【奥越】悦楽の雪回廊を行く 岩谷山から御伊勢山へ

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山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

【奥越】悦楽の雪回廊を行く 岩谷山から御伊勢山へ

投稿記事 by 山日和 »

【日 付】2022年3月12日(土)
【山 域】奥越 大納川流域
【天 候】曇りのち晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】下大納7:00---8:50クロカン尾根合流点---11:00岩谷山11:20---12:00林道---13:10御伊勢山14:55
     ---16:45ワサ谷林道---17:30駐車地

 ちょうど12年前の今頃、このコースを歩いた。奥越の岩谷山から御伊勢山へ周回するコースである。
干支がひと回りした今、同じように歩くことができるだろうか。
 前回は上大納のクロカンスキー場からのスタートだったが、今回は下大納の尾根末端に取り付いた。地形図で
見ると、緩やかでゆったりした尾根が続いており、前回この尾根に合流した時、こっちから上がればよかったか
なと思ったのだ。


P3120062_1.JPG

 地形図にない林道を2回横切って尾根に乗ると、予想通りの緩やかな尾根が始まった。
いきなりのブナ林というわけにはいかず、左側が植林、尾根芯と右側は自然林という尾根だが、雰囲気は悪くない。
高曇りであまり明るさのない天気だが、予報を信じればそのうち青空が広がるだろう。
雪はたっぷり積もっており、スノーシューがわずかに沈む程度の好コンディション。スノーシューを外すとヒザ
まで潜る、湿り気たっぷりの雪なのだが、こういう雪質がスノーシューの得意とする場面である。


P3120091_1.JPG

 やがて植林が切れ、クロカンスキー場からの尾根を合わせる頃には少しずつ日が差し始めた。雪面に映る木の影
や自分の影を見るのはうれしいものだ。のっぺりしていた山肌にも陰影が表情を付け、山全体が生き生きとしてく
る。これは人間の勝手な感想で、山は日が当たろうが当たるまいが変わらないのだが。
 植林が切れた左側は展望が開け、目指す御伊勢山がはるか遠くに見える。この好展望は伐採のなせる業なのだろ
うが、雪が積もっていれば殺伐とした感じは覆い隠されている。
尾根の右側は大きなブナやミズナラが目立つ豊かな森になってきた。


P3120204_1.JPG

 出発からちょうど4時間で岩谷山頂に立った。12年前よりも長い道程で同じコースタイムなら悪くはないだろう。
岩谷山は大きく開け、雪原が広がる明るい山頂である。
思わずのんびりしたくなる場所だが、後の行程を考えればゆっくりしていられない。

 山頂から南へ伸びる尾根に足を踏み出した。南西方向に展望が開けると、他の山と異質な大きな山塊に目を奪わ
れた。姥ヶ岳から能郷白山へと続く白い山並みである。特に能郷白山は白さが際立っている。
今日は春霞で景色がはっきりしないのが残念だ。西には堂ヶ辻山と銀杏峰を木の間越しに望むことができた。
 尾根上にはこの山域の特徴のひとつであるヒノキの巨木が現れる。ヒノキはヤセ尾根を好む場合が多く、尾根の
ど真ん中で通せんぼするように立ちはだかることがある。


パノラマ1_1_1.jpg
 
 尾根は東に向きを変えて、御伊勢山へのアプローチが始まる。
このあたりはこれまで見られなかった若いブナの純林になっており、広い尾根にびっしりと立ち並ぶ細いブナの間
を進む。南側に横たわるのは越美国境稜線だ。特に目を惹くのは屏風山の姿である。端正な三角錐のイメージが強
いこの山は、見る角度によって姿を変える。このあたりから見る屏風山は横に広く、まさに屏風のイメージである。
考えてみれば、屏風が三角錐というのもおかしな話なのだ。


P3120246_1_1.JPG

 林道が尾根を横切る地点は深い切通しになっており、うっかり直進すれば転落してしまう。左から巻いて林道へ
下りるのだが、法面のガケはとんでもない高さで、よくこれだけ切り取ったものだと感心してしまうほどである。

 少しずつ御伊勢山が近付いてきた。距離は少しあるものの、山頂までの標高差はもう100mあまりしかない。
南側に発達した雪庇に気を遣いながら、山頂の白い姿がだんだん大きくなってくるのがうれしい。
 林道から先の尾根には高い木がなく、ひと筋の雪の街道が御伊勢山に向かって緩やかに伸びて行く。
左右とも全開の展望を楽しみながらのビクトリーロードを進む。北に目を遣れば純白の荒島岳が縫ヶ原山を従えて
神々しいばかりの姿で鎮座している。はるか彼方にうっすらと白山の姿も認めることができた。

 目の前を黒いかたまりが横切って行った。一瞬クマかと思ったらカモシカだった。通常なら立ち止まってじっと
こちらを見つめてくれるのだが、このカモシカは一散に谷の方へ下りて行ってしまった。写真が間に合わなかった
のが残念だ。
 進むにつれ屏風のような屏風山がその姿を三角錐に変えて行くのが面白い。手前に控えるのは鍋又山という笹生
川上流域の渋い山々だ。


P3120288_1.JPG

 最後のひと登りで御伊勢山の北峰に立つ。三角点のある南峰は指呼の間だ。その間に豊かなブナ林の中を緩やか
に上がって来るのがワサ谷の左俣である。22年前に遡行してここへ辿り着いた。その時はやたら虫が飛び回る鬱陶
しい場所でそそくさと昼飯を済ませたものだ。当時はまだ蚊取り線香を使っていなかった。
北峰と南峰を結ぶ広い尾根とワサ谷源頭が作り出す、雪に覆われた地形のうねりが美しく、思わず見惚れてしまっ
たのは12年前と同じだ。
 少し風があるので、雪壁の一番段差の少ないところから滑り降りて、南峰との中間点でランチタイムとしよう。
霞がちながら能郷白山を正面に、豊潤なブナ林に包まれて過ごすひと時は、至福という以外の言葉が見当たらない。
今日は全国的に気温が高く、風がなければまさにポカポカ陽気だ。ここまで手袋も着けずに腕まくりをして歩いて
来たが、長いランチタイムの間も上着を着る必要もない。春の日差しをいっぱいに受けて、ビールが心地よくのど
を通過して行く。もうそろそろ鍋シーズンも終了だろうか。

P3120332_1.JPG
パノラマ3_2_1.jpg

 南峰からは一段と見事なパノラマが展開した。屏風山から続く越美国境稜線には平家岳と美濃平家が頭をもたげ
て、昨秋の沢歩きを思い出させてくれる。
北峰へ戻って北側を眺めると、白山と加越国境の経ヶ岳、大長山、赤兎山と石徹白の山々。
そして正面に圧倒的な存在感で聳える荒島岳の姿が美し過ぎるぐらい美しい。

P3120369_1_1.JPG

 時刻はもう3時。またも12年前と同じである。
予定のルートを変更して、北へ真っ直ぐ下る尾根を選んだ。この尾根は終始荒島岳に見守られながら、ブナの森を
一直線に下って行く素晴らしいルートだ。目の高さより少し上に見ていた荒島が、どんどん見上げる高さに変わっ
て行く。今日の豊かな山旅のフィナーレにふさわしい下りである。

 最後は尾根の末端の手前で左折して、林道の橋があるところへ向かう支尾根を腐り切った雪に足を取られながら
転げるように下った。末端まで進んでしまうと渡渉を余儀なくされるのである。
 1mほど雪の積もった林道に下り立てばひと安心。雪解け水が勢いよく迸る流れを見下ろして、谷間を飾る雪の
造形を楽しみながら歩けば下大納の集落は近い。

                     山日和
アバター
わりばし
記事: 1767
登録日時: 2011年2月20日(日) 16:55
お住まい: 三重県津市

Re: 【奥越】悦楽の雪回廊を行く 岩谷山から御伊勢山へ

投稿記事 by わりばし »

おはようございます、山日和さん。

 
雪はたっぷり積もっており、スノーシューがわずかに沈む程度の好コンディション。スノーシューを外すとヒザ
まで潜る、湿り気たっぷりの雪なのだが、こういう雪質がスノーシューの得意とする場面である。


あらまあ鈴鹿とはえらい違いです。
もう奥越の時期になりましたか。


 やがて植林が切れ、クロカンスキー場からの尾根を合わせる頃には少しずつ日が差し始めた。雪面に映る木の影
や自分の影を見るのはうれしいものだ。のっぺりしていた山肌にも陰影が表情を付け、山全体が生き生きとしてく
る。これは人間の勝手な感想で、山は日が当たろうが当たるまいが変わらないのだが。
 

朝の陰影はその日の天候の良さを予感させるので、ワクワクした気持ちになります。


  山頂から南へ伸びる尾根に足を踏み出した。南西方向に展望が開けると、他の山と異質な大きな山塊に目を奪わ
れた。姥ヶ岳から能郷白山へと続く白い山並みである。特に能郷白山は白さが際立っている。
今日は春霞で景色がはっきりしないのが残念だ。西には堂ヶ辻山と銀杏峰を木の間越しに望むことができた。
 尾根上にはこの山域の特徴のひとつであるヒノキの巨木が現れる。ヒノキはヤセ尾根を好む場合が多く、尾根の
ど真ん中で通せんぼするように立ちはだかることがある。


能郷白山かあ・・今年は遠いだろうな。
植林のヒノキに強さは感じませんが岩尾根に張り付く巨木を見ると
本当の姿はこれだと思ってしまいます。


 林道が尾根を横切る地点は深い切通しになっており、うっかり直進すれば転落してしまう。左から巻いて林道へ
下りるのだが、法面のガケはとんでもない高さで、よくこれだけ切り取ったものだと感心してしまうほどである。

どれだけ爆薬をしかけ発破してるんでしょうね。 :mrgreen:

 目の前を黒いかたまりが横切って行った。一瞬クマかと思ったらカモシカだった。通常なら立ち止まってじっと
こちらを見つめてくれるのだが、このカモシカは一散に谷の方へ下りて行ってしまった。写真が間に合わなかった
のが残念だ。

 
すぐに逃げましたか。
珍しい・・
余程ヤバイと感じたんでしょうね。


 南峰からは一段と見事なパノラマが展開した。屏風山から続く越美国境稜線には平家岳と美濃平家が頭をもたげ
て、昨秋の沢歩きを思い出させてくれる。
北峰へ戻って北側を眺めると、白山と加越国境の経ヶ岳、大長山、赤兎山と石徹白の山々。
そして正面に圧倒的な存在感で聳える荒島岳の姿が美し過ぎるぐらい美しい。

どういう事
鈴鹿はガスで釈迦すら見えなかったのに・・
:shock:

 時刻はもう3時。またも12年前と同じである。
予定のルートを変更して、北へ真っ直ぐ下る尾根を選んだ。この尾根は終始荒島岳に見守られながら、ブナの森を
一直線に下って行く素晴らしいルートだ。目の高さより少し上に見ていた荒島が、どんどん見上げる高さに変わっ
て行く。今日の豊かな山旅のフィナーレにふさわしい下りである。

いいですね。
鈴鹿も賞味期限切れだし
春休みは北進しようっと。

                       わりばし


アバター
山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【奥越】悦楽の雪回廊を行く 岩谷山から御伊勢山へ

投稿記事 by 山日和 »

わりばしさん、どうもです。

あらまあ鈴鹿とはえらい違いです。
もう奥越の時期になりましたか。


もう2月からその時期ですよ。天気さえ良ければですが。

朝の陰影はその日の天候の良さを予感させるので、ワクワクした気持ちになります。

そうですね。夕方の残照の斜光線もなかなかいいです。早く下山してしまうと拝めませんが。


P3120198_1.JPG

能郷白山かあ・・今年は遠いだろうな。
植林のヒノキに強さは感じませんが岩尾根に張り付く巨木を見ると
本当の姿はこれだと思ってしまいます。


そろそろ雪が締まって登りやすくなるのでは?
天然ヒノキの巨木は植林のヒノキとは別物ですよね。杉もそうですけど。

>左から巻いて林道へ下りるのだが、法面のガケはとんでもない高さで、よくこれだけ切り取ったものだと感心してしまうほどである。

どれだけ爆薬をしかけ発破してるんでしょうね。:mrgreen:


そこまで削らんでも・・・と思ってしまいました。 :lol:

P3120272_1.JPG

>目の前を黒いかたまりが横切って行った。一瞬クマかと思ったらカモシカだった。通常なら立ち止まってじっとこちらを見つめてくれるのだが、このカモシカは一散に谷の方へ下りて行ってしまった。写真が間に合わなかった
のが残念だ。
 
すぐに逃げましたか。
珍しい・・
余程ヤバイと感じたんでしょうね。

なにか美味しそうなものを見つけたのか。 :mrgreen:

P3120338_1.JPG

>北峰へ戻って北側を眺めると、白山と加越国境の経ヶ岳、大長山、赤兎山と石徹白の山々。
そして正面に圧倒的な存在感で聳える荒島岳の姿が美し過ぎるぐらい美しい。

どういう事
鈴鹿はガスで釈迦すら見えなかったのに・・ :shock:


そういうこともあります。 :mrgreen:

いいですね。
鈴鹿も賞味期限切れだし
春休みは北進しようっと。


鈴鹿は雪が消えるのが早いから、これからは北の方で楽しむべしですね。 :D

             山日和
バーチャリ
記事: 547
登録日時: 2011年3月12日(土) 20:58

Re: 【奥越】悦楽の雪回廊を行く 岩谷山から御伊勢山へ

投稿記事 by バーチャリ »

山日和さん 今晩は

【コース】下大納7:00---8:50クロカン尾根合流点---11:00岩谷山11:20---12:00林道---13:10御伊勢山14:55
     ---16:45ワサ谷林道---17:30駐車地

昨年のスノー集の時に岩谷山の尾根はいい尾根だよと教えてもらいましが
この尾根と違うのかな?

ちょうど12年前の今頃、このコースを歩いた。奥越の岩谷山から御伊勢山へ周回するコースである。
干支がひと回りした今、同じように歩くことができるだろうか。


まだまだ若いですよ(*_*)


雪はたっぷり積もっており、スノーシューがわずかに沈む程度の好コンディション。スノーシューを外すとヒザ
まで潜る、湿り気たっぷりの雪なのだが、こういう雪質がスノーシューの得意とする場面である。


雪山でははずせない道具になりました☺


出発からちょうど4時間で岩谷山頂に立った。12年前よりも長い道程で同じコースタイムなら悪くはないだろう。
岩谷山は大きく開け、雪原が広がる明るい山頂である。
思わずのんびりしたくなる場所だが、後の行程を考えればゆっくりしていられない。


岩谷山は行きたい候補にあがっていますが
いまだに行けていません


少しずつ御伊勢山が近付いてきた。距離は少しあるものの、山頂までの標高差はもう100mあまりしかない。
南側に発達した雪庇に気を遣いながら、山頂の白い姿がだんだん大きくなってくるのがうれしい。

 
15日 ブンゲン~笹刈山に行きましたが
先日の雨で黄砂の影響でしょうか無垢の世界は望めませんでした。


北峰と南峰を結ぶ広い尾根とワサ谷源頭が作り出す、雪に覆われた地形のうねりが美しく、思わず見惚れてしまっ
たのは12年前と同じだ。


思わず納得してしまいます。
今日まさにそんな感じでした。


南峰からは一段と見事なパノラマが展開した。屏風山から続く越美国境稜線には平家岳と美濃平家が頭をもたげ
て、昨秋の沢歩きを思い出させてくれる。
北峰へ戻って北側を眺めると、白山と加越国境の経ヶ岳、大長山、赤兎山と石徹白の山々。
そして正面に圧倒的な存在感で聳える荒島岳の姿が美し過ぎるぐらい美しい。


この日は外せない用事で山はおわずけでしたが
最高の天気でしたよね。


予定のルートを変更して、北へ真っ直ぐ下る尾根を選んだ。この尾根は終始荒島岳に見守られながら、ブナの森を
一直線に下って行く素晴らしいルートだ。目の高さより少し上に見ていた荒島が、どんどん見上げる高さに変わっ
て行く。今日の豊かな山旅のフィナーレにふさわしい下りである。


お疲れ様でした。

   バーチャリ
アバター
山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【奥越】悦楽の雪回廊を行く 岩谷山から御伊勢山へ

投稿記事 by 山日和 »

バーチャリさん、どうもです。

昨年のスノー集の時に岩谷山の尾根はいい尾根だよと教えてもらいましが
この尾根と違うのかな?


去年のスノー衆の時なら岩ヶ谷山じゃないでしょうか?
岩穴谷山とか、似たような名前の山が多くてややこしいですよね。 :D

>干支がひと回りした今、同じように歩くことができるだろうか。

まだまだ若いですよ(*_*)


そう言ってもらえるとうれしいですが、体が・・・・ :mrgreen:

P3120206_1.JPG

>雪はたっぷり積もっており、スノーシューがわずかに沈む程度の好コンディション。スノーシューを外すとヒザまで潜る、湿り気たっぷりの雪なのだが、こういう雪質がスノーシューの得意とする場面である。

雪山でははずせない道具になりました☺


スノーシュー無しでは生きていけないですよね。 :lol:

岩谷山は行きたい候補にあがっていますが
いまだに行けていません


いい山ですよ。往復なら余裕で行けます。


P3120230_1.JPG

15日 ブンゲン~笹刈山に行きましたが
先日の雨で黄砂の影響でしょうか無垢の世界は望めませんでした。


ブンゲン~笹刈山の稜線もいいですよね。

>北峰と南峰を結ぶ広い尾根とワサ谷源頭が作り出す、雪に覆われた地形のうねりが美しく、思わず見惚れてしまったのは12年前と同じだ。

思わず納得してしまいます。
今日まさにそんな感じでした。


ブンゲンと笹刈山の間の鞍部も実にゆったりとした地形が広がってますね。
まさにランチ適地です。

P3120333_1.JPG

この日は外せない用事で山はおわずけでしたが
最高の天気でしたよね。


それは残念でした。日曜日はあまり良くなかったですね。
でも15日に行けて良かったですね。 :D

          山日和
sato
記事: 422
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【奥越】悦楽の雪回廊を行く 岩谷山から御伊勢山へ

投稿記事 by sato »

山日和さま 

こんにちは。
今週は、暑いくらいの陽気が続いていましたね。今日から寒くなりそうですが。
土曜日は越前のお山へ、ということで描いてくださったのは、下大納から岩谷山、御伊勢山、越戸谷山を巡るコース。
ワクワクしました。
見る者を魅了するふたつのうつくしいお山、荒島岳と屏風山を結ぶ稜線の山やまと峠が気になっていました。
昨冬、山日和さんのお気に入りの縫ヶ原山を味わうことが出来、ますます興味深い山域になりました。

歩き始め、車道からガードレールを越えた時、太ももまで潜り、えっ?と思いましたが、その後は潜らずほっとしました。
雪が締まっているのが前提の長いコースですので。

最初の急坂を登りきると、ぱぁっと、たおやかな風景が目の前に広がり、笑みがこぼれましたね。
この先、ずっと頬が緩みっぱなしでした。岩谷山山頂へとうねうね伸びていく好展望のしろい道。
やさしく長閑な風景が続いていきました。春霞のぽわんとした空に響き渡る鳥のさえずりが、長閑さを助長させていました。

岩谷山山頂は、寝ころびたくなるような気持ちのいい山頂でした。
あんまりにも気持ちがよくて睡魔が(笑)。
でも、先は長いと出発。ここからも素晴らしい展望とうつくしい佇まいの稜線が続きましたね。
能郷白山、おおきくてまっしろでしたね。こうごうしいお姿に言葉を失いました。

尾根がちょっと細くなると現れるヒノキの巨木。
風格あるお姿で楽しませてくれますが、尾根のど真ん中で通せんぼするように立ちはだかることが、そう、ありますよね。
ちょっと前、枇杷倉山で通せんぼされ、踏んだ雪の下が宙でないことを確かめながらそろりそろりと越えました。
山日和さんとのお山で偶然出会ったヒノキの思い出は、昨春の岩穴谷山が印象深いです。
次々と現れるヒノキの巨木に目を見張りながらのくねくねした尾根歩き、面白かったですね。
見たかったヒノキでは、雪のない季節のツナギブシノヒノキのお姿。
真ん前まで近づくのは諦めましたが、ササの海の中に確認出来ました。
憧れのヒノキはまだあります。伊勢峠から屏風山の北東・1106ピークの間に屹立しているオオヒノキです。
いつか探索に行きませんか。

林道へ下りる地点は、登りの尾根から見上げた時、歯抜けのように窪み大丈夫かなぁ、という感じでしたが、
うまい具合に脇から下り登れましたね。この林道は下大納から伊勢峠まで伸びているのですね。

・1223先の鞍部からは、もこもこの雪庇で飾られた素晴らしきしろい道でしたね。
山頂でゆっくりしたいのだけど、すっと通り過ぎてしまうのがもったいない。
何度も立ち止まり、右、左、そして振り返り、風景に見入っていました。
ビクトリーロード。栄光への道ですか。言葉の奥に山日和さんの「山人生」を感じました。

雪庇は見とれてしまいますが、気を付けなければなりませんね。
夫と中央アルプスの山を縦走した時、目の前の大きな雪庇が怖ろしい音を立てながら崩れ落ち、ゾッとした経験が。
雪庇から雨のように、ぽたぽたではなく、ぼたぼたと水滴が落ちていましたね。
太陽の熱はすごいですね。

地形図を見て、楽しみにしていた御伊勢山山頂。想像を上回る情景でした。
「北峰と南峰を結ぶ広い尾根とワサ谷源頭が作り出す雪で覆われた地形のうねり」
ほんとうに見惚れてしまううつくしさでした。
凛として立つブナの木々と、木々が雪面に描いた影が、地形の妙を際立たせていましたね。

南峰からの眺望も素晴らしかったです。憧れの山、屏風山、鍋又山の煌めく雪稜に吸い込まれていきそうになりました。
九頭竜ダムと笹生川ダムの建設によって廃村となった、伊勢峠の東の伊勢三ヶ村、西の上秋生、下秋生村の人々が
仰ぎ見た屏風山は、まさに屏風のように切り立ったお山だったのだなぁ、と思いました。
雪の季節は遠い山。雪が無い時も、まだ訪れる機会に恵まれていないお山。
山日和さんは、何度か沢山旅で屏風山を味わわれたのですよね。うらやましいです。
屏風山は訪れようと思ったら、谷から尾根に取りついて行けるのでしょうが、
鍋又山はヤブが濃く沢登りになるのですね。桶を傾けたようなすべすべの岩場の谷。どんな谷なのでしょうね。

東に気持ちよさ気な尾根が伸びていました。予定の越戸谷山への尾根でした。
でも、もう15時。北峰から早稲谷へ向かう尾根を下ることに。そうだな、と思って飛び込んだ尾根でしたが、
わたしにとって大正解、感動的な尾根でした。
今まで感じた中で、一番しろくうつくしい荒島岳に見守られながら、わたしの荒島岳を感じながら、
ブナの森を一直線に下っていきました。
雪の段差を滑り下りたり、根上がりのヒノキの下を通ったり(腰を屈めず通れました)ヤドリギだらけのブナの木を見上げたり、
最後は谷に向かい急坂を転げるように下ったり、面白い尾根でもありました。

最後の林道歩き。斜面の等高線が詰まった辺りが気になりましたが、ちいさなデブリだけでほっとしました。
木材置き場で食べたツララおいしかったですね。ポリポリ何本も食べてしまいました。

ゆたかな山、ゆたかな山の時間を感じた一日でした。ありがとうございました。

タイトルを見た時、何で「極上」でなく「悦楽」にしたのかなぁ、と思いました。
レポを読み、そうかぁ、と感じるものがありました。よろこび楽しむこと。よろこび満足すること。
味わい深い風景にまた出会え、しあわせを感じた、感慨深い山旅だったのですね。
12年前のこのコースの思い出、さらに前の沢山旅の思い出。道中眺めた山やまの思い出・・・
折り重なる思い出があるお山を、この日、こうしてまた歩き通すことの出来たよろこびがあったのですね。

人生いつ何が起こるか分からない。12年前と同じように歩ける、というのは、しあわせなことですね。

『夜明けの霧の山』の「御伊勢山」に、ずしりとくる言葉が書かれていました。
「雪山では(体験からくる)安心感が行動に安定をもたらすことはよく知っているが、
安心感と安全がつながっているのかどうかは、私のなかで今になっても解らないことになっている」
大丈夫だろうと踏み込んだ一歩が、何も考えずに踏み込んだ一歩が、取り返しのつかないことになることもありうる、
というのを忘れずにお山を歩いていきたいです。
わたしも12年後、悦楽の雪山旅を紡ぐことが出来るように。

sato
バーチャリ
記事: 547
登録日時: 2011年3月12日(土) 20:58

Re: 【奥越】悦楽の雪回廊を行く 岩谷山から御伊勢山へ

投稿記事 by バーチャリ »

山日和さん おはようございます。
横から飛び入りすみません


satoさん 御無沙汰しております。
前に誰かのレスか忘れましたが山桜がとても綺麗だと聞きましたが
何処の集落でしょうか?
山桜の咲く山も道が有るのでしょうか?
よろしかったら教えて下さい

バーチャリ
アバター
山日和
記事: 3585
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【奥越】悦楽の雪回廊を行く 岩谷山から御伊勢山へ

投稿記事 by 山日和 »

satoさん、どうもです。お疲れさまでした。

歩き始め、車道からガードレールを越えた時、太ももまで潜り、えっ?と思いましたが、その後は潜らずほっとしました。
雪が締まっているのが前提の長いコースですので。


林道の上はカチカチだったのに、脇へ逸れると股まで潜ったのでオッとなりました。

最初の急坂を登りきると、ぱぁっと、たおやかな風景が目の前に広がり、笑みがこぼれましたね。
この先、ずっと頬が緩みっぱなしでした。岩谷山山頂へとうねうね伸びていく好展望のしろい道。
やさしく長閑な風景が続いていきました。春霞のぽわんとした空に響き渡る鳥のさえずりが、長閑さを助長させていました。

左側の植林は予定外だったけど、想像通りの緩やかな尾根が続いて顔がほころびましたね。 :D


P3120201_1.JPG

岩谷山山頂は、寝ころびたくなるような気持ちのいい山頂でした。
あんまりにも気持ちがよくて睡魔が(笑)。


ここでランチにしたくなるようなのんびりできる山頂だったでしょう。

でも、先は長いと出発。ここからも素晴らしい展望とうつくしい佇まいの稜線が続きましたね。
能郷白山、おおきくてまっしろでしたね。こうごうしいお姿に言葉を失いました。


一段と高いところに見える能郷白山の姿は、他の山と一線を画していました。


P3120228_1.JPG

憧れのヒノキはまだあります。伊勢峠から屏風山の北東・1106ピークの間に屹立しているオオヒノキです。
いつか探索に行きませんか。


なかなか行きにくい場所をご指名しますねえ。 :mrgreen:
そうそう、ついこないだOSKの丹生さんが単独テン泊で、左門から屏風へ往復されてました。あれを見ると私もまだまだ頑張らねばと思います。

林道へ下りる地点は、登りの尾根から見上げた時、歯抜けのように窪み大丈夫かなぁ、という感じでしたが、
うまい具合に脇から下り登れましたね。この林道は下大納から伊勢峠まで伸びているのですね。


前回の記録を見ると、登り返しは右側からでした。苦労せずに登れたみたい。あのトレースに釣られてしまいました。


P3120295_1.JPG

・1223先の鞍部からは、もこもこの雪庇で飾られた素晴らしきしろい道でしたね。
山頂でゆっくりしたいのだけど、すっと通り過ぎてしまうのがもったいない。
何度も立ち止まり、右、左、そして振り返り、風景に見入っていました。
ビクトリーロード。栄光への道ですか。言葉の奥に山日和さんの「山人生」を感じました。


実にいい雪尾根でした。「山人生」なんて大層なもんじゃないけど。 :lol:

雪庇は見とれてしまいますが、気を付けなければなりませんね。

やぶこぎにも落ちた人がチラホラいますからね。 :mrgreen:


P3120324_1.JPG
1647176917276_1.jpg

地形図を見て、楽しみにしていた御伊勢山山頂。想像を上回る情景でした。
「北峰と南峰を結ぶ広い尾根とワサ谷源頭が作り出す雪で覆われた地形のうねり」
ほんとうに見惚れてしまううつくしさでした。
凛として立つブナの木々と、木々が雪面に描いた影が、地形の妙を際立たせていましたね。


この雪庇を伴った北峰の山頂と、南峰へ続くたおやかな尾根、そこへ食い込むワサ谷の源頭とブナ林、広々とした南峰の山頂と、
すべてが芸術的と言いたいぐらいの素晴らしい情景でした。


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南峰からの眺望も素晴らしかったです。憧れの山、屏風山、鍋又山の煌めく雪稜に吸い込まれていきそうになりました。

遮るもののない眺めとはこのことでしょうね。平家と美濃平家も印象的でした。


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雪の季節は遠い山。雪が無い時も、まだ訪れる機会に恵まれていないお山。
山日和さんは、何度か沢山旅で屏風山を味わわれたのですよね。うらやましいです。
屏風山は訪れようと思ったら、谷から尾根に取りついて行けるのでしょうが、
鍋又山はヤブが濃く沢登りになるのですね。桶を傾けたようなすべすべの岩場の谷。どんな谷なのでしょうね。


何度かというか、登頂したのは2回だけです。もう1回は美濃側の東ノ水から上がろうとしたけど激ヤブで断念しました。
鍋又は元気なうちに行かないとなあ。

東に気持ちよさ気な尾根が伸びていました。予定の越戸谷山への尾根でした。
でも、もう15時。北峰から早稲谷へ向かう尾根を下ることに。そうだな、と思って飛び込んだ尾根でしたが、わたしにとって大正解、感動的な尾根でした。
今まで感じた中で、一番しろくうつくしい荒島岳に見守られながら、わたしの荒島岳を感じながら、ブナの森を一直線に下っていきました。

satoさんも大満足の尾根だったようですね。私はちょっと忘れてましたが、ずっと荒島を正面に望むいい尾根でしたね。 :D


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雪の段差を滑り下りたり、根上がりのヒノキの下を通ったり(腰を屈めず通れました)ヤドリギだらけのブナの木を見上げたり、
最後は谷に向かい急坂を転げるように下ったり、面白い尾根でもありました。


あの段差だけはよく覚えてました。最後に腐った雪に足を取られたことも同じでした。

最後の林道歩き。斜面の等高線が詰まった辺りが気になりましたが、ちいさなデブリだけでほっとしました。
木材置き場で食べたツララおいしかったですね。ポリポリ何本も食べてしまいました。


林道は苦労した記憶がなかったので心配してなかったですよ。
あの日は暖かくて木にツララができてなかったので、最後にあそこで見つけて親のカタキみたいに食べてましたね。 :mrgreen:

タイトルを見た時、何で「極上」でなく「悦楽」にしたのかなぁ、と思いました。
レポを読み、そうかぁ、と感じるものがありました。よろこび楽しむこと。よろこび満足すること。


「極上」だと客観的でちょっと離れて見るような感じがします。
「悦楽」の境地というぐらいで、自分がその中に身を委ねて喜びを感じる表現として、こっちの方がピッタリだと思いました。

折り重なる思い出があるお山を、この日、こうしてまた歩き通すことの出来たよろこびがあったのですね。
人生いつ何が起こるか分からない。12年前と同じように歩ける、というのは、しあわせなことですね。


まあ、とりあえずは12年前と同じコースを歩けたなと・・・ :lol:

『夜明けの霧の山』の「御伊勢山」に、ずしりとくる言葉が書かれていました。
「雪山では(体験からくる)安心感が行動に安定をもたらすことはよく知っているが、
安心感と安全がつながっているのかどうかは、私のなかで今になっても解らないことになっている」
大丈夫だろうと踏み込んだ一歩が、何も考えずに踏み込んだ一歩が、取り返しのつかないことになることもありうる、
というのを忘れずにお山を歩いていきたいです。


深い言葉ですね。そんな言葉があったのを覚えてませんでした。
根拠の不確かな安心感が、逆に安全とは違う方へ導いてしまうのはありがちなことです。
常に心に刻んでおかねば。

わたしも12年後、悦楽の雪山旅を紡ぐことが出来るように。

24年後でも大丈夫でしょう。 :lol:

                 山日和
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