【台高】錦繍の木屋谷川源流と笹ヶ峰を巡る
Posted: 2021年11月08日(月) 20:19
【日 付】2021年11月3日(水)
【山 域】台高 明神平周辺
【天 候】晴れたり曇ったり
【コース】万才橋8:10---8:50奥山谷出合---9:35鉄砲谷出合---10:40台高主脈稜線---12:00笹ヶ峰13:15---
14:25奥山谷左俣源流三俣---15:10ワサビ谷中間尾根下降点---15:55ワサビ谷二俣---16:35万才橋
台高に足を向けるのは実に2年振りだ。通い慣れた木屋谷川の林道を走っていると、チェーンゲートのところ
で途中で追い抜いた車がやってきた。あ、やっぱり。あめちゃん&あきんちょコンビである。
万才橋の駐車地で用意をしていたら、今度はすごい勢いでランクルが走って来た。今度はわりばしさんだ。
なんともやぶこぎ密度の高い日になった。山上でもまだ出会いがあるかも。
何度となく遡行した木屋谷川本流を見下ろしながら登山道を行く。危なっかしい場所が何か所もある、決して
一般向きとは言えない道である。
奥山谷の出合は水量も少なく飛び石でクリアできたが、水量が多いと苦労するところだ。
本流沿いの踏み跡を辿る。何回か渡渉を余儀なくされるが、さほど靴を濡らすこともなく進んで行ける。
ここですでに1000m近い標高なので、谷筋の紅葉も今が盛りといった風情である。土の季節を選んでもそれぞれ
の美しさがあるが、秋は落葉広葉樹の多いこの山域の、1年で最も豪華絢爛な季節だ。
結構いいペースできたので、空洞になったカツラの大木でひと息入れる。見上げると赤、オレンジ、黄、緑が交
じり合ったなんとも言えない空間が広がっている。
25mほどの段瀑を落とす鉄砲谷の出合に着いた。本流との中間尾根に取り付く。なかなか急な尾根だが効率は
いい。今日は不思議に足が軽いので、この急傾斜も苦にならなかった。
この尾根はシャクナゲが多く、花の時期には美しいピンクの花で飾られる。
登り切ったところがボンサイ平。いい場所なのだが、ここ数年の風害のせいか倒木が多く、雲の多い鈍色の空
と相まって、何か荒涼とした印象を受ける。見渡す限り紅黄葉の森が広がっているはずなのだが、曇り空の下の
紅葉はどす黒い色にしか見えず、ちっとも華やかでないのが残念だ。予報では今日は遅い時間の方が晴れるよう
なので、それを期待して歩こう。
木屋谷の支流の源頭に人影が見えた。それも単独の女性のように見える。こんなところに誰が。尾根の方に来
るでもなく、そのあたりをウロウロしているようだ。キノコを探しているのだろうか。
隣の水無山北東尾根のように最後の激登りもなく、尾根は県境稜線へと吸い込まれて行った。国見山はすぐそ
ばだが山頂に用はないのでカット。明神平へと向かう。
明神平への下りにかかったところで、平の方から人声が流れてきた。それを聞いて平へ下るのをやめ、逃げる
ように奥山谷右俣源流への斜面に歩を進める。別に悪いことをしているわけでもないのに、人のいない方を選ぶ
習性になってしまったのか。
わずかな下りで奥山谷の源流に下り着く。ここからは明神岳北側に伸びる谷を上がる。この谷は広く緩やかで
どこでも歩ける穏やかな谷だ。たまに現れるナメの流れも心地良い。
源頭まで来ると上方から登山道を歩く人の声が聞こえた。明神平から明神岳へのメインストリートである。
予定ではこのあたりか奥山谷左俣の源流あたりでランチにしようと思っていたが、思いのほか順調に来たので時
間が余ってしまう。久しぶりに笹ヶ峰に寄ってみよう。
笹ヶ峰は台高の中でもっとも好きな場所だ。水筒を持って来てないので、赤嵓滝谷の支流の源頭へ下りてラン
チタイムとしよう。
明神岳は山腹のトラバースラインで山頂をカット。登ったとて標高差30mもないのだが、今日はピークハント
回避の日だ。
明神岳と笹ヶ峰の間の稜線は、台高山脈主稜線の中でも最良の部分だと思う。ブナとミズナラの色付きは文句
なく、もう少し日が差せば言うことなしだろう。ただ盛りは少し過ぎていたようである。
西側の木ノ実ヤ塚から薊岳の尾根と山腹を彩る紅黄葉も最高潮だ。
ひと気のない笹ヶ峰三兄弟の長兄ピークに立つ。と言ってもまったく山頂らしくない、広々とした台地である。
前に来た時はここでバッタリとグーさん&ナズナさんコンビに会ったが、さすがに今日はいないようだ。
谷の源頭に下りると日が差してきた。日向ぼっこしながらランチタイムを楽しむ。
明神岳へ引き返す頃には晴れ間が広がり、紅黄葉も輝きを放ち始めた。葉の落ちた時期なら霧に烟る樹林もいい
が、この季節はやはりこうでなくてはいけない。
再び明神岳をトラバースして桧塚奥峰への道に入り、奥山谷左俣の源流へと下って行く。
奥山谷左俣は地形図に現れない小さな谷を含めて、無数の流れを形作って尾根へ吸い込まれて行く。その一つひ
とつが美しく、順番に辿って行きたい誘惑に駆られてしまう。濃密な森と穏やかな渓相は、谷を漂うという気分
にさせてくれる。
もう少し下れば大滝という三俣から南東の谷へ入った。緩やかな谷の南側、登山道のある尾根に向かう斜面と
わずかに水の流れる小谷は、どこを取っても気持ち良く歩けそうである。今日は判官平へ直接出る谷を詰めよう。
20年ほど前にはバリエーションルートで人影も少なかった桧塚奥峰への道も、今ではすっかり人気の登山コー
スになってしまった。
奥峰手前のCa1390mピークに着いたところで大きな声が響いた。この聞き覚えのある声は、4日ほど前にも聞
いたばかりだ。木の間越しの人影に目を凝らすと、果たせるかなグーさんである。
笹ヶ峰では会わなかったが、ここで出会うとは想定外のような、必然のような。姿は見えないがナズナさんも同
行で、違うところを好きなように歩いているらしい。せっかくなので、合流するまで待ってご挨拶。今日はやぶ
こぎネットの台高オールスターチームと出会う日だった。
グーさんご一行と別れて、最短下山ルートのワサビ谷中間尾根を目指す。ここから見る桧塚奥峰の北西斜面は
丸裸状態だ。以前はここまでひどくなかったような気がするのだが、何かあったのだうか。
この尾根は上部はいい樹林を楽しめるが、少し下ると植林地帯に突入する。地図にはないが、山腹を走る林道
があるので、木屋谷川の南側は植林が多いのだ。
谷の水音が聞こえてきた。地図を確認するとひとつ西側の尾根にいるようだ。このまま谷へ下りてもいいかな
と思っていたが、思い直して東側の小谷を越してトラバース、正規の尾根に乗る。
ここで先ほどの谷を見ると、びっくりするような連瀑帯が続いていた。あのまま下りなくて正解だ。奥ワサビ谷
は穏やかな癒し系の谷だと聞いていたのだが。
奥ワサビ谷と口ワサビ谷の二俣には両方とも滝がかかっている。奥ワサビ谷側から巻いて、左岸の踏み跡を探
る。以前来た時はもう少し明瞭だったような気もするが、そこはかとない獣道レベルの踏み跡を辿って下流へ進
んだ。結構際どいトラバースもあって気が抜けない。
このルートは最短ではあっても最速ではなかったようだ。昔の記憶は当てにならないものである。
ワサビ谷大滝の落ち口まで来ればひと安心。流れの横に腰を降ろして最後の一服を味わった。
山日和
【山 域】台高 明神平周辺
【天 候】晴れたり曇ったり
【コース】万才橋8:10---8:50奥山谷出合---9:35鉄砲谷出合---10:40台高主脈稜線---12:00笹ヶ峰13:15---
14:25奥山谷左俣源流三俣---15:10ワサビ谷中間尾根下降点---15:55ワサビ谷二俣---16:35万才橋
台高に足を向けるのは実に2年振りだ。通い慣れた木屋谷川の林道を走っていると、チェーンゲートのところ
で途中で追い抜いた車がやってきた。あ、やっぱり。あめちゃん&あきんちょコンビである。
万才橋の駐車地で用意をしていたら、今度はすごい勢いでランクルが走って来た。今度はわりばしさんだ。
なんともやぶこぎ密度の高い日になった。山上でもまだ出会いがあるかも。
何度となく遡行した木屋谷川本流を見下ろしながら登山道を行く。危なっかしい場所が何か所もある、決して
一般向きとは言えない道である。
奥山谷の出合は水量も少なく飛び石でクリアできたが、水量が多いと苦労するところだ。
本流沿いの踏み跡を辿る。何回か渡渉を余儀なくされるが、さほど靴を濡らすこともなく進んで行ける。
ここですでに1000m近い標高なので、谷筋の紅葉も今が盛りといった風情である。土の季節を選んでもそれぞれ
の美しさがあるが、秋は落葉広葉樹の多いこの山域の、1年で最も豪華絢爛な季節だ。
結構いいペースできたので、空洞になったカツラの大木でひと息入れる。見上げると赤、オレンジ、黄、緑が交
じり合ったなんとも言えない空間が広がっている。
25mほどの段瀑を落とす鉄砲谷の出合に着いた。本流との中間尾根に取り付く。なかなか急な尾根だが効率は
いい。今日は不思議に足が軽いので、この急傾斜も苦にならなかった。
この尾根はシャクナゲが多く、花の時期には美しいピンクの花で飾られる。
登り切ったところがボンサイ平。いい場所なのだが、ここ数年の風害のせいか倒木が多く、雲の多い鈍色の空
と相まって、何か荒涼とした印象を受ける。見渡す限り紅黄葉の森が広がっているはずなのだが、曇り空の下の
紅葉はどす黒い色にしか見えず、ちっとも華やかでないのが残念だ。予報では今日は遅い時間の方が晴れるよう
なので、それを期待して歩こう。
木屋谷の支流の源頭に人影が見えた。それも単独の女性のように見える。こんなところに誰が。尾根の方に来
るでもなく、そのあたりをウロウロしているようだ。キノコを探しているのだろうか。
隣の水無山北東尾根のように最後の激登りもなく、尾根は県境稜線へと吸い込まれて行った。国見山はすぐそ
ばだが山頂に用はないのでカット。明神平へと向かう。
明神平への下りにかかったところで、平の方から人声が流れてきた。それを聞いて平へ下るのをやめ、逃げる
ように奥山谷右俣源流への斜面に歩を進める。別に悪いことをしているわけでもないのに、人のいない方を選ぶ
習性になってしまったのか。
わずかな下りで奥山谷の源流に下り着く。ここからは明神岳北側に伸びる谷を上がる。この谷は広く緩やかで
どこでも歩ける穏やかな谷だ。たまに現れるナメの流れも心地良い。
源頭まで来ると上方から登山道を歩く人の声が聞こえた。明神平から明神岳へのメインストリートである。
予定ではこのあたりか奥山谷左俣の源流あたりでランチにしようと思っていたが、思いのほか順調に来たので時
間が余ってしまう。久しぶりに笹ヶ峰に寄ってみよう。
笹ヶ峰は台高の中でもっとも好きな場所だ。水筒を持って来てないので、赤嵓滝谷の支流の源頭へ下りてラン
チタイムとしよう。
明神岳は山腹のトラバースラインで山頂をカット。登ったとて標高差30mもないのだが、今日はピークハント
回避の日だ。
明神岳と笹ヶ峰の間の稜線は、台高山脈主稜線の中でも最良の部分だと思う。ブナとミズナラの色付きは文句
なく、もう少し日が差せば言うことなしだろう。ただ盛りは少し過ぎていたようである。
西側の木ノ実ヤ塚から薊岳の尾根と山腹を彩る紅黄葉も最高潮だ。
ひと気のない笹ヶ峰三兄弟の長兄ピークに立つ。と言ってもまったく山頂らしくない、広々とした台地である。
前に来た時はここでバッタリとグーさん&ナズナさんコンビに会ったが、さすがに今日はいないようだ。
谷の源頭に下りると日が差してきた。日向ぼっこしながらランチタイムを楽しむ。
明神岳へ引き返す頃には晴れ間が広がり、紅黄葉も輝きを放ち始めた。葉の落ちた時期なら霧に烟る樹林もいい
が、この季節はやはりこうでなくてはいけない。
再び明神岳をトラバースして桧塚奥峰への道に入り、奥山谷左俣の源流へと下って行く。
奥山谷左俣は地形図に現れない小さな谷を含めて、無数の流れを形作って尾根へ吸い込まれて行く。その一つひ
とつが美しく、順番に辿って行きたい誘惑に駆られてしまう。濃密な森と穏やかな渓相は、谷を漂うという気分
にさせてくれる。
もう少し下れば大滝という三俣から南東の谷へ入った。緩やかな谷の南側、登山道のある尾根に向かう斜面と
わずかに水の流れる小谷は、どこを取っても気持ち良く歩けそうである。今日は判官平へ直接出る谷を詰めよう。
20年ほど前にはバリエーションルートで人影も少なかった桧塚奥峰への道も、今ではすっかり人気の登山コー
スになってしまった。
奥峰手前のCa1390mピークに着いたところで大きな声が響いた。この聞き覚えのある声は、4日ほど前にも聞
いたばかりだ。木の間越しの人影に目を凝らすと、果たせるかなグーさんである。
笹ヶ峰では会わなかったが、ここで出会うとは想定外のような、必然のような。姿は見えないがナズナさんも同
行で、違うところを好きなように歩いているらしい。せっかくなので、合流するまで待ってご挨拶。今日はやぶ
こぎネットの台高オールスターチームと出会う日だった。
グーさんご一行と別れて、最短下山ルートのワサビ谷中間尾根を目指す。ここから見る桧塚奥峰の北西斜面は
丸裸状態だ。以前はここまでひどくなかったような気がするのだが、何かあったのだうか。
この尾根は上部はいい樹林を楽しめるが、少し下ると植林地帯に突入する。地図にはないが、山腹を走る林道
があるので、木屋谷川の南側は植林が多いのだ。
谷の水音が聞こえてきた。地図を確認するとひとつ西側の尾根にいるようだ。このまま谷へ下りてもいいかな
と思っていたが、思い直して東側の小谷を越してトラバース、正規の尾根に乗る。
ここで先ほどの谷を見ると、びっくりするような連瀑帯が続いていた。あのまま下りなくて正解だ。奥ワサビ谷
は穏やかな癒し系の谷だと聞いていたのだが。
奥ワサビ谷と口ワサビ谷の二俣には両方とも滝がかかっている。奥ワサビ谷側から巻いて、左岸の踏み跡を探
る。以前来た時はもう少し明瞭だったような気もするが、そこはかとない獣道レベルの踏み跡を辿って下流へ進
んだ。結構際どいトラバースもあって気が抜けない。
このルートは最短ではあっても最速ではなかったようだ。昔の記憶は当てにならないものである。
ワサビ谷大滝の落ち口まで来ればひと安心。流れの横に腰を降ろして最後の一服を味わった。
山日和