【大峰】上多古川茶屋谷から勝負塚山 予定外の超バリ下山
Posted: 2020年8月16日(日) 21:34
【日 付】2020年8月14日(金)
【山 域】大峰山脈北部 勝負塚山周辺
【天 候】晴れ
【コース】伊坪谷手前駐車地7:30---8:10林道終点---9:00ブナ又出合---11:45今宿谷出合13:20---14:55P1400m---
15:55勝負塚山---17:10 796m標高点---18:20駐車地
上多古川の河原はキャンパーで賑わっていたが、登山者と思しき車の影はない。酷暑の盆休み。沢登りの基地
(ちょっと大げさか)である上多古川に沢屋がひとりもいないとは意外である。
伊坪谷手前のスペースに駐車して歩き出す。林道はもっと奥まで進めるが、下山予定地から登り返さなくては
いけなくなる。この林道はここから終点まで標高差が200mもある急勾配なのだ。
矢納谷出合から山道に入る。この道も年々不明瞭になっていくようだ。初めて訪れた30年前には、いい道がブナ
又出合まで続いていた。
今日、遡行するのは茶屋谷。地形図には茶屋ン谷と表記されている。この谷は上多古川の支流の中でも、もっ
とも紹介されていない谷だろう。伊坪谷、大栃谷、矢納谷、本谷と竹林院谷はいろんな沢のガイドブックに紹介
されているが、この谷の載ったガイドにお目にかかったことがない。目を瞠るような大滝もなく、大岩ゴロゴロ
のやや単調な渓相のせいだろうか。
しかし今の自分にはこれぐらいがちょうどいい。直瀑が少なく、ナメ滝が多いのも自分好みだ。
大きく高巻く必要もなく、ほとんど直登か滝身横の小さな巻きで対処できた。谷そのものは広く、両岸の岩壁が
迫っていないので巻くのも容易なところは、この近辺の谷らしくないと言えるだろう。滝の落ち口より高く追い
上げられるような巻きがあたり前なのだ。
水溜まりになにやら大量の白っぽいものが浮いているように見えた。落花かなと思ったが、よく見ると動いて
いるではないか。薄いベージュ色のゲジゲジのような虫が無数に蠢ている。ウー、気持ち悪。
しばらくの間、この虫の集合地帯が続き、下手にホールドを探ると危うく虫を掴みそうになってしまうのには参
った。これは一体なんなのだろう。
本来なら源流まで詰め上げて、大峰奥駈道へ出るつもりだった。しかし結構時間を食い、体力の消耗が激しい。
実は林道を歩いている時からしんどくて、やめる理由を考えていたのだ。
中流部の今宿谷出合から少し進んだところで引き返し、今宿谷出合でランチタイムとする。
下界は35℃を超す猛暑だろうが、日陰の沢はパラダイスである。定番のとろろざるそばとビールで寛いだ。
元来た谷を戻るのも芸がない。せめてショートカットルートで勝負塚山に登って下山するか。
今宿谷にはホウキギの滝という大滝があるのだが、水量が少なく迫力不足である。
今宿谷の左岸尾根に取り付いた。末端近くは等高線が詰まって岩壁の登場が予想されるが、下から見た感じで
は弱点を縫って上がれそうだ。実際上がってみると、岩壁の切れ目をうまい具合にモンキークライムを交えなが
ら進むことができた。
途中で水平に延びるよく踏まれた道が現われた。これが今宿林道というヤツか。林道といっても車が通る道では
なく、林業用の歩道で、部分的に軌道跡のレールが残っているようだ。吉野だけあって、このあたりの山はほと
んどが伐採を受けているのである。そのせいで、ブナ林のような林相は期待できない。
1203mの標高点まで上がれば傾斜も緩み、奥駈道から勝負塚山への大峰支稜までは楽勝だ。とは言え、ビール
とメシの後の350mの登りはキツイ。
支稜に出ると、予想以上にしっかりした道が付いていて驚かされた。テープがこれでもかというほど付けられ
て、迷うのが難しいくらいである。本当ならブナのプロムナードをのんびりと行きたいところだが、現実は貧弱
な放置植林の尾根である。ずっと日陰を歩けるだけが救いだろう。
展望も無く愛想のない尾根道を辿って勝負塚山に到着。三角点があるだけで、今までと何が変わるわけでもな
い、特徴のない山頂だ。
ここへ来るのは20年振りである。当時小学生だった息子と二人でやってきた。12月の寒い日で、ガタガタ震え
ながら昼飯を食ったことを覚えている。その時も登山道はあまりいい道とは言えない印象が残っていたが、小学
生でも歩けたのだから、楽勝で下山できると余裕をかましていたのだ。
時刻はもう4時である。1時間半ぐらいで伊坪谷出合へ下れると思っていたのだが、これが大甘の大誤算だった。
山頂の北東へ足を踏み出すと、それまで百花繚乱のごとく付けられていたテープが一切見えなくなった。
とにかく尾根通しに進むが、ヤブっぽい部分もある。ここで重大な勘違いをしてしまった。北東向きの尾根はや
がて真北に進むようになるのだが、登山道は796m標高点の尾根を経由していると思い込んでしまったのである。
大峰・台高の山々は、ところどころに巨大な岩壁を山腹に内蔵している。歩きやすい尾根だと思って進んでいる
と、突然手も足も出ない岩壁に行く手を阻まれることがしばしばだ。
まず796mの尾根へ乗り換えるために、左手から回り込んで一旦谷に下り、尾根に乗り直すことにする。
谷へ下るところで立ち木にロープをかけて谷底に向かうが、ガチャ類をザックの底にしまっていたので懸垂では
なく、ロープを握って斜めに下って行った。谷筋の2mほどの落差を下るのにロープにぶら下がるような格好に
なってしまい、5m以上振られてしまった。ロープは離さなかったので事無きを得たが、岩壁に腕や肩を打ち付け
て痛い思いをしてしまう。何事もズボラは厳禁である。
次の関門はCa680mあたりの岩壁地帯。この下には緩い尾根が続いているが、ワイドな岩壁が左右に延びてい
るようだ。上からだと樹林でわかりにくいが、あるポイントでストンと落ちているのがわかる。
一ヶ所だけ、本来の尾根芯が立ち木も豊富で、完全な壁になっておらず、かなりの急傾斜ながらなんとか岩を縫
って下ることができた。
伊坪谷へ下る手前にも岩壁帯がある。ここは左へ左へトラバースしながら、岩壁が切れるところまで進むと、
やっと伊坪谷の取水堰堤が視界に入ってひと安心。取水設備の保全用の道に出ると、やっと緊張が解けてぐった
りしてしまった。のどはカラカラだ。最後に取っておいたひと口のお茶を含んで、伊坪谷の出合へ歩き出す。
上多古川にかかる橋を渡っていると、向こうからキャンパーの一団が歩いて来た。
「どこへ行ってたんですが?」と聞かれたので、「こっちの谷から周回してきた」と説明すると、どういうルー
トか分かるはずもないが驚いていた。
ようやく車まで戻って、アスファルトの路面に大の字にひっくり返る。
アスファルトのひんやりとした感触が、この上なく気持ち良く感じた。
山日和
【山 域】大峰山脈北部 勝負塚山周辺
【天 候】晴れ
【コース】伊坪谷手前駐車地7:30---8:10林道終点---9:00ブナ又出合---11:45今宿谷出合13:20---14:55P1400m---
15:55勝負塚山---17:10 796m標高点---18:20駐車地
上多古川の河原はキャンパーで賑わっていたが、登山者と思しき車の影はない。酷暑の盆休み。沢登りの基地
(ちょっと大げさか)である上多古川に沢屋がひとりもいないとは意外である。
伊坪谷手前のスペースに駐車して歩き出す。林道はもっと奥まで進めるが、下山予定地から登り返さなくては
いけなくなる。この林道はここから終点まで標高差が200mもある急勾配なのだ。
矢納谷出合から山道に入る。この道も年々不明瞭になっていくようだ。初めて訪れた30年前には、いい道がブナ
又出合まで続いていた。
今日、遡行するのは茶屋谷。地形図には茶屋ン谷と表記されている。この谷は上多古川の支流の中でも、もっ
とも紹介されていない谷だろう。伊坪谷、大栃谷、矢納谷、本谷と竹林院谷はいろんな沢のガイドブックに紹介
されているが、この谷の載ったガイドにお目にかかったことがない。目を瞠るような大滝もなく、大岩ゴロゴロ
のやや単調な渓相のせいだろうか。
しかし今の自分にはこれぐらいがちょうどいい。直瀑が少なく、ナメ滝が多いのも自分好みだ。
大きく高巻く必要もなく、ほとんど直登か滝身横の小さな巻きで対処できた。谷そのものは広く、両岸の岩壁が
迫っていないので巻くのも容易なところは、この近辺の谷らしくないと言えるだろう。滝の落ち口より高く追い
上げられるような巻きがあたり前なのだ。
水溜まりになにやら大量の白っぽいものが浮いているように見えた。落花かなと思ったが、よく見ると動いて
いるではないか。薄いベージュ色のゲジゲジのような虫が無数に蠢ている。ウー、気持ち悪。
しばらくの間、この虫の集合地帯が続き、下手にホールドを探ると危うく虫を掴みそうになってしまうのには参
った。これは一体なんなのだろう。
本来なら源流まで詰め上げて、大峰奥駈道へ出るつもりだった。しかし結構時間を食い、体力の消耗が激しい。
実は林道を歩いている時からしんどくて、やめる理由を考えていたのだ。
中流部の今宿谷出合から少し進んだところで引き返し、今宿谷出合でランチタイムとする。
下界は35℃を超す猛暑だろうが、日陰の沢はパラダイスである。定番のとろろざるそばとビールで寛いだ。
元来た谷を戻るのも芸がない。せめてショートカットルートで勝負塚山に登って下山するか。
今宿谷にはホウキギの滝という大滝があるのだが、水量が少なく迫力不足である。
今宿谷の左岸尾根に取り付いた。末端近くは等高線が詰まって岩壁の登場が予想されるが、下から見た感じで
は弱点を縫って上がれそうだ。実際上がってみると、岩壁の切れ目をうまい具合にモンキークライムを交えなが
ら進むことができた。
途中で水平に延びるよく踏まれた道が現われた。これが今宿林道というヤツか。林道といっても車が通る道では
なく、林業用の歩道で、部分的に軌道跡のレールが残っているようだ。吉野だけあって、このあたりの山はほと
んどが伐採を受けているのである。そのせいで、ブナ林のような林相は期待できない。
1203mの標高点まで上がれば傾斜も緩み、奥駈道から勝負塚山への大峰支稜までは楽勝だ。とは言え、ビール
とメシの後の350mの登りはキツイ。
支稜に出ると、予想以上にしっかりした道が付いていて驚かされた。テープがこれでもかというほど付けられ
て、迷うのが難しいくらいである。本当ならブナのプロムナードをのんびりと行きたいところだが、現実は貧弱
な放置植林の尾根である。ずっと日陰を歩けるだけが救いだろう。
展望も無く愛想のない尾根道を辿って勝負塚山に到着。三角点があるだけで、今までと何が変わるわけでもな
い、特徴のない山頂だ。
ここへ来るのは20年振りである。当時小学生だった息子と二人でやってきた。12月の寒い日で、ガタガタ震え
ながら昼飯を食ったことを覚えている。その時も登山道はあまりいい道とは言えない印象が残っていたが、小学
生でも歩けたのだから、楽勝で下山できると余裕をかましていたのだ。
時刻はもう4時である。1時間半ぐらいで伊坪谷出合へ下れると思っていたのだが、これが大甘の大誤算だった。
山頂の北東へ足を踏み出すと、それまで百花繚乱のごとく付けられていたテープが一切見えなくなった。
とにかく尾根通しに進むが、ヤブっぽい部分もある。ここで重大な勘違いをしてしまった。北東向きの尾根はや
がて真北に進むようになるのだが、登山道は796m標高点の尾根を経由していると思い込んでしまったのである。
大峰・台高の山々は、ところどころに巨大な岩壁を山腹に内蔵している。歩きやすい尾根だと思って進んでいる
と、突然手も足も出ない岩壁に行く手を阻まれることがしばしばだ。
まず796mの尾根へ乗り換えるために、左手から回り込んで一旦谷に下り、尾根に乗り直すことにする。
谷へ下るところで立ち木にロープをかけて谷底に向かうが、ガチャ類をザックの底にしまっていたので懸垂では
なく、ロープを握って斜めに下って行った。谷筋の2mほどの落差を下るのにロープにぶら下がるような格好に
なってしまい、5m以上振られてしまった。ロープは離さなかったので事無きを得たが、岩壁に腕や肩を打ち付け
て痛い思いをしてしまう。何事もズボラは厳禁である。
次の関門はCa680mあたりの岩壁地帯。この下には緩い尾根が続いているが、ワイドな岩壁が左右に延びてい
るようだ。上からだと樹林でわかりにくいが、あるポイントでストンと落ちているのがわかる。
一ヶ所だけ、本来の尾根芯が立ち木も豊富で、完全な壁になっておらず、かなりの急傾斜ながらなんとか岩を縫
って下ることができた。
伊坪谷へ下る手前にも岩壁帯がある。ここは左へ左へトラバースしながら、岩壁が切れるところまで進むと、
やっと伊坪谷の取水堰堤が視界に入ってひと安心。取水設備の保全用の道に出ると、やっと緊張が解けてぐった
りしてしまった。のどはカラカラだ。最後に取っておいたひと口のお茶を含んで、伊坪谷の出合へ歩き出す。
上多古川にかかる橋を渡っていると、向こうからキャンパーの一団が歩いて来た。
「どこへ行ってたんですが?」と聞かれたので、「こっちの谷から周回してきた」と説明すると、どういうルー
トか分かるはずもないが驚いていた。
ようやく車まで戻って、アスファルトの路面に大の字にひっくり返る。
アスファルトのひんやりとした感触が、この上なく気持ち良く感じた。
山日和
Fbでも目にはしてましたが、ここであらためて読んでオドロキ! こんなイレギュラー体験レポを私なんぞがアップしたら、各方面よりお叱りに、嘲りに、ちょっとだけ心配のタシナメで久々にヤブが大炎上してたかも(@_@。