【鈴鹿】新雪、快晴、霧氷の御池テーブルランド
Posted: 2020年2月05日(水) 22:20
【日 付】2020年2月1日(土)
【山 域】鈴鹿 御池岳
【天 候】晴れ
【コース】小又橋9:30---10:15小又谷林道終点---11:30土倉岳11:45---12:15テーブルランド14:45---15:50 P918m
---17:05小又橋
まったく期待しなければ裏切られることもない。期待していなければ、予想外の風景に出会った時の喜びも大
きい。まさにそんな一日だった。
八日市から車の窓越しに見る鈴鹿の山々は、久しぶりの雪化粧。昨夜の雨は、山では雪だったようだ。但し、
空は鉛色。天気は期待できない。永源寺を過ぎると少しずつ雪が積もり始め、君ヶ畑への道は雪道になっている。
こうなると、御池林道を登山口まで入れるかどうかが心配になってくる。
林道は先行車の轍があり、小又橋の駐車場まで楽に入ることができた。あと10センチ積もっていたら、かなり
厳しい状況になっていただろう。
駐車場には先客が1台。第2駐車場(こんなのができているとは知らなかった)にも1台。
但し、小又谷林道へはトレースがない。2組ともT字尾根に向かったようである。
小又谷を林道終点まで辿り、土倉岳からテーブルランドへというコースは、年末年始の定番になっていた。
今シーズンはあまりの雪の少なさに足が向かなかったのである。
林道の積雪は20センチほど。まったくのパウダーで、蹴飛ばせば粉が舞い上がる。
対岸の杉林に積もった雪がウロコのようで面白い。尾根を見上げれば、一面真っ白だ。どうやら今日は霧氷天国
を楽しめそうである。気温が低いので、昼を過ぎても残っていてくれそうだ。
林道終点で小又谷を渡渉、と言っても3~4歩くるぶし下の水流に入るだけだが、するあたりの風景が好きだ。
なんということのない風景だが、妙に落ち着くのである。このコースを行く時は、必ずザックを降ろしてひと息
入れる場所でもある。
土倉岳の南尾根に取り付く。下部はアセビのヤブが少し鬱陶しいが、無雪期でも問題なく歩ける尾根だ。
アセビを抜けると雑木林、そしてブナ林へと植生が変わる。右側は植林が入ってるのが玉にキズだ。
南東からの尾根との合流点に着いた。頭上には青空が広がり始め、木という木はすべて白い衣装を纏っている。
ブナの枝先にはまだ繊細な霧氷が、スギの木は積もった雪が重たそうな、プチモンスターの様相を呈している。
ここから土倉岳へは霧氷のアーケードを行く。積雪は30センチを超えているだろうか。
こんなことならスノーシューを持って来ればよかった。今日は雪無し、晴れ間無しで、霧氷が少しでも見られれ
ばいいという程度の計画だった。当然スノーシューは不要で、靴も夏山用にしようかと思っていたぐらいである。
うれしい誤算というのはこういうことを言うのだろう。
土倉岳の三角点は辛うじて頭を出していた。冬にこの三角点を見たのは初めてだろう。
テーブルランドに目を遣ると、上の方はガスの中。ボタン岩方面がわずかに顔を見せている。
藤原岳はガスの中を出たり入ったり。風も強い。これは天気は期待できそうもないか。
これだけ霧氷を楽しめただけでも良しだろう。
ここで駐車場に止まっていた車の主らしい単独者と2人パーティーに続けて出会う。まだ昼前なのに、すいぶん
早い下山だ。
テーブルランドにいても何も見えないし、風が強くて寒いだけなので、さっさと下りてきたのかもしれない。
とりあえずテーブルランドには乗ってみよう。100mほどの急登は、足を動かしていればすぐに終わってしまう。
台地に着いた瞬間強風が、と思っていたら意外に風が弱く、拍子抜けしてしまった。
それでものんびりランチするには快適とは言えない。風の弱そうな場所を探してウロウロする。
雪原の真ん中にある、大きなカレンフェルトの陰でザックを降ろした。風は回っているようで、ある時風が無い
と思っても、次の瞬間には風の通り道になっていたりする。それでも風の強さは許容範囲と言える。
何より、日が差してきたのが大きい。さっきまでのガスはどこへ消えたのか、いつの間にか頭上は青空に覆われ
ていた。
雪と青空と霧氷。期待もしていなかったものを、今、すべて手にしている。山は登ってみなければわからない
ものだ。こういうシチュエーションの御池岳は素晴らしい。何度も見ている風景ではあるが、まったく飽きるこ
とがない。さっきの登山者はあきらめて下山してしまったのだろうが、残念なことだ。もう少し我慢していれば、
この見事な風景に出会えていたのに。
しかし、返す返すもスノーシューを持って来なかったことが悔やまれる。スノーシューは自由自在にテーブル
ランドを歩き回るための、重要なツールである。深いところではヒザ上まで潜るような雪では、なかなかツボ足
で楽しむというわけにはいかない。気温が上がらないので、予想通り昼を過ぎても霧氷はそのままだった。
下りはT字尾根を使えば、さっきのパーティーのトレースがある。まあ、無くても何も困ることはないのだが。
下降点から見るT字尾根も霧氷ロード。「ブナ権現」に挨拶したりしながら、P918mのT字分岐へ。
ここでも「お母さんブナ」に挨拶。トレースはどちらのブナにも向かっていなかった。知らないのか、大して興
味がないのか、こちらがブナを好き過ぎるだけなのか。
[/color]
P967m先に、ボタンブチとボタン岩の好展望地がある。ここから見る冬の風景は鈴鹿離れしていて、自分はど
こにいるのだろうと思ってしまう。
P918からP878mへの尾根にもブナ林が続く。この尾根のウリは、土倉岳からテーブルランドへ続く尾根の見事
な眺めだ。特に自分が歩いてきた尾根が、夕刻の斜光線に煌めいて、少し赤みを帯びた白に輝き始めたこの時間
は美しい。
朝、少し出遅れたことが功を奏して、快晴のテーブルランドを楽しむことができた。
世の中、何が幸いするかわからないものである。
山日和
【山 域】鈴鹿 御池岳
【天 候】晴れ
【コース】小又橋9:30---10:15小又谷林道終点---11:30土倉岳11:45---12:15テーブルランド14:45---15:50 P918m
---17:05小又橋
まったく期待しなければ裏切られることもない。期待していなければ、予想外の風景に出会った時の喜びも大
きい。まさにそんな一日だった。
八日市から車の窓越しに見る鈴鹿の山々は、久しぶりの雪化粧。昨夜の雨は、山では雪だったようだ。但し、
空は鉛色。天気は期待できない。永源寺を過ぎると少しずつ雪が積もり始め、君ヶ畑への道は雪道になっている。
こうなると、御池林道を登山口まで入れるかどうかが心配になってくる。
林道は先行車の轍があり、小又橋の駐車場まで楽に入ることができた。あと10センチ積もっていたら、かなり
厳しい状況になっていただろう。
駐車場には先客が1台。第2駐車場(こんなのができているとは知らなかった)にも1台。
但し、小又谷林道へはトレースがない。2組ともT字尾根に向かったようである。
小又谷を林道終点まで辿り、土倉岳からテーブルランドへというコースは、年末年始の定番になっていた。
今シーズンはあまりの雪の少なさに足が向かなかったのである。
林道の積雪は20センチほど。まったくのパウダーで、蹴飛ばせば粉が舞い上がる。
対岸の杉林に積もった雪がウロコのようで面白い。尾根を見上げれば、一面真っ白だ。どうやら今日は霧氷天国
を楽しめそうである。気温が低いので、昼を過ぎても残っていてくれそうだ。
林道終点で小又谷を渡渉、と言っても3~4歩くるぶし下の水流に入るだけだが、するあたりの風景が好きだ。
なんということのない風景だが、妙に落ち着くのである。このコースを行く時は、必ずザックを降ろしてひと息
入れる場所でもある。
土倉岳の南尾根に取り付く。下部はアセビのヤブが少し鬱陶しいが、無雪期でも問題なく歩ける尾根だ。
アセビを抜けると雑木林、そしてブナ林へと植生が変わる。右側は植林が入ってるのが玉にキズだ。
南東からの尾根との合流点に着いた。頭上には青空が広がり始め、木という木はすべて白い衣装を纏っている。
ブナの枝先にはまだ繊細な霧氷が、スギの木は積もった雪が重たそうな、プチモンスターの様相を呈している。
ここから土倉岳へは霧氷のアーケードを行く。積雪は30センチを超えているだろうか。
こんなことならスノーシューを持って来ればよかった。今日は雪無し、晴れ間無しで、霧氷が少しでも見られれ
ばいいという程度の計画だった。当然スノーシューは不要で、靴も夏山用にしようかと思っていたぐらいである。
うれしい誤算というのはこういうことを言うのだろう。
土倉岳の三角点は辛うじて頭を出していた。冬にこの三角点を見たのは初めてだろう。
テーブルランドに目を遣ると、上の方はガスの中。ボタン岩方面がわずかに顔を見せている。
藤原岳はガスの中を出たり入ったり。風も強い。これは天気は期待できそうもないか。
これだけ霧氷を楽しめただけでも良しだろう。
ここで駐車場に止まっていた車の主らしい単独者と2人パーティーに続けて出会う。まだ昼前なのに、すいぶん
早い下山だ。
テーブルランドにいても何も見えないし、風が強くて寒いだけなので、さっさと下りてきたのかもしれない。
とりあえずテーブルランドには乗ってみよう。100mほどの急登は、足を動かしていればすぐに終わってしまう。
台地に着いた瞬間強風が、と思っていたら意外に風が弱く、拍子抜けしてしまった。
それでものんびりランチするには快適とは言えない。風の弱そうな場所を探してウロウロする。
雪原の真ん中にある、大きなカレンフェルトの陰でザックを降ろした。風は回っているようで、ある時風が無い
と思っても、次の瞬間には風の通り道になっていたりする。それでも風の強さは許容範囲と言える。
何より、日が差してきたのが大きい。さっきまでのガスはどこへ消えたのか、いつの間にか頭上は青空に覆われ
ていた。
雪と青空と霧氷。期待もしていなかったものを、今、すべて手にしている。山は登ってみなければわからない
ものだ。こういうシチュエーションの御池岳は素晴らしい。何度も見ている風景ではあるが、まったく飽きるこ
とがない。さっきの登山者はあきらめて下山してしまったのだろうが、残念なことだ。もう少し我慢していれば、
この見事な風景に出会えていたのに。
しかし、返す返すもスノーシューを持って来なかったことが悔やまれる。スノーシューは自由自在にテーブル
ランドを歩き回るための、重要なツールである。深いところではヒザ上まで潜るような雪では、なかなかツボ足
で楽しむというわけにはいかない。気温が上がらないので、予想通り昼を過ぎても霧氷はそのままだった。
下りはT字尾根を使えば、さっきのパーティーのトレースがある。まあ、無くても何も困ることはないのだが。
下降点から見るT字尾根も霧氷ロード。「ブナ権現」に挨拶したりしながら、P918mのT字分岐へ。
ここでも「お母さんブナ」に挨拶。トレースはどちらのブナにも向かっていなかった。知らないのか、大して興
味がないのか、こちらがブナを好き過ぎるだけなのか。
[/color]
P967m先に、ボタンブチとボタン岩の好展望地がある。ここから見る冬の風景は鈴鹿離れしていて、自分はど
こにいるのだろうと思ってしまう。
P918からP878mへの尾根にもブナ林が続く。この尾根のウリは、土倉岳からテーブルランドへ続く尾根の見事
な眺めだ。特に自分が歩いてきた尾根が、夕刻の斜光線に煌めいて、少し赤みを帯びた白に輝き始めたこの時間
は美しい。
朝、少し出遅れたことが功を奏して、快晴のテーブルランドを楽しむことができた。
世の中、何が幸いするかわからないものである。
山日和