【比良】 比良への旅 わたしへの旅

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sato
記事: 565
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

【比良】 比良への旅 わたしへの旅

投稿記事 by sato »

【日 付】 2022年2月10日
【山 域】 比良
【天 候】 曇り、お昼前後小雪舞う
【ルート】 黒谷~・702~イクワタ峠~釣瓶岳~ナガオ尾根1030m~広谷~
      1070m台地~武奈ヶ岳~北稜~釣瓶岳~イクワタ峠~金山谷(栗木田谷右俣)左岸尾根~P


雪は無かった。
どきどきしながら向かった林道入り口の、獣柵の扉の横に愛車を停めホッと胸をなでおろす。
昨晩、明日は、あの台地から武奈ヶ岳へ、と決めたものの、駐車地が除雪されていなかったらどうしよう、
と急に心配になりしばらく寝付けなかったのだ。
集落の坂道を進んでいって最後に行き詰ったら、バックで戻らなければならない。
集落下の車道脇に停めようか。でも、停める場所があるだろうか。
心配性のわたしは、気になった事をどんどん悪い方へと考え、うじうじしてしまう癖がある。

車から降り空を見上げる。今にも泣きだしそうな鉛色の空。でも大丈夫。天気予報では午後から晴れ。
すんなり駐車出来たので、気持ちは前を向いている。

林道に入ると直に雪が現れた。
ほんの少し前に雪が無くてよかったとよろこび、今度は雪が出てよかったとよろこぶ。
スノーシューを履き、人間は、というか、わたしはプラス思考の時もマイナス思考の時も、
いつも自分の都合で物事を見ているのだなぁ、とぼんやり考えながら歩いていると、棚田跡が目に入り、
あっ、間違えた、と気が付く。金山谷左岸尾根に向かうはずが、・702の尾根に入っていた。

どうしようかな、と思ったが、地図を見て、そうかぁ、と頷く。
こちらの尾根の方が稜線までの標高差が少ない。そして、白い稜線を長く味わえるのだ。
よし、と、一面雪で覆われた杉林の斜面を黙々と登っていく。
黙々と登っている自分に、ちょっとした爽快感を覚えながら、黙々と登っていく。

尾根が広がり自然林になった。
ひと登りして稜線に出ると、春に訪れた時とは別世界の、静まり返った世界がそこにあった。
今日は、鳥の歌う声も木々の囁きも聞こえない。ただただ、しんとした風景が広がっていた。
白い稜線も、まわりの山々も、眼下に広がるうみも、里も、すべてがしんとしていた。

まっさらな雪に足跡を刻んでいく。足音が無音の風景を震わせ記憶の音を呼び寄せる。
曇天の粘り気のある空気の中に、かつてわたしが聞いた声、残した足音が木霊するのを感じる。
DSC_0072.JPG
お気に入りのアセビのピークに着いた。
釣瓶岳北稜には見事な雪庇が張り出していた。山頂付近のブナの木々は霧氷で飾られている。
期待はしていたけれど、胸がじんと熱くなる。こころの中でそっと手を合わせる。

どのラインで行こうかな。
清らかな清らかな雪面。真ん中に足を踏み入れるのを躊躇い、控えめに登っていく。

夢見心地で歩いていたからなのか、気が付くと、雪と氷をまとった杉が目の前に。
そして、山頂直下の「わたしの場所」に立っていた。
ゆっくり息を呑み、「わたしの風景」を見つめる。ひとつ、ふたつ・・・思いがよぎり始めた。
あっ、と首を振り、今日は先に進むのだ、と足を進める。

山頂に着き、ナガオはこっちだな、と、もこもこの雪を被った杉の間を通り抜けようとした時、
ズボッと雪にはまり、あっ、と声を挙げる。
「白い魔女に捕まった!」
ふっと、父の笑う声が聞こえた。
小さな頃、何度も語ってくれたナルニア国物語の世界に踏み込んでしまったのか。
山を歩いていると、ふとした時、聞こえてくる父の声。
「脛までのラッセルだったのが、いきなり膝上まで潜って、びっくりしただけ。
魔女に捕まったんじゃないよぉ。女神さまのいたずら。」
こみ上げてくるものをおさえながら、杉の向こうに感じた父に、ぷっ、と頬を膨らませて見せる。

杉の木立を抜けると潜りは元に戻った。
栗木田谷左俣右岸尾根の分岐で時計を見る。11時10分前。16時には帰宅すると夫に伝えている。
この雪質だったら間に合うだろう。
どこから広谷に降りようか。思えば雪のナガオは初めてだった。
三つ目の1030mの小山まで味わおう。おやつを食べて、たおやかな尾根を進んでいく。

広谷から120m登ると、あの台地だ。
雪が重くなり1050mでトラバースの誘惑に駆られるが、台地に立たなければ、と前を向く。
10か月前、びっくりするくらい大きくて凛々しいお姿の武奈ヶ岳に出会い、
無邪気な感動に包まれ、この冬また訪れるのだとこころに決めた地にふたたび立つ。

ふぅ、と息を吐き、武奈ヶ岳を見る。
目に映ったのは、おおきいとか、うつくしいとか、凛々しいとか、そんな概念を超え、
ただ、どこまでもまっしろなお姿で無言で佇む武奈ヶ岳だった。
無言の武奈ヶ岳と無言のわたし。
見つめているうちに、言葉では言い表せないじんわりとした感情が湧き上がってきた。

さぁ、行こうか。夢見たまっ白な雪面を一歩一歩、山頂に向かっていく。
霧氷のブナの木立を抜け、世界は鉛色の空と白い雪面の二色に。
息を切らさぬようゆっくりと空に近づいていく。

正午ちょっと過ぎ、小雪舞う武奈ヶ岳山頂に到着した。
わぁ、と浮き上がった気持ちになるのかな、と思っていたが、
淡々としているわたしに、何だか可笑しくなる。

山頂では、数人の登山者がお昼の休憩を楽しんでいた。
うつくしい雪庇と霧氷の木々に飾られた北稜は、踏み跡ひとつなかった。
あぁ、なんて素敵なのだろう。少し下ってブナの木の下でお昼にしよう。
今度は躊躇いはなかった。勢いよく山上の白い道に飛び込んでいく。
HORIZON_0001_BURST20220210122224340_COVER.JPG
たっぷり降り積もった雪で、北稜は開放感に満ちていた。
霧氷の木立と雪庇の間に立つ一本の若いブナの木の下でお昼ご飯にする。
釣瓶岳からナガオの辿ってきた稜線を眺めながらうれしさに包まれる。

下りは早い。あっという間に細川越に。
ここからスゲ原に降りて谷の風景を味わいながらナガオに登ろうと思っていたが、
こんなにもうつくしい稜線を途中で下ってしまうのがもったいなくなり、
そのまま釣瓶岳へと向かっていく。

釣瓶岳に戻ってきた。
もこもこ雪を被った杉を見て、あぁ、わたしはここに戻りたかったのだ、と胸に痛みを覚える。
風景がぼやけてきた。
DSC_0074.JPG
そろそろ、帰ろうか。白い魔女に捕まった穴をひとつずつ辿る。
その時、ぱぁっと視界が明るくなった。見上げると青空がちょこんと覗いていた。
何かが背中をひっぱった。やっぱり、イクワタ峠に下ろう。また穴をひとつずつ戻っていく。

「わたしの場所」から「わたしの風景」を見つめる。
響かせてきた足音で、風景は幾重にも折り重なり、微かに震えながら光っていた。
わたしの中でくるくるまわってきた比良への旅が映し出されていた。
そして、その奥に薄ぼんやりとしたあたたかな光を感じた。
ある時、比良に出会って以来、続いた旅。これからも続く旅。

煌めく雪稜が呼びかけた。
同時に、刻みたかったライン、煌めきのまん中を、わたしは駆け降りていた。

sato
バーチャリ
記事: 547
登録日時: 2011年3月12日(土) 20:58

Re: 【比良】 比良への旅 わたしへの旅

投稿記事 by バーチャリ »

sato さん 今晩は


雪は無かった。
どきどきしながら向かった林道入り口の、獣柵の扉の横に愛車を停めホッと胸をなでおろす。
昨晩、明日は、あの台地から武奈ヶ岳へ、と決めたものの、駐車地が除雪されていなかったらどうしよう、
と急に心配になりしばらく寝付けなかったのだ。


今年は特に雪が多く特に気を使いますよね。


尾根が広がり自然林になった。
ひと登りして稜線に出ると、春に訪れた時とは別世界の、静まり返った世界がそこにあった。
今日は、鳥の歌う声も木々の囁きも聞こえない。ただただ、しんとした風景が広がっていた。
白い稜線も、まわりの山々も、眼下に広がるうみも、里も、すべてがしんとしていた。


雪の無垢の世界と無雪期とは全然違いますよね。



お気に入りのアセビのピークに着いた。
釣瓶岳北稜には見事な雪庇が張り出していた。山頂付近のブナの木々は霧氷で飾られている。
期待はしていたけれど、胸がじんと熱くなる。こころの中でそっと手を合わせる。


写真を拝見すると雪庇が迫力有りますね。


山頂に着き、ナガオはこっちだな、と、もこもこの雪を被った杉の間を通り抜けようとした時、
ズボッと雪にはまり、あっ、と声を挙げる。
「白い魔女に捕まった!」


「白い魔女に捕まった!」
表現が素晴らしいですね。

正午ちょっと過ぎ、小雪舞う武奈ヶ岳山頂に到着した。
わぁ、と浮き上がった気持ちになるのかな、と思っていたが、
淡々としているわたしに、何だか可笑しくなる。
山頂では、数人の登山者がお昼の休憩を楽しんでいた。
うつくしい雪庇と霧氷の木々に飾られた北稜は、踏み跡ひとつなかった。
あぁ、なんて素敵なのだろう。少し下ってブナの木の下でお昼にしよう。
今度は躊躇いはなかった。勢いよく山上の白い道に飛び込んでいく。


山レコでも今年は 武奈ヶ岳が良く上がってますが
人気なんですね。
風が無くゆっくりランチが出来たのでしょうか?



たっぷり降り積もった雪で、北稜は開放感に満ちていた。
霧氷の木立と雪庇の間に立つ一本の若いブナの木の下でお昼ご飯にする。
釣瓶岳からナガオの辿ってきた稜線を眺めながらうれしさに包まれる。



地形図を見ると釣瓶岳から武奈ヶ岳は距離が有りますが
単独で凄い

下りは早い。あっという間に細川越に。
ここからスゲ原に降りて谷の風景を味わいながらナガオに登ろうと思っていたが、
こんなにもうつくしい稜線を途中で下ってしまうのがもったいなくなり、
そのまま釣瓶岳へと向かっていく。
釣瓶岳に戻ってきた。


細川越と有りますが登り返し有りますね。


その時、ぱぁっと視界が明るくなった。見上げると青空がちょこんと覗いていた。
何かが背中をひっぱった。やっぱり、イクワタ峠に下ろう。また穴をひとつずつ戻っていく。


雪の状況がわかり安心感が違いますよね、



煌めく雪稜が呼びかけた。
同時に、刻みたかったライン、煌めきのまん中を、わたしは駆け降りていた。


お疲れ様でした。
ジオグラフィーを開いて地図で一緒に山旅をしているような気分に成りました :)

 バーチャリ
アバター
わりばし
記事: 1903
登録日時: 2011年2月20日(日) 16:55
お住まい: 三重県津市

Re: 【比良】 比良への旅 わたしへの旅

投稿記事 by わりばし »

おはようございます、satoさん。

尾根が広がり自然林になった。
ひと登りして稜線に出ると、春に訪れた時とは別世界の、静まり返った世界がそこにあった。
今日は、鳥の歌う声も木々の囁きも聞こえない。ただただ、しんとした風景が広がっていた。
白い稜線も、まわりの山々も、眼下に広がるうみも、里も、すべてがしんとしていた。

さすがに地元です。
高島側から入れば、静かな山歩きができますね。


お気に入りのアセビのピークに着いた。
釣瓶岳北稜には見事な雪庇が張り出していた。山頂付近のブナの木々は霧氷で飾られている。
期待はしていたけれど、胸がじんと熱くなる。こころの中でそっと手を合わせる。

今年は比良もすごいですね。
自然に対して手を合わせるのは古代より続く日本人のDNAなんでしょう。
自然には敵わないという深層心理が根付いているんだろうな。
そこから畏敬の念につながっていったのか?


山頂に着き、ナガオはこっちだな、と、もこもこの雪を被った杉の間を通り抜けようとした時、
ズボッと雪にはまり、あっ、と声を挙げる。
「白い魔女に捕まった!」
ふっと、父の笑う声が聞こえた。
小さな頃、何度も語ってくれたナルニア国物語の世界に踏み込んでしまったのか。
山を歩いていると、ふとした時、聞こえてくる父の声。
「脛までのラッセルだったのが、いきなり膝上まで潜って、びっくりしただけ。
魔女に捕まったんじゃないよぉ。女神さまのいたずら。」
こみ上げてくるものをおさえながら、杉の向こうに感じた父に、ぷっ、と頬を膨らませて見せる。

素敵な話です。
男の子家系の我が家では考えられませんが・・
「西の魔女が死んだ」の梨木香歩の世界のようだ・・
鈴鹿を舞台にした「冬虫夏草」でも読み返してみるか。


ふぅ、と息を吐き、武奈ヶ岳を見る。
目に映ったのは、おおきいとか、うつくしいとか、凛々しいとか、そんな概念を超え、
ただ、どこまでもまっしろなお姿で無言で佇む武奈ヶ岳だった。
無言の武奈ヶ岳と無言のわたし。
見つめているうちに、言葉では言い表せないじんわりとした感情が湧き上がってきた。

この感じよくわかります。
ただ、新潟育ちの嫁に言わせると
寒いだけなにの、好んで雪山に行く気持ちがわからない。
と言われます。
:mrgreen:

たっぷり降り積もった雪で、北稜は開放感に満ちていた。
霧氷の木立と雪庇の間に立つ一本の若いブナの木の下でお昼ご飯にする。
釣瓶岳からナガオの辿ってきた稜線を眺めながらうれしさに包まれる。

天気も良くなり
下山の見通しもたち
余裕のランチですね。

そろそろ、帰ろうか。白い魔女に捕まった穴をひとつずつ辿る。
その時、ぱぁっと視界が明るくなった。見上げると青空がちょこんと覗いていた。
何かが背中をひっぱった。やっぱり、イクワタ峠に下ろう。また穴をひとつずつ戻っていく。

白い魔女が呼びましたか?
この感覚を楽しめるのが単独行の味わいです。


煌めく雪稜が呼びかけた。
同時に、刻みたかったライン、煌めきのまん中を、わたしは駆け降りていた。

充実の山歩きのエンディングにふさわしいです。
地元ならではの山歩き、うらやましい限りです。

                       わりばし
sato
記事: 565
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【比良】 比良への旅 わたしへの旅

投稿記事 by sato »

バーチャリさま

こんばんは。
コメントありがとうございます。
雪が大好きなのですが、あんまり降ると出かけられなくなります。
家の近くから眺める雪景色も見飽きることがないのですが、やっぱりお山に分け入りたくなります。
私の車は軽自動車なので、除雪していない道を走るのは勇気が要ります。
普段でもバックが苦手なので、雪道でバックは無理と思ってしまいます。

季節によって、天候によって、その時の自分の心持ちによって、山は、全く違う表情に見えますよね。
雪の季節はトレースのないまっ白な風景を思い描いてしまいます。
無垢の世界・・・夢見てしまいます。

雪庇を見ると胸がときめくのですが、この冬は、私の暮らす地のまわりのお山の雪庇に魅了されています。
雪と風が織り成す造形は、不思議でうつくしく、儚さを感じます。

「白い魔女に捕まった」
一瞬、ほんとうに、そう思いました(笑)。
この時のことを言葉に紡ぎたくて、言葉に残したくて、山旅記を書いていました。

武奈ヶ岳はいいお山だなぁと思います。人気があるのも分かります。
西側の葛川支所、東側のイン谷の駐車場は、休日は満車状態のような。
この日の武奈ヶ岳は小雪が舞っていましたが、風はそれほどでもありませんでした。
山頂より、北稜にこころが移り、少し下ったところでしみじみとした思いに包まれながらお昼ご飯
(パンとチャイだけですが)をいただきました。

釣瓶岳から武奈ヶ岳の距離はそれほどでもないですよ。
くるりと回るコースは、春に1070mの台地を訪れ浮かびました。
東側の広い雪面に足跡を刻んでいくのは楽しかったです。
下から見上げた北稜の雪庇のうつくしさに息を呑みました。途中のブナの木立の雰囲気も素敵でした。

細川越から釣瓶岳へはふたつ小山を越えるのですが、脛ぐらいまでしか潜らなかったので、
思ったよりも早く釣瓶岳に戻りました。
そうですね。ここまで戻り、下山時刻が読め安心感が。
煌めく雪稜を駆け降りた後、もう少し、お山を見つめていたくなり、
アセビのピークでコーヒータイムを楽しみました。
でも、すんなり降りられると思っていたら、甘かったです。
下りの尾根の途中から雪がべちゃべちゃになり、標高600mぐらいからは踏み抜きの連続でした。

バーチャリさん、地図で私と一緒に旅してくださったのですね。
うれしいです。

sato
sato
記事: 565
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【比良】 比良への旅 わたしへの旅

投稿記事 by sato »

わりばしさま

こんばんは。
ここ数年?雪山登山を楽しむ方が増えていますね。比良や鈴鹿の雪のお山は人気がありますね。
でも、賑わうのは限られたコースですね。地図を見ていると静かな山旅がいろいろ浮かんできます。
黒谷、畑、冨坂の集落から、ぷらぷらと歩くのが好きです。トレースに出会ったことはありません。
釣瓶岳は朽木側から登る方が大半だと思います。

日常の風景の中にお山が在り、しあわせだなぁ、と感じます。
ふっと、思い立ってお山に遊びに出かける。
たぶん、私の山歩きで、こころの一番奥深くに訴えてくるものは、
日々見つめるお山の、ちいさな旅で掬い取った小石のような風景なのだろうなぁ、と。
言葉に紡ぎたい衝動に駆られるのも、ちいさな出会いの数々です。

この冬は、比良の山も積雪量が多いです。
白い山を仰ぎ見ると、何を祈るとかいうのではなく、こころの中で手を合わせています。
わりばしさんがおっしゃるように、自然に対して手を合わせるのは古代より続く日本人のDNAなのでしょうね。

「白い魔女」の話、素敵な話と感じてくださり、うれしいです。
まだ字が読めない頃、父が本を開いて私に見せながら語ってくれる時間が好きでした。
ナルニア国物語と、ドリトル先生シリーズと、宮澤賢治の本が大好きでした。
父は毎朝、ナルニア国に行くと言って、トイレの扉の向こうに消えていました。
しばらく帰ってこないとかなしくなり、ドアをドンドンとたたいていました。
クリスマスプレゼントは、父が画用紙に黒マジックで描いた物語の絵が、
使い古しのビジネス靴下の中に入ったものでした。
そんな、ちいさな頃の父と本と私とのいとおしい思い出が、
山を歩いていると、ぱぁーっと、あらたな物語となって、生まれ変わったりします。

わりばしさんが、梨木香歩さんの本がお好きだったとは。
私も全作品は読んでいませんが、梨木香歩さんの「物語」に引き込まれています。
『冬虫夏草』主人公が愛犬ゴローを探しに鈴鹿の山に向かう道中で出会った物語の数々。
胸に響きました。いろいろ考えさせられました。読後、三筋滝を訪れました。
イワナのお宿を探しました。『家守奇譚』も好きです。
『西の魔女が死んだ』は、まだ味わっていません。今度、図書館で借ります!

雪の山を見つめていると、分け入っていると、
ほんとうに、何だろう、言葉に言い表せない感情に襲われます。祈りに繋がるのかな。

お山の、わたしの物語の世界に浸り、間投詞を呟きながら、気の向くままに歩き、好きな場所で休む。
ひとり歩きの深い味わいですね。同行者に「白い魔女が呼んでいるから戻る」なんて言えません(笑)。

うれしさとかなしさの入り混じった気持ちをからだいっぱい感じながら、
煌めく雪稜を駆け降りていました。充実の山歩きでした。
コメントありがとうございました。

sato
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