【奥美濃】岩本洞ワサ谷の桃源郷からゴンニャクへ
Posted: 2022年10月26日(水) 23:19
【日 付】2022年10月22日(土)
【山 域】奥美濃 板取川周辺
【天 候】曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】ワサ谷出合8:30---10:55ゴルジュ終了桃源郷入口---12:50大ゴンニャク---13:05ランチ場14:30---
15:00ゴンニャク---16:40駐車地~~18:00林道入口(岩本バス停)22:00
ゴンニャクとはまた変わった名前の山である。コンニャクとは無関係のようだ。三角点の名前は「和佐谷」。
その三角点名の由来となったワサ谷を遡行してゴンニャクを目指した。
登山口への道中の板取川沿いには今絶賛売り出し中のモネの池があり、臨時駐車場がいくつも設けられていた。
数年前までは訪れる人もなかった無名の池なのだが、SNSの威力は恐ろしいものである。
板取川の上流にある岩本洞の林道を進む。ワサ谷出合の先に駐車したが、谷への下降点がやたら急で、駐車地
の前から岩本洞本流へ下りて迂回。これが意外に長く、ようやくさっき車で渡った橋を見上げる場所に到着した。
まわりは植林のせいもあるが、いきなりの暗いミニゴルジュにたじろぐ。しかしゴルジュの中は平和で、出口
に5mほどの斜瀑がかかるだけで簡単に通過した。
その後は平流が続いて、時折滝とは言えない程度の落差の水流が目を楽しませるのみだ。
自然林に変わった渓相は美しく、苔むした岩とカツラやサワグルミの森が落ち着いた印象を与えてくれる。沢登
りとしては物足りないだろうが、こういう穏やかで美しい渓を彷徨い歩くのが今の自分にはよく似合っている。
Ca610mの二俣を過ぎると突然空気が変わった。右折した谷間は両岸が迫り、高い岩壁が威圧するように覆い
被さるゴルジュとなった。あまりの唐突な変化に驚く。
但し、谷床にはなにも無く、平凡な流れがあるだけだ。岩壁を見上げたり振り返ったりしながら、閉塞感あふ
れるゴルジュ散歩を楽しんだ。
まさか何もないままゴルジュが終わるとは思っていなかったが、ちょっと変わった小滝が登場した。
高さは3mほどしかないが、突破ルートは真ん中の一見ツルツルな丸い岩しかない。
ホールドがまったくないので、ちょうどうまい具合に刺さっていた流木に、落ちていた流木のカケラを追加して
足場とする。ツルツルに見えた岩は意外にもヌメッておらず、流木の足場から乗り移ってなんとか這い上がった。
続く5mの斜瀑は滝つぼに横たわる倒木を利用して取り付き、ヌメッた岩を微妙なバランスで越える。
ゴルジュの最後にようやく滝らしい滝が現われた。何かありそうに思われた、谷が90度左折するところに堂々
とした15m滝が水を落としていた。右岸の巻きを考えたが、左岸のルンゼに近付いてみると、階段状で十分登れ
そうである。念のためロープを引いて落ち口の高さまで上がり、そこからトラバースして落ち口に立つ。
滝の上にはそれまでとは一転、穏やかな桃源郷が広がっていた。まったくの平流のみならず、大きく開けた谷
にはまったくヤブのない疎林の河岸台地が続いていた。鈴鹿の奥谷尻谷を思わせるような風景である。
その風景は上流へ進むほど美しさを増幅させて行く。目を瞠るような大木があるわけではないが、鈴鹿の二次林
の最上級のような森だ。
夢の中を歩くような気分にさせる桃源郷は延々と続いた。
この谷では動物との出遭いも多く、イノシシ、シカ、サルと来て、最後にカモシカとも対面。残るはクマぐら
いだろうか。こちらはちょっと遠慮したいところだが。
最後は水の切れた急峻なV字状の谷を喘ぎ登ると、最後の最後でスラブの上に土が乗った嫌らしい斜面となって、
灌木帯へ逃げた。詰め上がったところは1100mピーク、大ゴンニャクの西のコルだ。
ササを漕いでまずは大ゴンニャクのピークを目指す。
なんとなく踏み跡はあるものの、手を使わずに歩くのは不可能。初級のヤブ漕ぎというところか。
大ゴンニャクのピークには面白い標識がかかっていた。裏を見ると「またのご来峰をお待ちしております」と
書かれていた。大ゴンニャク商店の店主だろうか。
ヤブの中の落ち着かない山頂なので、ゴンニャク方面へ向かってランチの適地を探そう。
先ほどのコルからササをかき分けて少し登ったところで突然ササが切れた。素晴らしいということもないが悪く
はない場所だ。平坦なところを見つけて腰を降ろした。
ここからゴンニャク(さしずめ小ゴンニャク?)までは比較的すっきりした樹林帯が続く。
ワサ谷のゴンニャクへ直登する谷の斜面の方がヤブがなく、気持ち良く上がれそうだった。下山をワサ谷の右岸
尾根に決めていたのでこうなったのだが、こっちの谷を上がって左岸尾根を下りるのもいいかもしれない。
樹間からやたら白い葉を付けた林が見えた。気が付けば足元にも大きな白い枯れ葉が散らばっている。
朴の木の葉だ。さすがは岐阜県、朴葉味噌の本場である。
ブナもちらほら見えるが、あっても細い木が多く、ブナ林の山とは言えない。
ゴンニャク(三角点名和佐谷)の山頂は大ゴンニャクよりは落ち着ける。いずれにしても奥美濃の超マイナーな
ピークであることに変わりはないが。
ここからワサ谷出合へ向かう尾根はシロモジロードだ。あと2週間もすれば、顔がまっ黄色に染まりそうなシ
ロモジのトンネルの下を歩けるだろう。
踏み跡はしっかりしており、山頂から1時間半ほどで下山することができた。
林道の入口まて戻れば温泉はすぐそこだ。久しぶりの板取川温泉を楽しみに車を走らせたが、本当の核心部が
これから始まるとは予想だにしなかった・・・
山日和
【山 域】奥美濃 板取川周辺
【天 候】曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】ワサ谷出合8:30---10:55ゴルジュ終了桃源郷入口---12:50大ゴンニャク---13:05ランチ場14:30---
15:00ゴンニャク---16:40駐車地~~18:00林道入口(岩本バス停)22:00
ゴンニャクとはまた変わった名前の山である。コンニャクとは無関係のようだ。三角点の名前は「和佐谷」。
その三角点名の由来となったワサ谷を遡行してゴンニャクを目指した。
登山口への道中の板取川沿いには今絶賛売り出し中のモネの池があり、臨時駐車場がいくつも設けられていた。
数年前までは訪れる人もなかった無名の池なのだが、SNSの威力は恐ろしいものである。
板取川の上流にある岩本洞の林道を進む。ワサ谷出合の先に駐車したが、谷への下降点がやたら急で、駐車地
の前から岩本洞本流へ下りて迂回。これが意外に長く、ようやくさっき車で渡った橋を見上げる場所に到着した。
まわりは植林のせいもあるが、いきなりの暗いミニゴルジュにたじろぐ。しかしゴルジュの中は平和で、出口
に5mほどの斜瀑がかかるだけで簡単に通過した。
その後は平流が続いて、時折滝とは言えない程度の落差の水流が目を楽しませるのみだ。
自然林に変わった渓相は美しく、苔むした岩とカツラやサワグルミの森が落ち着いた印象を与えてくれる。沢登
りとしては物足りないだろうが、こういう穏やかで美しい渓を彷徨い歩くのが今の自分にはよく似合っている。
Ca610mの二俣を過ぎると突然空気が変わった。右折した谷間は両岸が迫り、高い岩壁が威圧するように覆い
被さるゴルジュとなった。あまりの唐突な変化に驚く。
但し、谷床にはなにも無く、平凡な流れがあるだけだ。岩壁を見上げたり振り返ったりしながら、閉塞感あふ
れるゴルジュ散歩を楽しんだ。
まさか何もないままゴルジュが終わるとは思っていなかったが、ちょっと変わった小滝が登場した。
高さは3mほどしかないが、突破ルートは真ん中の一見ツルツルな丸い岩しかない。
ホールドがまったくないので、ちょうどうまい具合に刺さっていた流木に、落ちていた流木のカケラを追加して
足場とする。ツルツルに見えた岩は意外にもヌメッておらず、流木の足場から乗り移ってなんとか這い上がった。
続く5mの斜瀑は滝つぼに横たわる倒木を利用して取り付き、ヌメッた岩を微妙なバランスで越える。
ゴルジュの最後にようやく滝らしい滝が現われた。何かありそうに思われた、谷が90度左折するところに堂々
とした15m滝が水を落としていた。右岸の巻きを考えたが、左岸のルンゼに近付いてみると、階段状で十分登れ
そうである。念のためロープを引いて落ち口の高さまで上がり、そこからトラバースして落ち口に立つ。
滝の上にはそれまでとは一転、穏やかな桃源郷が広がっていた。まったくの平流のみならず、大きく開けた谷
にはまったくヤブのない疎林の河岸台地が続いていた。鈴鹿の奥谷尻谷を思わせるような風景である。
その風景は上流へ進むほど美しさを増幅させて行く。目を瞠るような大木があるわけではないが、鈴鹿の二次林
の最上級のような森だ。
夢の中を歩くような気分にさせる桃源郷は延々と続いた。
この谷では動物との出遭いも多く、イノシシ、シカ、サルと来て、最後にカモシカとも対面。残るはクマぐら
いだろうか。こちらはちょっと遠慮したいところだが。
最後は水の切れた急峻なV字状の谷を喘ぎ登ると、最後の最後でスラブの上に土が乗った嫌らしい斜面となって、
灌木帯へ逃げた。詰め上がったところは1100mピーク、大ゴンニャクの西のコルだ。
ササを漕いでまずは大ゴンニャクのピークを目指す。
なんとなく踏み跡はあるものの、手を使わずに歩くのは不可能。初級のヤブ漕ぎというところか。
大ゴンニャクのピークには面白い標識がかかっていた。裏を見ると「またのご来峰をお待ちしております」と
書かれていた。大ゴンニャク商店の店主だろうか。
ヤブの中の落ち着かない山頂なので、ゴンニャク方面へ向かってランチの適地を探そう。
先ほどのコルからササをかき分けて少し登ったところで突然ササが切れた。素晴らしいということもないが悪く
はない場所だ。平坦なところを見つけて腰を降ろした。
ここからゴンニャク(さしずめ小ゴンニャク?)までは比較的すっきりした樹林帯が続く。
ワサ谷のゴンニャクへ直登する谷の斜面の方がヤブがなく、気持ち良く上がれそうだった。下山をワサ谷の右岸
尾根に決めていたのでこうなったのだが、こっちの谷を上がって左岸尾根を下りるのもいいかもしれない。
樹間からやたら白い葉を付けた林が見えた。気が付けば足元にも大きな白い枯れ葉が散らばっている。
朴の木の葉だ。さすがは岐阜県、朴葉味噌の本場である。
ブナもちらほら見えるが、あっても細い木が多く、ブナ林の山とは言えない。
ゴンニャク(三角点名和佐谷)の山頂は大ゴンニャクよりは落ち着ける。いずれにしても奥美濃の超マイナーな
ピークであることに変わりはないが。
ここからワサ谷出合へ向かう尾根はシロモジロードだ。あと2週間もすれば、顔がまっ黄色に染まりそうなシ
ロモジのトンネルの下を歩けるだろう。
踏み跡はしっかりしており、山頂から1時間半ほどで下山することができた。
林道の入口まて戻れば温泉はすぐそこだ。久しぶりの板取川温泉を楽しみに車を走らせたが、本当の核心部が
これから始まるとは予想だにしなかった・・・
山日和