【越美国境】雪の夜叉ケ池・ヤブコギ夜叉ケ丸

山行記、山の思い出、限定
フォーラムルール
新規トピックは文頭に以下のテンプレートをなるべく使ってください。
【 日 付 】
【 山 域 】 
【メンバー】
【 天 候 】
【 ルート 】
※ユーザーでなくても返信が可能です。ユーザー名に名前を入れて返信してください。
返信する
アオバ*ト
記事: 283
登録日時: 2019年9月23日(月) 08:40

【越美国境】雪の夜叉ケ池・ヤブコギ夜叉ケ丸

投稿記事 by アオバ*ト »

【日付】2020年1月19日(日)
【山域】越美国境・夜叉ケ池周辺
【メンバー】Tさん、アオバ*ト
【天候】晴れのちくもり
【ルート】大カツラの登山口7:45、分岐10:30、夜叉ケ池10:45~11:00、夜叉ケ丸12:45~13:55、登山口15:50

 1月19日(日)、日本海側がめずらしくお天気よさげだった。午前中晴れ、午後からくもり、夕方また晴れ、風もなし。
早朝氷点下になるかならないか。昼間は10度よりは上がらない。多少なりとも雪があるとしたら、最高のコンディションなんだけどなぁ。
でも雪はたぶん直下に50センチくらいしかない。それでもスノーシュー車に積んで待ち合わせ場所に向かった。
出会って開口一番、「登山靴忘れてん」とTさんはニコニコ笑って言う。え~っと驚くが、いつも車に長靴は積んでるらしい。
どうせ雪ないし、まぁそれでも間に合うでしょ、たぶん。スノータイヤのありがたみもなく、広野ダム到着。車外に出てもなんだか生暖かい。
そして雪はちっともない。わたしは冬にここに来るのは4回目。冬にここに来るのは初めてのTさんは、わたしと違ってヤブコギストだから雪が無くても楽しみらしい。
 このあいだ尾鷲で買った地酒ヤーヤはやっぱり最高だったよとか、いつもはこの林道斜めってるところがあってそのトラバースと登山口の鳥居くぐって取りつくところがいちばんの難所なんだよとか、あーだこーだと話しながら、2、30分歩いただろうか。突然、ワンワン、ワンワン!振り向くと荷台にワンコの乗った軽トラ1台。オレンジ色のベストを着たひとのよさげなおじさんが降りてきて、「山登りか?乗っていくか?」「ゲート閉まってたのになんで?」「わしら鍵持っとるから」「猟ですか?」「せや」ありがたく乗せていただき、あっという間にカツラの登山口に着いた。軽トラから降りておじさんと話していると、さらに軽トラ2台。猟友会の方たちだった。「流れ弾は飛ばんから安心し。わしらは熊の穴を知っとるから」猟友会のおじさんたちのブリーフィングは猟について何も知識のないわたしにはけっこう衝撃的だったけど、これも山の暮らしの一部なのだと思った。
DSC07995鳥居.jpg
 どこから登るのかと尋ねられて、尾根通しでと答えると夏道で行けと言う。「雪がないから尾根はヤブでタイヘンや。今日やったら夏道で池まで行ける。上のほうは一尺くらい雪あるやろうが、凍ってないから大丈夫や。」池に寄り道してたら三国までは行けなくなる。でも雪の時は上からしか眺めたことのない池を間近で見てみたくなった。気ぃつけてなと見送られて橋を渡る。
 雪の時難儀して渡渉した箇所やヒヤヒヤしながら登って行った急斜面を横目に眺めながら登山道を上がっていく。フツウの登山道を歩くってなんて楽なんだろう。人の多いときにここに来る気にはならないけど、今日は貸し切りと思うとこの夏道もすばらしく思えてくる。うっすら霜の降りた落ち葉を踏んで滝を眺めながら、道はだんだん川底から離れ、再び沢に降りて小さな橋を渡って大トチノキを見上げてまた上がっていく。
DSC08009夏道.jpg
これ以上沢沿いのトラバースはアイゼンがないと怖いなと感じ始めた頃、道は沢から離れ尾根へ上がっていった。だんだん雪が増えてきて910くらいでスノーシューを履いた。
 真っ白じゃない上谷山ってなんか迫力に欠けるけど、三周のてっぺんもぜんぜんソフトクリームみたいじゃないけど、でもやっぱり少しでも雪があると楽しいね!
ウサギDSC08017.jpg
分岐DSC08022.jpg
夜叉ケ丸との分岐点に着いた頃には登山道はすっかり雪に埋もれて緩斜面ををトラバース。たわんだブナやヒメシャラの枝や灌木の先っぽやらが煩わしくも、どんな光景が広がっているのかと心がはやる。紅い新芽をいっぱいに付けた灌木のヤブをかきわけて進むと、雪と岩の稜線の超絶カッコいいスカイラインが目の前に迫った。池はと言うと、陽の光の照り返しが眩し過ぎて長くは眺めていられなかった。昼間の光の下で我を見てはならぬと姫が宣うかの如く。
DSC08026三周.jpg
スカイラインDSC08031.jpg
 Tさんが確保してあげるから夜叉丸に直登しようととんでもないことを言う。アイゼンもピッケルも置いてきたのにしかも長靴で登るなんてありえない~。戻ってトラバースして冬の尾根から上がるよと言うとTさんは池に降りて名残惜しそうにペタペタと足型を付けて遊んでいた。かような悪戯をしたのは誰じゃと姫に怒られそうなイマイチだらしない形のハート型を池に残して、来た道を分岐まで戻る。
 さてと、ちと気合がいりますよ。スノーシューつけたままヤブのトラバースに入る。ヤブのおかげで滑り落ちる心配はないけど、たわんだ枝をよっこらよっこら乗り越えて、距離にしたら100mくらいだと思うけど足が疲れる、攣りそうだ。やっとこたどり着いた冬尾根はほっと一息ヤブの埋もれた場所だったけど、登るにつれてもヤブはなくならない。ずっと上までこの調子かと気が萎える。ヤブコギ大好きのTさんに、もうちょっとだよと励まされつつ夜叉丸ピーク着。いつものように超絶は付かないけど、それでもすばらしかった。
DSC08076夜叉姫.jpg
DSC08087三周と夜叉ケ池.jpg
踏み抜かないよう南の先っぽに移動して、スコップで掘りコタツ作ってランチタイム。夜叉姫ピークと三国岳と上谷山を眺めながら。
当初の計画は雪がつながっていたら三国岳まで行って戻ってこようという算段だったけど、池にも寄り道したし、こんなにヤブっぽかったら夜叉姫ピークに行くのさえ大変だよね。きょうはここでゆっくりして帰りましょう。ランチの途中で銃声が聞こえた。少し胸が痛んだ。
 登山口に戻ったら、まだ軽トラが2台停まっていた。もう1台はどこへ行ったのだろう。もう獲物を積んでどこかへ行ったのだろうかと思いながら片付けていると、ダムのほうからもう1台が戻ってきた。朝のにこやかなおじさんとおりこうさんの甲斐犬だ。「お帰り。待ってたわけやないんやけどな。仲間がまだ帰って来んから手持無沙汰やで」とまた送ってくれると言う。山中で仕留めてもそのまま連れては来れんのでと、再びマタギの世界のような話をほの聞き、美しい岩谷川を眺めながら揺られてダムへ戻る。途中の小屋のあるところで生まれ育ったと。わしらは遅くなったら小屋に泊まるからと言って、おじさんとワンコは引き返していった。ありがたい出会いに深く感謝してまだ明るいダムを後にした。

 アオバ*ト
SHIGEKI
記事: 1028
登録日時: 2011年7月25日(月) 18:30

Re: 【越美国境】雪の夜叉ケ池・ヤブコギ夜叉ケ丸

投稿記事 by SHIGEKI »

アオバ*トさん こんばんは。

【日付】2020年1月19日(日)
【山域】越美国境・夜叉ケ池周辺
【メンバー】Tさん、アオバ*ト
【天候】晴れのちくもり
【ルート】大カツラの登山口7:45、分岐10:30、夜叉ケ池10:45~11:00、夜叉ケ丸12:45~13:55、登山口15:50

夜叉姫に逢いに行かれましたか :D


出会って開口一番、「登山靴忘れてん」とTさんはニコニコ笑って言う。え~っと驚くが、いつも車に長靴は積んでるらしい。

こんなオッサンあるあるですわ。

何を隠そう 不肖Sもその口です。登山靴はめったに忘れませんが、忘れたときのために長靴か月星の調理場シューズを積んでます。


どうせ雪ないし、まぁそれでも間に合うでしょ、たぶん。スノータイヤのありがたみもなく、広野ダム到着。車外に出てもなんだか生暖かい。
そして雪はちっともない。わたしは冬にここに来るのは4回目。冬にここに来るのは初めてのTさんは、わたしと違ってヤブコギストだから雪が無くても楽しみらしい。

ヤブが好きな人ってこのヤブコギネットでもめずらしいお方ですよ :mrgreen:


 このあいだ尾鷲で買った地酒ヤーヤはやっぱり最高だったよとか、いつもはこの林道斜めってるところがあってそのトラバースと登山口の鳥居くぐって取りつくところがいちばんの難所なんだよとか、あーだこーだと話しながら、2、30分歩いただろうか。突然、ワンワン、ワンワン!振り向くと荷台にワンコの乗った軽トラ1台。オレンジ色のベストを着たひとのよさげなおじさんが降りてきて、「山登りか?乗っていくか?」「ゲート閉まってたのになんで?」「わしら鍵持っとるから」「猟ですか?」「せや」ありがたく乗せていただき、あっという間にカツラの登山口に着いた。軽トラから降りておじさんと話していると、さらに軽トラ2台。猟友会の方たちだった。「流れ弾は飛ばんから安心し。わしらは熊の穴を知っとるから」猟友会のおじさんたちのブリーフィングは猟について何も知識のないわたしにはけっこう衝撃的だったけど、これも山の暮らしの一部なのだと思った。

気楽な林道ウォークで会話もいいですね。

しかも、猟師に便乗、更に猟のお話を聞けるなんて!!

一人、黙々と歩いていた不肖Sとはエラい違いでんな~

いつぞやの誰かさんは、乗っけてもらえるどころか、管理人もどきに「林道は歩行者も進入禁止だ」って警告されたとか!!



 どこから登るのかと尋ねられて、尾根通しでと答えると夏道で行けと言う。「雪がないから尾根はヤブでタイヘンや。今日やったら夏道で池まで行ける。上のほうは一尺くらい雪あるやろうが、凍ってないから大丈夫や。」

猟師さんの適切なアドバイスですね。


 雪の時難儀して渡渉した箇所やヒヤヒヤしながら登って行った急斜面を横目に眺めながら登山道を上がっていく。フツウの登山道を歩くってなんて楽なんだろう。人の多いときにここに来る気にはならないけど、今日は貸し切りと思うとこの夏道もすばらしく思えてくる。

まさしくその通りです。


池はと言うと、陽の光の照り返しが眩し過ぎて長くは眺めていられなかった。昼間の光の下で我を見てはならぬと姫が宣うかの如く。

好き嫌いの激しい姫です。

不肖Sにはやさしく微笑んでくれはりました。 :mrgreen:



Tさんは池に降りて名残惜しそうにペタペタと足型を付けて遊んでいた。かような悪戯をしたのは誰じゃと姫に怒られそうなイマイチだらしない形のハート型を池に残して、来た道を分岐まで戻る。

なんて粋なことをなさるお方!!・・・ :D


山中で仕留めてもそのまま連れては来れんのでと、再びマタギの世界のような話をほの聞き、美しい岩谷川を眺めながら揺られてダムへ戻る。途中の小屋のあるところで生まれ育ったと。わしらは遅くなったら小屋に泊まるからと言って、おじさんとワンコは引き返していった。ありがたい出会いに深く感謝してまだ明るいダムを後にした。

ありましたね。途中の集落跡、田舎者の不肖Sはものすごい親近感を覚えますこの猟師さん、一緒にこの小屋に泊めてもらいたいです。

     SHIGEKI




 アオバ*ト
[/quote]
アオバ*ト
記事: 283
登録日時: 2019年9月23日(月) 08:40

Re: 【越美国境】雪の夜叉ケ池・ヤブコギ夜叉ケ丸

投稿記事 by アオバ*ト »

SHIGEKIさん、こんばんは。
早々とレス下さり、ありがとうございます。

夜叉姫に逢いに行かれましたか

はい、でも雪の下で冬眠されてた感が強いです。


こんなオッサンあるあるですわ。
何を隠そう 不肖Sもその口です。登山靴はめったに忘れませんが、忘れたときのために長靴か月星の調理場シューズを積んでます。


一瞬、今日は待ち合わせただけでおわりか~と思いました。
よく長靴積んであったことです。

調理場シューズとか魚屋さんの履いてるやつとか、よさげですね。


ヤブが好きな人ってこのヤブコギネットでもめずらしいお方ですよ

そうなんですか。みなさん文字通りヤブコギマニアなのかと思ってました。

気楽な林道ウォークで会話もいいですね。
しかも、猟師に便乗、更に猟のお話を聞けるなんて!!
一人、黙々と歩いていた不肖Sとはエラい違いでんな~
いつぞやの誰かさんは、乗っけてもらえるどころか、管理人もどきに「林道は歩行者も進入禁止だ」って警告されたとか!!


行き帰り、車にのっけてもらえたことは超ラッキーでした。
こんな話を聞くのも初めてでした。

この管理人さんは有名人ですよね。わたしも知ってます。ずいぶん前ですが、ゲートの閉まってる時に夏道登っていたら、しっかり見つかって
勝手に行っちゃダメと言われて、一緒に池まで行って帰りも一緒にダムまで帰ってきたことあります。
とても情熱的にヤシャゲンゴロウについてご教授頂きましたが、すっかり忘れてしまいました。


猟師さんの適切なアドバイスですね。

このアドバイスなかったら、冬の尾根登って途中で敗退必至でした。


好き嫌いの激しい姫です。
不肖Sにはやさしく微笑んでくれはりました。


やっぱりSHIGEKIさんが逢いに行かれたときが、姫はいちばん美しく優しかったのだろうと思います。


なんて粋なことをなさるお方!!・・・

いや、これ、SHIGEKIさんの真似っこですよ~。


ありましたね。途中の集落跡、田舎者の不肖Sはものすごい親近感を覚えますこの猟師さん、一緒にこの小屋に泊めてもらいたいです。

猟師さんに限らず地元の方とお話しできるとうれしいです。
クマを捕獲することにはいろいろ意見もあるのでしょうが、
この猟師さんはとてもいい方でした。見た目はオオカミみたいなワンちゃん見てても、そう思いました。
この辺うろついてたら、また出会えるかもしれません。

 アオバ*ト

返信する