【若狭】名残の錦秋を楽しむ 小栗
Posted: 2019年11月27日(水) 20:24
【日 付】2019年11月24日(日)
【山 域】若狭 小栗周辺
【天 候】晴れのち曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】下根来10:10---12:00炭焼窯跡12:30---13:00小栗15:00---17:00下根来
紅葉は平地まで下りて来ている。山では山麓から中腹あたりまでが辛うじて残っているだろう。それを楽し
むには自然林の低山に限る。
小浜の三角点小栗は、山裾では植林が入っているものの、中腹以上は自然林に覆われた美しい山である。
通い慣れた下根来(しもねごり)の八幡神社からの道を辿る。初めて訪れた時はテープを見かけることもなかっ
たが、今では立派な道標が完備された登山道になっている。
このコースは「山登りはこんなにも面白い」でも取り上げたし、昨年のスノー衆でも使った。
同行のsatoさんも以前からのお気に入りの道のようだ。
植林の中を登って行くと、突然石灰岩の岩場が現れる。初めて見た時はどこから攻略するのかと思った場所も、
岩の間をすり抜けるように明瞭な踏み跡が続いて迷うこともない。
岩場の最後には巨岩の上に根を張った大きなケヤキの奇木があり、その姿はまるで怪獣のように見えた。
いよいよ自然林に入る。目論見通りの赤と黄の競演が始まった。広い尾根いっぱいに広がる雑木林の紅黄葉は、
美しいという陳腐な言葉だけでは表現し切れない、気品のある佇まいを演出している。
これまでの斜面の広がりが一転してやせた尾根に変わると、この尾根の一番のお気に入りの場所はもうすぐそ
こだ。その場所は右から緩やかに上がってきた谷が尾根に最接近するところ。尾根と谷との高低差は10mもない。
一見行き止まりのように見える谷はそこで90度右折して、小さな滝を落としている。どん詰まりにはまだしっか
りとした石組みの残る炭焼窯跡がポツンと一基。尾根には目を瞠るようなケヤキの巨木が、炭焼窯を静かに見守
るように立っていた。
このコースを歩く時は必ずここでひと息入れる。炭焼窯跡を中心にひとつの世界が完結しているように感じられ
る、なんとも言えず雰囲気のある場所なのだ。
対岸の斜面に立っていた大きなケヤキが谷に倒れ込んでいた。根を張っていたところを見ると、急傾斜の岩盤か
ら地滑り的に倒れてしまったようだ。あんなところに根を張っていたのかと驚かされてしまう。
谷を少し下流に歩くと、家ほどもある大きな岩にへばりついたケヤキがある。岩と一体化したその根張りは少
しグロテスクなほど隆々としていた。
滝の左を巻いて上流に出ると、その滝が突然変異で現れたものであるかのように、下流同様の穏やかな流れが
源頭に向かって続いていた。左岸の尾根からこの谷の源頭、そして右岸の先ほど歩いてきた尾根の続きへと、素
晴らしい樹林が鮮やかな色彩を帯びて輝いている。
右岸の尾根に乗り直して急登をこなすと突然平坦地が現れ、ほとんど水溜まりのような小さな池と出会う。
少し離れて見るこの池と周りの美しい樹林のコンビネーションは、もう芸術品の域に達しているかのような、一幅の絵画を愛でるような見事な構図を作り出していた。
この高度まで上がると木々はすっかり葉を落としている。絢爛の秋から寂寥の冬へ。ここが季節の移り変わり
の転換点なのだろうか。
右岸の尾根と合流すれば、目の前の斜面の上が小栗の山頂だ。山頂直下の大斜面に広がる樹林の佇まいも素晴
らしく、一歩一歩味わうように歩を進めれば広大な小栗の山頂に到着する。
まったく伸びやかという以外に形容のしようがないような小栗の山頂は、ちょっとしたスポーツが楽しめそう
なほど広い。少し前までは葉を茂らせていた木々も冬支度の様相で、次の春まで見通しのいい季節を迎えていた。
北側の斜面に腰を降ろすと、正面には小浜の海と多田ヶ岳の端正な姿を望むことができる。
今日は夕方まで晴れの予報だったはずだが、天候の移り変わりは少し早いようで日差しは消えていた。
スタートが遅かった上にのんびりし過ぎてしまい、日没ギリギリの下山できるかどうかのタイミングになってし
まった。北への尾根を辿って、下根来の北側へ着地する支尾根を下ろう。
この尾根は以前、スノー衆で使っている。主尾根はまったくのヤブ無しの快適な尾根だ。
Ca680mピークの先、Ca610m地点から西へ伸びる尾根に乗った。少し下ると左側は完全な植林となったが、右
を向いていれば自然林の紅黄葉を楽しむことができる。さほど面白みのない尾根だという印象を持っていたのだ
が、季節を変えて歩いてみると悪くはない。
右手を振り返ると567mピークあたりが残照を浴びて赤く染まっていた。この時間に歩いている者だけが見るこ
とのできる光景だ。
最後は完全な植林帯に突入。ただでさえ暗い杉林に夕闇が迫り、見えにくくなってきた。
尾根芯を忠実に辿れば苦も無く車道と林道の分岐点に着地。なんとか闇下は回避できたようだ。
Satoさんが道端で作業をしていた軽トラのおじさんに挨拶。駐車地の八幡神社で山装束を解いていると、その
おじさんが通りかかって声をかけてきた。山麓に住んでいると山に登ろうという気は起きないとか、小浜や三方
に温泉があるというような話をした後、「また来て下さい」と言ってくれたのがうれしかった。
山日和
【山 域】若狭 小栗周辺
【天 候】晴れのち曇り
【メンバー】sato、山日和
【コース】下根来10:10---12:00炭焼窯跡12:30---13:00小栗15:00---17:00下根来
紅葉は平地まで下りて来ている。山では山麓から中腹あたりまでが辛うじて残っているだろう。それを楽し
むには自然林の低山に限る。
小浜の三角点小栗は、山裾では植林が入っているものの、中腹以上は自然林に覆われた美しい山である。
通い慣れた下根来(しもねごり)の八幡神社からの道を辿る。初めて訪れた時はテープを見かけることもなかっ
たが、今では立派な道標が完備された登山道になっている。
このコースは「山登りはこんなにも面白い」でも取り上げたし、昨年のスノー衆でも使った。
同行のsatoさんも以前からのお気に入りの道のようだ。
植林の中を登って行くと、突然石灰岩の岩場が現れる。初めて見た時はどこから攻略するのかと思った場所も、
岩の間をすり抜けるように明瞭な踏み跡が続いて迷うこともない。
岩場の最後には巨岩の上に根を張った大きなケヤキの奇木があり、その姿はまるで怪獣のように見えた。
いよいよ自然林に入る。目論見通りの赤と黄の競演が始まった。広い尾根いっぱいに広がる雑木林の紅黄葉は、
美しいという陳腐な言葉だけでは表現し切れない、気品のある佇まいを演出している。
これまでの斜面の広がりが一転してやせた尾根に変わると、この尾根の一番のお気に入りの場所はもうすぐそ
こだ。その場所は右から緩やかに上がってきた谷が尾根に最接近するところ。尾根と谷との高低差は10mもない。
一見行き止まりのように見える谷はそこで90度右折して、小さな滝を落としている。どん詰まりにはまだしっか
りとした石組みの残る炭焼窯跡がポツンと一基。尾根には目を瞠るようなケヤキの巨木が、炭焼窯を静かに見守
るように立っていた。
このコースを歩く時は必ずここでひと息入れる。炭焼窯跡を中心にひとつの世界が完結しているように感じられ
る、なんとも言えず雰囲気のある場所なのだ。
対岸の斜面に立っていた大きなケヤキが谷に倒れ込んでいた。根を張っていたところを見ると、急傾斜の岩盤か
ら地滑り的に倒れてしまったようだ。あんなところに根を張っていたのかと驚かされてしまう。
谷を少し下流に歩くと、家ほどもある大きな岩にへばりついたケヤキがある。岩と一体化したその根張りは少
しグロテスクなほど隆々としていた。
滝の左を巻いて上流に出ると、その滝が突然変異で現れたものであるかのように、下流同様の穏やかな流れが
源頭に向かって続いていた。左岸の尾根からこの谷の源頭、そして右岸の先ほど歩いてきた尾根の続きへと、素
晴らしい樹林が鮮やかな色彩を帯びて輝いている。
右岸の尾根に乗り直して急登をこなすと突然平坦地が現れ、ほとんど水溜まりのような小さな池と出会う。
少し離れて見るこの池と周りの美しい樹林のコンビネーションは、もう芸術品の域に達しているかのような、一幅の絵画を愛でるような見事な構図を作り出していた。
この高度まで上がると木々はすっかり葉を落としている。絢爛の秋から寂寥の冬へ。ここが季節の移り変わり
の転換点なのだろうか。
右岸の尾根と合流すれば、目の前の斜面の上が小栗の山頂だ。山頂直下の大斜面に広がる樹林の佇まいも素晴
らしく、一歩一歩味わうように歩を進めれば広大な小栗の山頂に到着する。
まったく伸びやかという以外に形容のしようがないような小栗の山頂は、ちょっとしたスポーツが楽しめそう
なほど広い。少し前までは葉を茂らせていた木々も冬支度の様相で、次の春まで見通しのいい季節を迎えていた。
北側の斜面に腰を降ろすと、正面には小浜の海と多田ヶ岳の端正な姿を望むことができる。
今日は夕方まで晴れの予報だったはずだが、天候の移り変わりは少し早いようで日差しは消えていた。
スタートが遅かった上にのんびりし過ぎてしまい、日没ギリギリの下山できるかどうかのタイミングになってし
まった。北への尾根を辿って、下根来の北側へ着地する支尾根を下ろう。
この尾根は以前、スノー衆で使っている。主尾根はまったくのヤブ無しの快適な尾根だ。
Ca680mピークの先、Ca610m地点から西へ伸びる尾根に乗った。少し下ると左側は完全な植林となったが、右
を向いていれば自然林の紅黄葉を楽しむことができる。さほど面白みのない尾根だという印象を持っていたのだ
が、季節を変えて歩いてみると悪くはない。
右手を振り返ると567mピークあたりが残照を浴びて赤く染まっていた。この時間に歩いている者だけが見るこ
とのできる光景だ。
最後は完全な植林帯に突入。ただでさえ暗い杉林に夕闇が迫り、見えにくくなってきた。
尾根芯を忠実に辿れば苦も無く車道と林道の分岐点に着地。なんとか闇下は回避できたようだ。
Satoさんが道端で作業をしていた軽トラのおじさんに挨拶。駐車地の八幡神社で山装束を解いていると、その
おじさんが通りかかって声をかけてきた。山麓に住んでいると山に登ろうという気は起きないとか、小浜や三方
に温泉があるというような話をした後、「また来て下さい」と言ってくれたのがうれしかった。
山日和