【奥越】荷暮川西ノ又谷から日ノ谷源流を経て平家岳へ
Posted: 2021年10月26日(火) 23:33
【日 付】2021年10月24日(日)
【山 域】奥越 平家岳周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】荷暮林道駐車地7:25---8:25二俣---9:35トチの巨木---11:25面谷登山道---11:35日ノ谷---12:35平家岳13:35
---15:00中電小屋---15:50西ノ又谷本流---18:15駐車地
荷暮川の西ノ又谷へ入るのは3回目だ。沢登りの対象としては顧みられることもなく、記録もほとんど見当た
らないこの谷に惹かれるのは、やはりあの源頭の樹林の佇まいの魅力が最大にして唯一の理由に違いない。
左岸の林道は少し進んだところで崩壊して跡形もない。広河原の浅く緩い流れを渡渉すると、右岸にも林道の
痕跡が見られる。しばらく右岸を歩いて再び渡渉すると左岸の林道が復活している。
この廃林道をうまく繋いで歩くのが時間短縮の決め手となる。
2つ目の二俣を右へ取ると、ようやく広い河原も終わって沢登りらしくなってきた。と言っても2~3m程度の小
滝がいくつか現れる程度であるが、両岸が少し迫るだけでもそれらしい雰囲気になるのだ。
それにしても、前の2回はここを登山靴で歩いたことが信じられない。確かに踏み跡はあるのだが、まったく流れ
を渡らずに歩くことは不可能なのだ。飛び石で渡るにしても神経を使わされる。1度目はともかく、2度目まで沢
靴にしなかったということは、1度目がよほど楽に歩けたということか。20年前と13年前の記憶はおぼろである。
谷が90度左折するところで、左の上の方から水が噴き出していた。岩溝の中を流れてきた水流が勢いよく空中
へ飛び出しているのだ。いわゆるヒョングリの滝というヤツだろう。
浅い釜の前は大きく開けた広場のようになっており、滝の右手の落ち口ラインに見事なトチの巨木がよく来たな
と言いたげにこちらを見下ろしている。この滝とトチが醸し出す一服の名画のような完璧な構図に思わず立ち尽
くしてしまった。3度目、それも前2回は往復しているので5回目の対面なのに、今日の印象は初めてのように新鮮
だった。
トチの木を回り込んで滝の上に立つと、そこは下降予定の谷が15mほどの滝を懸ける二俣になっている。
ここから平家岳方向へ突き上げる谷は初見だ。面谷からの登山道が通る尾根まではわずかな距離である。
平凡ながらも美しい谷は、これまで同様に何も起こらない穏やかな渓相が続き、ほどなく源頭部に突入。
水が切れても水の流れた跡を辿ればヤブも薄く、楽勝で登山道に到達できる・・・と思ったのが甘かった。
その水流跡が切れると、ササと潅木の密ヤブが行く手を阻んだ。まっすぐ伸びるササだけならかき分けて強引に
体を押し込めばなんとかなるが、あらゆる方向へ枝を伸ばす潅木はそれを許さない。目を凝らして少しでも薄そ
うなところを選び、体が通れる空間を作る枝のかき分け方を考えなければならない。若い頃なら力任せでこなせ
ただろうが、今は一歩を出すのが大変な労力だ。
目の前がパッと明るくなった。面谷からの登山道だ。毎度同じ表現だが、高速道路に飛び出した印象である。
普通ならここから登山道を辿れば、何も考えずに足を前にだすだけで平家岳の山頂に到着というところである。
しかしそれでは面白くないし、登山道は大きく迂回していて遠回りだ。目の前の日ノ谷源流へ下りて、山頂ダ
イレクトを目指す。日ノ谷は20年近く前に遡行して、同様に山頂にダイレクトに到達したことがある。その時
はほとんどヤブで苦労した記憶がない。
急斜面を30mほど下れば日ノ谷のやさしい流れに着いた。ナメ床が多く、気楽に遡行できるいい谷だが、車
が入れない林道のアプローチが長過ぎるのが難である。
少し足が攣りそうな感じだったので薬を飲もうとしたらポーチがない。ザックのポケットのファスナーが開
いたままになっていた。どこかで落としたのか、休憩の時に置き忘れてきたのか。
大した物は入っていないので助かったが、これで車のキーやスマホを入れていたら真っ青になるところだった。
しかし、このことが後で悲惨な事態を招くとは想像もしなかった。
ナメを楽しみながら山頂へダイレクトに伸びる谷に入った。ここも西ノ又谷の源頭と同じような様相だが、
以前の記憶が正しければ難なく山頂に到達できるはずだ。
ところが目の前には先ほどと同じようなヤブが行く手を遮り、すぐそこのはずの山頂になかなか近付かない。
どうやら左寄りに上がり過ぎたようだ。一日の、それも1時間ほどの間に2度も違う谷の源頭のヤブ漕ぎをさせ
られるとは思わなかった。まったくアホとしか言いようがない。
ヘロヘロになって山頂手前の高速道路に飛び出し、トボトボと平家岳に向かう。
平家岳の山頂は360度のパノラマが楽しめる展望のピークである。
白山が白く輝いている。今シーズンの初冠雪のようだ。越美国境や奥越、奥美濃の山々はもちろん、北アルプ
スの冠雪した山並みも一望のもとだ。だがその眺めの中で一番気になるのが足元に見える五現川山から左門岳
の北へと続く、もっさりとした越美国境稜線というのは変わり者だろうか。
面谷からの2パーティーがやって来て、久しぶりに山で出会う登山者となった。
思いのほか時間がかかったので、ランチは早めに切り上げなければいけない。下山路の大半は既知のルート
ではあるが、何があるかわからない、
あまり食欲が湧かず、持って来たラーメンを食べずにパンだけの昼食を済ませて出発したところで異変が起きた。
足が攣り始めたのと同時にヒザに力が入らない。両足の太ももの外側が攣り、それが収まったら今度は内側、つ
いにはこれまで攣ったことのない右足のかかとまで攣り出す始末である。だましだまし歩くも要介護認定の年寄
りのような覚束ない足取りで、このペースで行けばとても今日中に下山できないだろう。
秘薬がないので水分補給、アミノバイタル、ボルタレンの湿布、インドメタシン系の塗り薬等々対策を総動員、
さらにはsatoさんに荷物を分担してもらって歩き出す。
対策は徐々に効いてきたようで、今までのはなんだったのかというぐらい普通に歩けるようになった。
元々攣りぐせがあるのだが、ある程度時間が経てば後に尾を引かないことは経験則でわかっている。そうでなけ
ればかなり焦っただろう。
よく刈り込まれた送電鉄塔の巡視路を美濃平家方面へ辿り、最初の鞍部のあたりに建つ中電の立派な小屋に着
いた。一般人は使用できないが、ここで泊まれば気持ちのいい朝を迎えられそうな小屋である。
鞍部から北側斜面へ飛び込む。傾斜は強いがヤブもなく歩きやすい。稜線上もブナ林が続いていたが、西ノ又
谷源頭の斜面も素晴らしいブナ林に包まれている。目を惹く巨木はないものの、背の高いすらっとしたブナが一
面に並ぶさまは壮観だ。一日の山行の終わりにこんな滋味溢れる森を歩ける喜びはこの上ない。
出合の滝は左から高巻く道があるのを学習済みなので、難なく朝通過した本流の出合へ下り立った。
ここから駐車地まであと2時間ばかり。往路を戻るだけなので楽勝だろう。
トチとヒョングリ滝に最後のご挨拶をして帰路を急ぐ。
二俣を過ぎて右岸の廃林道に入ったあたりでかなり薄暗くなり、ヘッデンを点灯した。
一度左岸へ渡渉して林道に乗ったところまではよかったが、その林道の崩壊地点から先をあまり覚えていなか
った。往路ではそこまでに2度渡渉しているはずだ。ヘッデンが照らす狭い範囲の視界では状況をよく確認でき
ない。
河原に下りると大きな堰堤が現れた。これはどっちから巻いたのか。左手前の斜面を這い上がって確かめるがそ
れらしき踏み跡は見当たらなかった。一度は高いところまで上がったが、林道は川床からこんなに離れているは
ずはないので、堰堤のラインを越えたところで慎重に下る。ライトが白い帯を捉えた。林道だ。これで帰れる。
時刻はまだ6時なのだが、秋の日はつるべ落とし。あたりはもう漆黒の闇に包まれていた。
山日和
【山 域】奥越 平家岳周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】荷暮林道駐車地7:25---8:25二俣---9:35トチの巨木---11:25面谷登山道---11:35日ノ谷---12:35平家岳13:35
---15:00中電小屋---15:50西ノ又谷本流---18:15駐車地
荷暮川の西ノ又谷へ入るのは3回目だ。沢登りの対象としては顧みられることもなく、記録もほとんど見当た
らないこの谷に惹かれるのは、やはりあの源頭の樹林の佇まいの魅力が最大にして唯一の理由に違いない。
左岸の林道は少し進んだところで崩壊して跡形もない。広河原の浅く緩い流れを渡渉すると、右岸にも林道の
痕跡が見られる。しばらく右岸を歩いて再び渡渉すると左岸の林道が復活している。
この廃林道をうまく繋いで歩くのが時間短縮の決め手となる。
2つ目の二俣を右へ取ると、ようやく広い河原も終わって沢登りらしくなってきた。と言っても2~3m程度の小
滝がいくつか現れる程度であるが、両岸が少し迫るだけでもそれらしい雰囲気になるのだ。
それにしても、前の2回はここを登山靴で歩いたことが信じられない。確かに踏み跡はあるのだが、まったく流れ
を渡らずに歩くことは不可能なのだ。飛び石で渡るにしても神経を使わされる。1度目はともかく、2度目まで沢
靴にしなかったということは、1度目がよほど楽に歩けたということか。20年前と13年前の記憶はおぼろである。
谷が90度左折するところで、左の上の方から水が噴き出していた。岩溝の中を流れてきた水流が勢いよく空中
へ飛び出しているのだ。いわゆるヒョングリの滝というヤツだろう。
浅い釜の前は大きく開けた広場のようになっており、滝の右手の落ち口ラインに見事なトチの巨木がよく来たな
と言いたげにこちらを見下ろしている。この滝とトチが醸し出す一服の名画のような完璧な構図に思わず立ち尽
くしてしまった。3度目、それも前2回は往復しているので5回目の対面なのに、今日の印象は初めてのように新鮮
だった。
トチの木を回り込んで滝の上に立つと、そこは下降予定の谷が15mほどの滝を懸ける二俣になっている。
ここから平家岳方向へ突き上げる谷は初見だ。面谷からの登山道が通る尾根まではわずかな距離である。
平凡ながらも美しい谷は、これまで同様に何も起こらない穏やかな渓相が続き、ほどなく源頭部に突入。
水が切れても水の流れた跡を辿ればヤブも薄く、楽勝で登山道に到達できる・・・と思ったのが甘かった。
その水流跡が切れると、ササと潅木の密ヤブが行く手を阻んだ。まっすぐ伸びるササだけならかき分けて強引に
体を押し込めばなんとかなるが、あらゆる方向へ枝を伸ばす潅木はそれを許さない。目を凝らして少しでも薄そ
うなところを選び、体が通れる空間を作る枝のかき分け方を考えなければならない。若い頃なら力任せでこなせ
ただろうが、今は一歩を出すのが大変な労力だ。
目の前がパッと明るくなった。面谷からの登山道だ。毎度同じ表現だが、高速道路に飛び出した印象である。
普通ならここから登山道を辿れば、何も考えずに足を前にだすだけで平家岳の山頂に到着というところである。
しかしそれでは面白くないし、登山道は大きく迂回していて遠回りだ。目の前の日ノ谷源流へ下りて、山頂ダ
イレクトを目指す。日ノ谷は20年近く前に遡行して、同様に山頂にダイレクトに到達したことがある。その時
はほとんどヤブで苦労した記憶がない。
急斜面を30mほど下れば日ノ谷のやさしい流れに着いた。ナメ床が多く、気楽に遡行できるいい谷だが、車
が入れない林道のアプローチが長過ぎるのが難である。
少し足が攣りそうな感じだったので薬を飲もうとしたらポーチがない。ザックのポケットのファスナーが開
いたままになっていた。どこかで落としたのか、休憩の時に置き忘れてきたのか。
大した物は入っていないので助かったが、これで車のキーやスマホを入れていたら真っ青になるところだった。
しかし、このことが後で悲惨な事態を招くとは想像もしなかった。
ナメを楽しみながら山頂へダイレクトに伸びる谷に入った。ここも西ノ又谷の源頭と同じような様相だが、
以前の記憶が正しければ難なく山頂に到達できるはずだ。
ところが目の前には先ほどと同じようなヤブが行く手を遮り、すぐそこのはずの山頂になかなか近付かない。
どうやら左寄りに上がり過ぎたようだ。一日の、それも1時間ほどの間に2度も違う谷の源頭のヤブ漕ぎをさせ
られるとは思わなかった。まったくアホとしか言いようがない。
ヘロヘロになって山頂手前の高速道路に飛び出し、トボトボと平家岳に向かう。
平家岳の山頂は360度のパノラマが楽しめる展望のピークである。
白山が白く輝いている。今シーズンの初冠雪のようだ。越美国境や奥越、奥美濃の山々はもちろん、北アルプ
スの冠雪した山並みも一望のもとだ。だがその眺めの中で一番気になるのが足元に見える五現川山から左門岳
の北へと続く、もっさりとした越美国境稜線というのは変わり者だろうか。
面谷からの2パーティーがやって来て、久しぶりに山で出会う登山者となった。
思いのほか時間がかかったので、ランチは早めに切り上げなければいけない。下山路の大半は既知のルート
ではあるが、何があるかわからない、
あまり食欲が湧かず、持って来たラーメンを食べずにパンだけの昼食を済ませて出発したところで異変が起きた。
足が攣り始めたのと同時にヒザに力が入らない。両足の太ももの外側が攣り、それが収まったら今度は内側、つ
いにはこれまで攣ったことのない右足のかかとまで攣り出す始末である。だましだまし歩くも要介護認定の年寄
りのような覚束ない足取りで、このペースで行けばとても今日中に下山できないだろう。
秘薬がないので水分補給、アミノバイタル、ボルタレンの湿布、インドメタシン系の塗り薬等々対策を総動員、
さらにはsatoさんに荷物を分担してもらって歩き出す。
対策は徐々に効いてきたようで、今までのはなんだったのかというぐらい普通に歩けるようになった。
元々攣りぐせがあるのだが、ある程度時間が経てば後に尾を引かないことは経験則でわかっている。そうでなけ
ればかなり焦っただろう。
よく刈り込まれた送電鉄塔の巡視路を美濃平家方面へ辿り、最初の鞍部のあたりに建つ中電の立派な小屋に着
いた。一般人は使用できないが、ここで泊まれば気持ちのいい朝を迎えられそうな小屋である。
鞍部から北側斜面へ飛び込む。傾斜は強いがヤブもなく歩きやすい。稜線上もブナ林が続いていたが、西ノ又
谷源頭の斜面も素晴らしいブナ林に包まれている。目を惹く巨木はないものの、背の高いすらっとしたブナが一
面に並ぶさまは壮観だ。一日の山行の終わりにこんな滋味溢れる森を歩ける喜びはこの上ない。
出合の滝は左から高巻く道があるのを学習済みなので、難なく朝通過した本流の出合へ下り立った。
ここから駐車地まであと2時間ばかり。往路を戻るだけなので楽勝だろう。
トチとヒョングリ滝に最後のご挨拶をして帰路を急ぐ。
二俣を過ぎて右岸の廃林道に入ったあたりでかなり薄暗くなり、ヘッデンを点灯した。
一度左岸へ渡渉して林道に乗ったところまではよかったが、その林道の崩壊地点から先をあまり覚えていなか
った。往路ではそこまでに2度渡渉しているはずだ。ヘッデンが照らす狭い範囲の視界では状況をよく確認でき
ない。
河原に下りると大きな堰堤が現れた。これはどっちから巻いたのか。左手前の斜面を這い上がって確かめるがそ
れらしき踏み跡は見当たらなかった。一度は高いところまで上がったが、林道は川床からこんなに離れているは
ずはないので、堰堤のラインを越えたところで慎重に下る。ライトが白い帯を捉えた。林道だ。これで帰れる。
時刻はまだ6時なのだが、秋の日はつるべ落とし。あたりはもう漆黒の闇に包まれていた。
山日和
19時にコロナワクチン接種をしてきました。やっと一回目終了。