【越美国境】ナメの饗宴 荷暮川野々小屋谷から滝波山
Posted: 2020年6月24日(水) 20:42
【日 付】2020年6月21日(日)
【山 域】越美国境 滝波山周辺
【天 候】晴れ
【コース】荷暮川二俣7:35---8:35野々小屋谷出合---9:00二俣---11:30越美国境稜線---12:00滝波山13:30---
15:50林道---16:45駐車地
九頭竜川の支流、荷暮川上流の野々小屋谷。24年振りに訪れたこの谷には苦い思い出がある。
遡行の序盤、釣り師に遭遇して一触即発のトラブルになったのだ。相手は「谷を歩くな。尾根を行け。」と言う。
こちらも大阪からわざわざこの沢を登りに来たのだから、すんなりと引き下がるわけにはいかない。
「川はおたく一人のために流れてるんじゃない。」と口論になった。
結局、「しばらく釣る間待っててくれ」と、30分ほど待機して、上流へ向かうことができた。
今にして思えば、彼もわざわざ浜松からスクーターに乗ってここへ来て、入漁券を買ってこの谷を割り当てられ
たのだから気の毒だった。
私もまだ若く、人間ができていなかったのだろう。(今でもできていないという噂もあるが)
林道は荷暮集落跡(廃村だが、夏の間は人が住んでいるようだ)の先の二俣を少し入ったところで崩れており、
ここから4キロほどの林道歩きを強いられる。途中でクマと遭遇、こちらの姿を認めると一目散に逃げて行った。
この日はその後も、カモシカ、シカ、モグラ、アナグマと、いろんな友達に出遭うことができた。
この野々小屋谷は穏やかな谷だ。二俣を過ぎるまではまったくの平流が続くが、サワグルミを主体とする豊か
な自然林の中を悠然と流れる明るい谷は、沢登りの興味とは違う次元の喜びをもたらしてくれる。
左俣に入ってしばらく進むと様相が変わった。穏やかなことには変わりがないが、それまでのサラサラと流れ
る小川というイメージから、岩床を滑るように走るナメ床が延々と続く。
あまりにも傾斜が緩いので、本当に山頂に着けるのかと思ってしまうが、スタート地点の標高がすでに800mを
超えているので、獲得すべき標高差はたいしたものではない。
フェルトソールを浸す程度の緩やかなナメをヒタヒタと歩く感触は格別のものがある。
この谷のナメの特徴は、赤い岩盤にある。赤石沢のラジオラリアではないだろうが、どういう岩質なのだろう。
入渓点から行程の6割ばかり消化したところで、やっと初めての滝らしい滝と対面した。
3段15mほどはあるだろうか。フリクションがよく利く岩で、簡単に直登することができる。谷幅一杯に流れる
滑り台のようなナメ滝も、ど真ん中から通過した。
標高1000mを超えるとさすがに傾斜が強まってくるが、通過困難な滝はまったく無く、階段状に流芯を歩いて
行ける小滝ばかりである。水流が途絶えてもそれは変わらず、ルンゼ状になった谷は何の障害も無く高度を稼い
でいける。
ヤブ無しで越美国境稜線に辿り着いた。24年前の記憶の中には、ここから滝波山頂までヤブを漕いだ形跡がな
い。しかし、さすがに道のない越美国境の山だけあって、それなりのヤブを楽しませてくれた。ところどころに
明瞭な踏み跡が現われて喜んだのも束の間、次の瞬間にはシャクナゲのヤブに消えてしまう。
それでも激ヤブというレベルでもなく、30分ほどの我慢で、完全に岐阜県側にある滝波山の頂上に到達した。
2メートル四方に切り開かれた山頂からは、南側の展望だけが得られる。
4度目の滝波山。その内3回は沢からの登頂である。9年前にふ~さんとホーノ洞を遡行してここに立ったことを
思い出す。ふ~さんはどうしているのだろう。
下山は野々小屋谷の右俣を取る。国境稜線まで戻って、北に方向を定めてまっすぐに下る。
この斜面はどこを下りても右俣に収斂されて行くのだ。
小さな谷の源頭に入ればヤブは無く、足元に注意さえすれば順調に進むことができた。やがて左から右俣の本流
と出合う。こちらも左俣同様、滝らしい滝のない谷である。途中には素敵なブナ林の小台地もあり、下山路とし
ては快適なルートと言えるだろう。ただ、行けども行けども凡流が続いたが、少々退屈しかかったところでナメ
が現われた。規模は左俣と比べるべくもないが、特徴のある岩の造形がいいアクセントになっている。
二俣まで戻ってきた。ここからはできるだけ両岸の踏み跡を拾って省エネを図る。
谷が終わっても、まだ1時間ばかりの林道歩きが待っているのだ。
山日和
【山 域】越美国境 滝波山周辺
【天 候】晴れ
【コース】荷暮川二俣7:35---8:35野々小屋谷出合---9:00二俣---11:30越美国境稜線---12:00滝波山13:30---
15:50林道---16:45駐車地
九頭竜川の支流、荷暮川上流の野々小屋谷。24年振りに訪れたこの谷には苦い思い出がある。
遡行の序盤、釣り師に遭遇して一触即発のトラブルになったのだ。相手は「谷を歩くな。尾根を行け。」と言う。
こちらも大阪からわざわざこの沢を登りに来たのだから、すんなりと引き下がるわけにはいかない。
「川はおたく一人のために流れてるんじゃない。」と口論になった。
結局、「しばらく釣る間待っててくれ」と、30分ほど待機して、上流へ向かうことができた。
今にして思えば、彼もわざわざ浜松からスクーターに乗ってここへ来て、入漁券を買ってこの谷を割り当てられ
たのだから気の毒だった。
私もまだ若く、人間ができていなかったのだろう。(今でもできていないという噂もあるが)
林道は荷暮集落跡(廃村だが、夏の間は人が住んでいるようだ)の先の二俣を少し入ったところで崩れており、
ここから4キロほどの林道歩きを強いられる。途中でクマと遭遇、こちらの姿を認めると一目散に逃げて行った。
この日はその後も、カモシカ、シカ、モグラ、アナグマと、いろんな友達に出遭うことができた。
この野々小屋谷は穏やかな谷だ。二俣を過ぎるまではまったくの平流が続くが、サワグルミを主体とする豊か
な自然林の中を悠然と流れる明るい谷は、沢登りの興味とは違う次元の喜びをもたらしてくれる。
左俣に入ってしばらく進むと様相が変わった。穏やかなことには変わりがないが、それまでのサラサラと流れ
る小川というイメージから、岩床を滑るように走るナメ床が延々と続く。
あまりにも傾斜が緩いので、本当に山頂に着けるのかと思ってしまうが、スタート地点の標高がすでに800mを
超えているので、獲得すべき標高差はたいしたものではない。
フェルトソールを浸す程度の緩やかなナメをヒタヒタと歩く感触は格別のものがある。
この谷のナメの特徴は、赤い岩盤にある。赤石沢のラジオラリアではないだろうが、どういう岩質なのだろう。
入渓点から行程の6割ばかり消化したところで、やっと初めての滝らしい滝と対面した。
3段15mほどはあるだろうか。フリクションがよく利く岩で、簡単に直登することができる。谷幅一杯に流れる
滑り台のようなナメ滝も、ど真ん中から通過した。
標高1000mを超えるとさすがに傾斜が強まってくるが、通過困難な滝はまったく無く、階段状に流芯を歩いて
行ける小滝ばかりである。水流が途絶えてもそれは変わらず、ルンゼ状になった谷は何の障害も無く高度を稼い
でいける。
ヤブ無しで越美国境稜線に辿り着いた。24年前の記憶の中には、ここから滝波山頂までヤブを漕いだ形跡がな
い。しかし、さすがに道のない越美国境の山だけあって、それなりのヤブを楽しませてくれた。ところどころに
明瞭な踏み跡が現われて喜んだのも束の間、次の瞬間にはシャクナゲのヤブに消えてしまう。
それでも激ヤブというレベルでもなく、30分ほどの我慢で、完全に岐阜県側にある滝波山の頂上に到達した。
2メートル四方に切り開かれた山頂からは、南側の展望だけが得られる。
4度目の滝波山。その内3回は沢からの登頂である。9年前にふ~さんとホーノ洞を遡行してここに立ったことを
思い出す。ふ~さんはどうしているのだろう。
下山は野々小屋谷の右俣を取る。国境稜線まで戻って、北に方向を定めてまっすぐに下る。
この斜面はどこを下りても右俣に収斂されて行くのだ。
小さな谷の源頭に入ればヤブは無く、足元に注意さえすれば順調に進むことができた。やがて左から右俣の本流
と出合う。こちらも左俣同様、滝らしい滝のない谷である。途中には素敵なブナ林の小台地もあり、下山路とし
ては快適なルートと言えるだろう。ただ、行けども行けども凡流が続いたが、少々退屈しかかったところでナメ
が現われた。規模は左俣と比べるべくもないが、特徴のある岩の造形がいいアクセントになっている。
二俣まで戻ってきた。ここからはできるだけ両岸の踏み跡を拾って省エネを図る。
谷が終わっても、まだ1時間ばかりの林道歩きが待っているのだ。
山日和