風景は、何回見ても息を飲むと思います。落ち葉の折り重なった斜面を楽に登れますが、
岩場をよじ登った先から見た風景は、より、こころに訴えてくるものを感じますね。

まっ赤に燃える山肌。深く目に焼き付きました。見上げながら、今日、訪れることが出来たよろこびに包まれていました。
昨年、じっと見つめた連瀑帯は、直登できる小滝が続いて楽しかったです。
正面からの陽光は、降り注ぐ、ではなく、突き刺さる強さでしたね。
「写真が撮れない」という山日和さんのひとり言、何回か聞きました(笑)。

700m二俣の中間尾根と谷の上部は散策しているのですが、谷を遡り、すぅっと辿り着いた風景は感慨無量でした。
山日和さんお気に入りの寒風の脇のブナ林は、私も大好きです。
一段下がった大御影山と見つめ合う場所は、お気に入りのひと休み場所になりました。
割谷の頭から石庭嶽へと続いていく堀割の道は、どういう目的で作られた道なのか、想像を掻き立てられますね。
お山と融和した絶妙な造形でした。

最後、トチノキ谷を下って戻るというのが、旅をより感慨深いものにさせてくれました。
「ひとつの滝もなく、どうってことのない谷、そのどうってことなさが心に沁みる」
そうですね。どうってことがないのに、なんでこんなにも、こころに沁みる谷なのでしょうね。

ほんとうに、ゆたかな沢納めの旅でしたね。ありがとうございます。

空の向こうに見えたもの、ですか。
なにも見えませんでしたが、なにかを感じました。
なにかに背中を押されるように、11月最後の日曜日、また大谷山寒風に向かっていました。
今度はマキノのピックランドから。大谷山へは辻集落から大回りで。
△680.1に登り、イモジャ谷を下り、川原谷左岸尾根を登りました。ひとりならではのふらふら寄り道旅。
寒風からは、あの素晴らしい尾根の素晴らしい道をまた辿り、石庭嶽の少し先標高750m地点まで往復し、石庭集落に下りました。
沢納めの旅から、繋がっていくものを感じました。
石庭から大谷山、寒風の道は、粟柄とを結ぶ道だったのだなぁ、とあらためて実感しました。

長くなってしまいますが、もうひとつマムシのお話をさせてください。
先週の日曜日、自然環境、動植物の生態について学ばせていただいている先生にお会いして、
マムシに咬まれた時の対処をお聞きしました。即座に吸引ということです。
むかし、先生の自然観察会で小学生の男の子がマムシに咬まれたそうです。
その時、すぐに病院には行かず、腫れ具合を確認しながら、40分間吸引したそうです。
腫れは起こらず(毒が入っていなかった可能性もあるそうですが)病院で診てもらっても血清投与の必要なしだったとのこと。
血清は一度使うと次は使えないので、先ず男の子の将来のことを考えたそうです。
毒はあっという間に広がり、腫れが生じるので、腫れが出たらすぐに病院に行かなければならないとのことです。
私の場合ですが、数分でぽわっと腫れ、数十分で指先から肩あたりまで腫れました。
夕方までは弾力がありましたが、夜には、恐ろしいほど腫れあがりパンパンカチカチになっていました。
血清を投与し始めたのが遅すぎたので、腫れは腕にとどまらず、右上半身全体まで及びました。
腕は、はちきれそうなくらい痛かったです。血清を二回投与して、腫れが引き始めたのは3日後でした。
咬まれた時の痛みは、電気が走るような痛さです。
咬み跡は、よく見たら1センチ間隔で赤い点がふたつあったというくらいちいさかったです。
最初のクリニックでは分かりませんでした。
ご参考までに。

sato
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