【鈴鹿】初登りは霧氷ロードの藤原岳天狗岩
Posted: 2021年1月06日(水) 20:21
【日 付】2021年1月4日(月)
【山 域】鈴鹿 藤原岳周辺
【天 候】快晴
【コース】鈴鹿簡易パーキング7:50---9:05子向井山---10:40頭陀ヶ平---11:40天狗岩13:00---13:55下降点---
14:35聖宝寺道合流---15:35-聖宝寺16:00---16:25駐車地
年の初めの山は青空の下で楽しみたい。それも雪は多い方がいい。北の方へ行けば雪が多いのはわかっているが、
天気予報は思わしくない。折衷案として選んだのが鈴鹿の藤原岳。予報睨みの定番コースである。
藤原簡易パーキングで出発の準備をしていると、見慣れた車が横に滑り込んできた。シュークリームさんだ。
まだ1月4日なのに、なんと今日が3回目の山だと言う。聞けば同じ周回コースを辿るようだ。
「後で会えたら会いましょう」と言っていたが、会わないはずはないのにと思いながら先に出発。
木和田尾の下部はほとんど雪が消え、行程の消化にはちょうどいい具合である。最初からラッセルでは、予定の
完遂が遠いものとなってしまう。
最初の鉄塔あたりでようやく雪が出始めたが、まだまだ土の見えている場所も多い。
子向井山の手前でそこそこの積雪になったのでスノーシューを装着。先行のトレースはまだツボ足で頑張ってい
るが、履けるものなら背中の重しになるよりはいい。
出発前はどんよりしていた空は完全に青に支配された。これで風がなければ言うことはない。
白船峠の分岐を過ぎ、主稜線に近付くと一気に積雪量が増えた。先行者のスノーシューのトレースがありがたい。
今日は風も弱そうでいいねとシュークリさんと話していたが、上の方では結構吹いているようだ。
アウターを着込んで、主稜線への最後の登りに備えた。
見上げた視線の先の森が真っ白に輝いている。霧氷だ。天気と雪は期待していたが、こっちは予想していなかっ
たので頬が緩む。
見渡す限りの霧氷の森。真っ青な空に霧氷の白さが際立つ。純白の霧氷が空の青さをいっそう引き立たせていると
も言える。
その霧氷のトンネルを潜って、青空に近付いて行く高揚感は例えようもない。霧氷の森の隙間から覗く太陽の光が
目を射る。ついまともに見てしまい、一瞬目くらましに遭ったようにぼうっとなってしまった。
稜線に出ると少し風が強い。これはランチ場の選定に頭を使いそうである。
お隣のテーブルランドは雲の中だった。あっちにしなくてよかったか。
霊仙の奥には伊吹。こちらも頭は雲の中だ。養老方面はスッキリ見えているが、雪は少なそうである。
頭陀ヶ平は風の通り道になっているようで、いつも雪が飛ばされている。鈴鹿幹線の鉄塔の下に立つと危険だ。
鉄塔と送電線に着いた雪氷がひっきりなしに落ちてくる。自分の1mほど横でズボッという音がして肝を冷やした。
人工物の最たるものである送電鉄塔は、目障りなものではあるがここでは風景の一部になっている。
鉄塔越しの山の風景が意外に様になっているのは不思議なものだ。
ここまで人様のトレースで楽をさせてもらったが、上がってしまえばこっちのものだ。
好きなところに好きなようにトレースを刻む。
藤原方面から登山者が数名やってきたが、ほとんどがツボ足にアイゼンという出立ちで歩きにくそうである。
やぶこぎネットでは、少しでも雪が積もればスノーシューを履くのがあたり前、と言うか、スノーシューで歩く
のが雪山の最大の楽しみだという共通認識があるのだが、世間では違うのだろうか。
雪山=アイゼンという固定観念があるようだ。藤原のメインルートである大貝戸道のように、大人数で踏み固めら
れた雪道ならそれも頷けるが。短くて杖代りにもならないピッケルをぶら下げている人も多い。
スノーシューにWストックで歩けば世界が変わりますよ。
天狗岩の手前で登山道通りのトレースを外れて、良さげなところを探しながら歩く。
どっちを向いても満開の霧氷だ。その中を、自分だけのトレースを刻んで行く快感。
テーブルランドの雲も取れて、あちらも同じような霧氷ランドになっている。
藤原岳の最高点である天狗岩に着いた。ここから見る展望丘と、そこに至る尾根の側面の霧氷が素晴らしい。
茶屋川側に少し下った小台地がお誂え向きのランチ場だ。幸いなことに風もほとんどない。
竜、釈迦、御在所、雨乞、イブネ、綿向、日本コバ、天狗堂といった鈴鹿中部の山々を正面に眺められる最高の
シチュエーションである。これは春から縁起がいいと言うものだ。
山頂で写真を撮っていると、見たような顔が現われた。なんとバーチャリさんじゃあーりませんか。
ゆうべラインで新年の挨拶のやりとりをしたばかりだったので驚いた。向こうは気が付かなかったようで、
「バーチャリさん」と声を掛けたらようやく気付いてくれた。
至福の時間を過ごした後は藤原山荘方面へ。いつの間にかバーチャリさんの姿も消えていた。
主峰である展望丘へは最初から行く気がない。
主稜線を外した尾根から谷へ、ふらふらと彷徨い歩く。同じような考えの主もいるようで、トレースが残されて
いたがもちろんそれを外して歩いた。
人とトレースだらけだろう藤原山荘は回避して、山荘が目前に見えるP1128の側面から主稜線に戻り、下降点を
探った。聖宝寺道を素直に下りたのでは芸がない。坂本谷の左俣へ落ちる尾根を途中まで辿り、聖宝寺道の尾根
筋に出ようという算段である。
この尾根が拾い物だった。まったく無木立(無雪期は知らないが)の雪尾根が見える限り続いている。
その向こうには藤原の街並み(と言ってもほとんど田畑だが)が眼近に迫る。これはなかなかいい。
もっとも調子に乗ってこのまま進んでしまうと坂本谷へ下りてしまう。途中で方向を変えると強烈な傾斜となり、
七転八倒九滑りという状態でどんどん高度を下げて行った。
正面に聖宝寺道が見えたところで斜面をトラバース。小谷を渡って登山道に辿り着いた。
ああ、面白かった。後はおとなしく登山道を辿ろう。
初詣がてら聖宝寺で休んでいると、もうとっくに下山しているというシュークリさんのFBのコメントが。
もう会えないかもしれないと言っていたのが本当になってしまったのだった。
山日和
【山 域】鈴鹿 藤原岳周辺
【天 候】快晴
【コース】鈴鹿簡易パーキング7:50---9:05子向井山---10:40頭陀ヶ平---11:40天狗岩13:00---13:55下降点---
14:35聖宝寺道合流---15:35-聖宝寺16:00---16:25駐車地
年の初めの山は青空の下で楽しみたい。それも雪は多い方がいい。北の方へ行けば雪が多いのはわかっているが、
天気予報は思わしくない。折衷案として選んだのが鈴鹿の藤原岳。予報睨みの定番コースである。
藤原簡易パーキングで出発の準備をしていると、見慣れた車が横に滑り込んできた。シュークリームさんだ。
まだ1月4日なのに、なんと今日が3回目の山だと言う。聞けば同じ周回コースを辿るようだ。
「後で会えたら会いましょう」と言っていたが、会わないはずはないのにと思いながら先に出発。
木和田尾の下部はほとんど雪が消え、行程の消化にはちょうどいい具合である。最初からラッセルでは、予定の
完遂が遠いものとなってしまう。
最初の鉄塔あたりでようやく雪が出始めたが、まだまだ土の見えている場所も多い。
子向井山の手前でそこそこの積雪になったのでスノーシューを装着。先行のトレースはまだツボ足で頑張ってい
るが、履けるものなら背中の重しになるよりはいい。
出発前はどんよりしていた空は完全に青に支配された。これで風がなければ言うことはない。
白船峠の分岐を過ぎ、主稜線に近付くと一気に積雪量が増えた。先行者のスノーシューのトレースがありがたい。
今日は風も弱そうでいいねとシュークリさんと話していたが、上の方では結構吹いているようだ。
アウターを着込んで、主稜線への最後の登りに備えた。
見上げた視線の先の森が真っ白に輝いている。霧氷だ。天気と雪は期待していたが、こっちは予想していなかっ
たので頬が緩む。
見渡す限りの霧氷の森。真っ青な空に霧氷の白さが際立つ。純白の霧氷が空の青さをいっそう引き立たせていると
も言える。
その霧氷のトンネルを潜って、青空に近付いて行く高揚感は例えようもない。霧氷の森の隙間から覗く太陽の光が
目を射る。ついまともに見てしまい、一瞬目くらましに遭ったようにぼうっとなってしまった。
稜線に出ると少し風が強い。これはランチ場の選定に頭を使いそうである。
お隣のテーブルランドは雲の中だった。あっちにしなくてよかったか。
霊仙の奥には伊吹。こちらも頭は雲の中だ。養老方面はスッキリ見えているが、雪は少なそうである。
頭陀ヶ平は風の通り道になっているようで、いつも雪が飛ばされている。鈴鹿幹線の鉄塔の下に立つと危険だ。
鉄塔と送電線に着いた雪氷がひっきりなしに落ちてくる。自分の1mほど横でズボッという音がして肝を冷やした。
人工物の最たるものである送電鉄塔は、目障りなものではあるがここでは風景の一部になっている。
鉄塔越しの山の風景が意外に様になっているのは不思議なものだ。
ここまで人様のトレースで楽をさせてもらったが、上がってしまえばこっちのものだ。
好きなところに好きなようにトレースを刻む。
藤原方面から登山者が数名やってきたが、ほとんどがツボ足にアイゼンという出立ちで歩きにくそうである。
やぶこぎネットでは、少しでも雪が積もればスノーシューを履くのがあたり前、と言うか、スノーシューで歩く
のが雪山の最大の楽しみだという共通認識があるのだが、世間では違うのだろうか。
雪山=アイゼンという固定観念があるようだ。藤原のメインルートである大貝戸道のように、大人数で踏み固めら
れた雪道ならそれも頷けるが。短くて杖代りにもならないピッケルをぶら下げている人も多い。
スノーシューにWストックで歩けば世界が変わりますよ。
天狗岩の手前で登山道通りのトレースを外れて、良さげなところを探しながら歩く。
どっちを向いても満開の霧氷だ。その中を、自分だけのトレースを刻んで行く快感。
テーブルランドの雲も取れて、あちらも同じような霧氷ランドになっている。
藤原岳の最高点である天狗岩に着いた。ここから見る展望丘と、そこに至る尾根の側面の霧氷が素晴らしい。
茶屋川側に少し下った小台地がお誂え向きのランチ場だ。幸いなことに風もほとんどない。
竜、釈迦、御在所、雨乞、イブネ、綿向、日本コバ、天狗堂といった鈴鹿中部の山々を正面に眺められる最高の
シチュエーションである。これは春から縁起がいいと言うものだ。
山頂で写真を撮っていると、見たような顔が現われた。なんとバーチャリさんじゃあーりませんか。
ゆうべラインで新年の挨拶のやりとりをしたばかりだったので驚いた。向こうは気が付かなかったようで、
「バーチャリさん」と声を掛けたらようやく気付いてくれた。
至福の時間を過ごした後は藤原山荘方面へ。いつの間にかバーチャリさんの姿も消えていた。
主峰である展望丘へは最初から行く気がない。
主稜線を外した尾根から谷へ、ふらふらと彷徨い歩く。同じような考えの主もいるようで、トレースが残されて
いたがもちろんそれを外して歩いた。
人とトレースだらけだろう藤原山荘は回避して、山荘が目前に見えるP1128の側面から主稜線に戻り、下降点を
探った。聖宝寺道を素直に下りたのでは芸がない。坂本谷の左俣へ落ちる尾根を途中まで辿り、聖宝寺道の尾根
筋に出ようという算段である。
この尾根が拾い物だった。まったく無木立(無雪期は知らないが)の雪尾根が見える限り続いている。
その向こうには藤原の街並み(と言ってもほとんど田畑だが)が眼近に迫る。これはなかなかいい。
もっとも調子に乗ってこのまま進んでしまうと坂本谷へ下りてしまう。途中で方向を変えると強烈な傾斜となり、
七転八倒九滑りという状態でどんどん高度を下げて行った。
正面に聖宝寺道が見えたところで斜面をトラバース。小谷を渡って登山道に辿り着いた。
ああ、面白かった。後はおとなしく登山道を辿ろう。
初詣がてら聖宝寺で休んでいると、もうとっくに下山しているというシュークリさんのFBのコメントが。
もう会えないかもしれないと言っていたのが本当になってしまったのだった。
山日和