【台高南部】「りゅうの物語 第三章」柳ノ谷・駒ノ滝

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アオバ*ト
記事: 283
登録日時: 2019年9月23日(月) 08:40

【台高南部】「りゅうの物語 第三章」柳ノ谷・駒ノ滝

投稿記事 by アオバ*ト »

 
 前回の「龍ノ高塚」のレポを書いていた時、いいタイトルが思いつかなくて、
やや投げやりに「第二章」と付けた。自分では、続きがあるとは思っていなかったが、
Tさんより、「こんどは柳ノ谷を遡って駒ノ滝を見に行こう」との、なんとも魅力的なお誘いが来た。
また、思いがけず、biwacoさんよりも「さて、第三章はあるや否や?」との嬉しいコメントも頂戴した。
で、もって、たいへん拙い語り部ですが、「第三章」、お送りいたします。

【山行日】2020年6月27日(土)
【山域】台高南部 柳ノ谷・駒ノ滝
【メンバー】Tさん、アオバ*ト
【天候】晴れのち曇り
【ルート】又口橋8:00、林道終点8:45、入渓点10:20、駒ノ滝12:10~13:10、
林道終点15:30、又口橋16:00

 尾鷲の土井家によって最初に造られた尾鷲道(又口道)を歩いてみたくて始まった旅物語。物語は今回で3回目だが、
ここ(又口)に来るのは、この半年の間にもう4回目となる。
どうしてこんなに夢中になったのか。唯々、このエリアの雰囲気が気に入ったとしか説明できないのだが、
地形図を見ていて、妙に惹きつけられたことがある。
それは、「柳ノ谷」と「県境」と「又口道」(尾鷲道)の関係性だ。銚子川水系又口川支流の「柳ノ谷」は、台高山脈主稜線上の龍辻(P1260)というピークの少し南の奈良県側に源頭がある。龍辻から奈良県側を流れてきて支流のハチヤ川(支流名はっきりしない)と合流するところで県境と重なる。逆に言うと、県境は下流では柳ノ谷と重なっていたものが、上流では支流のハチヤ川から尾根へ上がっていく。また尾鷲道もハチヤ川付近からジグを切って登り始めている。尾鷲道はピークを巻いてしまうので、柳ノ谷と再び出合うことはないのだが、県境から離れた柳ノ谷は、回り込むようにして再び県境稜線(台高山脈主稜線)へ上がってくる。尾鷲道から寄り道して、龍辻のピークで尾鷲の海と町を眺めるとき、眼下に堂々と広がるのは古和谷で、背後から登ってくる柳ノ谷は陰に隠れてしまう。
柳ノ谷は龍辻の南で静かに湧き出して、人知れず、優美な大滝を掛け、あとは緩やかに美しい小滝を掛けつつ又口へと流れて行く。「龍」なのに穏やかで静かで、いつも陰に隠れていて、でもとても美しくて、この一帯の山仕事を支えてきて、なんかそんなイメージが、わたしの頭の中で広がって行ったのだ。

 今日も、又口橋のたもとに車を停めて、林道を歩き始める。この林道もお気に入りだ。
林道終点までゆっくり歩いても40分程度。ずっと平坦な道。山の神様が祀られていて、しばらく歩くと庚申さんがあって、またしばらく歩くと右岸の壁から水が湧いていて、おしゃべりしているとすぐに終点に着く。もっと目を凝らし耳を澄ますと、もっといろんなものに出会えるかもしれない。石積みの道から垣間見える柳ノ谷は、梅雨の合間の光を浴びてコバルトブルーに輝く。しばらく石垣道を進むと朽ちた吊り橋の残骸の残る渡渉点。トラロープにつかまって慎重に川底に降りる。Tさんは、トレランシューズで飛び石で上手く渡っていたけど、最初から沢シューズのわたしは、少し上流側をジャブジャブと渡る。沢登りを楽しむ場合はここから遡行するといいのかもしれないが、わたしたちは、又口道と離れていく沢沿いの古道(木馬道だと尾鷲の山に詳しい方に教えて頂いた)がどこまで続いているのか知りたくて対岸へ渡る。この対岸へ這い上がるのも、重なり合った岩や朽ちかけた木の根っこが崩れやしないかとやや緊張する。
DSC08892(又口道).jpg
 大きな岩盤の横を通るときカモシカと出会った。岩盤の先、道が落ちたところを高巻して、又口道と分かれて、再び沢沿い(左岸)の道へ戻る。ほとんど崩れ落ちた道をドキドキしながらトラバースして進んで行くと作業小屋の痕跡らしきがあり、右手に上がっていく道の石垣が残っていた。このあたりで、沢沿いの道はわからなくなり、沢の中へ入る。
 水の中を戯れたり、右へ左へ渡りながら、「りゅう」といっしょに遊ぶ。楽しい。
DSC08910(小瀧①).jpg
叫びながら小さな淵をへつったり、美しい小滝に感嘆したり、ロープに繋がれて高巻きしたり。
DSC08918(小瀧②).jpg
 やがて水しぶきをいっぱいに吹き散らす小滝の前に来た。登れても降りて来られるだろうか。この滝の上に深い淵があったらどうしよう。不安がないわけではなかったが、確保してもらって、滝身のすぐ左を登る。小滝の上は狭くなっていたが、深くはなかった。
 架線の残骸が散らばる岩場を乗り越えて、上を見上げる。「見えたよ!すごい!」
DSC08925(駒の滝①).jpg
 三月前、出口峠道から遠望した、柳ノ谷の大滝「駒ノ滝」が、いま目の前にある。
DSC08929(駒の滝②).jpg
「駒ノ滝」を背にすると、遠く緑の濃い山腹にか細い一筋の線があるように見える。
わたしにとって、それはただの線ではなくて、何かに繋がっていく道だった。
15933546067475(出口峠道遠望).jpg
滝のすぐ傍まで行ってみた。「ここまで来たよ!」
DSC08950(駒の滝③).jpg
「よく来たね!」と言って、“りゅう”は、水しぶきをいっぱい上げて空へ舞い上がって行った。煌めきながら降ってくる無数の小さな水の粒は、“りゅう”の虹色のウロコみたいだった。
DSC08960(駒の滝④).jpg
 レポを書きながら、どうして「駒ノ滝」というのだろうと考えていた。駒、駒、駒。あ、「駒止め」。ここから先、牛馬はもう、“りゅう”のようには登れない。木馬道の終点。そうかぁ、ひとりで納得した。当たってるかどうかわからないけど、なんかひとりで嬉しくなった。

 アオバ*ト
biwaco
記事: 1422
登録日時: 2011年2月22日(火) 16:56
お住まい: 滋賀県近江八幡市

Re: 【台高南部】「りゅうの物語 第三章」柳ノ谷・駒ノ滝

投稿記事 by biwaco »

アオバトさん、こんにちは♪

第3ステージは「夏の章」。ついに銀の鱗を撒き散らしながら天に昇るかのような「りゅう」が登場しましたね。
鬱陶しい梅雨の末期、熊本では「りゅう」の悪仲間が大暴れして人間に襲いかかっているとか。被害者への追悼とともに、そんな悲しい結果を招いてしまう自然・地球と人間のかかわりについて、いろいろと考えさせられてしまいます。
地形図を見ていて、妙に惹きつけられたことがある。
それは、「柳ノ谷」と「県境」と「又口道」(尾鷲道)の関係性だ。
地形図には詳細な地名やガイド情報が載っていないので、想像するしかないです。雨模様で山はお休みの昨今、それが楽しい時間つぶしなんですけどね。(^_-)
県境と奥崖道は付いたり離れたりで、腐れ縁の夫婦みたいなもんですね。「俺、稜線行くからな」「なら、私は谷を下ります」
そういいながら、また尾根の出合でドッキングしてお茶タイム…。(^_-)
ま、もちろん歴史的、社会的、産業や暮らしとのかかわりなんかで今の境界や道があるんでしょうけどね。
石積みの道から垣間見える柳ノ谷は、梅雨の合間の光を浴びてコバルトブルーに輝く。しばらく石垣道を進むと朽ちた吊り橋の残骸の残る渡渉点。トラロープにつかまって慎重に川底に降りる。
記述も画像も、「りゅう」の背中はオモロそうで、キビシそうで、振り落とされないようしがみついてないと…(゜o゜)
 三月前、出口峠道から遠望した、柳ノ谷の大滝「駒ノ滝」が、いま目の前にある。
ついに御神体を拝謁できましたか! ソーシャルディスタンスを忘れると、銀鱗シャワーを浴びてしまいそうだ(^_-)

「駒ノ滝」を背にすると、遠く緑の濃い山腹にか細い一筋の線があるように見える。


出口峠につながる道?
駒、駒、駒。あ、「駒止め」。ここから先、牛馬はもう、“りゅう”のようには登れない。
「魚止め」とか、「車止め」とか、ありますね。私にはもっと下流で「足止め」されないかと…(>_<)
当たりはずれは別にして、山や谷の名前についていろいろ考えてみるのは楽しいですね。京都北山にある「ミゴ谷」は「見後谷」でした。どんな意味があるのか、さっぱりわかりませんが、後ろを振り返っただけで先へ進みました(゜o゜)

「あるや否や?」の期待にお応え頂きありがとうございました。まさかの第四章は…?
台高なら、「スターウオーズ」か「ネバーエンディングストーリー」並みの物語の舞台には十分なれそうですね(^_-)
    
    ~びわ爺
skywalk
記事: 509
登録日時: 2011年3月07日(月) 21:33

Re: 【台高南部】「りゅうの物語 第三章」柳ノ谷・駒ノ滝

投稿記事 by skywalk »

アオバトさん、こんにちは。
レポをちょっと見せていただいたら、現地紹介の中で尾鷲道だの又口だの懐かしい地名に目が留まりました。今からひと昔前の尾鷲赴任時代には毎週のように台高南部をゴソゴソ歩き回っていました。台高主稜線に乗るには木組峠に出るのが普通なのですが、坂本貯水池まで行くには車の運転も大変なので又口からよく登りました。

それは、「柳ノ谷」と「県境」と「又口道」(尾鷲道)の関係性だ。
マニアックな説明ですが、地形図を見ると確かに県境稜線は又口のところでⅤ字型に折れ曲がっていますね。龍辻というのは橡山分岐のことですかね。尾鷲道というのは地形図の破線のことだと思いますが、破線ルートは背丈をこす笹薮で歩けずいつも尾根を辿っていました。

しばらく石垣道を進むと朽ちた吊り橋の残骸の残る渡渉点。
20年ほど前でもかなり朽ちていましたが、スーパーフェザー級の私はいつもお世話になっていました。

又口道と離れていく沢沿いの古道
これも2,3度使わせていただきました。

水の中を戯れたり、右へ左へ渡りながら、「りゅう」といっしょに遊ぶ。楽しい。
私は沢登なんてワイルドなお遊びを知らなかったからヤブ道をゴソゴソ行くしかなかった。うらやましい。

三月前、出口峠道から遠望した、柳ノ谷の大滝「駒ノ滝」が、いま目の前にある。
大滝は駒の滝というのですか。真冬に行ったら両岸が凍り付いていた覚えがあります。

「よく来たね!」と言って、“りゅう”は、水しぶきをいっぱい上げて空へ舞い上がって行った。煌めきながら降ってくる無数の小さな水の粒は、“りゅう”の虹色のウロコみたいだった。
へぇ~文学的センスがありますね。とにかく本当よく来たね。
あこがれの地に辿りつけておめでとうございます。
アオバ*ト
記事: 283
登録日時: 2019年9月23日(月) 08:40

Re: 【台高南部】「りゅうの物語 第三章」柳ノ谷・駒ノ滝

投稿記事 by アオバ*ト »

 biwacoさん、こんばんは!

早々と、愉快なレス、ありがとうございます。

第3ステージは「夏の章」。ついに銀の鱗を撒き散らしながら天に昇るかのような「りゅう」が登場しましたね。
鬱陶しい梅雨の末期、熊本では「りゅう」の悪仲間が大暴れして人間に襲いかかっているとか。被害者への追悼とともに、そんな悲しい結果を招いてしまう自然・地球と人間のかかわりについて、いろいろと考えさせられてしまいます。
ほんとうに、豪雨や洪水に見舞われるたびに、自然とは人知をはるかに超えるものとの思いを強くします。
地形図には詳細な地名やガイド情報が載っていないので、想像するしかないです。
ま、もちろん歴史的、社会的、産業や暮らしとのかかわりなんかで今の境界や道があるんでしょうけどね。
常日頃あまり意識することのなかった「県境」ですが、今は別の意味で意識することになってしまいましたね。
きっと、biwacoさんおっしゃるような流れで境界が定められたのでしょうが、具体的にどんな流れでこんなふうに?と思ってしまいました。

記述も画像も、「りゅう」の背中はオモロそうで、キビシそうで、振り落とされないようしがみついてないと…(゜o゜)
いやいや、ふだんは優しい子ですので、振り落としたりしないから大丈夫と思います。
ついに御神体を拝謁できましたか! ソーシャルディスタンスを忘れると、銀鱗シャワーを浴びてしまいそうだ(^_-)
水量が多いときは二条になることもあるようですが、深い滝壺のある滝ではないので、ソーシャルディスタンス気にすることなく近寄れます。
出口峠につながる道?
そうですね。もりもり繁った山腹に出口峠道が隠れているはずです。
魚止め」とか、「車止め」とか、ありますね。私にはもっと下流で「足止め」されないかと…(>_<)
当たりはずれは別にして、山や谷の名前についていろいろ考えてみるのは楽しいですね。京都北山にある「ミゴ谷」は「見後谷」でした。どんな意味があるのか、さっぱりわかりませんが、後ろを振り返っただけで先へ進みました(゜o゜)
あはは、“やぶこぎ亭びわ爺”の落語、聞いてるみたいです。でもたぶん足止めはされません。優しい(易しい)沢です。
山や谷の名前についてあれこれ考えるのはほんと楽しいです。なんと「見後谷」!大変興味深い名前が出てきました。
何だか、台高南部から「りゅう」の背中に乗って、久多のワンダーランドに飛んで行きたくなってきました。

まさかの第四章は…?
あんまりおだてないでくださいよ~。また調子に乗って書いてしまいますやん。

アオバ*ト
アオバ*ト
記事: 283
登録日時: 2019年9月23日(月) 08:40

Re: 【台高南部】「りゅうの物語 第三章」柳ノ谷・駒ノ滝

投稿記事 by アオバ*ト »

 skywalkさん、こんばんは!
レス、ありがとうございます。

今からひと昔前の尾鷲赴任時代には毎週のように台高南部をゴソゴソ歩き回っていました。台高主稜線に乗るには木組峠に出るのが普通なのですが、坂本貯水池まで行くには車の運転も大変なので又口からよく登りました。
そうだったのですか!それはそれは、うらやましい。わたしなど、尾鷲にお引越ししたいくらいです。
「坂本貯水池」から、あるいは「又口」から登るというのは、少数派のような気がするのですが、「地蔵峠」からという選択はされなかったのでしょうか?
龍辻というのは橡山分岐のことですかね。尾鷲道というのは地形図の破線のことだと思いますが、破線ルートは背丈をこす笹薮で歩けずいつも尾根を辿っていました。
「龍辻」は稜線上での、橡山への分岐になりますね。破線ルート(又口道)は長い間ササヤブに被われていたのですね。
今はササヤブってほとんど無かったです。

20年ほど前でもかなり朽ちていましたが、スーパーフェザー級の私はいつもお世話になっていました。
へぇ~!今はこんなことになってます。でも、川底に降りるためのトラロープ設置されてます。
DSC08885(朽ちたつり橋).jpg
又口道と離れていく沢沿いの古道
これも2,3度使わせていただきました。
そうなんですかぁ!
私は沢登なんてワイルドなお遊びを知らなかったからヤブ道をゴソゴソ行くしかなかった。うらやましい。
そのヤブ道を探したくてゴソゴソ行ったんですが、わからなくなってあきらめて水の中行きました。

大滝は駒の滝というのですか。真冬に行ったら両岸が凍り付いていた覚えがあります。
すごい~!真冬~!やっぱり大滝まで木馬道あったんですね。氷瀑もすばらしいでしょうねぇ。
skywalkさんは、きっと滝から稜線までも登られたのでしょうね。いいなあ。
へぇ~文学的センスがありますね。とにかく本当よく来たね。
あこがれの地に辿りつけておめでとうございます。
いやぁはずかしい。役立たずの戯言綴りのようなものでして。
でも、ありがとうございます。
いつかお会いできるのを楽しみにしております。

アオバ*ト
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