【奥美濃】大蔵谷から小津権現山
Posted: 2020年10月29日(木) 00:07
【日 付】2020年10月24日(土)
【山 域】奥美濃 小津権現山周辺
【天 候】曇り時々晴れ一時雨
【コース】樫原7:45---10:15二俣--12:20稜線---12:35小津権現山14:30---15:15高屋山西峰---16:45樫原
大蔵谷(おぞだに)は、小津権現山の南側から山頂に向かって突き上げる谷である。
記録を調べてもほとんど見当たらない。こういうケースは大抵の場合、面白くない谷だと相場が決まっている。
まあ小津権現山へのバリエーションルートと捉えれば、さほど面白くなくても腹は立たないだろう。
大蔵谷の出合から真新しい林道が右岸に付けられていた。その林道が終わり、古い林道の姿が現われる。
周りは放置植林で、林道は荒れ放題である。崩壊した橋が二つ。適当なところで入渓する。
標高は200m程度と低く、ほとんど常緑樹なので、渓相は言うに及ばずというところか。ほとんど変化のない谷
を坦々と進む。
地形図に滝記号がある場所には何もなく、もう少し進んだところでようやく滝らしい滝が現われた。ちょっと
したゴルジュ状の滝は、ここ2日ほどの雨のおかげで水量が多く勢いがある。
右から高巻いて越すと、今度は谷が左に折れるところに8mほどの滝。左手前の斜面から巻くが、あまり足元がい
いとは言えない斜面で、結構追い上げられてしまう。こういう巻きではチェーンスパイクが威力を発揮する。
落葉広葉樹が主体になると、森の明るさが違う。太陽の光を通さない常緑樹の濃い緑の葉と違い、落葉広葉樹
の薄緑の葉は、木々に覆われた谷底まで光を届けてくれるのだ。
7mの直瀑を見て、ようやく谷の雰囲気が良くなってきたと思ったら、思いもかけない変化が現れた。
490mの二俣では右を取るのだが、進むべき谷にはまったく水が流れていない。左俣の方が広く、水流がある。
まあ、そのうち水流も復活するだろうと右俣を進んだ。ところが行けども行けども水の気配がない。岩がゴロ
ゴロした涸れ谷が続くばかりである。石灰岩の山は伏流しやすいのだが、これはどこまで行けば再び水が出てく
るのだろう。まさか標高500m足らずで水切れということはないだろうとは思いながらも心配になってきた。
谷自体は悪い印象でもないので、水のない谷をひたすら高度を稼ぐ。
半ばあきらめかけてきた標高800mあたりで、ようやく水の流れが復活した。ちょっとした斜瀑もあり、顔がほ
ころびかけたが、すぐさま手の出ない5mほどの垂直の滝に行く手を塞がれる。右も左も立っており、簡単に巻け
そうもない。おまけに雨まで降り始めた。
今日はスタートの時点では暑いぐらいの日差しだったのが、曇ったり、時折青空が覗いたりと、目まぐるしく変わ
る天気だったのだが、こいつは想定外である。
雨具を着込んで左の急斜面に取り付く。しばらく上がって上流方向を窺うが、トラバースして行くのも厳しそうで、
谷に戻ったとしてもまた同じような状況になることが考えられる。源頭まで遡行することをあきらめて、このまま
登山道の走る尾根を目指そう。
とにかく急な斜面である。ひたすら我慢すること200m余り。少しずつ色付き始めた森の雰囲気は悪くない。
再び青空が出だしたところで、ポンと登山道に飛び出した。このあたりはブナの森が広がる、小津権現山頂直下
のフィナーレとなる尾根だ。気分良く山頂に向かうと、単独の登山者が下りてきた。
結局今日出会ったのはこの一人だけだった。
気まぐれな天気の中、山頂で青空に恵まれたのはラッキーだった。さすがに白山までは見えないが、能郷白山か
ら磯倉、杉谷山と続く越美国境稜線の先に、印象的な三角錐の若丸山が見えている。能郷白山の右には、こちらも
顕著な三角錐の屏風山。花房山の東前の谷の源頭が緑色に光っている。
貸切りの山頂でのんびりとランチタイムを楽しむ。
下山は高屋山の手前まで縦走して、南南西へ延びる尾根を選ぶ。ここは今年の正月に登った尾根だ。
まったくヤブのないスッキリした尾根で、下手な登山道より歩きやすいかもしれない。目を瞠るような豊かな森で
はないが、まあまあ気分良く歩ける尾根である。もう少し紅葉が進んで天気が良ければ文句無しにいいルートだ。
天気はまたしても下り坂で、林の中は薄暗くなってきた。
ジグザクを切る林道をすべてショートカットして樫原の集落に着く頃には大粒の雨が落ち始めた。
一つの滝も登らず、沢登りに来たのか何なのか分からないような一日だったが、面白いと言えば面白い一日でもあった。
山日和
【山 域】奥美濃 小津権現山周辺
【天 候】曇り時々晴れ一時雨
【コース】樫原7:45---10:15二俣--12:20稜線---12:35小津権現山14:30---15:15高屋山西峰---16:45樫原
大蔵谷(おぞだに)は、小津権現山の南側から山頂に向かって突き上げる谷である。
記録を調べてもほとんど見当たらない。こういうケースは大抵の場合、面白くない谷だと相場が決まっている。
まあ小津権現山へのバリエーションルートと捉えれば、さほど面白くなくても腹は立たないだろう。
大蔵谷の出合から真新しい林道が右岸に付けられていた。その林道が終わり、古い林道の姿が現われる。
周りは放置植林で、林道は荒れ放題である。崩壊した橋が二つ。適当なところで入渓する。
標高は200m程度と低く、ほとんど常緑樹なので、渓相は言うに及ばずというところか。ほとんど変化のない谷
を坦々と進む。
地形図に滝記号がある場所には何もなく、もう少し進んだところでようやく滝らしい滝が現われた。ちょっと
したゴルジュ状の滝は、ここ2日ほどの雨のおかげで水量が多く勢いがある。
右から高巻いて越すと、今度は谷が左に折れるところに8mほどの滝。左手前の斜面から巻くが、あまり足元がい
いとは言えない斜面で、結構追い上げられてしまう。こういう巻きではチェーンスパイクが威力を発揮する。
落葉広葉樹が主体になると、森の明るさが違う。太陽の光を通さない常緑樹の濃い緑の葉と違い、落葉広葉樹
の薄緑の葉は、木々に覆われた谷底まで光を届けてくれるのだ。
7mの直瀑を見て、ようやく谷の雰囲気が良くなってきたと思ったら、思いもかけない変化が現れた。
490mの二俣では右を取るのだが、進むべき谷にはまったく水が流れていない。左俣の方が広く、水流がある。
まあ、そのうち水流も復活するだろうと右俣を進んだ。ところが行けども行けども水の気配がない。岩がゴロ
ゴロした涸れ谷が続くばかりである。石灰岩の山は伏流しやすいのだが、これはどこまで行けば再び水が出てく
るのだろう。まさか標高500m足らずで水切れということはないだろうとは思いながらも心配になってきた。
谷自体は悪い印象でもないので、水のない谷をひたすら高度を稼ぐ。
半ばあきらめかけてきた標高800mあたりで、ようやく水の流れが復活した。ちょっとした斜瀑もあり、顔がほ
ころびかけたが、すぐさま手の出ない5mほどの垂直の滝に行く手を塞がれる。右も左も立っており、簡単に巻け
そうもない。おまけに雨まで降り始めた。
今日はスタートの時点では暑いぐらいの日差しだったのが、曇ったり、時折青空が覗いたりと、目まぐるしく変わ
る天気だったのだが、こいつは想定外である。
雨具を着込んで左の急斜面に取り付く。しばらく上がって上流方向を窺うが、トラバースして行くのも厳しそうで、
谷に戻ったとしてもまた同じような状況になることが考えられる。源頭まで遡行することをあきらめて、このまま
登山道の走る尾根を目指そう。
とにかく急な斜面である。ひたすら我慢すること200m余り。少しずつ色付き始めた森の雰囲気は悪くない。
再び青空が出だしたところで、ポンと登山道に飛び出した。このあたりはブナの森が広がる、小津権現山頂直下
のフィナーレとなる尾根だ。気分良く山頂に向かうと、単独の登山者が下りてきた。
結局今日出会ったのはこの一人だけだった。
気まぐれな天気の中、山頂で青空に恵まれたのはラッキーだった。さすがに白山までは見えないが、能郷白山か
ら磯倉、杉谷山と続く越美国境稜線の先に、印象的な三角錐の若丸山が見えている。能郷白山の右には、こちらも
顕著な三角錐の屏風山。花房山の東前の谷の源頭が緑色に光っている。
貸切りの山頂でのんびりとランチタイムを楽しむ。
下山は高屋山の手前まで縦走して、南南西へ延びる尾根を選ぶ。ここは今年の正月に登った尾根だ。
まったくヤブのないスッキリした尾根で、下手な登山道より歩きやすいかもしれない。目を瞠るような豊かな森で
はないが、まあまあ気分良く歩ける尾根である。もう少し紅葉が進んで天気が良ければ文句無しにいいルートだ。
天気はまたしても下り坂で、林の中は薄暗くなってきた。
ジグザクを切る林道をすべてショートカットして樫原の集落に着く頃には大粒の雨が落ち始めた。
一つの滝も登らず、沢登りに来たのか何なのか分からないような一日だったが、面白いと言えば面白い一日でもあった。
山日和