【江若国境】滝谷山〜大御影山〜三重嶽☆登り納めは寡雪の山毛欅の回廊に
Posted: 2020年1月07日(火) 19:01
【 日 付 】2019年12月29日
【 山 域 】江若国境
【メンバー】山猫、家内
【 天 候 】晴れのち曇り
【 ルート 】落合10:16〜11:17滝谷山〜12:45近江坂分岐〜13:30大御影山〜14:14大日尾根分岐〜15:21三重嶽〜16:27三重ヶ岳登山口〜16:37落合
この日は京都の上空は雲ひとつない蒼穹が広がっている。湖南の低山を予定していたが、折角の快晴なので好展望が期待できる山にしよう・・・ということで思いついたのは大御影山から三重嶽への高島トレイルである。先週、湖北の大黒山から眺めた野坂山地でこの大御影山から三重嶽だけが白く見えており、雪を踏みながら山毛欅の美林が広がる尾根を歩くことを期待する。
例年であれば石田川ダムから先の林道角川線は雪が深すぎて入れないことが予想されるが、今年は林道には雪が無いことが確信できるので、登山口となる落合まで車で車で入ることが可能であろう。
安曇川に沿ってR367を北上すると細川を過ぎてから狭い谷間には低い雲がかかる。朽木を過ぎてR303に入ると再び青空が大きく広がり始める。登山口となる落合の粟柄河内谷林道との合流地点にはすでに一台の車が停められていた。
滝谷山へは植林地の急斜面をジグザグと登る。尾根に上がると途端になだらかで歩きやすい。尾根の東側からは樹間から南東の方角に、琵琶湖の上には広く雲海が広がり、鈴鹿の山々は茫洋とした白い海の上に浮かぶ島嶼のようだ。
滝谷山の山頂は鬱蒼とした杉の植林の中の平地だが、滝谷山を越えると杉の植林はすぐにも終わり、なだらかな尾根には山毛欅の樹林が広がる。山毛欅の樹々はそれほど樹高は高くはないが、広々とした尾根に群生する山毛欅は迫力がある。いくつもの優美な起伏を描く広い尾根にはいくつかの小さな池が現れる。
ビラデスト今津からの道と合流するとそれまでしばしば不明瞭だった登山道は途端に明瞭となり、非常に深く削られた掘割式の古道となる。近江坂と呼ばれる古道だろう。古道の脇にはコアジサイやサンゴニシキの灌木が繁茂する。サンゴニシキは茎が緑色から鮮やかな臙脂色へと変色しつつあるが、この時期に緑色のものが多く残っているのは異様に暖かい日々が続いているからかもしれない。
尾根からは灌木越しには琵琶湖方面の好展望が広がる箇所が多い。やがて尾根の東側には一面、芝生で覆われた小さな平地が現れる。ここからは東に伊吹山、西に武奈ヶ嶽を望む180度以上のパノラマが広がっている。暖かい日差しを浴びつつランチ休憩をとるには格好の場所だ。
展望地を後にし尾根を北上するとすぐに尾根を横切る河内谷林道に出る。大御影山の山頂までは2.6kmとある。抜土からの尾根と合流する近江坂分岐には高島市による古い道標があり、若狭の闇見神社と近江の酒波寺が記されている。この近江坂はこの両者を結ぶものであったらしい。若狭の闇見神社は三十三間山の西側の登山口にある神社、酒波寺はビラデスト今津への登り口にある寺だ。なだらかな稜線上には山毛欅の林が延々と続く。
尾根上には薄く雪が現れるが、先週、大黒山から遠望した時に見えた雪は既に消えてしまっているのだろう。尾根の右手からは彼方に白銀に輝く白山が目に入る。
その右手には金糞岳と横山岳の間にやはり冠雪した山は御嶽山を望む。手前には大谷山から寒風、赤坂山を経て三国岳へと向かう高島トレイルが見える。当然ながら大御影山よりも標高の低いこれらの山を結ぶトレイルには全く雪はない。
大御影山の山頂にかけて歩いているうちに空には急速に雲が広がり、先ほどまで白山の上に広がっていた青空も瞬くうちに消失する。山頂からは北側に青白色の海が広がる敦賀湾の景色が視界に飛び込む。急に風が冷たくなってきたようだ。
三重嶽から北へと伸びる大日尾根を目指して鞍部へと向かう。すぐ目の前に見える三重嶽へは谷を渡ったたら近いのだろうが、尾根の合流するのはかなり北になる。蛇行しながら大日尾根へと登っていく尾根に山毛欅の林が続いているのが目に入る。
大日尾根に合流すると彼方に三重嶽の山頂を望む。なだらかではあるが小さなアップダウンを繰り返す尾根の道のりは意外と距離がある。p943に達するといよいよ目の前に樹木のないピークを有する三重嶽北峰が大きく視界に入る。北峰は今年の5月にも訪れたところであるが、三重嶽の山頂よりも遥か眺望がよく山頂周辺の雰囲気も素晴らしいところだ。北東には西方ヶ岳、西には青葉山を望む。
これらの山々の彼方には青白い乳液を流し込んだかのような若狭の海が広がっている。曇ってはいるものの遥かに彼方の山々まで眺めることが出来るのは冬の空気ならでは透明感のお陰
である。
三重嶽の山頂に達すると北峰に比べると展望は限られるが、南の方角に望む武奈ヶ岳をはじめとする裏比良の山々の冠雪した北斜面を望む。
この時期、比良の山々よりもこの三重嶽の方が積雪していることが多いと思っていたが今年はどうやら全く雪の様相が異なるようだ。山頂の薄雪の上には真新しい踏み跡がある。踏み跡は山頂から北東の河内谷林道の方へと下っていくようだ。どうやら落合に停められていた車の持ち主だろう。
落合への南東の尾根は過去に二度ほど通ってはいるがいずれも新緑の季節なので、落葉した季節は初めてだ。山頂直下から始まる山毛欅の新緑が見事だと思っていたが、この日は延々と山毛欅の林の中を歩いてきたせいだろうか、山毛欅に対する感覚が麻痺してしまっている。
尾根を下るコースタイムも前回で目処がついているので、登山口にたどり着ける時間の目処が付いているので、前回歩いた5月とは異なり、落葉した広葉樹の間からは終始、右手に武奈ヶ嶽のシルエットを望みながら長い尾根を下降してゆく。落合の駐車地にはほぼ想定の時間に到着した。期待していたほどの雪には出会えなかったものの、山毛欅の美林と冬のパノラマを堪能した山行であった。
年が明けて湖北へと向かう車から北の方角を野坂山地の中でひときわ白く冠雪した大御影山から三重嶽にかけての稜線が目に入るのだった。
【 山 域 】江若国境
【メンバー】山猫、家内
【 天 候 】晴れのち曇り
【 ルート 】落合10:16〜11:17滝谷山〜12:45近江坂分岐〜13:30大御影山〜14:14大日尾根分岐〜15:21三重嶽〜16:27三重ヶ岳登山口〜16:37落合
この日は京都の上空は雲ひとつない蒼穹が広がっている。湖南の低山を予定していたが、折角の快晴なので好展望が期待できる山にしよう・・・ということで思いついたのは大御影山から三重嶽への高島トレイルである。先週、湖北の大黒山から眺めた野坂山地でこの大御影山から三重嶽だけが白く見えており、雪を踏みながら山毛欅の美林が広がる尾根を歩くことを期待する。
例年であれば石田川ダムから先の林道角川線は雪が深すぎて入れないことが予想されるが、今年は林道には雪が無いことが確信できるので、登山口となる落合まで車で車で入ることが可能であろう。
安曇川に沿ってR367を北上すると細川を過ぎてから狭い谷間には低い雲がかかる。朽木を過ぎてR303に入ると再び青空が大きく広がり始める。登山口となる落合の粟柄河内谷林道との合流地点にはすでに一台の車が停められていた。
滝谷山へは植林地の急斜面をジグザグと登る。尾根に上がると途端になだらかで歩きやすい。尾根の東側からは樹間から南東の方角に、琵琶湖の上には広く雲海が広がり、鈴鹿の山々は茫洋とした白い海の上に浮かぶ島嶼のようだ。
滝谷山の山頂は鬱蒼とした杉の植林の中の平地だが、滝谷山を越えると杉の植林はすぐにも終わり、なだらかな尾根には山毛欅の樹林が広がる。山毛欅の樹々はそれほど樹高は高くはないが、広々とした尾根に群生する山毛欅は迫力がある。いくつもの優美な起伏を描く広い尾根にはいくつかの小さな池が現れる。
ビラデスト今津からの道と合流するとそれまでしばしば不明瞭だった登山道は途端に明瞭となり、非常に深く削られた掘割式の古道となる。近江坂と呼ばれる古道だろう。古道の脇にはコアジサイやサンゴニシキの灌木が繁茂する。サンゴニシキは茎が緑色から鮮やかな臙脂色へと変色しつつあるが、この時期に緑色のものが多く残っているのは異様に暖かい日々が続いているからかもしれない。
尾根からは灌木越しには琵琶湖方面の好展望が広がる箇所が多い。やがて尾根の東側には一面、芝生で覆われた小さな平地が現れる。ここからは東に伊吹山、西に武奈ヶ嶽を望む180度以上のパノラマが広がっている。暖かい日差しを浴びつつランチ休憩をとるには格好の場所だ。
展望地を後にし尾根を北上するとすぐに尾根を横切る河内谷林道に出る。大御影山の山頂までは2.6kmとある。抜土からの尾根と合流する近江坂分岐には高島市による古い道標があり、若狭の闇見神社と近江の酒波寺が記されている。この近江坂はこの両者を結ぶものであったらしい。若狭の闇見神社は三十三間山の西側の登山口にある神社、酒波寺はビラデスト今津への登り口にある寺だ。なだらかな稜線上には山毛欅の林が延々と続く。
尾根上には薄く雪が現れるが、先週、大黒山から遠望した時に見えた雪は既に消えてしまっているのだろう。尾根の右手からは彼方に白銀に輝く白山が目に入る。
その右手には金糞岳と横山岳の間にやはり冠雪した山は御嶽山を望む。手前には大谷山から寒風、赤坂山を経て三国岳へと向かう高島トレイルが見える。当然ながら大御影山よりも標高の低いこれらの山を結ぶトレイルには全く雪はない。
大御影山の山頂にかけて歩いているうちに空には急速に雲が広がり、先ほどまで白山の上に広がっていた青空も瞬くうちに消失する。山頂からは北側に青白色の海が広がる敦賀湾の景色が視界に飛び込む。急に風が冷たくなってきたようだ。
三重嶽から北へと伸びる大日尾根を目指して鞍部へと向かう。すぐ目の前に見える三重嶽へは谷を渡ったたら近いのだろうが、尾根の合流するのはかなり北になる。蛇行しながら大日尾根へと登っていく尾根に山毛欅の林が続いているのが目に入る。
大日尾根に合流すると彼方に三重嶽の山頂を望む。なだらかではあるが小さなアップダウンを繰り返す尾根の道のりは意外と距離がある。p943に達するといよいよ目の前に樹木のないピークを有する三重嶽北峰が大きく視界に入る。北峰は今年の5月にも訪れたところであるが、三重嶽の山頂よりも遥か眺望がよく山頂周辺の雰囲気も素晴らしいところだ。北東には西方ヶ岳、西には青葉山を望む。
これらの山々の彼方には青白い乳液を流し込んだかのような若狭の海が広がっている。曇ってはいるものの遥かに彼方の山々まで眺めることが出来るのは冬の空気ならでは透明感のお陰
である。
三重嶽の山頂に達すると北峰に比べると展望は限られるが、南の方角に望む武奈ヶ岳をはじめとする裏比良の山々の冠雪した北斜面を望む。
この時期、比良の山々よりもこの三重嶽の方が積雪していることが多いと思っていたが今年はどうやら全く雪の様相が異なるようだ。山頂の薄雪の上には真新しい踏み跡がある。踏み跡は山頂から北東の河内谷林道の方へと下っていくようだ。どうやら落合に停められていた車の持ち主だろう。
落合への南東の尾根は過去に二度ほど通ってはいるがいずれも新緑の季節なので、落葉した季節は初めてだ。山頂直下から始まる山毛欅の新緑が見事だと思っていたが、この日は延々と山毛欅の林の中を歩いてきたせいだろうか、山毛欅に対する感覚が麻痺してしまっている。
尾根を下るコースタイムも前回で目処がついているので、登山口にたどり着ける時間の目処が付いているので、前回歩いた5月とは異なり、落葉した広葉樹の間からは終始、右手に武奈ヶ嶽のシルエットを望みながら長い尾根を下降してゆく。落合の駐車地にはほぼ想定の時間に到着した。期待していたほどの雪には出会えなかったものの、山毛欅の美林と冬のパノラマを堪能した山行であった。
年が明けて湖北へと向かう車から北の方角を野坂山地の中でひときわ白く冠雪した大御影山から三重嶽にかけての稜線が目に入るのだった。