【若狭】先端への山旅 久須夜ヶ岳から老人礁に向かった先で見えたもの

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sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

【若狭】先端への山旅 久須夜ヶ岳から老人礁に向かった先で見えたもの

投稿記事 by sato »

【日 付】 2021年10月14日(木)
【山 域】 若狭
【天 候】 晴れ
【メンバー】Kさん sato
【コース】 久須夜ヶ岳展望台~・544~・125~標高10m余り滝の上
      ~対岸の尾根~展望台

「なんて、素晴らしい景色なのだろう!」
この秋、三つ目の先端への旅は絶景から始まった。
標高590m、久須夜ヶ岳展望台からの眺望は想像以上のものだった。
山歩きの準備を整えるのも忘れ、海と陸と空が織りなす妙なる自然の造形を食い入るように見つめる。
青空を覆うように浮かぶ灰色の雲の隙間から射しこんだ光が、風景になんともいえない陰影を与え、
八百万の神が御座す神話の世界を覗いているような気分になる。
展望台からの景色
展望台からの景色
「あれが獅子ヶ崎」Kさんの声に現実に戻る。
指差す先には、巨大ナメクジのような黒崎半島が鏡のような海の上に突き出ていた。
触角はびっくりの険しさだ。手前は黒崎、奥が獅子ヶ崎。胸にきゅっとした心地よい痛みを覚える。
先月、膝下の怪我の痛みが和らぎ、ワクワクしながら向かった獅子ヶ崎で感じた清々しさを、
からだはしっかりと記憶している。

今回は、海のまん前に降り立つことは出来るのかな。ヤブや岩に阻まれずに進めるかな。
到達点にはどんな風景が待っているのかな。
ちいさなちいさな岬で感じた清々しい諦めが、さあ、と、絶景を前に佇むわたしたちを出発へといざなう。

日本地図を広げると、越前岬から丹後半島経ヶ岬にかけて日本海がぐいと入りこみ、
大きな湾になっているのに目が留まる。
若狭湾だ。湾内にはさらに数かずの湾が入りこみリアス式海岸を形成している。
このギザギザした海岸線上に並ぶ大小さまざまな半島、岬の面白い地形への旅を続けていらっしゃるKさんと、
今日は、老人礁という変わった名前の岬へと向かうのだ。
煌めく到着点
煌めく到着点
車道を少し戻り、・544の尾根に入る。
穏やかな広葉樹の森に出迎えられ、うん、いい感じ、とうれしくなる。
と同時に、ずるっと滑ってしまいびっくりする。足に力が入っていなかったのだ。
今までは数週間歩かなくても何ともなかったのに。毒でからだが疲れてしまったようだ。
これ以上怪我をしてはいけない。
麻痺のある右手は掴む動作は可能。木の幹を掴みながらゆっくりと下っていく。

ヤブの無いすっきりとした尾根が続いていく。下るにつれて常緑樹が増えてくる。
何の樹なのだろう。ずっしりとした風格のある樹が、先端へと向かうわたしたちを、
どこか山深いところに迷い込んでしまったような気持ちにさせる。

緑の森歩き。海に近づいているのに海を近くに感じないなぁ、と思っていると、
いきなり左側の斜面が切れ落ち、尾根が細くなり、青い空、青い海が目に飛び込んできた。
劇的な風景の移り変わり。わぁっと高揚感が高まる。
・125に登り、さて、どう進みましょうか、と地図を見る。
尾根を進むと断崖絶壁。海に近づける可能性は谷からだ。
前回の多祢寺山から北へ先端への輝く山旅でも経験している。

でも、せっかくだから尾根を行けるところまで進み、トラバースしましょう、ということに。
地面が無くなる少し手前で、木に抱きつきながらズトンと切れ落ちた断崖を想像し、
そろそろと斜面をトラバースし、ちいさな谷に出る。
すぐ先には青い青い海。さあ、どこまで近づけるのだろう。

「あぁ、駄目だった」Kさんのちょっと残念そうな声が聞こえた。
谷の最後は岩盤。Kさんの横に立つと、足元の先はまっすぐに流れ落ちるちいさな滝になっていた。
滝の下は、青く透明な水が静かに打ち寄せる猫の額ほどの砂利浜。
このちっちゃな浜から、海はどんなふうに見えるのだろう。どんな気分になるのだろう。
降りられるかな。無理かな。諦めよう。

「あぁ、残念」と言いながら微笑んでいた。

谷が開けた先には白く煌めく段状の岩盤広場。
その滑らかな岩盤の間を、山から生まれた水が、さらさらと海へと吸い込まれていく・・・。
地図からは想像できない地形、想像できない光景には度々出会うが、
多祢寺山の山旅での夢のような地形の先端に出会い、さらにそこに立つことが出来るのは、
旅を続ける中で、ふっと訪れる、ひとつの輝きの瞬間なのだ。

笑いながら、独標50mに辿り着けなかった獅子ヶ崎で感じたのと同じ清々しさに包まれていた。
あきらめるのはあきらかにみること。
今、ここに在るわたしをあきらかに感じる。青い青い海を目の前に、標高10m余りで感じる清々しい諦め。
足元のすぐ先に未知の世界を感じる胸のときめき。なんて素敵な体験なのだろう。

朝の灰色の雲はいつの間にか流れゆき、澄み渡った空には様々な形のまっしろな雲が湧き上がっている。
どこまでも広がる青い空、青い海、白い雲。
未知の世界を感じるわたしのこころもどこまでも広がっていく。
思い出深い常神半島を眺める
思い出深い常神半島を眺める
煌めく到達点で、Kさんと味わった数々の風景が折り重なる日本海を眺め、
思い出話に花を咲かせながらのお昼ご飯。
ひとつの山旅で出会った思いがけない風景が、つぎの旅への想像を掻き立て、
こうしてあらたな風景への出会いへと繋がっていくのだなぁ、としみじみと思う。

まだ、時間は早いが登りは何があるか分からない。
多祢寺山の時は、行きはよいよい帰りはこわい、シダのヤブに捕まった。去り難いが腰を上げる。
帰りの右岸尾根には、谷の中を少し進み、北に出た緩い尾根で向かうことにする。

そう、思いがけない光景との出会いは突然やってくる。
雑木林の中に浮かぶ石積み。なんと炭焼き窯の跡だった。
こんなところにどうして。どこから来た人が作ったのだろう?
焼いた炭は、どこに、どうやって運んだのだろう?興奮に包まれる。
ぱぁっと、風景が奥行きを増していく。

帰りの尾根もヤブの無いすっきりとした尾根だった。
途中からは道型も現れ、調子よく登っていく。
謎の炭焼き窯について、あれこれお話しているうちに車道に出た。

展望台に戻り、出発前に見入っていた風景をぐるりと見渡す。
青い海から続いていく緑のお山の中に、集落と集落を結ぶ道、峠道と峠を横切る尾根道、先端への道・・・
Kさんと辿った道が光の筋のように浮かび上がる。
ひとつひとつの道から、わたしの道が伸びていくのを感じる。
わたしが在る限り、次つぎと繋がっていく世界を感じ、胸が熱くなる。
帰ったら、宇久と堅海の歴史を調べよう。どんな想像が膨らんでいくのだろう。
未知の世界を感じどきどきする。

sato
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クロオ
記事: 467
登録日時: 2011年2月20日(日) 09:08
お住まい: 愛知県海部郡大治町
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Re: 【若狭】先端への山旅 久須夜ヶ岳から老人礁に向かった先で見えたもの

投稿記事 by クロオ »

sato さん、こんにちは。


【若狭】先端への山旅 久須夜ヶ岳から老人礁に向かった先で見えたもの
【コース】 久須夜ヶ岳展望台~・544~・125~標高10m余り滝の上~対岸の尾根~展望台


久須夜ヶ岳、今年の9月下旬に行きました。
私は、一般道を下って蘇洞門(そとも)に行きました。
 
IMG_7497.jpg
 
IMG_7523.jpg
 
sato さんのレポを読んで、真っ先に思ったことは、
9月に蘇洞門に行こうと思ったとき、私には、ここでは、一般道を通って蘇洞門に行くことしか頭に無く、
ここでもバリルートで歩くことが楽しめる、楽しんでいる人がいる、ということでした。
目からウロコでした。


「なんて、素晴らしい景色なのだろう!」
この秋、三つ目の先端への旅は絶景から始まった。
標高590m、久須夜ヶ岳展望台からの眺望は想像以上のものだった。
山歩きの準備を整えるのも忘れ、海と陸と空が織りなす妙なる自然の造形を食い入るように見つめる。


駐車場には、たくさん車やバイクがエンゼルラインを登ってきていて、皆さん、景色を見ていました。
もちろん、自分も、何枚も写真を撮りました。

昔、常神半島の先端にある常神漁港に、よく釣りに行ったので、特に、常神半島には感じるものがありました。
当時は、ほとんど釣りをする人はまばらで、のんびり釣りができたのですが、最近は、釣りをする人が増えて、行かなくなりました
 
IMG_7538.jpg
 

「あれが獅子ヶ崎」Kさんの声に現実に戻る。
指差す先には、巨大ナメクジのような黒崎半島が鏡のような海の上に突き出ていた。
触角はびっくりの険しさだ。手前は黒崎、奥が獅子ヶ崎。胸にきゅっとした心地よい痛みを覚える。


その時は、黒崎半島は、全く認識が無かったです。
sato さんのレポを読んで、地図を見て、自分の写した写真を確認すると、ちゃんと写っていました。
機会があったら、意識して眺めてみるか、地図上では道があるので行って確かめてみたい気がします。
ロードバイクで走れそうな気もします。


今回は、海のまん前に降り立つことは出来るのかな。ヤブや岩に阻まれずに進めるかな。
到達点にはどんな風景が待っているのかな。
ちいさなちいさな岬で感じた清々しい諦めが、さあ、と、絶景を前に佇むわたしたちを出発へといざなう。


一般道は、途中まで尾根道で、途中から斜面を降りていきます。
ほとんど、整備されていました。
尾根は、ヤブは無さそうに感じましたが、斜面は、ほとんどヤブのようでした。


ヤブの無いすっきりとした尾根が続いていく。下るにつれて常緑樹が増えてくる。
何の樹なのだろう。ずっしりとした風格のある樹が、先端へと向かうわたしたちを、
どこか山深いところに迷い込んでしまったような気持ちにさせる。


一般道には、椿の木がたくさんありました。


緑の森歩き。海に近づいているのに海を近くに感じないなぁ、と思っていると、
いきなり左側の斜面が切れ落ち、尾根が細くなり、青い空、青い海が目に飛び込んできた。
劇的な風景の移り変わり。わぁっと高揚感が高まる。
・125に登り、さて、どう進みましょうか、と地図を見る。
尾根を進むと断崖絶壁。海に近づける可能性は谷からだ。
前回の多祢寺山から北へ先端への輝く山旅でも経験している。

でも、せっかくだから尾根を行けるところまで進み、トラバースしましょう、ということに。
地面が無くなる少し手前で、木に抱きつきながらズトンと切れ落ちた断崖を想像し、
そろそろと斜面をトラバースし、ちいさな谷に出る。
すぐ先には青い青い海。さあ、どこまで近づけるのだろう。


蘇洞門でも、いままで、展望のない樹林の中を降りてきて、海が目の前に飛び込んできて感動しました。
海がかなり下にあり、結構、高度感がありました。
 
IMG_7479.jpg
 
遠くに、原発が見える!!
遠くに、原発が見える!!
 
違いは、蘇洞門では、そこから海辺まで、コンクリートでできた立派な階段が続きます。
 
IMG_4838.JPG
 
IMG_7522.jpg
 

まだ、時間は早いが登りは何があるか分からない。
多祢寺山の時は、行きはよいよい帰りはこわい、シダのヤブに捕まった。去り難いが腰を上げる。
帰りの右岸尾根には、谷の中を少し進み、北に出た緩い尾根で向かうことにする。

帰りの尾根もヤブの無いすっきりとした尾根だった。
途中からは道型も現れ、調子よく登っていく。
謎の炭焼き窯について、あれこれお話しているうちに車道に出た。


ここの登山は、行きと帰りが反対ですね。
行きは、下るばかりだけど、帰りは、標高差600mくらい登り返さないといけない。
累積だと、もっと。


展望台に戻り、出発前に見入っていた風景をぐるりと見渡す。
青い海から続いていく緑のお山の中に、集落と集落を結ぶ道、峠道と峠を横切る尾根道、先端への道・・・


私は、出発前は、ほとんど風景が眼中になく、
帰ってきてから、眺めました。
写真を、何枚も撮りました。

あと、何の展望も無い、アンテナばかりの久須夜ヶ岳山頂に、とぼとぼ、ピークハントです。
 
IMG_6398.JPG
 
sato さんのレポで、今更ながら地図を見る楽しみが増えました。

                        クロオ
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【若狭】先端への山旅 久須夜ヶ岳から老人礁に向かった先で見えたもの

投稿記事 by sato »

クロオさま

こんばんは。
お返事が遅くなり申し訳ありません。
クロオさん、この秋、蘇洞門に行かれたのですね。素敵なお写真に見入ってしまいました。
絶景ですね。訪れたいと思っているのですが、一層気持ちが高まりました。
旅情を誘うコメントありがとうございます。

久須夜ヶ岳がそびえる内外海半島の北半分は断崖絶壁が続いています。
海から眺めたら迫力のある光景なのでしょうね。その中で、ひと際、光を放つのが蘇洞門なのですね。
海へと流れ落ちる白糸の滝、大門小門、ギザギザの海食崖・・・地図を見ただけで素晴らしい景観と感じます。
その胸躍らせる風景に出会いに、海からではなく、山から向かうには・・・。
断崖絶壁には階段が付けられているのですね。
階段のおかげで海のまん前に降り立つことが出来るのですね。

いつだったか忘れてしまいましたが、Kさんから蘇洞門の素晴らしさをお聞きしました。
その時、近くに老人礁という面白い名前の岬があり、そこなら降りられそう、というお話が出ました。
私も目からウロコでした。地図を読む楽しさ、地図から始まる自由な山歩きにどきどきしました。
是非ご一緒させてください、とお願いしました。
そして、先月、実現したのでした。

久須夜ヶ岳展望台駐車場からの眺めは素晴らしいですね。
クロオさんは海釣りも楽しまれるのですね。常神漁港は人気のある釣り場なのですね。
私も常神半島を眺めながら、感じるものがありました。
細長い半島の稜線を、Kさんと二回に分けて歩きました。
道路が出来るまで常神、神子の集落の人々は、船に乗るか、稜線を歩いて塩坂越に向かったそうです。
常神、神子、小川、遊子という不思議な響きの各集落から登った稜線の入り口辺りには、石仏が祀られていました。
後半は、Kさんのご友人と三人で、桜の季節に訪れたのですが、
山肌をピンク色に染める「神子の桜」が、それはそれは見事でした。

黒崎半島も面白いですよ。大浜から二度味わいました。
一度目は、食見と須ノ浦を結ぶ峠を訪れ、二度目は、獅子ヶ崎を目指しました。稜線は道があります。
林道は黒崎展望台から東側は通行止めになっています。
私たちは獅子ヶ崎で、△293.7の北斜面が崩落しているのを見ましたので、
獅子ヶ崎分岐点から少し進んだ地点から尾根に乗りました。

大好きな山歩き。運動機能が落ちるにつれ、出来なくなることが増えていくのかな、
と思いがちですがそうではないのですね。
Kさんとご一緒させていただく中で、限りなく広がっていく世界を感じています。
日本やアジアのあちこちの山を夢見て旅していた頃、
岩稜が楽しくてアルプスのバリエーションルートに魅了されていた頃より、
広く深い山の世界、自由な山歩きを感じているような・・・。
宮本常一の言葉ですが
「見るということはいたって簡単な行為であるが、その見方には無限のひろがりと深さがある」のですね。
先端への山旅は、子供の頃に感じた、目の前の未知の世界への冒険心と重なり合うのを感じます。
山歩きはほんとうに面白いですね。

sato
バーチャリ
記事: 547
登録日時: 2011年3月12日(土) 20:58

Re: 【若狭】先端への山旅 久須夜ヶ岳から老人礁に向かった先で見えたもの

投稿記事 by バーチャリ »

sato さん こんばんは


「なんて、素晴らしい景色なのだろう!」
この秋、三つ目の先端への旅は絶景から始まった。
標高590m、久須夜ヶ岳展望台からの眺望は想像以上のものだった。


久須夜ヶ岳展望台 調べたら展望台まで車でいけるのですね。


「あれが獅子ヶ崎」Kさんの声に現実に戻る。
指差す先には、巨大ナメクジのような黒崎半島が鏡のような海の上に突き出ていた。


次は黒崎半島


今回は、海のまん前に降り立つことは出来るのかな。ヤブや岩に阻まれずに進めるかな。
到達点にはどんな風景が待っているのかな。
ちいさなちいさな岬で感じた清々しい諦めが、さあ、と、絶景を前に佇むわたしたちを出発へといざなう。



仲間と一緒ですと未知の世界 ワクワクしますね。


日本地図を広げると、越前岬から丹後半島経ヶ岬にかけて日本海がぐいと入りこみ、
大きな湾になっているのに目が留まる。


そうそう OKUちゃんも先日 satoさん と一緒で国土地地理院の地形図を持ち歩いて見えました。


車道を少し戻り、・544の尾根に入る。
穏やかな広葉樹の森に出迎えられ、うん、いい感じ、とうれしくなる。


地形図を見ながらのレスでがバリルートで行かれるのですね。


と同時に、ずるっと滑ってしまいびっくりする。足に力が入っていなかったのだ。
今までは数週間歩かなくても何ともなかったのに。毒でからだが疲れてしまったようだ。
これ以上怪我をしてはいけない。
麻痺のある右手は掴む動作は可能。木の幹を掴みながらゆっくりと下っていく。


ホントですよ 怪我しない様 気を付けてくださいよ。


笑いながら、独標50mに辿り着けなかった獅子ヶ崎で感じたのと同じ清々しさに包まれていた。
あきらめるのはあきらかにみること。
今、ここに在るわたしをあきらかに感じる。青い青い海を目の前に、標高10m余りで感じる清々しい諦め。
足元のすぐ先に未知の世界を感じる胸のときめき。なんて素敵な体験なのだろう。


無理して突破して怪我するよりも
安全登山が第一ですよね。


そう、思いがけない光景との出会いは突然やってくる。
雑木林の中に浮かぶ石積み。なんと炭焼き窯の跡だった。
こんなところにどうして。どこから来た人が作ったのだろう?
焼いた炭は、どこに、どうやって運んだのだろう?興奮に包まれる。
ぱぁっと、風景が奥行きを増していく。


鈴鹿でも良く見かけますが
険しい山で炭をどうやって運ぶのだろうと思いますよね。


展望台に戻り、出発前に見入っていた風景をぐるりと見渡す。
青い海から続いていく緑のお山の中に、集落と集落を結ぶ道、峠道と峠を横切る尾根道、先端への道・・・
Kさんと辿った道が光の筋のように浮かび上がる。
ひとつひとつの道から、わたしの道が伸びていくのを感じる。
わたしが在る限り、次つぎと繋がっていく世界を感じ、胸が熱くなる。
帰ったら、宇久と堅海の歴史を調べよう。どんな想像が膨らんでいくのだろう。
未知の世界を感じどきどきする。


次つぎはどこの半島でしょうか?
お疲れ様でした。

  バーチャリ
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【若狭】先端への山旅 久須夜ヶ岳から老人礁に向かった先で見えたもの

投稿記事 by sato »

バーチャリさま

こんばんは。
若狭のお山は、バーチャリさんのお住まいからは遠いですね。
地図をご覧になりながらのコメントありがとうございます!

そうなのです。久須夜ヶ岳は山頂直下まで車で行けるのです。
1972年にエンゼルラインという名前の有料道路として開通し、2002年に無料化されたそうです。
内外海半島そのものの久須夜ヶ岳は、道路や電波塔が出来る前は神聖さ漂うお山だったのだろうなぁと感じます。


黒崎半島の獅子ヶ崎はとっても面白い岬です。
ちょこっと突き出た岬ですがワクワクドキドキの世界を感じます。
お隣の黒崎は、わたしたちには足を踏み入れることの出来ない世界、と獅子ヶ崎から眺めて諦めました。
クライマーは突破出来るかな?

そうですね。未知の世界への旅は、思いや感動を共有出来る同行者の存在が、
その旅を、よりゆたかなものにしてくれますね。

オクちゃんの地形への情熱、地形への旅、素敵ですね。
ニコニコ顔で?ヤブをかき分けながら、山の奥の、そのまた奥まで向かっていっているのですよね。
凄すぎます。
オクちゃんは、1:25、000地形図を使っているのですね。
今は、パソコンで地理院地図をコピー出来ますが、私もやっぱり紙地図が好きです。
地図を開いて読むのが好きです。
でも、沢山旅の時はコピーを見ています。

歩き始めに、いきなりずるっと滑ったらびっくりしますよね。
ひと月くらい、下りで足をぎゅっと踏ん張れないような感じが続きました。
山を楽しむには、お山の声、からだの声を聞くことが大切ですね。
大丈夫かな、と迷ったら、すっと諦めます。そう、安全登山が第一。

鈴鹿の山中では炭焼き窯の跡をよく見かけますね。鉱山跡も。
内外海半島にも鉱山があったのを知りました。西端の松ヶ崎に。
戦時中、盛んに採掘されていたそうです。

地図を見ていると、訪れてみたい半島や岬がいくつも浮かび上がってきます。
一方、紅葉のお山も気になります。雪の便りを聞いたら雪山モードになるのでしょうね。
ゆたかなお山の世界を考えるだけでワクワクします。

sato
アバター
クロオ
記事: 467
登録日時: 2011年2月20日(日) 09:08
お住まい: 愛知県海部郡大治町
連絡する:

Re: 【若狭】先端への山旅 久須夜ヶ岳から老人礁に向かった先で見えたもの

投稿記事 by クロオ »

sato さん、こんにちは。


クロオさんは海釣りも楽しまれるのですね。常神漁港は人気のある釣り場なのですね。


山歩きをする前は、海釣りばかりしていました。
クロ鯛も結構、釣りました。
いちばん釣ったのは、カレイ。

常神漁港では、アジやアオリイカを釣りました。最近は、あまり釣れないようです。
仮眠しながら、朝まで居ると、早朝、漁師が定置網を引き上げて帰ってきて、さかなを漁港で格安で分けてくれるので、よく買って帰りました。


私も常神半島を眺めながら、感じるものがありました。
細長い半島の稜線を、Kさんと二回に分けて歩きました。


釣りの帰りに、常神のソテツから、灯台に登ったことがあります。


道路が出来るまで常神、神子の集落の人々は、船に乗るか、稜線を歩いて塩坂越に向かったそうです。
常神、神子、小川、遊子という不思議な響きの各集落から登った稜線の入り口辺りには、石仏が祀られていました。


陸の孤島ですね。
道路が崩落で、しばらく通れなかったことがありました。
ほんと、不思議な響きの集落です。


後半は、Kさんのご友人と三人で、桜の季節に訪れたのですが、
山肌をピンク色に染める「神子の桜」が、それはそれは見事でした。


見たことないので、今度、是非、桜の季節に行ってみたいと思います。


黒崎半島も面白いですよ。大浜から二度味わいました。
一度目は、食見と須ノ浦を結ぶ峠を訪れ、二度目は、獅子ヶ崎を目指しました。稜線は道があります。
林道は黒崎展望台から東側は通行止めになっています。

私たちは獅子ヶ崎で、△293.7の北斜面が崩落しているのを見ましたので、
獅子ヶ崎分岐点から少し進んだ地点から尾根に乗りました。


実は、月曜日に行ってきました。
以下は、その様子です。


野坂の甲森谷を歩こうか?、風力発電の工事が始まったようなので見に行こうか?、迷う。
しかしながら、黒崎半島の林道、登山道を確認したい気持ちの方が強い。
とりあえず、「国立若狭湾青少年自然の家」に寄ってみた。

 
IMG_8603.JPG
 

ここの事務所で、黒崎半島のことを、お聞きする。
地図(国土地理院の地図ベースのハイキングマップ、と、イメージ地図)をくださり、丁寧に説明してくださる。

 
map303M.jpg
 
map302M.jpg
 

せっかくなので、歩いてみることにした。

緊急連絡用のトランシーバーまで貸してくださる。
というか、持たされる。

 
IMG_8319.jpg
 

まず、海岸を北に進む。
立派な桟橋がある。
その先は、立派な鉄橋でできた「なぎさ遊歩道」が続く。
樹林に入ると、吊橋があり、「岩の沢」で「自然歩道」に合流する。
自然歩道は、道幅3mはある、半島の周回道だ。

自然歩道を、黒崎の付け根にある、「沖の石歌碑」まで行く。
自然歩道は、ほとんど展望はない。
登り傾斜があり、少しずつ登って行く。
特に「魚見坂」は、少し傾斜がきつい。

歌碑のところには、「見晴台」がある。
目の前の木が、伐採してあり、展望が見える。
真っ青な海原が広がる。
ただ、残念ながら、伐採の幅が限られているので、内外海半島も、常神半島も、完全には見えない。
 
ちなみに、歌は、百人一首の「わが袖は 潮干(しほひ)に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし」が刻まれていた。

 
IMG_8383.jpg
 

ここから、黒崎への尾根は、樹林で、道はないが、下草はない。
比較的簡単に歩けそうだが、今日はやめておく。

ここから、来た道を引き返そうか、迷う。
まだ、10時過ぎだったので、そのまま進む。
しばらくで分岐があるが、食見への周回道は通行止めになっている。
「こもれびの丘」に向かってなだらかに登る。

「つばき尾根」を進み、「太陽の丘」で分岐。
北に向かって「展望コース」が下って行く。
行こうか迷うが、展望を見たいので、そちらに下る。
道は、かなりの激下りだが、樹脂製の木で、階段が整備されている。

しばらくで、左側が大きく崩れた斜面に出る。
展望が開ける。
真っ青な海原。
左には、獅子ヶ崎。
荒々しい岩の峰が海に伸びている。
正面には、少し遠くに、常神半島が見える。

 
IMG_9697.jpg
 
IMG_9712.jpg
 
IMG_9699.jpg
 

展望コースの終点には「休憩所」の東屋があるらしい。
せっかくなので、行ってみる。
階段がきれいに整備されている。
どんどん下る。

休憩所からの展望を期待したが、全くの樹林の中だった。
碑にあった写真では、展望が書かれていたので、作られたときは展望があったのかもしれない。
こんなことなら、下るのではなかった。
今、下りて来た階段を、登り返す。

太陽の丘まで、登り返し、「パノラマの丘」を過ごし、「チャレンジコース」で下る。
激下り。
足場はよくないが、延々と、ロープが張ってある。
ロープにつかまりながら、激下る。

道路を歩いて青少年自然の家に戻ってもよかった。
再び、海岸をあるいてみたく、自然歩道を岩の沢に進む。

桟橋まで戻ると、人が大勢いた。50人くらい。
愛知県から来た中学生のようだ。
大きなボート2曹に乗り込んで、オールを漕ぐ体験学習のようだ。
どんどん、沖へ出て、周回した。

自然歩道は、歌碑から展望コース休憩所まで、通行止め。
作られたときは、コンクリート舗装だったかもしれないが、荒れてしまっている。
残念ながら、ロードバイクでの走行は無理。

 

宮本常一の言葉ですが
「見るということはいたって簡単な行為であるが、その見方には無限のひろがりと深さがある」のですね。
先端への山旅は、子供の頃に感じた、目の前の未知の世界への冒険心と重なり合うのを感じます。

 
みるという漢字は、「見る」「観る」「視る」「診る」「看る」があるらしい。
違いは、よく分かりませんが、何に着眼するか?ですね。難しいです。

                        クロオ
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【若狭】先端への山旅 久須夜ヶ岳から老人礁に向かった先で見えたもの

投稿記事 by sato »

クロオさま

こんばんは。
お返事ありがとうございます。
海釣りに夢中になられていた時期があったのですね。カレイ釣りですか。
ペラリとしたカレイを釣り上げる瞬間を想像しました。面白そう。

常神漁港ではお魚を買えるのですね。朝の漁港の風景を見てみたいです。
海と山に迫られたわずかな土地にぎっしりと立ち並ぶ家々。迷路のような細い路地。
常神の集落の風景が好きです。
天然記念物のソテツは、私も見に行きました。遊びに来てくれた父と一緒に。

常神半島は集落の名前も不思議ですが、三角点の名称も不思議です。
ミアン、梅大平。象首山という名前のお山も。想像力を掻き立てられます。
ずっと気になっている場所があり、わたしの中で訪れる日が来るのを待っています。

びっくりしました。
クロオさん、月曜日に黒崎半島を歩かれてきたとは。
青少年自然の家で地図を下さるのですね。
林道や尾根上で標識を見ましたが、こんなに登山コースがあったのですね。
食見から・175の下までは自然歩道になっているのですね。
食見の先の谷に建物マークがあるのが気になっています。
獅子ヶ崎、かっこいいですね。荒々しいですね。
9月に訪れた時、私たちもチャレンジコースを下りました。
そう、急こう配の滑る道。この道は学校登山で歩くのは怖いと思いました。

クロオさん、レポありがとうございます。半島の状況が分かりました。

みるという漢字は、「見る」「観る」「視る」「診る」「看る」があるのですね。
そうですね。何に着眼するか。目に映るものの奥に何を感じるか。
目に映っているそのものに繋がるもの、繋がっていくものをどう感じるか・・・。
私たちは、いろんなものをいろんな見方をして、いろんなことを感じるのですね。

宮本常一が提唱した「あるくみるきく」
私の旅のテーマになっています。

クロオさん、ロードバイクを乗られるのですね。
釣り、バラ、そしてロードバイクへの眼差し。
私には見えないものを、クロオさんは「見て」、「感じて」いらっしゃるのですね。

紅葉の甲森谷は味わい深いですね。風力発電の工事が始まったのですね。
高屋山から大白木山の途中の伐採地を見ながら、
あのブナの立ち並ぶうつくしい稜線の変わり果てた姿を想像してしまい、かなしくなりました。

sato
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