【台高】「りゅうの物語 第二章」再び出口峠道と龍ノ高塚(・1167)

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アオバ*ト
記事: 283
登録日時: 2019年9月23日(月) 08:40

【台高】「りゅうの物語 第二章」再び出口峠道と龍ノ高塚(・1167)

投稿記事 by アオバ*ト »

【日程】2020年3月20日(金・祝)
【山域】台高南部・出口峠道と龍ノ高塚(・1167)
【メンバー】Tさん、アオバ*ト
【天候】晴れ
【ルート】又口ゲート前8:20、出口峠道に入る9:20、橋の落ちた枝谷出合10:30、
アゲグチ峠12:05、熊野灘展望台12:30、龍ノ高塚(1167)13:45~14:25、
出口峠14:50、林道終点17:00、ゲート前17:40

 「ここでみんなでテント泊したら楽しいだろうな。」反射板の前の広々とした平らなところにテントを張って、一段高くなった夕陽のテラスで晩ごはん作って、スパークリングワインで乾杯。考えただけでうっとりする。海は見えるし、大台ケ原も見えるし、大峰の山々も見えるし、上北のダム湖も見えるし、もちろん愛しい龍辻も見える。それに何にもまして、この居心地の良さ。おっきな反射板が2つも立っているっていうのに、この居心地の良さは何だろう。龍辻も抱きしめたいほどに愛しかったけれど、ここもとっても気に入った。
柳ノ谷の左俣が突き上げるピーク・1167。zippさんのレポによれば、「龍ノ高塚」。

今日も紀勢自動車道の尾鷲北から国道425へ入り、又口橋のたもとに車を停めて、山の神に手を合わせて、やって来た。
DSC08585(山の神).jpg
 すっかり、この尾鷲のはずれの「又口」というところが気に入った。何がと言われてもうまく答えられないのだが、国道がカーブするところの妙に明るくて広い空間。古びた森林組合の建物と川を包み込むような樹林の向こうに又口橋がかかっている。橋の真ん中に立って又口川を眺めて、沢の音を聞いてゲートのはしっこを抱きかかええるようにして越える瞬間に感じる何か。打ち捨てられた生活の痕跡を横目に、山の神を見上げて手を合わせる。今ここにある、人の営みと共に存在してきたすべてのもの、山も谷も木も水も魚も鳥も、伐採されて置き去りにされたままの木も、打ち捨てられてしまったかけらさえも、心に何かを響かせる。

 林道を少し歩いて、地形図の出口峠道の破線が始まる真下あたりから、やや尾根地形の斜面に取り付いてみようねと話していた。15分ほど歩くと、この間は重機の停まっていた作りかけのような新しい林道の出合。GPSで確認すると、ここが出口峠道の破線の始まる真下だった。なら、この作りかけの林道あがってみましょ。今日は重機は停まっていない。造られつつある道はそこらへんで終わっているだろうという予想に反して、切り返しながらどんどん上がっていく。もうだいぶん上がったよなと思ってGPSを見ると、もうすでに破線を越えて、さらに上に延びていた。林道が枝谷を避けて切り返しているところまで戻る。そして枝谷へヤブをかき分けて降りてみると、果たして古道はそこから始まっていたというか、そこから先は寸断されずに残されていた。植林の中、照葉樹の灌木のヤブに覆い被されながらも、古道はしっかり残っていた。今も山仕事で使われることがあるのだろうか。
DSC08605(出口峠道①).jpg
アゲグチ道との分岐にはお地蔵さんがあるらしいので、何も考えずに「すごいね!すごいね!この道!」とハイテンションで進んで行って、気付かぬままアゲグチ分岐を通り越してしまっていた。通り過ぎてから、さっき渡った枝沢のところが分岐だったのだと気が付いた。それにしてもお地蔵さんはどこにいたんだろう。Tさんが、もしロープ使ってこの先も通過できたら帰りに通るから、先に進もうと言う。通過できてもできなくても、又口側からあの朽ちた吊り橋を見てみたい気持ちもあったので進むことにする。そしてすぐに道は途切れた。あの朽ちた吊り橋の掛かった枝谷よりももうひとつ又口側のこの枝谷も深く切れて、かつては橋がかかっていたようだった。Tさんがきょうはロープがあるから行けるからと言うが、クライミングも沢登りもまともにできないわたしには、とても行ける気がしなかった。それにこの狭いほうの谷を渡れたとしても、先の大きな谷が渡れなければ、再び怖い思いをして戻らなければいけないのだ。地形図を見るとここから、前回、出口峠側から来て引き返した吊り橋の向こうまで直線距離にしたらわずか50mばかり。山の神は、そのわずか50mの区間をつなげることを許してはくれなかった。100年前、ここに橋があって人が行き交っていた時はどんなだったのだろう。ふとそんなことを思い、来た道を少し戻る。
 さてとお地蔵さんを探しに戻りたいがアゲグチ道分岐まで戻ると時間が足りなくなるかもしれない。この切れ落ちた枝谷の右岸の尾根を登ることにする。仕事道のようでヤブもなく最初は登り易かったが、だんだん傾斜が増して、やっぱりお地蔵さんのところに戻ってアゲグチ道を行けば良かったなと少し後悔した。それでも最後は尾根芯から離れてきれいに巻くように稜線のアゲグチ峠の少し北へ上がった。稜線を下ってアゲグチ峠を見に行ったが、一面植林だけで、他には何もなく殺風景だった。ここからは稜線を北西にアップダウンを繰り返して進んで行くだけだが、地味にしんどかった。
DSC08610(展望台).jpg
途中、尾鷲の海と町がきれいに見える箇所があって癒されたのも束の間、雑然とした植林帯の上り下りで嫌気がさした。
龍ノ高塚もあまりパッとしないところなのだろうか。ほとんど人の歩いている形跡もない。でも、龍ノ高塚から、前回テントを張った乗越と龍辻を眺めたくてやって来たのだ。
先に着いたTさんが「ええとこやで~。テント張れるで~」と叫んでいた。わたしも遅れて反射板の横に立った。いっぺんに、うっとおしい尾根歩きの鬱憤が吹き飛んだ。「龍ノ高塚(・1167)」、とってもすてきなとこだ。
DSC08631(龍の高塚).jpg
海を眺めて、大台ケ原を眺めて、ダム湖を眺めて、「あ~!あそこがこの間テント張ったとこで、あれが龍辻~!」龍辻は遠くから眺めてもほんとにほんとに可愛らしかった。山頂の少し高くなったところで店開きする。あまりゆっくりできないけれど、今日も極上の場所でお昼。いつかここでテント張りたいなと思った。水は担いで来なくちゃダメだけど。
1585357119062(龍の高塚②).jpg
もう一度写真を撮って出口峠へと下る。出口峠へ下るまでは、東ノ川側の自然林が美しく、途中すてきな小場もあった。
DSC08641(出口峠近くの小場).jpg
そして再び出口峠道を歩けるのが嬉しかった。
1584766015936(駒の滝).jpg
1584766034749(出口峠道③).jpg
前回、道を見失ってしまったところもちゃんと辿れた。今日も帰りは途中からは送水管の尾根だけど、又口道の古道に合流して、金属パイプの桟橋を渡るときの満ち足りた気持ちは何ものにも代え難かった。
  アオバ*ト
biwaco
記事: 1422
登録日時: 2011年2月22日(火) 16:56
お住まい: 滋賀県近江八幡市

Re: 【台高】「りゅうの物語 第二章」再び出口峠道と龍ノ高塚(・1167)

投稿記事 by biwaco »

こんばんは、アオバトさん(^^♪

「りゅうの物語 第2章」
なんだかRPGの世界に入り込んでしまいそうなレポに、疲弊した爺の脳ミソがかき回されそうです。
「第1章」を読んだ時、自分が一体どこにいるのか分らないまま、未知の世界を彷徨ってしまいました。
今回、PCに地形図を呼びだして、第2章レポと併せ読みしてみて、又口からの「りゅう」の棲み家が見えてきました。飛龍ファルコンに載って、春の南紀から台高山脈を北上してみるのも楽しいものかも?
と思ってページをめくりました。

「龍の高塚」「龍辻」「出口峠」…台高南部にはとんと縁のないびわ爺には、やはり時空を超えた別世界。でも、荒れてるとはいえ、道が延びているのなら入り込んでみることくらいはできるのかも?
そんな不届きな思いに駆られる「物語」でありました。
ながらくご無沙汰のzipp師匠のごとく、こんな別世界を自分の庭のように自由に飛び回わってみたいものです。

さて、「第3章」はあるや否や? 
       ~台高に久しいびわ爺
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【台高】「りゅうの物語 第二章」再び出口峠道と龍ノ高塚(・1167)

投稿記事 by sato »

アオバトさま

こんばんは。
「りゅうの物語」、アニメーションを観ているような不思議な感覚に包まれました。
少女のようなアオバトさんが「わ~い、わ~い」とはしゃぎながら山に分け入っている姿が浮かんできます。
(女の子だったらお酒は飲めないか(笑))

出口峠?龍ノ高塚?未知の山域で、地図を見てもどこにあるのか分かりませんでしたが、
高速道路のインターからの説明で又口に辿りつくことが出来ました。

峠道というと、私が歩く地域だと、尾根か谷を辿る山越えの道が頭に浮かぶのですが、アゲクチ峠、出口峠それぞれ、山腹道があったのですね。
それだけ山深いのだなぁと思いました。道が崩れないように、丁寧に石積みされた写真を見て、この道を行き来した人々の思いを感じました。

「人の営みと共に存在してきたすべてのもの、山も谷も木も水も魚も鳥も、伐採されて置き去りにされたままの木も、
打ち捨てられてしまったかけらさえも、心に何かを響かせる」
山を歩いていると、私も、そんな思いに包まれます。
器や瓶、飯場の残骸、山仕事の道具、そして、ぽとんと落ち葉の中に埋もれた、誰かの、何かの、小さな記憶のかけらの数々・・
そういう打ち捨てられてしまったかけら語る真実が、静かに胸に鳴り響きます。

「こんなところにテントを張りたい」と言って、実現するのですね。
アオバトさん達の情熱が、今年に入って何度か計画倒れしている私には眩しいです。
行きたいのに、「天気が分からないし、荷物は重いし」とあきらめちゃうのですね。

アオバトさんのレポを読むと、台高を訪れたくなります。私もアオバトさんの世界を覗くことが出来るかな?

sato
アオバ*ト
記事: 283
登録日時: 2019年9月23日(月) 08:40

Re: 【台高】「りゅうの物語 第二章」再び出口峠道と龍ノ高塚(・1167)

投稿記事 by アオバ*ト »

 biwacoさん、こんばんは!

夜も更けてきた頃PCを開けて地形図を呼び出し、かような戯けたレポにお付き合い下さり、
ありがたく存じます。

なんだかRPGの世界に入り込んでしまいそうなレポに、疲弊した爺の脳ミソがかき回されそうです。
「第1章」を読んだ時、自分が一体どこにいるのか分らないまま、未知の世界を彷徨ってしまいました。
今回、PCに地形図を呼びだして、第2章レポと併せ読みしてみて、又口からの「りゅう」の棲み家が見えてきました。


RPGって何や?とググってしまうようなスカスカ脳ミソの私より、
biwacoさんのほうが豊潤で若々しい脳ミソをお持ちのように思います。

飛龍ファルコンに載って、春の南紀から台高山脈を北上してみるのも楽しいものかも?
と思ってページをめくりました。
「龍の高塚」「龍辻」「出口峠」…台高南部にはとんと縁のないびわ爺には、やはり時空を超えた別世界。
でも、荒れてるとはいえ、道が延びているのなら入り込んでみることくらいはできるのかも?


飛龍ファルコンに乗らずとも、ほとんど水平道ですから、ある意味、ほかのところより楽チンなんですよ。
アプローチもダートな林道をヒヤヒヤしながら走行することもなく、国道沿いダイレクトですし、
車を停めて橋を渡れば、そこから異次元ワールドです~。
でも、お出かけの際はお供の者をお連れ下さるほうがよいかもです~。


さて、「第3章」はあるや否や? 

「第三章」「番外編」「スペシャルバージョン」!
そんなわけわからんレポ、たて続けに書くんじゃない!と、そのうち誰かに怒られそうです。

 アオバ*ト
アオバ*ト
記事: 283
登録日時: 2019年9月23日(月) 08:40

Re: 【台高】「りゅうの物語 第二章」再び出口峠道と龍ノ高塚(・1167)

投稿記事 by アオバ*ト »

 satoさん、こんばんは、じゃなくて、おはようございます。ですよね、たぶん。
satoさんも、未知の世界なのに、地図を広げて、尾鷲のインターから又口までお越しくださり、ありがとうございます。


出口峠?龍ノ高塚?未知の山域で、地図を見てもどこにあるのか分かりませんでしたが、
高速道路のインターからの説明で又口に辿りつくことが出来ました。

峠道というと、私が歩く地域だと、尾根か谷を辿る山越えの道が頭に浮かぶのですが、アゲクチ峠、出口峠それぞれ、山腹道があったのですね。
それだけ山深いのだなぁと思いました。道が崩れないように、丁寧に石積みされた写真を見て、この道を行き来した人々の思いを感じました。


 このエリアには、急な山腹に造られた石積みや岩を穿った水平道がたくさんあるようです。
又口道や出口峠道以外にも地形図に破線すら書かれていない道もたくさんあるようで、
そんな道を探し始めたらこのエリアから抜け出せなくなりそうなほどです。



「人の営みと共に存在してきたすべてのもの、山も谷も木も水も魚も鳥も、伐採されて置き去りにされたままの木も、
打ち捨てられてしまったかけらさえも、心に何かを響かせる」
山を歩いていると、私も、そんな思いに包まれます。
器や瓶、飯場の残骸、山仕事の道具、そして、ぽとんと落ち葉の中に埋もれた、誰かの、何かの、小さな記憶のかけらの数々・・
そういう打ち捨てられてしまったかけら語る真実が、静かに胸に鳴り響きます。


やっぱりsatoさんもそうなんですね!
台高もいろんなエリアにいろんな表情があって、どこもそれぞれにすばらしいと思うのですが、
今はこの尾鷲に近い南のエリアに夢中です。
ここらへんは人の手が多く入っている分、手つかずの自然みたいな部分は少なくて、荒れているところも多いですが、
なんか最近は「全部が美しくなくても、人の手が残した温かみみたいなものに触れたい」と思う自分がいて、
荒れ果てた無残な姿でも、そこをまた誰かが踏んでか細い道が出来つつある様子とか、
稜線の片側が植林なのにもう片方にとっても美しい自然林が広がっているアンバランスな様子を目にするときとか、
なんかそんなことに感動したりしてます。


「こんなところにテントを張りたい」と言って、実現するのですね。
アオバトさん達の情熱が、今年に入って何度か計画倒れしている私には眩しいです。
行きたいのに、「天気が分からないし、荷物は重いし」とあきらめちゃうのですね。
アオバトさんのレポを読むと、台高を訪れたくなります。私もアオバトさんの世界を覗くことが出来るかな?


テント泊好きというのは、きっと山より宴の情熱でしょうか。
今は、それもかなわなくなりつつある悲しい状況ですが、
この騒ぎが少しでも早く収束して、satoさんもいつか台高遠征できるといいですね。

 アオバ*ト
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